既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎
【警告】
-
1.1*本剤投与により、結核、肺炎、敗血症、ウイルス感染等による重篤な感染症の新たな発現もしくは悪化等が報告されており、本剤との関連性は明らかではないが、悪性腫瘍の発現も報告されている。本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含め、これらの情報を患者に十分説明し、患者が理解したことを確認した上で、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。 また、本剤投与により重篤な副作用が発現し、致命的な経過をたどることがあるので、緊急時の対応が十分可能な医療施設及び医師が使用し、本剤投与後に副作用が発現した場合には、主治医に連絡するよう患者に注意を与えること。
-
1.2感染症
-
1.2.1重篤な感染症
敗血症、肺炎、真菌感染症を含む日和見感染症等の致死的な感染症が報告されているため、十分な観察を行うなど感染症の発症に注意すること。
- 1.2.2*結核
ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤において、播種性結核(粟粒結核)及び肺外結核(脊椎、リンパ節等)を含む結核が報告されている。結核の既感染者では症状の顕在化及び悪化のおそれがあるため、本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部X線検査に加え、インターフェロン-γ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。結核の既往歴を有する患者及び結核の感染が疑われる患者には、結核等の感染症について診療経験を有する医師と連携の下、原則として本剤の投与開始前に適切な抗結核薬を投与すること。 ツベルクリン反応等の検査が陰性の患者に投与後活動性結核が認められた例も報告されている。
- 1.3本剤についての十分な知識と適応疾患の治療の知識・経験を持つ医師が使用すること。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
-
2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
-
2.2重篤な感染症(敗血症等)の患者[症状が悪化するおそれがある。]
-
2.3活動性結核の患者[症状が悪化するおそれがある。]
-
2.4重度の肝機能障害(Child Pugh分類C)のある患者
-
2.5好中球数が1,000/mm3未満の患者
-
2.6リンパ球数が500/mm3未満の患者
-
2.7ヘモグロビン値が8g/dL未満の患者
-
2.8血小板数が50,000/mm3未満の患者
-
2.9妊婦又は妊娠している可能性のある女性
効能・効果
用法・用量
通常、成人及び12歳以上の小児には、アブロシチニブとして100mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態に応じて200mgを1日1回投与することができる。
使用上の注意
-
8.1本剤は、免疫反応に関与するJAKファミリーを阻害するので、感染症に対する宿主免疫能に影響を及ぼす可能性がある。本剤の投与に際しては十分な観察を行い、感染症の発現や増悪に注意すること。また、患者に対し、発熱、倦怠感等があらわれた場合には、速やかに主治医に相談するよう指導すること。
-
8.2本剤は免疫抑制作用を有することから、皮膚バリア機能が低下しているアトピー性皮膚炎患者への投与に際しては十分な観察を行い、皮膚感染症の発現に注意すること。アトピー性皮膚炎患者を対象とした臨床試験において重篤な皮膚感染症が報告されている。
-
8.3本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部X線検査に加え、インターフェロン-γ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。本剤投与中は胸部X線検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核の発現には十分に注意し、患者に対し、結核を疑う症状が発現した場合(持続する咳、発熱等)には速やかに主治医に連絡するよう説明すること。
-
8.4ヘルペスウイルスを含むウイルスの再活性化(帯状疱疹、単純ヘルペス等)が報告されている。また、重篤な帯状疱疹や播種性帯状疱疹も認められていることから、ヘルペスウイルス等の再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。徴候や症状の発現が認められた場合には、患者に受診するよう説明し、本剤の投与を中断し速やかに適切な処置を行うこと。また、ヘルペスウイルス以外のウイルスの再活性化にも注意すること。
-
