- うつ病・うつ状態
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
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2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
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2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性
効能・効果
用法・用量
通常、成人にはズラノロンとして30mgを1日1回14日間夕食後に経口投与する。なお、本剤による治療を再度行う場合には、投与終了から6週間以上の間隔をあけること。
使用上の注意
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8.1うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。
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8.2うつ症状を呈する患者は、不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されている。患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、本剤投与時にこれらの症状の増悪が観察された場合には、投与を中止することを検討した上で適切な処置を行うこと。
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8.3自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること。
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8.4家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること。
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8.5眠気、めまい等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者
自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。
- 9.1.2双極性障害患者
躁転、自殺企図があらわれることがある。
- 9.1.3統合失調症の素因のある患者
精神症状が増悪することがある。
- 9.1.4衝動性が高い併存障害を有する患者
精神症状が増悪することがある。
- 9.1.5脳に器質的障害のある患者
精神症状が増悪することがある。また、中枢神経抑制作用が強くあらわれるおそれがある。
- 9.1.6睡眠時無呼吸症候群又は中等度以上の呼吸障害のある患者
呼吸抑制があらわれるおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
腎機能が正常な患者と比べ、本剤の曝露量が増加し、副作用が強くあらわれるおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者
肝機能が正常な患者と比べ、本剤の曝露量が増加し、副作用が強くあらわれるおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後1週間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ラットにおいて催奇形性及び胚・胎児生存率の低下が認められた。所見が認められなかった用量と臨床用量における曝露量比は3.9倍であった。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に、生理機能が低下していることが多く、傾眠、鎮静、錯乱の危険性が高くなることがある。
相互作用
- 本剤は主にCYP3Aで代謝される。
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| • CYP3Aを強く阻害する薬剤• HIVプロテアーゼ阻害剤 • アゾール系抗真菌薬(イトラコナゾール等) • クラリスロマイシン 等 |
本剤の作用を増強するおそれがある。 | CYP3Aの阻害作用により、本剤の血漿中濃度が増大する可能性がある。 |
| • CYP3Aを誘導する薬剤• リファンピシン • カルバマゼピン • フェニトイン 等 |
本剤の作用が減弱するおそれがある。 | CYP3Aの誘導作用により、本剤の代謝が促進され血漿中濃度が低下する可能性がある。 |
| • 中枢神経抑制作用を有する薬剤• ベンゾジアゼピン系薬剤 • フェノチアジン誘導体 • バルビツール酸誘導体 等 |
中枢神経抑制作用が増強されるおそれがある。 | 中枢神経抑制剤との併用で相加的な増強作用が考えられる。 |
| • ミルタザピン • 三環系・四環系抗うつ剤• イミプラミン塩酸塩、アミトリプチリン塩酸塩 等 |
中枢神経抑制作用が増強されるおそれがある。 | 中枢神経抑制剤との併用で相加的な増強作用が考えられる。 |
| • アルコール(飲酒) | 中枢神経抑制作用が増強されるおそれがある。本剤服用中は飲酒を避けさせることが望ましい。 | エタノールと本剤は相加的な中枢神経抑制作用を示すことが考えられる。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| ALT上昇 | 1〜5%未満 |
| AST上昇 | 1%未満 |
| γ-GTP上昇 | 1%未満 |
| めまい(12.6%) | 5%以上 |
| 下痢 | 1〜5%未満 |
| 倦怠感 | 1〜5%未満 |
| 健忘 | 1%未満 |
| 傾眠(20.0%) | 5%以上 |
| 口渇・口内乾燥 | 1〜5%未満 |
| 嗜眠 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 1%未満 |
| 悪心 | 1〜5%未満 |
| 振戦 | 1%未満 |
| 歩行障害 | 1%未満 |
| 注意力障害 | 1%未満 |
| 浮遊感 | 1〜5%未満 |
| 発疹 | 1%未満 |
| 腹痛 | 1%未満 |
| 腹部不快感 | 1%未満 |
| 酩酊感 | 1%未満 |
| 鎮静 | 1%未満 |
| 頭痛 | 1〜5%未満 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
ズラノロンは後シナプス部位及びシナプス外のGABAA受容体に作用するGABAA受容体ポジティブアロステリックモジュレーターであり、主要な抑制性神経伝達物質であるGABAによる一過的及び持続的抑制性電流の誘導を増強した12)、13)。
