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ザイボックス注射液600mg

リネゾリド

添付文書改訂 2025年09月01日

【警告】

本剤の耐性菌の発現を防ぐため、「5.効能又は効果に関連する注意」、「8.重要な基本的注意」の項を熟読の上、適正使用に努めること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 〈適応菌種〉 本剤に感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)

〈適応症〉 敗血症、深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肺炎

  • 〈適応菌種〉 本剤に感性のバンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェシウム

〈適応症〉 各種感染症

用法・用量

通常、成人及び12歳以上の小児にはリネゾリドとして1日1200mgを2回に分け、1回600mgを12時間ごとに、それぞれ30分~2時間かけて点滴静注する。 通常、12歳未満の小児にはリネゾリドとして1回10mg/kgを8時間ごとに、それぞれ30分~2時間かけて点滴静注する。なお、1回投与量として600mgを超えないこと。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、次のことに注意すること。
  • 感染症の治療に十分な知識と経験を持つ医師又はその指導のもとで投与を行うこと。

  • 投与期間は、感染部位、重症度、患者の症状等を考慮し、適切な時期に、本剤の継続投与が必要か判定し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。

  1. 8.2骨髄抑制があらわれることがあるので、血液検査を定期的(週1回を目処)に実施すること。

  2. 8.3乳酸アシドーシス等の代謝性アシドーシスがあらわれることがあるので、嘔気、嘔吐の症状が繰り返しあらわれた場合には、直ちに医師の診断を受けるよう患者を十分指導すること。

  3. 8.4低ナトリウム血症があらわれることがあるので、定期的に血清ナトリウム値の測定を行うこと。

  4. 8.5まれに発熱、腹痛、白血球増多、粘液・血液便を伴う激症下痢を主症状とする重篤な大腸炎で、内視鏡検査により偽膜斑等の形成をみる偽膜性大腸炎があらわれることがある。発症後直ちに投与を中止しなければ電解質失調、低蛋白血症等に陥り、特に高齢者及び衰弱患者では予後不良となることがある。したがって本剤を投与する場合には、投与患者に対し、投与中又は投与後2~3週間までに腹痛、頻回な下痢があらわれた場合、直ちに医師に通知するよう注意すること。

  5. 8.6本剤を28日を超えて投与した場合、視神経障害があらわれることがあり、更に視力喪失に進行する可能性があるので観察を十分に行うこと。また、視力低下、色覚異常、霧視、視野欠損のような自覚症状があらわれた場合、直ちに医師に連絡するように患者を指導すること。

  6. 8.7本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。

  • 事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。

  • 投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。

  • 投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。

  1. 8.8抗菌薬の使用は、非感受性菌の過剰増殖を促進する可能性があるので、治療中に重複感染が発現した場合には、適切な処置を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1投与前に貧血、白血球減少症、汎血球減少症、血小板減少症等の骨髄抑制が確認されている患者、骨髄抑制作用を有する薬剤との併用が必要な患者、感染症のため長期にわたり他の抗菌薬を本剤の投与前に投薬されていた、あるいは、本剤と併用して投薬される患者、14日を超えて本剤を投与される可能性のある患者

血液検査値に注意すること。貧血、白血球減少症、汎血球減少症、血小板減少症等の骨髄抑制の傾向や悪化が認められた場合には、本剤の投与中止等の適切な処置を行うこと。

  1. 9.1.2体重40kg未満の患者

貧血の発現頻度が高くなる傾向が認められている。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重度の腎機能障害のある患者

血小板減少症の発現頻度が高くなるおそれがある。

  1. 9.2.2血液透析患者

  2. (1)血液透析後にリネゾリドを投与することが望ましい。

  3. (2)血小板減少症の発現頻度が高くなるおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1中等度又は重度の肝機能障害のある患者

