Clinical snapshot

コムタン錠100mg

エンタカポン

添付文書改訂 2024年12月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2悪性症候群、横紋筋融解症又はこれらの既往歴のある患者

効能・効果

レボドパ・カルビドパ又はレボドパ・ベンセラジド塩酸塩との併用によるパーキンソン病における症状の日内変動(wearing-off現象)の改善

用法・用量

本剤は単独では使用せず、必ずレボドパ・カルビドパ又はレボドパ・ベンセラジド塩酸塩と併用する。 通常、成人にはエンタカポンとして1回100mgを経口投与する。 なお、症状によりエンタカポンとして1回200mgを投与することができる。 ただし、1日8回を超えないこと。

使用上の注意

  1. 8.1本剤はレボドパの生物学的利用率を高めるため、レボドパによるドパミン作動性の副作用(ジスキネジー等)があらわれる場合がある。このため、抗パーキンソン剤を併用する場合には、これらの投与量を調節するなど、患者の状態を注意深く観察しながら投与すること。

  2. 8.2本剤の投与を中止する場合には、パーキンソン病患者でみられる悪性症候群や横紋筋融解症が発現するおそれがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与量を漸減し、必要に応じて併用しているレボドパ・カルビドパ又はレボドパ・ベンセラジド塩酸塩を増量するなど注意深く行うこと。

  3. 8.3前兆のない突発的睡眠、傾眠、起立性低血圧があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転、高所での作業等、危険を伴う作業には従事させないように注意すること。

  4. 8.4*本剤は常にレボドパ・カルビドパ又はレボドパ・ベンセラジド塩酸塩と併せて経口投与されるため、使用前に必ずレボドパ・カルビドパあるいはレボドパ・ベンセラジド塩酸塩の電子添文に留意すること。

  5. 8.5本剤とレボドパの併用療法においても、レボドパ又はドパミン受容体作動薬を投与された患者と同様に、病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害が報告されているので、このような症状が発現した場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また、患者及び家族等にこのような衝動制御障害の症状について説明すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1*褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者

高血圧クリーゼのリスクが増大するおそれがある。

  1. 9.1.2体重40kg未満の低体重の患者

1回200mgを投与した場合、ジスキネジーの発現が増加することがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1肝障害又はその既往歴のある患者

肝障害のある患者で本剤の血中濃度が上昇したとの報告がある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。生殖発生毒性試験において、ラットの1,000mg/kg/日投与群で胎児の骨化遅延が認められている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で母乳中へ移行するとの報告がある。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能(腎機能、肝機能等)が低下している。

