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ゲムシタビン点滴静注液1g/25mL「サンド」

ゲムシタビン塩酸塩注射液

添付文書改訂 2025年09月01日

【警告】

  1. 1.1本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

  2. 1.2週1回投与を30分間点滴静注により行うこと。外国の臨床試験において、週2回以上あるいは1回の点滴を60分以上かけて行うと、副作用が増強した例が報告されている。

  3. 1.3「2.禁忌」、「9.特定の背景を有する患者に関する注意」の項を参照して適応患者の選択に十分注意すること。

  4. 1.4高度な骨髄抑制のある患者には投与しないこと。骨髄抑制は用量規制因子であり、感染症又は出血を伴い、重篤化する可能性がある。骨髄抑制に起因したと考えられる死亡例が報告されている。

  5. 1.5胸部単純X線写真で明らかで、かつ臨床症状のある間質性肺炎又は肺線維症のある患者には投与しないこと。間質性肺炎に起因したと考えられる死亡例が報告されている。

  6. 1.6放射線増感作用を期待する胸部への放射線療法との同時併用は避けること。外国の臨床試験において、本剤と胸部への根治的放射線療法との併用により、重篤な食道炎、肺臓炎が発現し、死亡に至った例が報告されている。

  7. 1.7投与に際しては臨床症状を十分に観察し、頻回に臨床検査(血液学的検査、肝機能検査、腎機能検査等)を、また、定期的に胸部X線検査等を行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うとともに、投与継続の可否について慎重に検討すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1高度な骨髄抑制のある患者[骨髄抑制が増悪し、致命的となることがある。]

  2. 2.2胸部単純X線写真で明らかで、かつ臨床症状のある間質性肺炎又は肺線維症のある患者[症状が増悪し、致命的となることがある。]

  3. 2.3胸部への放射線療法を施行している患者

  4. 2.4重症感染症を合併している患者[感染症が増悪し、致命的となることがある。]

  5. 2.5本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者

  6. 2.6妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

〇非小細胞肺癌 〇膵癌 〇胆道癌 〇尿路上皮癌 〇手術不能又は再発乳癌 〇がん化学療法後に増悪した卵巣癌 〇再発又は難治性の悪性リンパ腫

用法・用量

  • 〈膵癌、胆道癌、尿路上皮癌、がん化学療法後に増悪した卵巣癌、再発又は難治性の悪性リンパ腫〉

通常、成人にはゲムシタビンとして1回1000mg/m2を30分かけて点滴静注し、週1回投与を3週連続し、4週目は休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

  • 〈非小細胞肺癌〉

通常、成人にはゲムシタビンとして1回1000mg/m2を30分かけて点滴静注し、週1回投与を3週連続し、4週目は休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。シスプラチンと併用する場合は、ゲムシタビンとして1回1250mg/m2を30分かけて点滴静注し、週1回投与を2週連続し、3週目は休薬を1コースとすることもできる。なお、患者の状態により適宜減量する。

  • 〈手術不能又は再発乳癌〉

通常、成人にはゲムシタビンとして1回1250mg/m2を30分かけて点滴静注し、週1回投与を2週連続し、3週目は休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1腫瘍の明らかな増大、新病変の出現等、病態の進行が認められた場合には投与を中止し、他の適切な治療法に切り替えること。

  2. 8.2骨髄抑制、間質性肺炎等の重篤な副作用が起こることがあり、ときに致命的な経過をたどることがあるので、投与に際しては臨床症状を十分に観察し、頻回に臨床検査(血液学的検査、肝機能検査、腎機能検査等)を、また、定期的に胸部X線検査を行うこと。

  3. 8.2.1骨髄抑制

本剤の投与にあたっては、白血球数及び血小板数の変動に十分留意し、投与当日の白血球数が2000/μL未満又は血小板数が7万/μL未満であれば、骨髄機能が回復するまで投与を延期すること。また、前治療により、骨髄機能が低下している患者では、骨髄抑制が強くあらわれることがあるので、これらの患者では投与量を適宜減量し、臨床検査値に十分注意すること。本剤を週1回3週連続投与した場合、白血球数及び好中球数の最低値は投与開始平均約2~3週間後にあらわれ、最低値発現日から約1週間で回復する。

  1. 8.2.2間質性肺炎等の肺毒性

本剤の投与にあたっては、臨床症状(呼吸状態、咳及び発熱等の有無)を十分に観察し、定期的に胸部X線検査を行うこと。また、必要に応じて胸部CT検査、動脈血酸素分圧(PaO2)、肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)、肺拡散能力(DLco)などの検査を行うこと。