血小板減少症の発現頻度が高くなるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが認められている。

9.7 小児等

投与間隔を12時間ごとにすることを考慮すること。生後7日目までの早産(在胎34週未満)新生児においてクリアランスが低い値を示し、7日目以降にクリアランスは迅速に増加するとの報告がある。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤
• セレギリン塩酸塩
両薬剤が相加的に作用し血圧上昇等があらわれるおそれがある。 本剤は非選択的、可逆的MAO阻害作用を有する。
アドレナリン作動薬
• ドパミン塩酸塩
アドレナリン
フェニルプロパノールアミン塩酸塩含有医薬品等
血圧上昇、動悸があらわれることがあるので、患者の状態を観察しながら、これらの薬剤の初回量を減量するなど用量に注意すること。 本剤は非選択的、可逆的MAO阻害作用を有する。
セロトニン作動薬
• 炭酸リチウム
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)
トリプタン系薬剤
L-トリプトファン含有製剤
• トラマドール塩酸塩
フェンタニル
メサドン塩酸塩
ペチジン塩酸塩等
セロトニン症候群の徴候及び症状(錯乱、せん妄、情緒不安、振戦、潮紅、発汗、超高熱)があらわれるおそれがあるので、十分に注意すること。これらの徴候や症状が認められた場合には、本剤と併用薬の両方あるいはいずれか一方の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、セロトニン作動薬の急激な減量又は投与中止により離脱症状があらわれることがあるので注意すること。 本剤は非選択的、可逆的MAO阻害作用を有する。
リファンピシン リファンピシンとの併用により本剤のCmax及びAUCがそれぞれ21%及び32%低下した1)。 機序不明
チラミンを多く含有する飲食物
• チーズ
ビール
赤ワイン等a)
血圧上昇、動悸があらわれることがあるので、本剤投与中には、チラミン含有量の高い飲食物の過量摂取(1食あたりチラミン100mg以上)を避けさせること。 本剤は非選択的、可逆的MAO阻害作用を有する。

