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シプロキサン錠200mg

シプロフロキサシン塩酸塩

添付文書改訂 2022年09月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  • 〈効能共通〉
  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2ケトプロフェン(注射剤、坐剤)を投与中の患者

  3. 2.3チザニジン塩酸塩を投与中の患者

  4. 2.4ロミタピドメシル酸塩を投与中の患者

  • 〈炭疽以外〉
  1. 2.5妊婦又は妊娠している可能性のある女性

  2. 2.6小児等

効能・効果

  • 〈適応菌種〉

シプロフロキサシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、淋菌、炭疽菌、大腸菌、赤痢菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属、レジオネラ属、ペプトストレプトコッカス属

  • 〈適応症〉

表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、肛門周囲膿瘍、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、精巣上体炎(副睾丸炎)、尿道炎、胆嚢炎、胆管炎、感染性腸炎、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、涙嚢炎、麦粒腫、瞼板腺炎、中耳炎、副鼻腔炎、炭疽

用法・用量

シプロフロキサシンとして、通常成人1回100~200mgを1日2~3回経口投与する。 なお、感染症の種類及び症状に応じ適宜増減する。 炭疽に対しては、シプロフロキサシンとして、成人1回400mgを1日2回経口投与する。

使用上の注意

  1. 8.1大動脈瘤、大動脈解離を引き起こすことがあるので、観察を十分に行うとともに、腹部、胸部又は背部に痛み等の症状があらわれた場合には直ちに医師の診察を受けるよう患者に指導すること。

  2. 8.2本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、じん麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者

  2. 9.1.2てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者

痙攣を起こすことがある。

  1. 9.1.3重症筋無力症患者

症状を悪化させることがある。

  1. 9.1.4QT延長を起こすおそれのある患者

QT延長を起こすことがある。

  1. 9.1.5大動脈瘤又は大動脈解離を合併している患者、大動脈瘤又は大動脈解離の既往、家族歴若しくはリスク因子(マルファン症候群等)を有する患者

必要に応じて画像検査の実施を考慮すること。海外の疫学研究において、フルオロキノロン系抗菌薬投与後に大動脈瘤及び大動脈解離の発生リスクが増加したとの報告がある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1高度の腎障害のある患者

投与量を減量するか、あるいは投与間隔をあけて使用すること。高い血中濃度が持続する。

9.5 妊婦

  • 〈炭疽以外〉
  1. 9.5.1妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。
  • 〈炭疽〉
  1. 9.5.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性を考慮して投与すること。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。母乳中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

  • 〈炭疽以外〉
  1. 9.7.1投与しないこと。動物実験(幼若イヌ、幼若ラット)で関節毒性が認められている。幼若ラット及び幼若ビーグル犬を用いた反復投与試験(経口)において、関節軟骨のびらん等が認められた。成熟動物(サル)を用いた反復静脈内投与試験においてはいずれの試験でも関節毒性は認められなかった。小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
  • 〈炭疽〉
  1. 9.7.2治療上の有益性を考慮して投与すること。

9.8 高齢者

  1. 9.8.1腱障害があらわれやすいとの報告がある。

  2. 9.8.2高い血中濃度が持続するおそれがあるので、用量ならびに投与間隔に留意し、慎重に投与すること。本剤は主として腎臓から排泄され、高齢者では腎機能が低下していることが多い。

相互作用

  • 本剤はチトクロームP4501A2(CYP1A2)を阻害するので、本酵素で代謝される薬剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させるおそれがある。

