- 〈適応菌種〉
テジゾリドに感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
- 〈適応症〉
深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
テジゾリドに感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染
通常、成人にはテジゾリドリン酸エステルとして200mgを1日1回、1時間かけて点滴静注する。
事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。
投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。
感染症の治療に十分な知識と経験を持つ医師又はその指導のもとで行うこと。
投与期間は、感染部位、重症度、患者の症状等を考慮し、適切な時期に、本剤の継続投与が必要か判定し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
有効性は確立していない。好中球減少マウスにおいてテジゾリドの抗菌活性が低下することが報告されている。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。胚・胎児毒性試験において、マウスでは肋軟骨異常(主に癒合)の発現頻度の増加傾向が、ラットでは肋骨及び椎骨の骨格変異の発現頻度の増加が、それぞれ臨床曝露量(AUC)の約3~4倍及び約5~6倍に相当する用量で認められた。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| *セロトニン作動薬 • 炭酸リチウム • セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI) • 選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI) • トリプタン系薬剤 • L-トリプトファン含有製剤 • トラマドール塩酸塩 • フェンタニル • メサドン塩酸塩 • ペチジン塩酸塩等 |
併用投与により、セロトニン症候群が発現したとの報告がある。セロトニン症候群の徴候又は症状(不安、激越、落ち着きのなさ、頻脈、高血圧、高体温症、振戦、筋緊張亢進、筋固縮等)が認められた場合には、本剤とセロトニン作動薬の両方あるいはいずれか一方の投与中止を検討すること。なお、セロトニン作動薬の急激な減量又は投与中止により離脱症状があらわれることがあるので注意すること。 | 本剤のMAO阻害作用により、セロトニン作動活性を増強するおそれがある。 |
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| Al-P上昇 | 頻度不明 |
| ALT上昇 | 頻度不明 |
| AST上昇 | 頻度不明 |
| γ-GTP上昇 | 頻度不明 |
| アレルギー性等) | 頻度不明 |
| カンジダ症(外陰腟 | 頻度不明 |
| コントロール不良の糖尿病 | 頻度不明 |
| ざ瘡 | 頻度不明 |
| ほてり | 頻度不明 |
| リンパ節症 | 頻度不明 |
| 上腹部痛 | 頻度不明 |
| 下痢 | 頻度不明 |
| 不安 | 頻度不明 |
| 不眠症 | 頻度不明 |
| 便秘 | 頻度不明 |
| 傾眠 | 頻度不明 |
| 口内乾燥 | 頻度不明 |
| 口腔) | 頻度不明 |
| 味覚異常 | 頻度不明 |
| 咳嗽 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 頻度不明 |
| 四肢不快感 | 頻度不明 |
| 多汗症 | 頻度不明 |
| 尿臭異常 | 頻度不明 |
| 徐脈 | 頻度不明 |
| 悪夢 | 頻度不明 |
| 悪寒 | 頻度不明 |
| 悪心 | 頻度不明 |
| 感覚鈍麻 | 頻度不明 |
| 振戦 | 頻度不明 |
| 握力低下 | 頻度不明 |
| 斑状丘疹状等) | 頻度不明 |
| 易刺激性 | 頻度不明 |
| 末梢性ニューロパチー | 頻度不明 |
| 末梢性浮腫 | 頻度不明 |
| 気道感染 | 頻度不明 |
| 注射部位反応(紅斑 | 5%以上 |
| 浮動性めまい | 頻度不明 |
| 消化不良 | 頻度不明 |
| 潮紅 | 頻度不明 |
| 疲労 | 頻度不明 |
| 疼痛 | 5%以上 |
| 瘙痒性皮疹 | 頻度不明 |
| 瘙痒症(全身性 | 頻度不明 |
| 発熱 | 頻度不明 |
| 発疹(全身性 | 頻度不明 |
| 白血球減少 | 頻度不明 |
| 皮膚) | 頻度不明 |
| 真菌感染(外陰腟 | 頻度不明 |