a:チラミン含有量:チーズ;0~5.3mg/10g、ビール;1.1mg/100mL、赤ワイン;0~2.5mg/100mL

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP増加 1%未満
ALT増加 1%未満
AST増加 1%未満
CK増加 1%未満
LDH増加 頻度不明
QT延長 頻度不明
β-HCG増加 1%未満
γ-GTP増加 1%未満
アミラーゼ増加 1%未満
アレルギー反応 頻度不明
カンジダ症 1%未満
そう痒 頻度不明
ビリルビン血症 1%未満
メレナ 頻度不明
リパーゼ増加 1%未満
一過性脳虚血発作 頻度不明
上室性期外収縮 1%未満
下痢 頻度不明
下肢脱力 1%未満
不安 頻度不明
不正子宮出血 頻度不明
不眠症 頻度不明
低カリウム血症 1%未満
低カルシウム血症 頻度不明
低クロール血症 1%未満
低血圧 頻度不明
体重増加 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 1%未満
傾眠 1%未満
光線過敏性反応 頻度不明
剥脱性皮膚炎 頻度不明
動悸 1%未満
口内炎 頻度不明
口唇炎 頻度不明
口渇 1%未満
口腔内潰瘍 頻度不明
口腔内白斑症 頻度不明
味覚倒錯 頻度不明
味覚消失 頻度不明
呼吸困難 1%未満
咳嗽 頻度不明
咽頭炎 頻度不明
喘鳴 頻度不明
嘔吐 1%未満
回転性めまい 頻度不明
多尿 1%未満
多幸症 頻度不明
失見当識 1%未満
好中球減少症 頻度不明
好酸球増加症 1%未満
幻覚 頻度不明
性器分泌物 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心 1%未満
意識消失 1%未満
感覚鈍麻 頻度不明
振戦 1%未満
排尿困難 1%未満
斑状丘疹状皮疹 頻度不明
末梢神経障害 頻度不明
歯の変色 頻度不明
気管支炎 頻度不明
気管炎 頻度不明
気胸 1%未満
水疱 1%未満
注射部/血管カテーテル部そう痒感 頻度不明
注射部/血管カテーテル部反応 頻度不明
注射部/血管カテーテル部浮腫 頻度不明
注射部/血管カテーテル部疼痛 頻度不明
注射部/血管カテーテル部静脈炎/血栓性静脈炎 頻度不明
浮動性めまい 1%未満
浮腫 1%未満
消化不良 頻度不明
湿疹 頻度不明
無力症 頻度不明
疲労 頻度不明
痙攣 1%未満
痛風 頻度不明
発汗 頻度不明
発熱 1%未満
発疹 頻度不明
白血球増加症 1%未満
皮膚びらん 頻度不明
皮膚刺激 頻度不明
皮膚単純疱疹 頻度不明
皮膚感染 頻度不明
皮膚炎 頻度不明
真菌性皮膚炎 頻度不明
真菌感染 頻度不明
眼の障害 頻度不明
瞳孔反射障害 頻度不明
筋痛 1%未満
粘膜乾燥 頻度不明
紅斑 頻度不明
紫斑 頻度不明
網状赤血球数増加 1%未満
網状赤血球減少症 1%未満
耳の障害 頻度不明
耳鳴 頻度不明
肝機能検査値異常 頻度不明
肝炎 頻度不明
肺水腫 1%未満
肺炎 1%未満
胃腸出血 1%未満
胃食道逆流 1%未満
背部痛 1%未満
胸水 頻度不明
脱水 1%未満
腟感染 頻度不明
腟痛 頻度不明
腹痛 1%未満
腹部膨満 頻度不明
膵炎 頻度不明
膿瘍 頻度不明
舌変色 頻度不明
舌炎 頻度不明
舌障害 頻度不明
落ち着きのなさ 1%未満
蕁麻疹 頻度不明
血小板血症 1%未満
血栓性静脈炎 1%未満
血管拡張 頻度不明
血管痛 1%未満
血管神経性浮腫 頻度不明
視覚異常 頻度不明
過敏性血管炎 頻度不明
錯感覚 頻度不明
陰茎感染 頻度不明
霧視 頻度不明
静脈炎 頻度不明
頭痛 1%未満
頻尿 1%未満
頻脈 頻度不明
顔面浮腫 頻度不明
食欲不振 1%未満
食欲亢進 頻度不明
食道炎・胃腸炎 1%未満
高カリウム血症 1%未満
高尿酸血症 1%未満
高血圧 1%未満
高血糖 1%未満
麻痺性イレウス 1%未満
鼻出血 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

リネゾリドは細菌リボソームと結合し、翻訳過程の70S開始複合体の形成を妨げ、細菌の蛋白合成を阻害する。一方、ポリソームの伸長あるいはペプチド結合の合成は阻害せず、作用機序は従来の抗菌薬と異なる22)。

18.2 抗菌作用

  1. 18.2.1抗菌力

リネゾリドはバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)及びメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対して抗菌力を有する。日本、米国及び欧州で実施された試験における検討で、VRE(Enterococcus faecium, Enterococcus faecalis)及びMRSAに対するリネゾリドのMIC90値は、いずれも≦4μg/mL(Clinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)の標準法に準ずる)であった。なお、Enterococcus faecalisは臨床経験が少ないため、適応外である21),23)。

  1. 18.2.2感受性試験方法及び判定基準**

VRE及びMRSAのうち本剤感受性菌とする際の試験法・判定基準は、CLSIの標準法に準ずる24),25)。

病原菌 感受性判定基準
希釈法による最小発育
阻止濃度(μg/mL)
ディスク拡散法による
阻止円径(mm)
S I R S I R
Enterococcus spp. ≦2 4 ≧8 ≧23 21-22 ≦20
Staphylococcus spp. ≦4 - ≧8 ≧26 23-25 ≦22