8.5JAK阻害剤によるB型肝炎ウイルスの再活性化が報告されているので、本剤投与に先立って、B型肝炎ウイルス感染の有無を確認すること。
-
8.6感染症発現のリスクを否定できないので、本剤開始直前及び投与中の生ワクチンの接種は行わないこと。
-
8.7悪性リンパ腫、固形癌等の悪性腫瘍の発現が報告されている。本剤との因果関係は明らかではないが、悪性腫瘍の発現には注意すること。
-
8.8好中球減少、リンパ球減少、ヘモグロビン減少及び血小板減少があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与開始後は定期的に好中球数、リンパ球数、血小板数及びヘモグロビン値を確認すること。
-
8.9総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール及びトリグリセリドの上昇等の脂質検査値異常があらわれることがある。本剤投与開始後は定期的に脂質検査値を確認すること。臨床上必要と認められた場合には、高脂血症治療薬の投与等の適切な処置を考慮すること。
-
8.10肝機能障害があらわれることがあるので、トランスアミナーゼ値上昇に注意するなど観察を十分に行うこと。
-
8.11本剤が疾病を完治させる薬剤でなく、本剤投与中も保湿外用剤等を併用する必要があることを患者に対して説明し、患者が理解したことを確認したうえで投与すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
-
9.1.1感染症(重篤な感染症を除く)の患者又は感染症が疑われる患者
-
9.1.2結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部レントゲン上結核治癒所見のある患者)又は結核感染が疑われる患者
-
(1)結核の既感染者では、結核を活動化させるおそれがある。
-
(2)結核の既往歴を有する場合及び結核感染が疑われる場合には、結核の診療経験がある医師に相談すること。以下のいずれかの患者には、原則として本剤の開始前に適切な抗結核薬を投与すること。
-
胸部画像検査で陳旧性結核に合致するか推定される陰影を有する患者
-
結核の治療歴(肺外結核を含む)を有する患者
-
インターフェロン-γ遊離試験やツベルクリン反応検査等の検査により、既感染が強く疑われる患者
-
結核患者との濃厚接触歴を有する患者
- 9.1.3B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)
肝機能検査値やHBV DNAのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。JAK阻害剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者において、B型肝炎ウイルスの再活性化が報告されている。
- 9.1.4C型肝炎患者
HCV抗体陽性、HCV RNA陽性の患者は臨床試験から除外されている。
- 9.1.5易感染性の状態にある患者
感染症を発現するリスクが高い。
- 9.1.6静脈血栓塞栓症のリスクを有する患者
深部静脈血栓症及び肺塞栓症が報告されている。
- 9.1.7好中球減少(好中球数1,000/mm3未満を除く)のある患者
好中球減少が更に悪化するおそれがある。
- 9.1.8リンパ球減少(リンパ球数500/mm3未満を除く)のある患者
リンパ球減少が更に悪化するおそれがある。
- 9.1.9ヘモグロビン値減少(ヘモグロビン値8g/dL未満を除く)のある患者
ヘモグロビン減少が更に悪化するおそれがある。
- 9.1.10血小板減少(血小板数50,000/mm3未満の患者を除く)のある患者
血小板減少が更に悪化するおそれがある。
- 9.1.11間質性肺炎の既往歴のある患者
定期的に問診を行うなど、注意すること。間質性肺炎があらわれるおそれがある。
- 9.1.12腸管憩室のある患者
消化管穿孔があらわれるおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
- 9.2.1中等度の腎機能障害(30≦eGFR〔mL/分/1.73m2〕<60)を有する患者
減量し、慎重に投与すること。腎機能が正常な患者に比べ、活性成分の曝露量が増加するため、副作用が強くあらわれるおそれがある。
- 9.2.2重度の腎機能障害(eGFR<30)を有する患者
本剤投与の適否を慎重に検討した上で減量し、慎重に投与すること。腎機能が正常な患者に比べ、活性成分の曝露量が増加するため、副作用が強くあらわれるおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1重度の肝機能障害(Child Pugh分類C)のある患者
投与しないこと。重度の肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。
9.4 生殖能を有する者