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ケトプロフェン(注射剤、坐剤)(カピステン等) 痙攣を起こすことがあるので、併用しないこと。 併用により、ニューキノロン系抗菌剤のGABAA受容体への阻害作用が増強され、痙攣が誘発されると考えられている。
てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者、腎障害のある患者では特に注意すること。
チザニジン塩酸塩(テルネリン) チザニジンのCmaxが7倍、AUCが10倍それぞれ上昇し、血圧低下、傾眠、めまい等があらわれたとの報告がある。チザニジンの作用を増強させるおそれがあるので、併用しないこと。 チザニジンの肝での代謝を阻害し、チザニジンの血中濃度を上昇させると考えられている。
ロミタピドメシル酸塩(ジャクスタピッド) ロミタピドの血中濃度が著しく上昇するおそれがある。 ロミタピドの代謝酵素(CYP3A4)が阻害されるおそれがある。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
テオフィリン
アミノフィリン水和物
テオフィリンのCmaxが17%、AUCが22%それぞれ上昇したとの報告がある2)。テオフィリンの作用を増強させる可能性があるので、併用する場合にはテオフィリンを減量するなど適切な処置を行うこと。 テオフィリンの肝での代謝を抑制し、クリアランスを減少させるためと考えられている。肝障害のある患者、高齢者では特に注意すること。
カフェイン
デュロキセチン塩酸塩
これらの薬剤の血中濃度が上昇することがある。 これらの薬剤の肝での代謝を抑制し、クリアランスを減少させるためと考えられている。
フェニル酢酸系非ステロイド性消炎鎮痛剤
• ジクロフェナク、アンフェナク等プロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛剤(ただし、ケトプロフェン(注射剤、坐剤)とは併用禁忌)
• ロキソプロフェン、プラノプロフェン、ザルトプロフェン等
痙攣を起こすおそれがある。症状が認められた場合、両剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 併用により、ニューキノロン系抗菌剤のGABAA受容体への阻害作用が増強され、痙攣が誘発されると考えられている。
てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者、腎障害のある患者では特に注意すること。
シクロスポリン 相互に副作用(腎障害等)が増強されるおそれがあるので、頻回に腎機能検査(クレアチニン、BUN等)を行うなど患者の状態を十分に観察すること。 発現機序の詳細は不明であるが、相互に肝での代謝を抑制し、一方又は両方の血中濃度が上昇するためと考えられている。肝障害のある患者、高齢者では特に注意すること。
ワルファリン ワルファリンの作用を増強し、出血、プロトロンビン時間の延長等があらわれることがある。本剤を併用する場合は、プロトロンビン時間国際標準比(INR)値等を測定するなど、観察を十分に行うこと。 発現機序の詳細は不明であるが、ワルファリンの肝での代謝を抑制し、クリアランスを減少させるためと考えられている。
スルホニル尿素系血糖降下剤
• グリメピリド、グリベンクラミド等
スルホニル尿素系血糖降下剤の作用を増強し、低血糖があらわれることがある。 発現機序の詳細は不明であるが、グリベンクラミドの肝での代謝を阻害するとの報告3)がある。また、膵臓のβ細胞を用いたin vitro試験において、本剤がインスリン分泌作用を促進するとの報告がある。
ロピニロール塩酸塩 ロピニロールのCmaxが60%、AUCが84%それぞれ上昇したとの報告がある。ロピニロールの投与中に本剤を投与開始又は投与中止する場合には、必要に応じてロピニロールの用量を調節すること。 併用により、ロピニロールの肝での代謝が阻害されるためと考えられている。
メトトレキサート メトトレキサートの血中濃度が上昇し、作用が増強されるおそれがある。併用する場合には患者の状態を十分に観察すること。 発現機序の詳細は不明であるが、メトトレキサートの腎尿細管からの排泄が阻害されるためと考えられている。
アルミニウム又はマグネシウム含有の制酸剤等
• ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム、スクラルファート水和物等鉄剤
カルシウム含有製剤
*マグネシウム含有製剤
本剤の吸収が低下し、効果が減弱されるおそれがあるので、本剤服用後2時間以上あけるなど注意すること。 多価金属イオン含有製剤を併用した場合、難溶性のキレートを形成し、本剤の消化管からの吸収を減少させ、血中濃度を低下させるためと考えられている。
カルシウムを多量に含有する飲料
• 牛乳等
本剤を空腹時にカルシウムを多量に含有する飲料と同時に服用すると、本剤の吸収が低下し、効果が減弱されるおそれがある。 多価金属イオンと難溶性のキレートを形成し、本剤の消化管からの吸収を減少させ、血中濃度を低下させるためと考えられている。
クラスⅠA抗不整脈薬
• キニジン、プロカインアミド等クラスⅢ抗不整脈薬
• アミオダロン、ソタロール等
本剤を併用した場合、QT延長がみられるおそれがある。 併用により、QT延長作用が相加的に増加するおそれがある。
セベラマー塩酸塩
炭酸ランタン水和物
本剤の吸収が低下し、効果が減弱されるおそれがあるので、本剤服用後2時間以上あけるなど注意すること。 左記薬剤を併用した場合、難溶性のキレートを形成し、本剤の消化管からの吸収を減少させ、血中濃度を低下させるためと考えられている。
クロザピン
オランザピン
クロザピン及びその代謝物の血中濃度が29%と31%それぞれ上昇したとの報告がある。左記薬剤の投与中に本剤を投与開始又は投与中止する場合には、必要に応じて左記薬剤の用量調節をすること。 併用により、左記薬剤の肝での代謝が阻害されるためと考えられている。
シルデナフィルクエン酸塩 シルデナフィルのCmax及びAUCがそれぞれ約2倍上昇したとの報告がある。 CYP3A4阻害によりクリアランスが減少するとの報告もあるが、発現機序の詳細は不明である。
フェニトイン フェニトインの血中濃度が低下したとの報告がある。本剤を併用する場合は、フェニトインの血中濃度を測定するなど、観察を十分に行うこと。 機序不明
副腎皮質ホルモン剤(経口剤、注射剤)
• プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン等
腱障害のリスクが増大するとの報告がある。これらの薬剤との併用は、治療上の有益性が危険性を上回る場合のみとすること。 機序不明