相互作用

  • 本剤はカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤であり、COMTによって代謝される薬剤の血中薬物濃度を増加させる可能性があるので、このような薬剤と併用する場合には注意して投与すること。また、本剤は薬物代謝酵素CYP2C9を阻害することが示唆されていることから、本酵素により代謝される薬剤と併用する場合には注意して投与すること。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
COMTにより代謝される薬剤
• アドレナリン
ノルアドレナリン
イソプレナリン
ドパミン等
心拍数増加、不整脈、血圧変動があらわれるおそれがある。
吸入を含めて投与経路にかかわらず注意すること。
カテコール基を有するこれらの薬剤はCOMTにより代謝されるが、本剤はこれらの薬剤の代謝を阻害し、作用を増強させる可能性がある。
選択的MAO-B阻害剤
• セレギリン等
血圧上昇等を起こすおそれがある。本剤とセレギリンとの相互作用は認められていないが、本剤とセレギリンを併用する場合は、セレギリンの1日量は10mgを超えないこと。 選択的MAO-B阻害剤は用量の増加とともにMAO-Bの選択的阻害効果が低下し、非選択的MAO阻害による危険性があるため、本剤との併用により、生理的なカテコールアミンの代謝が阻害される可能性がある。
ワルファリン 本剤はR-ワルファリン(光学異性体)のAUCを18%増加させ、プロトロンビン比(INR値)を13%増加させたとの報告がある。
併用する場合にはINR等の血液凝固能の変動に十分注意すること。
機序は不明である。
鉄剤 鉄剤の効果が減弱する。鉄剤と併用する場合は、少なくとも2~3時間以上あけて服用すること。 本剤は消化管内で鉄とキレートを形成することがある。
イストラデフィリン ジスキネジーの発現頻度の上昇が認められた。 機序は不明である。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
1〜5%未満
5%以上
頻度不明
5%以上
1%未満
5%以上
頻度不明
頻度不明
1%未満
頻度不明
5%以上
5%以上
ALP増加 1〜5%未満
ALT増加 1〜5%未満
AST増加 1〜5%未満
BUN上昇 1〜5%未満
CK増加 1〜5%未満
LDH増加 1〜5%未満
γ-GTP増加 1%未満
けん怠感 1〜5%未満
ジスキネジー(37.5%) 5%以上
ジストニー 5%以上
パーキンソニズム悪化(アップダウン現象等) 1〜5%未満
ヘマトクリット減少 1%未満
ヘモグロビン減少 1〜5%未満
レッチング 1〜5%未満
上腹部痛 1〜5%未満
下痢注1) 1〜5%未満
不安 1%未満
不眠症 5%以上
体位性めまい 1〜5%未満
体重減少 1〜5%未満
便秘(20.2%) 5%以上
口渇 1〜5%未満
味覚異常 1%未満
呼吸困難 1%未満
嘔吐 1〜5%未満
回転性めまい 頻度不明
多汗症 1%未満
大腸炎 頻度不明
失神 頻度不明
妄想 1〜5%未満
尿潜血陽性 1〜5%未満
悪夢 1〜5%未満
悪心 5%以上
振戦 1%未満
斑状丘疹状の皮疹 頻度不明
末梢性浮腫 1〜5%未満
浮動性めまい 1〜5%未満
消化不良 1〜5%未満
激越 頻度不明
無力症 頻度不明
疲労 頻度不明
病的性欲亢進 1%未満
白血球数増加 1〜5%未満
白血球数減少 1〜5%未満
皮膚・毛髪・髭・爪の変色 頻度不明
着色尿注2)(14.4%) 5%以上
筋痙攣 1%未満
筋痛 1〜5%未満
紅斑性 頻度不明
紫斑 頻度不明
細菌感染 頻度不明
胃不快感 1〜5%未満
胃炎 1〜5%未満
背部痛 1%未満
腹痛 1%未満
蕁麻疹 頻度不明
血圧低下 1〜5%未満
血清鉄減少 頻度不明
貧血 5%以上
赤血球数減少 1〜5%未満
起立性低血圧 1〜5%未満
転倒 1〜5%未満
運動低下 頻度不明
運動過多 1%未満
鉄欠乏性貧血 1%未満
関節痛 1〜5%未満
頭痛 1〜5%未満
頻尿 1〜5%未満
食欲不振 1〜5%未満
高血圧 1〜5%未満
鼓腸 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

エンタカポンは末梢COMT阻害剤であり、レボドパ・カルビドパ又はレボドパ・ベンセラジド塩酸塩と併用される。本剤は、レボドパから3-O-メチルドパ(3-OMD)の代謝経路を阻害することでレボドパの生物学的利用率を増大させ、そのため血中レボドパの脳内移行を効率化する。

18.2 COMT阻害作用

  1. 18.2.1COMT活性に対するエンタカポンの阻害作用は強く、ドパミンβ水酸化酵素、チロシン水酸化酵素、ドパ脱炭酸化酵素、MAO-A及びMAO-Bに対する阻害作用は弱い15)(in vitro)。

  2. 18.2.2十二指腸や肝臓等の末梢COMT活性に対するエンタカポンの阻害作用は強く、線条体COMT活性に対する阻害作用は弱い16)(ex vivo、ラット)。

  3. 18.2.3エンタカポンは血清レボドパのAUCを増加させ、3-OMDのAUCを減少させる17)(in vivo、ラット)。

  4. 18.2.4エンタカポンは線条体ドパミン量を増加させる17)(ex vivo、ラット)。

18.3 パーキンソン病モデルにおけるレボドパ作用の増強効果

  1. 18.3.1エンタカポンはレセルピン処置マウスの運動活性に対するレボドパの作用を増強する18)。

  2. 18.3.2エンタカポンは片側ドパミン神経破壊ラットの対側回転行動に対するレボドパの作用を増強する19),20)。

  3. 18.3.3エンタカポンは1-Methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropyridine(MPTP)処置マーモセットの運動活性及び運動機能障害に対するレボドパの作用を増強する21)。