妊娠可能な女性は、本剤投与中及び本剤投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。ラットを用いた受胎能試験において、妊娠率の低下、黄体数及び着床数の減少、着床後胚損失率の上昇を含めた受胎能への影響が認められ、このときの血漿中薬物濃度はアトピー性皮膚炎患者に本剤200mgを1日1回投与したときの血漿中濃度と比較したとき7倍程度であった1)。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと。ラットの胚・胎児発生試験において、器官形成期の経口投与で胎児毒性が認められ、このときの血漿中薬物濃度はアトピー性皮膚炎患者に本剤200mgを1日1回投与したときの血漿中濃度と比較したとき17倍であった。ラットの出生前及び出生後の発生に関する試験では、出生後生存率及び出生児体重が低下し、このときの血漿中薬物濃度はアトピー性皮膚炎患者に本剤200mgを1日1回投与したときの血漿中濃度と比較したとき11倍以上であった1)。
9.6 授乳婦
本剤投与中は授乳しないことが望ましい。ラットで乳汁中へ移行することが報告されている2)。
9.7 小児等
12歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら、用量に留意して慎重に投与すること。臨床試験において65歳以上の患者では帯状疱疹、リンパ球減少及び血小板減少の発現割合が高かった。
相互作用
- **本剤は主にCYP2C19及びCYP2C9で代謝される。また、本剤はCYP2C19 に対して阻害作用を示す。
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| CYP2C19の強い阻害薬 • フルコナゾール、フルボキサミン、チクロピジン |
本剤の作用が増強する可能性があるので、これらの薬剤は可能な限り他の類薬に変更する、又はこれらの薬剤を休薬する等を考慮すること。 | これらの薬剤がCYP2C19の代謝活性を阻害するため、アブロシチニブの血中濃度が上昇する可能性がある。 |
| **CYP2C19及びCYP2C9の強い又は中程度の誘導薬 • リファンピシン等 |
本剤の効果が減弱する可能性があるので、これらの薬剤は誘導作用のない又は弱い他の類薬に変更する等を考慮すること。 | これらの薬剤がCYP2C19及びCYP2C9の代謝活性を誘導するため、アブロシチニブの血中濃度が低下する可能性がある。 |
| P-gpの基質となる薬剤 • ダビガトランエテキシラート、ジゴキシン等 |
これらの薬剤の作用が増強されるおそれがあるので、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。 | 本剤がP-gpを阻害することにより、これらの薬剤の血漿中濃度が上昇する可能性がある。 |
| **クロピドグレル | クロピドグレルの作用が減弱されるおそれがあるので、併用する際には注意すること。 | 本剤がCYP2C19 を阻害することにより、クロピドグレルの活性代謝物の血中濃度が低下する。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| LDH増加 | 1%未満 |
| NK細胞減少 | 1%未満 |
| γ-GT上昇 | 1%未満 |
| インフルエンザ | 1%未満 |
| ざ瘡(3.6%) | 頻度不明 |
| せつ | 1%未満 |
| そう痒症 | 1%未満 |
| プロトロンビン時間延長 | 1%未満 |
| ヘルペス性状湿疹 | 1%未満 |
| リンパ節症 | 1%未満 |
| 上咽頭炎 | 頻度不明 |
| 上気道感染 | 頻度不明 |
| 下気道感染 | 1%未満 |
| 下痢 | 頻度不明 |
| 体重増加 | 1%未満 |
| 傾眠 | 1%未満 |
| 副鼻腔炎 | 1%未満 |
| 動悸 | 1%未満 |
| 咳嗽 | 1%未満 |
| 咽頭炎 | 1%未満 |
| 嘔吐 | 頻度不明 |
| 尿中蛋白陽性 | 1%未満 |
| 尿路感染 | 1%未満 |
| 心室内伝導障害 | 1%未満 |
| 悪心(11.0%) | 頻度不明 |
| 感染性湿疹 | 1%未満 |
| 毛包炎 | 頻度不明 |
| 気管支炎 | 1%未満 |
| 浮動性めまい | 頻度不明 |
| 消化不良 | 1%未満 |
| 無力症 | 1%未満 |
| 疲労 | 頻度不明 |
| 発熱 | 1%未満 |
| 白血球増加 | 1%未満 |
| 白血球減少 | 1%未満 |
| 皮膚乳頭腫(疣贅等) | 1%未満 |
| 皮膚感染 | 1%未満 |
| 皮膚真菌感染 | 1%未満 |
| 結膜炎 | 1%未満 |
| 胃腸炎 | 1%未満 |
| 胃食道逆流性疾患 | 1%未満 |
| 脱毛症 | 1%未満 |
| 腹痛 | 頻度不明 |
| 腹部不快感 | 1%未満 |
| 腹部膨満 | 1%未満 |
| 膀胱炎 | 1%未満 |
| 膿痂疹 | 1%未満 |
| 膿瘍 | 1%未満 |
| 蕁麻疹 | 1%未満 |