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P上昇 1〜5%未満
ALT上昇 1〜5%未満
AST上昇 1〜5%未満
BUN上昇 1〜5%未満
CK上昇 1〜5%未満
LDH上昇 1〜5%未満
γ-GTP上昇 1〜5%未満
クレアチニン上昇 1〜5%未満
じん麻疹 1%未満
そう痒 1%未満
プロトロンビン量増加 頻度不明
ヘマトクリット減少 1%未満
ヘモグロビン減少 1%未満
ほてり 頻度不明
めまい 1〜5%未満
モニリア症 頻度不明
一過性難聴 頻度不明
下痢 1〜5%未満
不安 頻度不明
不眠症 頻度不明
低血圧 1%未満
倦怠感 1%未満
光線過敏症 頻度不明
口内炎 1%未満
味覚異常 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咽頭) 頻度不明
嗅覚錯誤 頻度不明
嘔吐 1%未満
嘔気 1〜5%未満
固定薬疹 頻度不明
失神 頻度不明
失調 頻度不明
好酸球増多 1〜5%未満
幻覚 頻度不明
悪夢 頻度不明
意識障害 頻度不明
振戦 頻度不明
末梢性ニューロパシー(しびれ感等) 1%未満
浮腫(末梢 頻度不明
消化不良 頻度不明
溶血性貧血 頻度不明
激越 頻度不明
点状出血 頻度不明
無力症 頻度不明
無嗅覚 頻度不明
片頭痛 1〜5%未満
発汗 1%未満
発熱 1%未満
発疹 1〜5%未満
発赤(結節性紅斑) 1%未満
白血球増加 頻度不明
白血球減少 頻度不明
眠気 1%未満
眼内異物感 頻度不明
筋無力症 頻度不明
筋緊張亢進 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
精神病 頻度不明
結晶尿 頻度不明
耳鳴 1%未満
胃不快感 1〜5%未満
背部痛 頻度不明
胸痛 頻度不明
腹痛 1%未満
腹部膨満感 1〜5%未満
膵炎 頻度不明
血小板増加 頻度不明
血尿 1〜5%未満
血清病様反応 頻度不明
血管 頻度不明
視覚異常 頻度不明
貧血 頻度不明
赤血球減少 1%未満
関節痛 1%未満
関節障害 頻度不明
頭痛 1〜5%未満
頭蓋内圧亢進 頻度不明
頻脈 頻度不明
顔面 頻度不明
食欲不振 1〜5%未満
高血糖 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

細菌のDNAジャイレースに作用し、DNA合成を阻害する。抗菌作用は殺菌的で溶菌作用が認められる。最小発育阻止濃度は最小殺菌濃度とほぼ一致し、細菌の対数増殖期だけでなく休止期にも作用する21)。

18.2 抗菌作用

  1. 18.2.1グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対し広い抗菌スペクトルを有し、ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、淋菌、炭疽菌、大腸菌、赤痢菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属、レジオネラ属、ペプトストレプトコッカス属に対して優れた抗菌作用を示す22),23)。

  2. 18.2.2ほとんどの臨床分離株に対して同系統のオフロキサシン、ノルフロキサシン及びエノキサシン水和物より2~4倍強い抗菌作用を示し、その作用はまたセフェム剤(セフタジジム水和物)、アミノグリコシド剤(ゲンタマイシン)、カルバペネム剤(イミペネム水和物)より優れた抗菌作用を示す24),25),26)。

  3. 18.2.3各種のマウス実験的感染症治療試験においてオフロキサシンと同等若しくはそれ以上、ノルフロキサシン、ピペミド酸より優れた治療効果を示す27)。

  4. 18.2.4雌雄アカゲザルに炭疽菌芽胞を吸入曝露させた後の肺炭疽に対する発症抑制効果が検討された。同菌株に対するMICは0.08μg/mLであった。吸入曝露24時間後より本剤を30日間経口投与した結果、非治療群(10例中9例死亡:吸入曝露後3~8日以内)と比較し、本剤投与群(9例中1例死亡:投与終了6日目)で有意な死亡率の低下が認められた28)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人に1回100mg、200mg又は400mgを経口投与した場合、血中濃度は図のとおりである5),6),7)。

16.3 分布

健康成人又は患者に経口投与した場合、胆汁、前立腺で高く(血中濃度の2~10倍)、扁桃、鼻粘膜、上顎洞粘膜、副鼻腔粘膜、喀痰、皮膚、創部浸出液、乳腺組織、女性性器(腟、卵巣、卵管、子宮)、唾液、涙液へ良好な移行(血中濃度の1/3~1倍)が認められる8),9),10),11),12),13),14),15),16)。

16.4 代謝

健康成人に経口投与した場合、生体内でほとんど代謝を受けず尿中排泄量の約80%が未変化体であり、その他3種の代謝物が認められる。

16.5 排泄

健康成人に1回100mg又は200mgを経口投与した場合、尿中濃度は0~2時間で最高濃度を示し、それぞれ平均141μg/mL、256μg/mLであり、24時間までの尿中排泄率は約40~50%である。また同様に1日3回5日間連続経口投与した場合、糞中濃度は投与終了1日後に最高濃度を示し、それぞれ平均249μg/g、554μg/gであり、投与終了6日後ではいずれも検出限界以下である5),6),7),17)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

間欠的腹膜透析中の腎機能障害患者等3例に200mg単回経口投与した場合、クレアチニンクリアランスの低下とともにt1/2が延長、また投与24時間までの尿中排泄率も各々32.6、13.9、0.04%と低下する18)。