薬物動態

16.1 血中濃度

本剤100mg及び200mgを日本人患者に単回経口投与したとき、未変化体のCmaxはそれぞれ平均873ng/mL及び1,903ng/mL、AUC0-4はそれぞれ平均979ng・h/mL及び2,246ng・h/mLで、両パラメータは投与量にほぼ比例した1)。また、日本人患者でのCmax及びAUCは外国人患者での値(100mg投与時でCmax:705ng/mL、AUC0-4:835ng・h/mL、25例の平均値)と比較し高い傾向が認められた2)。

投与量 Cmax
(ng/mL)注1)
Tmax
(h)注1)
AUC0-4
(ng・h/mL)注1)
t1/2
(h)
100mg 873±676 1.28±0.96 979±389 0.85±0.52注2)
200mg 1,903±1,222 1.09±1.05 2,246±880 0.75±0.44注3)

注1)22例、注2)16例、注3)17例

日本人患者に単回経口投与したときの血漿中未変化体濃度推移(平均値±標準偏差、22例)

日本人健康成人に25~800mgを単回経口投与したとき、Cmax及びAUCは投与量にほぼ比例し、体内動態は線形であった3)。また、200mg及び400mgを4時間毎に4回連続投与したとき、明確な累積傾向は認められなかった4)。

16.2 吸収

外国人健康成人において経口投与時のバイオアベイラビリティーは約32~38%であった5)。日本人健康成人に空腹時又は食事後30分に経口投与した場合、両投与条件でCmax及びAUCに差はなく、食事の影響は認められなかった6)。

16.3 分布

本剤は主に血清アルブミンと結合し、血漿タンパク結合率は約98%であった。In vitro試験で、本剤のタンパク結合はワルファリン、サリチル酸、フェニルブタゾン、ジアゼパムによる置換を受けなかった。また、本剤はこれらの薬剤のタンパク結合に影響を与えなかった7)。本剤は血球へはほとんど移行しない。

16.4 代謝

本剤はZ体(in vitro COMT活性阻害作用は未変化体と同程度)への異性化を受ける。日本人健康成人における25~800mgの単回経口投与においてZ体のCmax及びAUCは未変化体(E体)の3~8%であった。また、未変化体及びZ体はグルクロン酸抱合を受ける3)。 ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験から、本剤はチトクロームP450 CYP2C9を阻害することが示唆された(IC50は約4μM)。 その他のP450アイソザイム(CYP1A2、CYP2A6、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A及びCYP2C19)は阻害しない、もしくは、わずかに阻害する程度である8)。

16.5 排泄

日本人健康成人における25~800mgの単回経口投与において、未変化体及びZ体の尿中排泄率はそれぞれ0.1~0.2%及び0.1%未満であった。未変化体及びZ体のグルクロン酸抱合体の尿中排泄率はそれぞれ4.6~7.2%及び1.5~2.1%であった。本剤及び代謝物は体内から尿中及び胆汁へ排泄されると考えられる3)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

外国人における経口投与において腎機能正常群(クレアチニンクリアランス〉1.12mL/秒/1.73m2)、腎機能中等度障害患者群(クレアチニンクリアランス0.60~0.89mL/秒/1.73m2)、重症障害患者群(クレアチニンクリアランス0.20~0.44mL/秒/1.73m2)、透析患者群の4群間で薬物動態パラメータを比較した結果、本剤の薬物動態に対する腎機能の重大な影響は認められなかった9)。透析治療患者では投与間隔の延長を必要に応じて考慮する。

  1. 16.6.2肝機能障害患者

アルコール性肝硬変を有する外国人肝障害患者に経口投与した場合、健康成人に比べてAUC及びCmaxが約2倍高かった10)。本剤の主排泄経路は胆汁排泄であると考えられるため胆管閉塞患者では排泄が遅延する可能性がある3)。

  1. 16.6.3高齢者

外国人健康成人を対象とした経口投与において高齢者と非高齢者で薬物動態パラメータに差は認められなかった11)。