  1. 8.3感染症の発現又は増悪に十分注意すること。

  2. 8.4本剤投与時に傾眠が認められることがあるので、このような症状が発現しないことが確認されるまで、自動車の運転等は行わないように注意すること。

  • 〈卵巣癌、悪性リンパ腫〉
  1. 8.5関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:ゲムシタビン塩酸塩(卵巣癌)」、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:ゲムシタビン塩酸塩(再発・難治性悪性リンパ腫)」等)を熟読すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1骨髄抑制のある患者(高度を除く)

  2. 9.1.2間質性肺炎又は肺線維症の既往歴のある患者

間質性肺炎等の重篤な肺毒性を起こすことがある。

  1. 9.1.3心筋梗塞の既往のある患者

心筋梗塞がみられることがある。

9.2 腎機能障害患者

副作用があらわれやすくなることがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1肝障害(肝転移、肝炎、肝硬変等)、アルコール依存症の既往又は合併のある患者

肝機能の悪化を引き起こすことがある。

9.4 生殖能を有する者

  1. 9.4.1生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には生殖器に対する影響を考慮すること。動物実験(マウス、ウサギ)において、生殖毒性(先天性異常、胚胎発育、妊娠経過、周産期発育あるいは生後発育に対する影響等)が報告されている。

  2. 9.4.2*男性には、本剤投与中及び最終投与後3ヵ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。

  3. 9.4.3*妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後6ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(マウス、ウサギ)で催奇形作用及び胎児致死作用が報告されている。

9.6 授乳婦

授乳を避けさせること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

骨髄抑制等の副作用の発現に注意し、慎重に投与すること。腎機能、肝機能等の生理機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがある。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• 胸部放射線照射 外国の臨床試験で本剤(1000mg/m2/日を週1回放射線照射前に投与)と胸部への根治的放射線療法(2Gy/日を週5回)を6週連続して併用した場合に、重篤な食道炎、肺臓炎が発現し、死亡に至った例が報告されている。放射線照射を併用した場合の本剤の至適用量は確立されていないので、放射線増感作用を期待する胸部への放射線療法との同時併用は避けること。 基礎試験で本剤は濃度依存的に放射線照射の効果を増強し、本剤による放射線感受性増加が認められている。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• 腹部放射線照射 腹部放射線療法(体外照射)と同時併用する場合、重篤となる局所の合併症が発現することがある。なお、術中放射線照射と併用した際の本剤の安全性は確認されていない。 基礎試験で本剤は濃度依存的に放射線照射の効果を増強し、本剤による放射線感受性増加が認められている。
• 他の抗悪性腫瘍剤• アルキル化剤
• 代謝拮抗剤
• 抗生物質
• アルカロイド等
骨髄抑制が増強されることがある。 両剤とも骨髄抑制を有している。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
A/G比低下 頻度不明
Al-P上昇 頻度不明
ALT上昇 頻度不明
AST上昇 頻度不明
BUN上昇 頻度不明
CRP上昇 頻度不明
LDH上昇 頻度不明
PIE(肺好酸球浸潤)症候群 1%未満
γ-GTP上昇 頻度不明
アルブミン低下 頻度不明
インフルエンザ様症状(倦怠感 頻度不明
ウロビリン尿 頻度不明
クレアチニン上昇 頻度不明
しびれ 1%未満
そう痒感 頻度不明
ビリルビン上昇 頻度不明
ほてり 頻度不明
めまい 頻度不明
下痢 頻度不明
不眠 頻度不明
乏尿 1%未満
低酸素血 頻度不明
体温低下 1%未満
体重増加 頻度不明
体重減少 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感注2) 頻度不明
動悸 1%未満
口内炎 頻度不明
味覚異常注2) 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咳嗽 頻度不明
喀痰 1%未満
喘鳴 1%未満
嗜眠 1%未満
好酸球増多 頻度不明
尿糖陽性 頻度不明
心室性期外収縮 1%未満
心電図異常(ST上昇) 1%未満
息切れ 1%未満
悪寒 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心・嘔吐 頻度不明
放射線照射リコール反応 頻度不明
末梢性壊疽 1%未満
末梢性血管炎注2) 頻度不明
歯肉炎 1%未満
注射部位反応(静脈炎 頻度不明
浮腫 頻度不明
無力症 頻度不明
無力症 1%未満
狭心痛 1%未満
疲労感 頻度不明
疼痛 頻度不明
疼痛注2) 頻度不明
発作性上室頻拍 1%未満
発汗 頻度不明
発熱 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
眼底出血 1%未満
眼脂 1%未満
知覚異常注2) 頻度不明
筋痛 頻度不明
紅斑) 頻度不明
総蛋白低下 頻度不明
耳鳴り 1%未満
胃部不快感 頻度不明
胸部不快感 頻度不明
脱毛注2) 頻度不明
蕁麻疹 1%未満
蛋白尿 頻度不明
血圧上昇 頻度不明
血圧低下 1%未満
血小板増加 頻度不明
血尿 頻度不明
関節痛注2) 頻度不明
電解質異常 頻度不明
頭痛 頻度不明
頭痛 頻度不明
頻脈 頻度不明
顔面浮腫 1%未満
食欲不振 頻度不明
高炭酸ガス血症注1) 頻度不明
鼻出血 頻度不明
鼻炎等) 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ゲムシタビン(dFdC)は細胞内で代謝されて活性型のヌクレオチドである二リン酸化物(dFdCDP)及び三リン酸化物(dFdCTP)となり15)、これらがDNA合成を直接的及び間接的に阻害することにより殺細胞作用を示す16)。直接的には、dFdCTPがデオキシシチジン三リン酸(dCTP)と競合しながら16)DNAポリメラーゼによりDNA鎖に取り込まれた後、細胞死(アポトーシス)を誘発する17)。また、dFdCDPはリボヌクレオチドレダクターゼを阻害することにより18),19)、細胞内のdCTP濃度を低下させるため、間接的にDNA合成阻害が増強される。