| 睡眠障害 | 頻度不明 |
| 硝子体浮遊物 | 頻度不明 |
| 筋痙縮 | 頻度不明 |
| 紅斑性 | 頻度不明 |
| 肝機能異常 | 頻度不明 |
| 肺うっ血 | 頻度不明 |
| 胃食道逆流性疾患 | 頻度不明 |
| 背部痛 | 頻度不明 |
| 脱毛症 | 頻度不明 |
| 脱水 | 頻度不明 |
| 腹痛 | 頻度不明 |
| 腹部不快感 | 頻度不明 |
| 膿瘍 | 頻度不明 |
| 蕁麻疹 | 頻度不明 |
| 薬物過敏症 | 頻度不明 |
| 血便排泄 | 頻度不明 |
| 血管痛 | 頻度不明 |
| 貧血 | 頻度不明 |
| 錯感覚 | 頻度不明 |
| 関節痛 | 頻度不明 |
| 霧視 | 頻度不明 |
| 静脈炎等) | 5%以上 |
| 頭痛 | 頻度不明 |
| 頸部痛 | 頻度不明 |
| 高カリウム血症 | 頻度不明 |
| 鼓腸 | 頻度不明 |
| 鼻乾燥 | 頻度不明 |
本剤(テジゾリドリン酸エステル)はプロドラッグであり、生体内において活性体テジゾリドに変換され、抗菌作用を示す。テジゾリドは、細菌リボソームの50Sサブユニットに結合して蛋白質合成を阻害することにより抗菌活性を発揮する。
テジゾリドは、MRSAを含むブドウ球菌2)、腸球菌、レンサ球菌等のグラム陽性菌に対して抗菌活性を示す(in vitro)。MRSA等を感染させたマウス皮膚・軟部組織感染モデル3)、マウス肺感染モデル4),5)、マウス致死的全身感染モデル5)において、テジゾリド(経口、静脈内又は腹腔内投与)はin vivo抗菌作用を示す。MRSA大腿感染モデルの大腿筋中生菌数を治療開始時の菌数で維持するために必要なヒト等価用量は正常マウスでは約100mg/日に対し、好中球減少(好中球数100/mL未満)マウスでは約2,000mg/日であった6)。
テジゾリドを含むオキサゾリジノンの作用機序は他クラス抗菌薬とは異なることから、他クラス抗菌薬耐性はテジゾリドに交差耐性を示さない。リボソーム変異(23S rRNA変異又はリボソーム蛋白質L3及びL4変異)によるオキサゾリジノン耐性は、一般的にテジゾリドに交差耐性を示す7),8),9)。クロラムフェニコール-フロルフェニコール耐性遺伝子cfrによりオキサゾリジノン耐性となっている黄色ブドウ球菌に対して、テジゾリドは抗菌活性を示す2),8)。 テジゾリドの感受性低下をもたらす自然発生突然変異の発現頻度は約≦10-10であった9)。MRSAの連続継代培養試験において、最小発育阻止濃度の上昇はテジゾリド存在下で8倍、同クラス抗菌薬リネゾリド存在下で32倍であった9)。
健康成人男性にテジゾリドリン酸エステル200mgを1時間かけて点滴静注したとき、活性体である血漿中テジゾリド濃度は点滴終了時点でCmaxに達し、11.0時間の半減期で消失した。 健康成人男性にテジゾリドリン酸エステル200mgを1時間かけて1日1回7日間反復点滴静注したとき、血漿中テジゾリド濃度は、初回及び最終投与日共に点滴終了時点でCmaxに到達し、約11時間の半減期で血漿中から消失した。血漿中テジゾリド濃度は、初回投与の翌日にほぼ定常状態に到達した。
| Cmax (μg/mL) |
AUC注3) (μg・h/mL) |
tmax (h) |
t1/2 (h) |
|
|---|---|---|---|---|
| 200mg点滴静注 | ||||
| 単回投与 (7例) |
3.45±0.60 | 34.4±7.9 | 1.08 (0.98~1.25) |
11.0±1.3 |
| 1日1回 反復投与 (8例) |
3.85±0.58 | 34.9±6.6 | 1.08 (0.98~1.25) |
12.0±1.1 |
| 200mg経口投与 | ||||
| 単回投与 (7例) |
2.38±0.59 | 28.6±8.2 | 3.00 (0.98~4.00) |
10.7±1.0 |
| 1日1回 反復投与 (8例) |
2.55±0.43 | 27.0±5.6 | 4.00 (2.00~6.00) |
11.3±1.5 |
注3)単回投与時のAUCは0時間から無限大までのAUC 反復投与時のAUCは0時間から24時間(投与間隔)までのAUC
図 テジゾリドリン酸エステル200mg単回又は反復点滴静注時の血漿中テジゾリド濃度推移 (平均値±標準偏差)
日本人及び外国人1)患者から得た血漿中濃度を用いた母集団薬物動態解析の結果、テジゾリドの薬物動態は、体格及び総ビリルビンの影響を受けることが示唆された。 日本人及び中国人患者から得た血漿中濃度を用いた母集団薬物動態解析の結果、標準的な患者(体重66.1kg、総ビリルビン0.70mg/dL)のCL/Fは6.33L/h(事後推定値)であった。体重が111.0kgの患者のCL/Fは38.8kgの患者と比較して約2倍に増加し(4.45L/hから8.93L/h、総ビリルビン0.70mg/dLのとき)、総ビリルビンが2.9mL/dLの患者のCL/Fは0.20mg/dLの患者と比較し約37%減少する(7.85L/hから4.96L/h、体重66.1kgのとき)と予測された。