S:感受性、I:中等度耐性、R:耐性

18.3 耐性

  1. 18.3.1VRE及びMRSAに対して、リネゾリドと既存の抗菌薬との間に交差耐性の報告はない。

  2. 18.3.2 In vitro試験において、Staphylococcus aureus及びStaphylococcus epidermidisにおける自然発生変異の頻度は10-8~10-11であった。また、薬剤の増量的継代培養による試験管内耐性獲得試験におけるEnterococcus faecium及びEnterococcus faecalisを用いた20回の継代培養で、各々の菌種でMICは4μg/mLから8μg/mL及び2μg/mLから64μg/mLに感受性の低下が認められた。また、Staphylococcus aureusでは19回の継代培養で、4μg/mLから>64μg/mLに感受性の低下が認められた26)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1健康成人

リネゾリドを単回又は反復経口投与又は点滴静注した後の平均薬物動態パラメータを、表1に要約する。 リネゾリド600mgを12時間ごとに反復静脈内持続投与(30分)した後のリネゾリドの平均最低血漿中濃度(Cmin)は3.68μg/mL、平均最高血漿中濃度(Cmax)は15.1μg/mLと計算され、反復静脈内持続投与後の血漿中濃度は適応菌種におけるMIC90(≦4μg/mL)を概ね上回った。リネゾリド625mgを1日2回12時間ごとに反復静脈内持続投与した後の定常状態における血漿中濃度推移を図1に示す2),3),4)(外国人及び日本人データ)。

投与量 Cmax
(μg/mL)
Cmin a)
(μg/mL)
Tmax
(h)
AUC b)
(μg・h/mL)
t1/2
(h)
CL
(mL/min)
600mg静脈内投与c)
単回投与
1日2回
反復投与
12.90
(1.60)
15.10
(2.52)
-
3.68
(2.36)
0.50
(0.10)
0.51
(0.03)
80.20
(33.30)
89.70
(31.00)
4.40
(2.40)
4.80
(1.70)
138
(39)
123
(40)
600mg経口投与(錠剤)
単回投与
1日2回
反復投与
12.70
(3.96)
21.20
(5.78)
-
6.15
(2.94)
1.28
(0.66)
1.03
(0.62)
91.40
(39.30)
138.00
(42.10)
4.26
(1.65)
5.40
(2.06)
127
(48)
80
(29)

a:Cmin=反復投与時の最低血漿中濃度(投与後12時間値) b:単回投与時のAUC=AUC0-∞(0時間から無限大までのAUC)、反復投与時のAUC=AUC0-τ(0時間から12時間(投与間隔)までのAUC) c:625mg投与時の結果より換算し表示した。

図1.リネゾリド625mgを1日2回12時間ごとに反復静脈内持続投与(30分)した後の定常状態における血漿中濃度推移(平均値±標準偏差、外国人、n=6)

なお、日本人健康成人にリネゾリド600mg1日2回反復静脈内投与した後の定常状態における薬物動態パラメータ(平均値±標準偏差)については、Cmaxは19.9±0.7μg/mL、AUCは110.5±9.8μg・h/mL、t1/2は5.3±0.6hであった。体重(kg)あたりのCLは1.55±0.18mL/min/kgであり、欧米人のCLと同様な値を示した。

  1. 16.1.2患者

日本人及び外国人の患者から得られたリネゾリド血漿中濃度を用いて母集団薬物動態解析法により検討したところ、リネゾリドの薬物動態は、体重及び年齢の影響を受け、体重70kg年齢40歳、及び体重40kg年齢80歳のそれぞれの患者にリネゾリド1時間の静脈内持続注入後におけるAUCはそれぞれ241.3及び473.5μg・h/mL、Cmaxはそれぞれ16.5及び30.1μg/mL、t1/2は6.9及び8.2hと推定されるが、この薬物動態の変化により、忍容性の範囲を超えることはないと考えられる5)。