18.2 抗腫瘍効果

ゲムシタビン(dFdC)は、非小細胞肺癌や乳癌をはじめとする第1継代ヒト固形腫瘍細胞、並びに他の様々なマウス及びヒトの腫瘍細胞に対して殺細胞作用を示し20),21),22),23),24),25),26),27)、その作用は濃度及び時間依存的であった21),23)。dFdCは、異種移植ヒト固形腫瘍モデルを用いた試験においても、非小細胞肺癌細胞(CALU-6)、乳癌細胞(H-31、H-71)及び他の様々な腫瘍細胞に対してスケジュール依存的に25)抗腫瘍効果を示した26),28),29),30),31)。 すなわち、3~4日に1回の投与により非致死量で優れた抗腫瘍効果がみられるのに対して、1日1回の投与においては毒性が強く抗腫瘍効果は認められなかった。この異種移植ヒト腫瘍モデルにおいては、従来の抗癌剤には低感受性であることが知られているヒト肺癌細胞(H-74及びCPH SCLC54B)にも有効性がみられた29),30)。また、ヒト膵癌細胞(MIA PaCa-2及びPANC-1)32)、ヒト胆道癌細胞(TGBC2TKB及びHuCCT1)及びヒト尿路上皮癌細胞(639-V、BFTC-909、RT-4、RT-112)においても腫瘍増殖抑制効果が認められた。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

膵癌患者11例にゲムシタビン塩酸塩1回1000mg/m2を30分間かけて点滴静注し、高速液体クロマトグラフ(HPLC)法にて未変化体(ゲムシタビン)の血漿中濃度を測定した。第1コースの第1投与日に得られたゲムシタビンの薬物動態パラメーターを以下に示した1)。

パラメータ 平均±標準偏差
血漿クリアランス(CL) 85.6±17.8(L/hr/m2)
中心コンパートメントの分布容積(V1) 8.80±7.49(L/m2)
末梢コンパートメントの分布容積(V2) 6.95±2.26(L/m2)
コンパートメント間分布クリアランス(Q) 22.3±11.1(L/hr/m2)
α相の消失半減期(T1/2α) 3.1±2.0(min)
β相の消失半減期(T1/2β) 18.9±4.0(min)
最高血漿中濃度(Cmax) 21865±4165(ng/mL)
血漿中濃度時間下面積(AUC0-∞) 12100±2227(ng・hr/mL)
  1. 16.1.2外国での臨床試験におけるPopulation Pharmacokinetics解析

国内での成績とほぼ同様の結果であったが、外国における試験では血漿クリアランスが年齢によって影響を受けることが示唆されており、高齢者では血漿クリアランスが減少する傾向を認めた2)(外国人データ)。

16.3 分布

In vitroにおけるヒト血漿中蛋白結合率は約10%であった3)。

16.5 排泄

外国で実施した臨床試験において、進行性癌患者5例に14C-ゲムシタビン塩酸塩1000mg/m2を点滴静注した後に、7日間採取した尿・糞中から92~98%の放射活性が回収された。そのうち99%以上が尿に回収されたので、ゲムシタビンの主な排泄経路は尿とされた。尿中総放射活性は未変化体の放射活性とウラシル体代謝物の放射活性の和に等しいことより、ヒトの主な代謝物はウラシル体と考えられた。尿中未変化体量は投与量の10%未満であった4)(外国人データ)。