Clinical snapshot

サイモグロブリン点滴静注用25mg

抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン製剤

添付文書改訂 2026年03月01日

【警告】

本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、再生不良性貧血、造血幹細胞移植又は臓器移植に関する十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の試験投与でショック状態等の過敏症が認められた患者

  2. 2.2重症感染症(肺炎、敗血症等)を合併している患者[感染症が増悪し致命的となることがある。]

  3. 2.3妊婦

  4. 2.4弱毒生ワクチンを投与中の患者

効能・効果

  • 中等症以上の再生不良性貧血

  • 造血幹細胞移植の前治療

  • 造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病

  • 下記の臓器移植後の急性拒絶反応の治療

  • 腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植

用法・用量

  • 〈中等症以上の再生不良性貧血〉

通常、1日1回体重1kgあたり抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして2.5〜3.75mgを、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液500mLで希釈して、6時間以上かけ緩徐に点滴静注する。投与期間は5日間とする。

  • 〈造血幹細胞移植の前治療〉

通常、1日1回体重1kgあたり抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして2.5mgを、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液500mLで希釈して、6時間以上かけ緩徐に点滴静注する。投与期間は造血幹細胞移植5日前より4日間とする。

  • 〈造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病〉

通常、1日1回体重1kgあたり抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして2.5〜3.75mgを、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液500mLで希釈して、6時間以上かけ緩徐に点滴静注する。投与期間は5日間とする。

  • 〈臓器移植後の急性拒絶反応の治療〉

腎移植の場合 通常、1日1回体重1kgあたり抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして1.5mgを、1バイアル(抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして25mg)あたり、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液50mLで希釈して、6時間以上かけ緩徐に点滴静注する。投与期間は7〜14日間とする。

肝移植、肺移植、膵移植及び小腸移植の場合 通常、1日1回体重1kgあたり抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして1.5mgを、1バイアル(抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして25mg)あたり、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液50mLで希釈して、6時間以上かけ緩徐に点滴静注する。投与期間は最大14日間とする。

心移植の場合 通常、1日1回体重1kgあたり抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして1.5〜2.5mgを、1バイアル(抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして25mg)あたり、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液50mLで希釈して、6時間以上かけ緩徐に点滴静注する。投与期間は最大14日間とする。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1ショック等重篤な副作用を起こすことがあるので、投与前にショック症状発現時の救急処置対策を考慮しておくこと。投与中は注意して使用し、医師が経過を十分に観察すること。

  2. 8.2本剤の投与前に感染症が認められた場合、感染症の治療を優先し、患者の状態が安定した後、本剤を投与すること。また、投与中並びに投与後に重篤な感染症(ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症等)が発症する場合がある。

  3. 8.3間質性肺炎を起こすことがあるので、咳嗽、呼吸困難、低酸素症等の呼吸器症状に注意すること。

  4. 8.4本剤投与の初期に発熱、悪寒、呼吸困難、悪心、嘔吐、下痢、頻脈、低血圧、高血圧、倦怠感、発疹、頭痛等があらわれることがあるので、その旨を患者にあらかじめ説明しておくこと。また、重度のinfusion reaction(サイトカイン放出症候群を含む)があらわれ、重篤な心障害や肺障害(心筋梗塞、急性呼吸窮迫症候群、肺水腫)に至ることがあるので、投与中は患者を厳密に観察すること。これらの症状を軽減させるため、あらかじめ副腎皮質ホルモン剤等を投与することが望ましい。また、解熱剤、抗ヒスタミン剤の併用も本剤の投与初期に頻発するこれらの症状を軽減する。

  5. 8.5本剤投与時に交差反応性抗体に起因する血小板減少があらわれ、出血傾向が増悪するおそれがあるので、定期的に血小板数を測定し、患者の状態を十分に観察すること。

  6. 8.6本剤投与に先立って、本剤又は他のウサギ血清製剤の治療歴の有無を必ず確認すること。また、本剤の投与後には、患者にウサギ血清製剤を投与した旨を十分認識させるために、本剤の医薬品名を記載した用紙に、使用量、使用期間、病院名、担当医師名を記入し、治療終了後に治療歴として保管するとともに同様の記録を患者に渡すこと。

  7. 8.7AST、ALTの上昇等を伴う重篤な肝障害、血小板減少、白血球減少があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行うこと。

  8. 8.8急性腎障害があらわれることがあるので、投与に先立って患者が脱水状態にないことを確認すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1本剤又は他のウサギ血清製剤の投与歴のある患者

ショックを起こすおそれがある。

  1. 9.1.2ウイルス感染症の患者

本剤の免疫抑制作用により病態を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.3細菌感染症の患者

本剤の免疫抑制作用により病態を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.4真菌感染症の患者

本剤の免疫抑制作用により病態を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.5薬物過敏症の既往歴のある患者