| 血中CK増加 | 頻度不明 |
| 赤血球減少 | 1%未満 |
| 頭痛(4.4%) | 頻度不明 |
| 高脂血症(脂質異常症を含む) | 1%未満 |
| 高血圧 | 1%未満 |
| 鼻出血 | 1%未満 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
アブロシチニブはATPとの結合を遮断することにより、JAKを選択的かつ可逆的に阻害する経口投与が可能な低分子である。
18.2 JAK阻害活性
単離酵素を用いて4種類のJAKアイソフォームに対するアブロシチニブの阻害能を測定したところ、JAK1、JAK2、JAK3及びTYK2に対するIC50値はそれぞれ29.2nmol/L、803nmol/L、10,000nmol/L超及び1250nmol/Lであった28)(in vitro)。 JAKアイソフォームが介在してシグナル伝達が行われる細胞内では、JAK1が介在する種々のSTATのリン酸化を阻害(IC50値:32.5~1690nmol/L)し、JAK2のみが介在するSTAT5のリン酸化を阻害(IC50値:794~7780nmol/L)した29)(in vitro)。未変化体と2つの活性代謝物のサイトカインシグナル伝達の阻害は同等であった30)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回投与時
健康成人に本剤100mg及び200mgを空腹時単回投与したときのアブロシチニブの薬物動態パラメータは以下の通りである5),6)(外国人データ)。
| 投与量 | 例数 | Cmax (ng/mL) |
Tmax(h)a) | AUCinf (ng・h/mL) |
t½(h)b) |
|---|---|---|---|---|---|
| 100mg | 12 | 420(50) | 1.0 (0.5-2.0) |
1580(21) | 4.33±2.79 |
| 200mg | 12 | 757(60) | 1.0 (0.5-4.0) |
3900(26) | 5.91±3.08 |
幾何平均値(%変動係数) a)中央値(範囲) b)算術平均値±標準偏差
図1健康成人に本剤100mg及び200mgを単回投与後の血漿中濃度推移(中央値)
- 16.1.2反復投与時
母集団薬物動態モデルを用いたシミュレーションの結果、日本人アトピー性皮膚炎患者に本剤100mg及び200mgを1日1回反復投与したときのアブロシチニブのAUCtauはそれぞれ3680及び8280ng・h/mL、Cmaxはそれぞれ740及び1580ng/mLであった7)。
16.2 吸収
- 16.2.1バイオアベイラビリティ
健康成人6例に本剤200mgを単回経口投与及び80µgを単回静脈内投与したときのアブロシチニブの絶対的バイオアベイラビリティは約60%(90%信頼区間:46%~78%)であった8)(外国人データ)。
- 16.2.2食事の影響
健康成人15例に本剤200mgを食後(高脂肪食)投与したとき、空腹時投与と比較して、アブロシチニブのAUCinf及びCmaxはそれぞれ約26%及び29%増加した9)(外国人データ)。
16.3 分布
健康成人5例にアブロシチニブ80µgを単回静脈内投与したときの分布容積は約100Lであった8)(外国人データ)。アブロシチニブ、活性代謝物のM1及びM2のタンパク結合率はそれぞれ約64%、37%及び29%であった10)(in vitro)。
16.4 代謝
アブロシチニブは主に肝代謝により消失し、CYP2C19(約53%)及びCYP2C9(約30%)が主要な代謝酵素であった11)(in vitro)。健康成人6例に14C-アブロシチニブ80µgを単回経口投与したとき、血漿中では未変化体が最も多く(26%)、他M1(3-ヒドロキシプロピル体、11%)、M2(2-ヒドロキシプロピル体、12%)及びM4(ピロリジノンピリミジン体、14%)が同定された8)(外国人データ)。M1及びM2は未変化体と同等の薬理活性を有する。
16.5 排泄
健康成人6例に14C-アブロシチニブ80µgを単回経口投与したとき、投与放射能の約85%が尿中、約10%が糞中に排泄された。未変化体の尿中排泄率は1%未満であった8)(外国人データ)。代謝物のM1、M2及びM4はOAT3の基質であり、主に尿中に排泄された12)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎機能障害
中等度(30≦eGFR〔mL/分〕<60:7例)の腎機能障害を有する被験者に本剤200mgを単回経口投与したとき、腎機能正常被験者(eGFR≧90:8例)と比較して、アブロシチニブ、活性代謝物のM1及びM2、ならびにこれらの活性成分の非結合型曝露量(それぞれの相対力価で補正)の総和(以下、活性成分)のAUCinfはそれぞれ約83%、54%、170%及び110%増加した。重度(eGFR<30:8例)の腎機能障害を有する被験者に本剤200mgを単回経口投与したとき、腎機能正常被験者と比較して、アブロシチニブ、M1及びM2、ならびに活性成分のAUCinfはそれぞれ約21%、187%、471%及び191%増加した(外国人データ)。これらの結果から、軽度(60≦eGFR<90)の腎機能障害を有する被験者のeGFRが60の場合、アブロシチニブ、M1及びM2、ならびに活性成分のAUCinfは約29%、61%、138%及び70%増加すると推定された13)。