  1. 16.1.3腎機能障害患者

腎機能障害により、リネゾリドの薬物動態は変化しなかった。しかし、2種の主要代謝物、アミノエトキシ酢酸代謝物(A)及びヒドロキシエチルグリシン代謝物(B)については、腎機能障害の程度が高くなるに従い、AUCの増加がみられた(表2)。腎機能障害により、リネゾリドの血漿中濃度推移は変化せず、腎機能障害患者において、投与量調節の必要はないものと考えられるが、主要代謝物の蓄積性については、臨床的に十分に検討されていない。 血液透析によりリネゾリドと2種の主要代謝物は除去される。血液透析患者において、リネゾリドを投与した3時間後から血液透析を開始したところ、投与量の約30%が3時間の血液透析により消失した。血液灌流によるリネゾリドの除去については、データが得られていない。また、腹膜透析時におけるリネゾリドの薬物動態については検討していない6)(外国人データ)。

薬物動態パラメータ 健康成人
CLCR>80
(mL/min)
中等度腎機能障害患者
30<CLCR<80
(mL/min)
重度腎機能障害患者
10<CLCR<30
(mL/min)
血液透析患者
非透析時 透析時
リネゾリド
AUC0-∞
(μg・h/mL)
110
(22)
128
(53)
127
(66)
141
(45)
83
(23)
t1/2
(h)
6.4
(2.2)
6.1
(1.7)
7.1
(3.7)
8.4
(2.7)
7.0
(1.8)
代謝物A
AUC0-48
(μg・h/mL)
7.6
(1.9)
11.7
(4.3)
56.5
(30.6)
185
(124)
68.8
(23.9)
t1/2
(h)
6.3
(2.1)
6.6
(2.3)
9.0
(4.6)
- -
代謝物B
AUC0-48
(μg・h/mL)
30.5
(6.2)
51.1
(38.5)
203
(92)
467
(102)
239
(44)
t1/2
(h)
6.6
(2.7)
9.9
(7.4)
11.0
(3.9)
- -

-:計算せず

  1. 16.1.4肝機能障害患者

軽度ないし中等度の肝機能障害患者におけるリネゾリドの薬物動態は、健康成人と比較し、変化しなかった。重度肝機能障害患者におけるリネゾリドの薬物動態については検討していない7)(外国人データ)。

  1. 16.1.5高齢者

高齢者(65歳以上の患者)におけるリネゾリドの薬物動態は、それ以外の成人(患者)と同様であった8)(外国人データ)。

  1. 16.1.6性差(健康成人)

女性におけるリネゾリドの血漿中濃度は男性よりも高値を示し、分布容積は男性よりも低値を示した。リネゾリドを600mg単回経口投与した後の平均クリアランスは、女性のほうが男性よりわずかに低値を示したが、平均の見かけの消失速度定数又は平均半減期に有意な性差は認められなかった。したがって、女性において血漿中濃度が増加しても、忍容性が認められる範囲を超えることはないと考えられる8)(外国人データ)。

  1. 16.1.7小児患者

  2. (1)リネゾリド10mg/kgを小児に単回点滴静注した後の平均薬物動態パラメータを、表3に要約する。 リネゾリド10mg/kgを静脈内投与した小児患者のCmaxについては、リネゾリド600mgを投与した成人との類似性が認められたが、小児(生後1週~11歳)の体重(kg)あたりの平均クリアランスは大きく、見かけの消失半減期が短くなることが明らかとなっている(外国人データ)。

年齢区分 Cmax
(μg/mL)
AUC0-∞
(μg・h/mL)
t1/2
(h)
CL
(mL/min/kg)
生後7日未満の早産(在胎齢34週未満)新生児(n=9) 12.7
(30%)
108
(47%)
5.6
(46%)
2.0
(52%)
生後7日未満の(在胎齢34週以上)
新生児(n=10)
11.5
(24%)
55
(47%)
3.0
(55%)
3.8
(55%)
7-28日(n=10) 12.9
(28%)
34
(21%)
1.5
(17%)
5.1
(22%)
29日-2ヵ月齢(n=12) 11.0
(27%)
33
(26%)
1.8
(28%)
5.4
(32%)
3ヵ月齢-11歳(n=59) 15.1
(30%)
58
(54%)
2.9
(53%)
3.8
(53%)
12-17歳(n=36)a) 16.7
(24%)
95
(44%)
4.1
(46%)
2.1
(53%)