  2. 9.1.6アレルギー素因のある患者

  3. 9.1.7心疾患のある患者

心機能を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.8免疫抑制剤を投与された肝炎ウイルスキャリアの患者

免疫抑制剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがある。また、HBs抗原陰性の患者において、免疫抑制剤の投与開始後にB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎を発症した症例が報告されている。また、C型肝炎ウイルスキャリアの患者において、免疫抑制剤の投与開始後にC型肝炎の悪化がみられることがある。肝炎ウイルスキャリアの患者に本剤を投与する場合は、肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化やC型肝炎の悪化の徴候や症状の発現に注意すること。

  1. 9.1.9急性腎障害の危険性の高い患者

投与量及び投与速度を出来るだけ低くすることが望ましい。

9.2 腎機能障害患者

腎機能を悪化させるおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

肝機能を悪化させるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

慎重に投与すること。小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能(腎機能、肝機能、免疫機能等)が低下している。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
弱毒生ワクチン
おたふくかぜ、麻疹、風疹及びこれらの混合ワクチン等
本剤投与後、弱毒生ワクチンを接種する場合には、発病するおそれがある。 本剤の免疫抑制作用による。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
他の免疫抑制剤
シクロスポリン等
過度の免疫抑制による感染症あるいはリンパ増殖性疾患を惹起する危険性があるので、併用する場合には慎重に投与すること。 相加的に免疫抑制作用が増強される可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P増加 頻度不明
ALT増加 頻度不明
AST増加 頻度不明
CRP増加 頻度不明
LDH増加 頻度不明
そう痒症 頻度不明
ビリルビン増加 頻度不明
ヘマトクリット減少 頻度不明
ヘモグロビン減少 頻度不明
めまい 頻度不明
リンパ球減少 頻度不明
下痢 頻度不明
倦怠感 頻度不明
動悸 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
嘔吐 頻度不明
好中球減少 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心 頻度不明
感覚減退 頻度不明
投与部位反応(疼痛 頻度不明
末梢性浮腫 頻度不明
無力症 頻度不明
熱感 頻度不明
疼痛 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
筋痛 頻度不明
筋硬直 頻度不明
紅斑 頻度不明
紅斑) 頻度不明
耳鳴 頻度不明
胸痛 頻度不明
脱力 頻度不明
腫脹 頻度不明
腹痛 頻度不明
血圧上昇 頻度不明
血圧低下 頻度不明
血清病注5) 頻度不明
血清総蛋白減少 頻度不明
貧血 頻度不明
赤血球減少 頻度不明
関節痛 頻度不明
静脈炎 頻度不明
頭痛 頻度不明
頻脈 頻度不明
高カリウム血症 頻度不明
高ビリルビン血症 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤は、T細胞表面抗原(CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD25、TCRαβ)並びに白血球表面抗原(CD11a)に対し親和性を示した4),5) 。また、ヒトリンパ球細胞傷害性試験において補体存在下リンパ球を溶解させた6) 。以上のことから、本剤は、ヒトT細胞表面抗原に結合し、補体依存性の細胞傷害を惹起させることにより、再生不良性貧血並びにGVHDに関与しているT細胞を減少させ、その結果これらの疾患に対して効果を示すと考えられる。

18.2 免疫抑制作用

  1. 18.2.1ヒトリンパ球細胞傷害性試験(in vitro

ヒトリンパ球に対する補体依存性の細胞傷害性を検討した結果、本剤約20μg/mLは陰性対照と比較してリンパ球の溶解を25%増加させた6) 。

  1. 18.2.2E-ロゼット形成阻止作用(in vitro

ヒトリンパ球を用いたE-ロゼット形成阻止作用を検討した結果、本剤約15μg/mLは陰性対照と比較してE-ロゼット形成を50%抑制した6) 。

  1. 18.2.3サルにおける皮膚移植片生着延長試験(in vivo

本剤(25mg/匹)は、サルにおける皮膚移植片が拒絶されるまでの日数を延長させ、in vivoでの拒絶反応を抑制した6) 。

薬物動態

16.1 血中濃度

中等症以上の再生不良性貧血患者を対象とした国内第II相臨床試験において、サイモグロブリン2.5mg/kg/日及び3.75mg/kg/日を、5日間、12時間以上かけて点滴静注したときの薬物動態を検討した結果は以下のとおりであった。各投与量におけるCmaxは、投与量の増加に伴った上昇が認められた。血中サイモグロブリン濃度は、投与期間中徐々に上昇し、最終投与終了後から緩やかに消失した。また、サイモグロブリン投与後、両投与群の11症例において14日目以降から抗体の出現が認められた2) 。

投与群 Cmax(μg/mL) T1/2(day)
2.5mg/kg/日群
(n=6)
平均 119.0 8.1注6)
最小-最大 46.7-234.0 3.9-14.3注6)
3.75mg/kg/日群
(n=9)
平均 173.5 7.8
最小-最大 52.0-500.0 2.0-16.0

注6)n=4