- 16.6.2肝機能障害
軽度(Child-Pugh分類A:8例)の肝機能障害を有する被験者に本剤200mgを単回投与したとき、肝機能正常被験者(8例)と比較して、アブロシチニブ、M1及びM2、ならびに活性成分のAUCinfはそれぞれ約33%増加、68%、22%及び4%減少した。中等度(Child-Pugh分類B:8例)の肝機能障害を有する被験者に本剤200mgを単回投与したとき、肝機能正常被験者(8例)と比較して、アブロシチニブ、M1及びM2、ならびに活性成分のAUCinfはそれぞれ約54%増加、51%減少、14%減少及び15%増加した14)(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1併用薬がアブロシチニブの薬物動態に及ぼす影響
アブロシチニブ、M1及びM2、ならびに活性成分の曝露量に及ぼす併用薬の影響を下表に示す(外国人データ)。
- (1)フルコナゾール(CYP2C19の強い阻害薬、CYP2C9及びCYP3Aの中程度の阻害薬)5)
| 併用薬 投与量 |
400mg(1日目) 200mg(2~7日目) |
|
|---|---|---|
| 本剤投与量 | 100mg単回 | |
| 例数 | 12 | |
| 薬物動態パラメータ調整済み幾何平均値の比(%) [90%信頼区間]併用/単独 |
||
| 活性成分a) | Cmax | 123.46 [107.58, 141.70] |
| AUCinf | 254.86 [241.75, 268.67] | |
| アブロシチニブ | Cmax | 192.10 [154.15, 239.39] |
| AUCinf | 482.86 [383.94, 607.26] | |
| M1 | Cmax | 9.50 [7.81, 11.55] |
| AUCinf | 25.87 [22.87, 29.27] | |
| M2 | Cmax | 23.83 [19.97, 28.42] |
| AUCinf | 61.19 [37.56, 99.69] |
a)アブロシチニブ、活性代謝物M1及びM2の非結合型曝露量(それぞれモル単位で相対力価で調整)の総和。
- (2)フルボキサミン(CYP2C19の強い阻害薬、CYP3Aの中程度の阻害薬)5)
| 併用薬 投与量 |
50mg 1日1回9日間 |
|
|---|---|---|
| 本剤投与量 | 100mg単回 | |
| 例数 | 12 | |
| 薬物動態パラメータ調整済み幾何平均値の比(%) [90%信頼区間]併用/単独 |
||
| 活性成分a) | Cmax | 133.08 [99.58, 177.86] |
| AUCinf | 191.24 [173.81, 210.43] | |
| アブロシチニブ | Cmax | 184.44 [133.27, 255.24] |
| AUCinf | 275.22 [238.77, 317.24] | |
| M1 | Cmax | 41.62 [32.30, 53.63] |
| AUCinf | 78.96 [72.75, 85.70] | |
| M2 | Cmax | 71.30 [58.60, 86.75] |
| AUCinf | 112.79 [105.59, 120.49] |
a)アブロシチニブ、活性代謝物M1及びM2の非結合型曝露量(それぞれモル単位で相対力価で調整)の総和。
- (3)リファンピシン(CYP2C19、CYP2C9及びCYP3A4の強い誘導薬)15)
| 併用薬 投与量 |
600mg 1日1回8日間 |
|
|---|---|---|
| 本剤投与量 | 200mg単回 | |
| 例数 | 12 | |
| 薬物動態パラメータ調整済み幾何平均値の比(%) [90%信頼区間]併用/単独 |
||
| 活性成分a) | Cmax | 68.91 [50.28, 94.46] |
| AUCinf | 43.86 [40.94, 46.98] | |
| アブロシチニブ | Cmax | 20.86 [14.31, 30.41] |
| AUCinf | 12.45 [9.33, 16.60] | |
| M1 | Cmax | 168.36 [115.54, 245.32] |
| AUCinf | 94.80 [80.11, 112.19] | |
| M2 | Cmax | 145.45 [102.97, 205.45] |
| AUCinf | 72.95 [68.39, 77.83] |
a)アブロシチニブ、活性代謝物M1及びM2の非結合型曝露量(それぞれモル単位で相対力価で調整)の総和。