18.2 薬理作用
マウスの社会的敗北ストレス誘発性うつ病モデルを用いた社会性行動試験において、投与1日目から他のマウスとの接触時間を増加させた14)。
薬物動態
16.1 血中濃度
健康成人9例にズラノロン10mg、20mg、30mgを食後単回経口投与注1)したときの血漿中濃度推移を図16-1に、薬物動態パラメータ1)を表16-1に示す。
| 投与量 (mg) |
例数 | Cmax※1 (ng/mL) |
Tmax※2 (hr) |
AUC0-inf※1 (ng・hr/mL) |
T1/2※1 (hr) |
|---|---|---|---|---|---|
| 10 | 9 | 27.6 (32.5) |
5.00 (4.00, 6.00) |
287.1 (39.9) |
13.5 (36.9) |
| 20 | 67.8 (22.4) |
5.00 (4.00, 6.00) |
763.0 (23.3) |
14.1 (29.5) |
|
| 30 | 80.3 (18.9) |
5.00 (4.00, 10.00) |
952.2 (16.2) |
13.9 (26.6) |
※1:幾何平均値(%変動係数)
※2:中央値(最小値、最大値)
16.2 吸収
- 16.2.1食事の影響
健康成人12例にズラノロン30mgを高脂肪・高カロリー食摂取後に単回経口投与したとき、空腹時単回経口投与に比べてCmax、AUCはそれぞれ4.09倍、2.33倍に増加した1)。
16.3 分布
- 16.3.1蛋白結合率
健康成人を対象とした単回投与試験におけるex vivoの血漿蛋白結合率を測定した結果、99.5%以上であった2)、3)、4)(外国人データ)。
- 16.3.2乳汁移行
健康授乳婦14例にズラノロン30mgを1日1回5日間食後反復経口投与し、投与5日目の乳汁中濃度を測定した結果、乳汁中へのズラノロンの移行が認められたものの、母乳を介して乳児が摂取する1日量は母体投与量の0.357%であった2)(外国人データ)。
16.4 代謝
ズラノロンのヒトでの代謝は肝ミクロソームにおいてCYP3Aが主要な酵素であり、CYP2B6、2C8及び2C9も一部関与することが示された5)(in vitro試験)。健康成人男性8例に[14C]-ズラノロン30mgを空腹時単回投与したとき、血漿中での総放射能のAUCに対するズラノロン未変化体のAUCは4.87%であり、多数の代謝物が確認された6)(外国人データ)。
16.5 排泄
健康成人男性8例に[14C]-ズラノロン30mgを空腹時単回経口投与したとき、投与144時間後までの尿中には投与放射能の41.2%が排泄され、未変化体は検出されなかった。投与216時間後までの糞中には投与放射能の37.0%が排泄され、未変化体としては投与放射能の1.6%が排泄された6)(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎機能障害患者
軽度、中等度及び重度腎機能障害患者(それぞれ6例、5例及び7例)にズラノロン30mgを食後単回経口投与したとき、ズラノロンのCmax及びAUCの幾何最小二乗平均比(腎機能障害患者/健康成人)は、Cmaxが軽度、中等度及び重度でそれぞれ1.24、0.92及び1.03、AUCがそれぞれ1.30、1.50及び1.40であり、健康成人と比較して 腎機能障害患者でAUCが増加した3)(外国人データ)。
- 16.6.2肝機能障害患者
軽度、中等度及び重度肝機能障害患者(それぞれChild-Pugh分類A、B及びC、各6例)にズラノロン30mg(重度肝機能障害患者では20mg注1))を食後単回経口投与したとき、ズラノロンのCmax及びAUCの投与量で補正したパラメータの幾何最小二乗平均比(肝機能障害患者/健康成人)は、Cmaxが軽度、中等度及び重度でそれぞれ0.99、0.97及び0.76、AUCがそれぞれ0.86、1.08及び1.56であり、健康成人と比較して軽度及び中等度肝機能障害患者では違いは認められなかったものの、重度肝機能障害患者ではAUCが増加した4)(外国人データ)。
- 16.6.3高齢者
健康高齢者と健康非高齢者(各9例)との間でズラノロン30mg食後単回投与時の薬物動態を比較したとき、高齢者のT1/2は17.9時間であり、非高齢者(13.9時間)と比べて延長したものの、Cmax及びAUCの幾何最小二乗平均比(高齢者/非高齢者)は、0.95及び0.88であり、違いは認められなかった1)。
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1イトラコナゾール
健康成人(16例)に、イトラコナゾール(200mg/日反復経口投与)投与中にズラノロン(20mg単回経口投与注1))を併用投与し、ズラノロンの薬物動態を評価した。イトラコナゾールの併用により、ズラノロンのCmax、AUCはそれぞれ1.25倍、1.62倍に増加した7)(外国人データ)。
- 16.7.2リファンピシン
健康成人(16例)に、リファンピシン(600mg/日反復経口投与)投与後にズラノロン(30mg単回経口投与)を併用投与し、ズラノロンの薬物動態を評価した。リファンピシンの併用により、ズラノロンのCmax、AUCはそれぞれ0.31倍、0.15倍に低下した7)(外国人データ)。
- 16.7.3シンバスタチン
健康成人男性(12例)に、ズラノロン(30mg/日7日間反復投与)投与終了翌日にシンバスタチン(20mg単回経口投与)を投与し、シンバスタチン及び活性代謝物であるオープンアシド体の薬物動態を評価した。ズラノロンの前投与により、シンバスタチンのCmax、AUCはそれぞれ1.10倍、1.13倍に増加し、オープンアシド体のCmax、AUCはそれぞれ1.25倍、1.11倍に増加した8)(外国人データ)。
- 16.7.4ブプロピオン
健康成人男性(12例)に、ズラノロン(30mg/日7日間反復投与)投与終了2日後にブプロピオン(100mg単回経口投与)を投与し、ブプロピオン及びブプロピオンの代謝物である水酸化体の薬物動態を評価した。ズラノロンの前投与により、ブプロピオンのCmaxは0.92倍に低下し、AUCは1.04倍に増加し、ブプロピオンの水酸化体のCmax、AUCはそれぞれ0.86倍、0.87倍に低下した8)(外国人データ)。
- 16.7.5アルプラゾラム
健康成人(25例)に、ズラノロン(30mg/日6日間反復投与)最終投与時にアルプラゾラム(1mg単回経口投与)を投与したとき、アルプラゾラムの併用により、ズラノロン単独投与と比較して認知機能が低下した9)(外国人データ)。
- 16.7.6エタノール
健康成人(24例)に、ズラノロン(30mg/日6日間反復投与)最終投与時にエタノール(男性:0.7g/kg、女性:0.6g/kg単回経口投与)を投与したとき、エタノールの併用により、ズラノロン単独投与と比較して認知機能が低下した9)(外国人データ)。
注1)本剤の承認された用法・用量は「通常、成人にはズラノロンとして30mgを1日1回14日間夕食後に経口投与する」である。