前立腺癌
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
- 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
通常、成人にはデガレリクスとして、初回は240mgを1カ所あたり120mgずつ腹部2カ所に皮下投与する。2回目以降は、初回投与4週間後より、維持用量を投与する。4週間間隔で投与を繰り返す場合は、デガレリクスとして80mgを維持用量とし、腹部1カ所に皮下投与する。12週間間隔で投与を繰り返す場合は、デガレリクスとして480mgを維持用量とし、1カ所あたり240mgずつ腹部2カ所に皮下投与する。
初回投与:1カ所あたり、本剤120mgバイアルに日本薬局方注射用水3.0mLを注入し、溶解後速やかに3.0mLを皮下投与する。(3.0mLで溶解することにより、40mg/mLとなる。)
維持用量を4週間間隔で投与する場合:本剤80mgバイアルに日本薬局方注射用水4.2mLを注入し、溶解後速やかに4.0mLを皮下投与する。(4.2mLで溶解することにより、20mg/mLとなる。)
維持用量を12週間間隔で投与する場合:1カ所あたり、本剤240mgバイアルに日本薬局方注射用水4.2mLを注入し、溶解後速やかに4.0mLを皮下投与する。(4.2mLで溶解することにより、60mg/mLとなる。)
使用上の注意
本剤は内分泌療法剤であり、がんに対する薬物療法について十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤による治療が適切と判断される患者についてのみ使用すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1間質性肺疾患又はその既往歴のある患者
間質性肺疾患が発現又は増悪する可能性がある。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
相互作用
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| Al-P増加 | 頻度不明 |
| ALT増加 | 頻度不明 |
| AST増加 | 頻度不明 |
| CRP増加 | 頻度不明 |
| γ-GTP増加 | 頻度不明 |
| そう痒感 | 5%以上 |
| そう痒症 | 頻度不明 |
| ヘモグロビン減少 | 頻度不明 |
| ほてり | 5%以上 |
| 下痢 | 頻度不明 |
| 不眠症 | 頻度不明 |
| 中心性肥満 | 頻度不明 |
| 体重増加 | 5%以上 |
| 体重減少 | 頻度不明 |
| 便秘 | 頻度不明 |
| 倦怠感 | 5%以上 |
| 全身性そう痒症 | 頻度不明 |
| 内出血 | 頻度不明 |
| 勃起不全 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 頻度不明 |
| 四肢痛 | 頻度不明 |
| 坐骨神経痛 | 頻度不明 |
| 変色 | 頻度不明 |
| 多汗症 | 頻度不明 |
| 夜間頻尿 | 頻度不明 |
| 女性化乳房 | 頻度不明 |
| 小水疱 | 頻度不明 |
| 心室性期外収縮 | 頻度不明 |
| 心電図QT延長 | 頻度不明 |
| 悪寒 | 頻度不明 |
| 悪心 | 頻度不明 |
| 排尿困難 | 頻度不明 |
| 末梢性浮腫 | 頻度不明 |
| 歯周炎 | 頻度不明 |
| 気力低下 | 頻度不明 |
| 浮動性めまい | 頻度不明 |
| 湿性咳嗽 | 頻度不明 |
| 湿疹 | 頻度不明 |
| 潮紅 | 頻度不明 |
| 炎症 | 頻度不明 |
| 無力症 | 頻度不明 |
| 熱感 | 頻度不明 |
| 疲労 | 頻度不明 |
| 疼痛 | 5%以上 |
| 発熱 | 5%以上 |
| 発疹 | 頻度不明 |
| 発疹 | 頻度不明 |
| 白血球数減少 | 頻度不明 |
| 皮下出血 | 頻度不明 |
| 硬結 | 5%以上 |
| 神経痛 | 頻度不明 |
| 筋力低下 | 頻度不明 |
| 筋痙縮 | 頻度不明 |
| 筋骨格硬直 | 頻度不明 |
| 精巣萎縮 | 頻度不明 |
| 糖尿病 | 頻度不明 |
| 紅斑 | 5%以上 |
| 結節 | 頻度不明 |
| 結腸癌 | 頻度不明 |
| 肋骨骨折 | 頻度不明 |
| 肝機能異常 | 頻度不明 |
| 肝酵素上昇 | 頻度不明 |
| 胃炎 | 頻度不明 |
| 胃癌 | 頻度不明 |
| 背部痛 | 頻度不明 |