- (4)プロベネシド(OAT3の阻害薬)6)
| 併用薬 投与量 |
1000mg 1日2回3日間 |
|
|---|---|---|
| 本剤投与量 | 200mg単回 | |
| 例数 | 12 | |
| 薬物動態パラメータ調整済み幾何平均値の比(%) [90%信頼区間]併用/単独 |
||
| 活性成分a) | Cmax | 130.13 [104.10, 162.65] |
| AUCinf | 165.54 [152.00, 180.29] | |
| アブロシチニブ | Cmax | 121.38 [92.93, 158.52] |
| AUCinf | 127.60 [114.97, 141.61] | |
| M1 | Cmax | 136.69 [116.33, 160.61] |
| AUCinf | 177.17 [164.48, 190.84] | |
| M2 | Cmax | 134.60 [115.08, 157.44] |
| AUCinf | 224.85 [207.95, 243.12] |
a)アブロシチニブ、活性代謝物M1及びM2の非結合型曝露量(それぞれモル単位で相対力価で調整)の総和。
- 16.7.2アブロシチニブが併用薬の薬物動態に及ぼす影響**
In vitro試験において、アブロシチニブはCYP3A、CYP2C19及びCYP2D6に対して弱い時間依存的阻害作用16)を示し、CYP3A4に対して弱い誘導作用を示した17)。アブロシチニブはOATP1B1/1B3、OAT1、OCT2及びBSEPを阻害しなかったが、OAT3、P-gp、BCRP、OCT1、MATE1及びMATE2Kを阻害した18)。薬物相互作用を検討した臨床試験の結果、アブロシチニブはP-gp及びCYP2C19を阻害した。 アブロシチニブが併用薬の薬物動態に及ぼす影響を下表に示す(外国人データ)。
| 併用薬 | 併用薬 投与量 |
本剤 投与量 |
例数 | 併用薬の薬物動態 パラメータ 調整済み幾何平均値の比(%) [90%信頼区間] 併用/単独 |
|
|---|---|---|---|---|---|
| Cmaxa) | AUCinf | ||||
| エチニルエストラジオール (経口避妊薬)19) |
30µg 単回 |
200mg 1日1回 11日間 |
15 | 107.17 [99.17, 115.82] |
118.78 [111.98, 125.99] |
| レボノルゲストレル (経口避妊薬)19) |
150µg 単回 |
200mg 1日1回 11日間 |
15 | 86.02 [75.75, 97.67] |
97.57b) [86.56, 109.99] |
| ミダゾラム (CYP3A4及びCYP3A5の基質)20) |
2mg単回 (2日目投与) |
200mg 1日1回 7日間 |
25、24c) | 86.29 [77.27, 96.36] |
84.28 [78.95, 89.97] |
| 2mg単回 (7日目投与) |
93.54 [83.76, 104.46] |
92.29 [86.45, 98.52] |
|||
| ダビガトランエテキシラート (P-gpの基質)21) |
75mg単回 | 200mg 単回 |
20 | 140.10 [92.20, 212.90] |
152.86 [108.79, 214.80] |
| ロスバスタチン (BCRP及びOAT3の基質)22) |
10mg単回 | 200mg 1日1回 3日間 |
12 | 91.27 [82.67, 100.77] |
101.94 [92.89, 111.88] |
| メトホルミン (OCTs、MATE1及びMATE2Kの基質)23) |
500mg単回 | 200mg 1日1回 2日間 |
12 | 98.50 [82.09, 118.20] |
94.25b) [88.19, 100.73] |
| カフェインd) (CYP1A2の基質)24) |
100mg単回 | 200mg 1日1回 10日間 |
13 | 101.22 [92.21, 111.12] |
139.59e) [121.98, 159.74] |
| エファビレンツd) (CYP2B6の基質)24) |
50mg単回 | 200mg 1日1回 10日間 |
13 | 97.26 [83.25, 113.62] |
110.10b) [103.45, 117.17] |
| オメプラゾール (CYP2C19の基質)24) |
10mg単回 | 200mg 1日1回 10日間 |
13 | 234.16 [170.19, 322.17] |
288.81 [240.56, 346.73] |
a)ロスバスタチン及びメトホルミンについては腎クリアランスの比(90%信頼区間)を示している。 b)AUClastの結果を示している。 c)単独投与25例;併用投与24例。 d)投与前の濃度で補正して算出したCmax及びAUCの結果。 e)被験者12例。