シアン及びシアン化合物による中毒
効能・効果
用法・用量
- 初回投与
通常、成人にはヒドロキソコバラミンとして5g(1バイアル)を日本薬局方生理食塩液200mLに溶解して、15分間以上かけて点滴静注する。 また、小児にはヒドロキソコバラミンとして70mg/kg(ただし、5gを超えない)を、15分間以上かけて点滴静注する。なお、1バイアル(ヒドロキソコバラミンとして5g)を日本薬局方生理食塩液200mLに溶解して必要量を投与する。
- 追加投与
症状により1回追加投与できる。追加投与する際には、15分間~2時間かけて点滴静注する。総投与量は成人には10g、小児には140mg/kg(ただし、10gを超えない)を上限とする。
使用上の注意
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8.1本剤は、酸素療法の代用にならないので、速やかに酸素療法を行うこと。
-
8.2チオ硫酸ナトリウムとの併用による有効性及び安全性は確立していない。
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8.3亜硝酸アミルとの併用による有効性及び安全性は確立していない。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1心臓、循環器系機能障害のある患者
循環血液量を増すことから心臓に負担をかけ、症状が悪化するおそれがある。
- 9.1.2ビタミンB12(シアノコバラミン)に対し過敏症の既往歴のある患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しない。
- 9.1.3本剤の成分(ヒドロキソコバラミン)に対し過敏症の既往歴のある患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しない。
9.2 腎機能障害患者
ヒドロキソコバラミンは主に腎臓から排泄されるため、血中濃度が上昇し、副作用があらわれるおそれがある。また、生理食塩液の投与により、水分、塩化ナトリウムの過剰投与に陥りやすい。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。ラット及びウサギにヒドロキソコバラミン75、150又は300mg/kgを投与した胚/胎児毒性試験において、150mg/kg以上で、ラットに吸収胚数の増加、短肢等、ウサギに脳室拡張及び肢の屈曲等の胚/胎児毒性及び催奇形性が認められ、75mg/kg以上で、ラットに体重増加抑制、自発運動低下、ウサギに摂餌量減少等の母体毒性が認められたとの報告がある。なお投与量150mg/kgは、成人における総投与量の10gに相当する。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト母乳中への移行については知られていない。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。小児に対する本剤の投与経験は極めて限られているが、小児に本剤70mg/kgを投与した事例が報告されている1) 。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| チオ硫酸ナトリウム | チオ硫酸ナトリウムを同時に投与すると、解毒作用が抑制することが考えられるため、同時に投与しないこと | チオ硫酸-コバラミン化合物の形成が起こる |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| そう痒症 | 頻度不明 |
| ほてり | 頻度不明 |
| リンパ球数減少 | 頻度不明 |
| 一過性の血圧上昇(通常数時間で回復する) | 頻度不明 |
| 下痢 | 頻度不明 |
| 可逆性の皮膚及び粘膜の着色 | 頻度不明 |
| 呼吸困難 | 頻度不明 |
| 咽喉乾燥 | 頻度不明 |
| 咽喉絞扼感 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 頻度不明 |
| 嚥下障害 | 頻度不明 |
| 心室性期外収縮 | 頻度不明 |
| 心拍数増加 | 頻度不明 |
| 悪心 | 頻度不明 |
| 投与35日後まで持続する場合がある) | 頻度不明 |
| 末梢性浮腫 | 頻度不明 |
| 注射部位反応 | 頻度不明 |
| 浮動性めまい | 頻度不明 |
| 消化不良 | 頻度不明 |
| 皮疹 | 頻度不明 |
| 眼の発赤 | 頻度不明 |
| 眼刺激 | 頻度不明 |
| 眼部腫脹 | 頻度不明 |
| 着色尿暗赤色(特に投与3日後まで著明で | 頻度不明 |
| 着色血漿 | 頻度不明 |
| 胸水 | 頻度不明 |
| 胸部不快感 | 頻度不明 |
| 腹部不快感 | 頻度不明 |
| 膿疱性皮疹(数週間持続する場合がある) | 頻度不明 |
| 落ち着きのなさ | 頻度不明 |
| 蕁麻疹 | 頻度不明 |
| 血圧下降 | 頻度不明 |
| 血管神経性浮腫を含むアレルギー反応 | 頻度不明 |
| 記憶障害 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
ヒドロキソコバラミン分子の三価のコバルトイオンに結合している水酸イオンとシアンイオンが置換することにより、シアノコバラミンが形成され、尿中に排泄される7) 。
18.2 薬理作用
麻酔したイヌにシアン化カリウムが静脈内投与された後、生理食塩液、ヒドロキソコバラミン75又は150mg/kgが7.5分以上かけて静脈内投与された。投与4時間の生存率は、生理食塩液投与群41%、75mg/kg投与群95%及び150mg/kg投与群100%、並びに14日後で、生理食塩液投与群18%、75mg/kg投与群79%及び150mg/kg投与群100%であった8) 。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回投与
健康成人にヒドロキソコバラミン2.5g(9例)、5g(12例)、7.5g(9例)及び10g(11例)を静脈内単回投与した結果、用量比例性の薬物動態が観察された(図1、2)。ヒドロキソコバラミン5gの投与後の低分子量及び総コバラミン(III)(ヒドロキソコバラミンの測定対象物質)のCmax平均値は、それぞれ113μg eq/mL及び579μg eq/mLであった。同様に、ヒドロキソコバラミン10gの投与後の低分子量及び総コバラミン(III)のCmax平均値は、それぞれ197μg eq/mL及び995μg eq/mLであった。低分子量及び総コバラミン(III)の平均半減期は5gと10gの投与量において約26~31時間であった3) 。
- 16.1.2排泄
投与後72時間に尿中に排泄されたコバラミン(III)の平均総量は、5g投与でヒドロキソコバラミンの約60%、10g投与で約50%であった(図3)。全般的に、総尿中排泄量は投与量の60~70%以上であると算出された。尿中排泄の大半は最初の24時間でみられた3) 。赤色尿は静脈内注入の35日後まで認められた4) 。