| 脂肪肝 | 頻度不明 |
| 脂肪腫 | 頻度不明 |
| 脳出血 | 頻度不明 |
| 腫脹 | 5%以上 |
| 腹部膨満 | 頻度不明 |
| 膀胱炎 | 頻度不明 |
| 膿瘍 | 頻度不明 |
| 蕁麻疹 | 頻度不明 |
| 蜂巣炎 | 頻度不明 |
| 血中コレステロール増加 | 頻度不明 |
| 血中尿素増加 | 頻度不明 |
| 血中尿酸増加 | 頻度不明 |
| 血圧上昇 | 頻度不明 |
| 血小板減少症 | 頻度不明 |
| 血管性浮腫 | 頻度不明 |
| 貧血 | 頻度不明 |
| 関節痛 | 頻度不明 |
| 頚部痛 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 頻度不明 |
| 食欲減退 | 頻度不明 |
| 骨密度減少 | 頻度不明 |
| 高脂血症 | 頻度不明 |
| 高血圧 | 5%以上 |
| 鼻咽頭炎 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
デガレリクスは性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アンタゴニストである。下垂体GnRHレセプターと可逆的に結合することにより、下垂体からの黄体形成ホルモン(LH)の放出を抑制する結果、精巣からのテストステロン分泌を抑制する。この下垂体性腺系機能抑制により、デガレリクスは前立腺癌の増殖を抑制すると考えられる14),15)。
18.2 下垂体性腺系機能抑制作用
デガレリクスを正常雄性ラット及びサルに単回皮下投与することで、LH及び卵胞刺激ホルモン(FSH)の血中濃度を低下させ、血清テストステロン値を外科的去勢と同程度まで低下させた15),16)。
18.3 抗腫瘍作用
デガレリクスは、ラット及びヒト前立腺癌担癌モデルにおいて、アンドロゲン依存性に増殖する前立腺癌に対して、外科的去勢と同程度の腫瘍増殖抑制作用を示した17),18)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1反復投与
- 〈維持用量を4週間間隔で投与する場合〉
前立腺癌患者にデガレリクス初回用量240mg(40mg/mL)を腹部2カ所に皮下投与し、初回投与4週間後より、4週ごとにデガレリクス維持用量80mg(20mg/mL)を腹部1カ所に皮下投与した際の初回投与後の薬物動態パラメータ及び投与開始後1年間の血漿中濃度推移は以下のとおりである。初回投与後、およそ1日で最高血漿中濃度(約75ng/mL)に達した。また、維持用量投与後速やかに定常状態に到達し(投与8週目)、投与開始後1年間のトラフ濃度は約17~18ng/mLで推移した。血漿中濃度の推移からみて蓄積性は認められなかった4),6)。
| n | Cmax (ng/mL) |
Tmaxa) (day) |
AUC0‒28day (ng・day/mL) |
C28day (ng/mL) |
|---|---|---|---|---|
| 136 | 75.03±45.25 | 0.96[0.73‒27.98] | 735±306b) | 14.43±5.21 |
平均値±標準偏差
a)中央値[最小値‒最大値]
b)n=135
- 〈維持用量を12週間間隔で投与する場合〉
前立腺癌患者にデガレリクス初回用量240mg(40mg/mL)を腹部2カ所に皮下投与し、初回投与4週間後より、12週ごとにデガレリクス維持用量480mg(60mg/mL)を腹部2カ所に皮下投与した際の初回投与後及び4回目(投与40週目)の維持用量投与後の薬物動態パラメータは以下のとおりである。維持用量投与後、およそ3日で最高血漿中濃度(約120ng/mL)に達した。デガレリクスの血漿中トラフ濃度の平均値は、抗デガレリクス抗体陰性例では維持用量投与後速やかに定常状態に達し(投与16週目)、約16~19ng/mLで推移した。一部の抗デガレリクス抗体陽性例では、抗体陽性転化後約1年にわたってデガレリクスの血漿中トラフ濃度が上昇傾向を示したが、その後はおおむね安定することが確認された7)。
| n | Cmax (ng/mL) |
Tmaxa) (day) |
AUCb) (ng・day/mL) |
|
|---|---|---|---|---|
| 初回投与 | 115 | 62.08±28.26 | 2.92[1.71-6.94] | 761±295 |
| 維持投与 | 96 | 119.46±113.93 | 2.99[1.85-84.01] | 3380±2423 |
平均値±標準偏差
a)中央値[最小値‒最大値]