テジゾリドリン酸エステルのヒト血漿蛋白結合率は86.6%であった。テジゾリドはヒト血漿において主にアルブミンと結合し、血漿蛋白結合率は約80%であった。
テジゾリドリン酸エステルナトリウム600mg注4)単回経口投与後に微小透析法によりテジゾリドの皮下脂肪組織及び骨格筋組織中間隙液への移行性を検討したところ、血漿中非結合型テジゾリドに対する組織中非結合型テジゾリドの平均AUC比は、それぞれ1.08及び1.22であった(外国人データ)。
テジゾリドリン酸エステルは、生体内においてホスファターゼによる脱リン酸化反応を受け、活性体テジゾリドに変換される。 In vitro試験により、テジゾリドリン酸エステル及びテジゾリドは、ヒトチトクロームP450(CYP)分子種により代謝されないこと及びテジゾリドは複数のヒト硫酸転移酵素(SULT1A1、1A2、2A1)により硫酸抱合反応を受けることが示された。 [14C]標識したテジゾリドリン酸エステル(204mg注4))を単回経口投与したとき、血漿中放射能から求めたAUCの約95%がテジゾリド由来であった(外国人データ)。
[14C]標識したテジゾリドリン酸エステル(204mg注4))を単回経口投与したとき、投与288時間後までに放射能の81.5%が糞中、18.0%が尿中に、主に硫酸抱合体として排泄された(外国人データ)。
健康高齢被験者(平均71.9歳)にテジゾリドリン酸エステル200mgを単回経口投与したときのテジゾリドの薬物動態パラメータは非高齢者と同様であった(外国人データ)。
血液透析施行又は未施行の重度腎機能障害患者(eGFR:<15又は<30mL/min/1.73m2)にテジゾリドリン酸エステル200mgを単回点滴静注したとき、腎機能正常対照群と比較して、透析未施行の重度腎機能障害患者、透析前投与及び透析後投与した血液透析施行の重度腎機能障害患者でのテジゾリドのAUCはそれぞれ7%、29%及び34%、Cmaxは1%、20%及び9%減少した(外国人データ)。
中等度又は重度の肝機能障害患者(Child-Pugh分類B又はC)にテジゾリドリン酸エステル200mgを単回経口投与したとき、肝機能正常対照群と比較してテジゾリドのAUCはそれぞれ22%、34%増加し、Cmaxはそれぞれ9%増加、1%減少した(外国人データ)。
In vitro試験において、テジゾリドリン酸エステル及びテジゾリドは、CYP分子種に対し阻害及び誘導作用を示さなかった。In vitro試験の結果から、テジゾリドリン酸エステル及びテジゾリドは、輸送蛋白OAT1、OAT3、OATP1B1、OATP1B3、OCT1、OCT2、MATE1、MATE2-K及びP-糖蛋白(P-gp)を阻害することによって臨床的に問題となる薬物相互作用を起こさないと考えられた。乳癌耐性蛋白(BCRP)に対する阻害作用のIC50値は、それぞれ79.8μM及び51.1μMであった。また、モノアミン酸化酵素(MAO)に対する阻害作用を検討したin vitro試験において、テジゾリドのMAOA及びMAOBに対する阻害作用の平均IC50値は8.7μM及び5.7μMであり、いずれも可逆的であった。
テジゾリドリン酸エステル200mgを1日1回反復経口投与した10日目に、ミダゾラム2mgを単回経口投与したとき、テジゾリドリン酸エステル非併用投与時と比較してミダゾラムのAUC及びCmaxは、それぞれ19%及び17%減少した(外国人データ)。
テジゾリドリン酸エステル200mgを1日1回反復経口投与した12日目に、ロスバスタチン10mgを単回経口投与したとき、非併用投与時と比べてロスバスタチンのAUC及びCmaxがそれぞれ約70%及び55%増加した(外国人データ)。
テジゾリドリン酸エステル200mgを1日1回反復経口投与した3日目より、チラミンを1日1回25mgから開始し、最大575mgまで、テジゾリドリン酸エステル投与2時間後に最長12日間経口投与したが、テジゾリドリン酸エステル投与はチラミンによる血圧上昇作用に影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
テジゾリドリン酸エステル200mgを1日1回反復経口投与した5日目に、プソイドエフェドリン60mgを単回経口投与したとき、併用投与は薬物動態並びに血圧及び心拍数の変化に影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
注4)本剤の承認用量は、テジゾリドリン酸エステルとして、1日1回200mgの点滴静注である。