a:10mg/kg、最大600mg

  1. (2)脳室腹腔短絡術を施行した小児患者にリネゾリド単回及び反復投与後の薬物動態学的知見から、脳脊髄液中リネゾリド濃度はバラツキが大きく、有効濃度に確実に到達しない又は維持しないことが示されている。脳室腹腔短絡術を施行した小児患者(8例,0.2~11.6歳)にリネゾリド10mg/kgを8時間ごとに反復点滴静注したとき、定常状態時における脳室液中リネゾリド濃度のCmax及びCmin(平均値±標準偏差及び範囲)はそれぞれ5.84±2.77μg/mL(1.82~9.34μg/mL)及び1.94±1.63μg/mL(0.335~4.62μg/mL)であった(外国人データ)。

16.2 吸収

  • (健康成人)

リネゾリドは、経口投与(錠剤)後に速やかに吸収された。最高血漿中濃度には投与後1~2時間で到達し、生物学的利用率は約100%であった。 リネゾリドを高脂肪食摂取直後に投与したとき、Tmaxは投与後1.5時間から2.2時間に遅れ、Cmaxは約17%減少したが、AUCは空腹時投与と同様の値を示した9)(外国人データ)。

16.3 分布

  • (健康成人)

リネゾリドは、ヒトにおいて生体中広範囲に速やかに分布した。リネゾリドの血漿蛋白結合率は約31%で、0.1~100μg/mLの広範囲において一定値を示した。定常状態時の分布容積は、健康成人において平均40~50Lであった。 健康成人において、リネゾリドの唾液中濃度と血漿中濃度の比率は1.2:1、汗中濃度と血漿中濃度は0.55:1であった3),10),11)(外国人データ)。

16.4 代謝

リネゾリドは、生体中にて主にモルホリン環の酸化によりモルホリン環が開環し2種の抗菌活性を示さない代謝物、アミノエトキシ酢酸代謝物(A)及びヒドロキシエチルグリシン代謝物(B)が生成する。代謝物Bは、in vitro試験の結果より、非酵素的酸化反応により生成するものと考えられる12)。

16.5 排泄

  • (健康成人)

腎外クリアランスは、リネゾリドの全身クリアランスの約65%を占めた。定常状態では、投与量の約30%がリネゾリドとして、40%が代謝物Bとして、10%が代謝物Aとして尿中に排泄された。リネゾリドの腎クリアランス(平均40mL/min)は糸球体ろ過速度よりも低く、尿細管における再吸収の可能性が示唆された。糞中にはリネゾリドとしてはほとんど排泄されず、投与量の約6%が代謝物Bとして、3%が代謝物Aとして排泄された。 リネゾリドの用量増加に伴って、クリアランスにわずかな減少が認められた。また、投与量が増加するに伴い、リネゾリドの腎クリアランス及び腎外クリアランスはわずかに低下したが、見かけの消失半減期に変化はみられなかった13)(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1チトクロームP450により代謝される薬物

リネゾリドはヒトチトクロームP450(CYP)により代謝されないと考えられ、ヒトCYP1A2、2C9、2C19、2D6、2E1、3A4の活性を阻害しなかった。リネゾリドの併用投与は、主にCYP2C9によって代謝される(S)-ワルファリンの薬物動態をほとんど変化させなかった。 リネゾリドは、動物実験(ラット)においてCYPを誘導しなかった14),15),16)。

  1. 16.7.2抗生物質(健康成人)

  2. (1)アズトレオナム:リネゾリド又はアズトレオナムの薬物動態は、併用投与により変化しなかった17)(外国人データ)。

  3. (2)ゲンタマイシン:リネゾリド又はゲンタマイシンの薬物動態は、併用投与により変化しなかった18)(外国人データ)。