b)初回及び維持投与について、それぞれAUC0-28day及びAUC280-364dayとして表示
16.2 吸収
海外健康高齢男性30例に総投与量として3.7~49.4μg/kgを48時間静脈内持続投与注)した際の血漿中濃度及び日本人前立腺癌患者114例にデガレリクス初回用量240mg(40mg/mL)を皮下投与し、初回投与4週間後より、4週ごとにデガレリクス維持用量80mg(20mg/mL)を皮下投与した際の血漿中濃度、並びに日本人前立腺癌患者71例にデガレリクス初回用量240mg(40mg/mL)を皮下投与し、初回投与4週間後より、12週ごとにデガレリクス維持用量480mg(60mg/mL)を皮下投与した際の血漿中濃度を用いた母集団薬物動態解析において、バイオアベイラビリティの母集団平均は、投与液濃度が20、40及び60mg/mLのとき、それぞれ0.64、0.42及び0.27と推定された。なお、日本人前立腺癌患者の抗体陽性例のデータは解析から除外した8)。
16.3 分布
健康成人男性6例にデガレリクス30μg/kgを静脈内持続投与注)し、投与終了後1~24時間に採取したサンプルを使用したex vivo試験では、血漿中デガレリクス濃度が3.83~98.60ng/mLの範囲における血漿蛋白結合率は85.3~92.4%であった(外国人データ)。In vitro試験において、デガレリクスは主にアルブミン及びα1‒酸性糖蛋白に結合した9)。
16.4 代謝
In vitro試験において、デガレリクスはCYPによりほとんど代謝されず、プロテアーゼによる加水分解によってペプチド鎖に分解されると推定された10)。
16.5 排泄
健康成人男性24例にデガレリクス1.5~30μg/kgを静脈内持続投与注)したとき、デガレリクスの尿中未変化体排泄率は17.2~19.8%であった。また、健康成人男性8例にデガレリクス1mgを静脈内持続投与注)したとき、デガレリクスの尿中未変化体排泄率は31.2%であった(外国人データ)11),12)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎機能障害患者
海外健康高齢男性30例に総投与量として3.7~49.4μg/kgを48時間静脈内持続投与注)した際の血漿中濃度及び日本人前立腺癌患者114例にデガレリクス初回用量240mg(40mg/mL)を皮下投与し、初回投与4週間後より、4週ごとにデガレリクス維持用量80mg(20mg/mL)を皮下投与した際の血漿中濃度、並びに日本人前立腺癌患者71例にデガレリクス初回用量240mg(40mg/mL)を皮下投与し、初回投与4週間後より、12週ごとにデガレリクス維持用量480mg(60mg/mL)を皮下投与した際の血漿中濃度を用いた母集団薬物動態解析において、推定糸球体ろ過速度(eGFR)に基づいて腎機能を分類し、腎機能の低下がデガレリクスの薬物動態に及ぼす影響を検討した。軽度(60≦eGFR<90mL/min/1.73m2、136例)、中等度(30≦eGFR<60mL/min/1.73m2、57例)及び重度腎機能障害患者(15≦eGFR<30mL/min/1.73m2、3例)では、腎機能正常者(eGFR≧90mL/min/1.73m2、19例)と比べて、デガレリクスのクリアランスは軽度腎機能障害患者で平均17.8%、中等度・重度腎機能障害患者では平均30.7%低いと推定された。なお、日本人前立腺癌患者の抗体陽性例のデータは解析から除外した8)。
- 16.6.2肝機能障害患者
健康成人及び肝機能障害患者にデガレリクス1mgを静脈内持続投与注)したときの薬物動態パラメータは下表のとおりである11)(外国人データ)。
| 投与群 | n | Cmax (ng/mL) |
AUC (ng・h/mL) |
t1/2a) (h) |
CL (L/h) |
|---|---|---|---|---|---|
| 健康成人 | 8 | 57.4±4.77 | 322±45.2 | 16.6 [12.8‒25.2] |
3.17±0.472 |
| 軽度肝機能障害患者 (Child-Pughスコア6以下) |
8 | 48.8±10.4 | 292±42.1 | 18.9 [15.8‒24.0] |
3.49±0.476 |
| 中等度肝機能障害患者 (Child-Pughスコア7~9) |
8 | 40.0±5.13 | 272±59.8 | 17.9 [14.0‒24.8] |
3.84±0.894 |
平均値±標準偏差
a)平均値[最小値‒最大値]
注)本剤の承認された投与方法は皮下投与である。