Clinical snapshot

グラニセトロン点滴静注バッグ1mg/50mL「NIG」

グラニセトロン塩酸塩注射液

添付文書改訂 2026年02月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与及び放射線照射に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)

  • 術後の消化器症状(悪心、嘔吐)

用法・用量

  • 〈抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)〉

成人:通常、成人にはグラニセトロンとして40μg/kgを1日1回点滴静注する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、症状が改善されない場合には、40μg/kgを1回追加投与できる。

小児:通常、小児にはグラニセトロンとして40μg/kgを1日1回点滴静注する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、症状が改善されない場合には、40μg/kgを1回追加投与できる。

  • 〈放射線照射に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)〉

通常、成人にはグラニセトロンとして1回40μg/kgを点滴静注する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、1日2回投与までとする。

  • 〈術後の消化器症状(悪心、嘔吐)〉

通常、成人にはグラニセトロンとして1回1mgを点滴静注する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、1日3mgまでとする。

使用上の注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1心臓、循環器系機能障害のある患者
  • (生理食塩液に関する注意)

循環血液量を増すことから心臓に負担をかけ、症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.2消化管通過障害の症状のある患者

本剤投与後観察を十分に行うこと。本剤の投与により消化管運動の低下があらわれることがある。

9.2 腎機能障害患者

  • (生理食塩液に関する注意)

水分、塩化ナトリウムの過剰投与に陥りやすく、症状が悪化するおそれがある。

9.5 妊婦

治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠前及び妊娠初期投与(ラット、0.1~6.0mg/kg皮下)、胎児の器官形成期投与(ラット、0.3~9.0mg/kg静注、ウサギ、0.3~3.0mg/kg静注)、周産期及び授乳期投与(ラット、0.1~6.0mg/kg皮下)の各試験において、雌雄の生殖能、次世代児の発育・生殖能に影響はなく、催奇性もみられなかった1),2)。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。授乳中のラットに14C標識グラニセトロン塩酸塩3mg/kgを静脈内投与し、乳児に哺乳させた際の乳児の胃(乳汁を含む内容物)中の放射能を測定したところ、投与量の0.5%以下であった3)。

9.7 小児等

  • 〈抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)〉
  1. 9.7.1低出生体重児、新生児、乳児を対象とした臨床試験は実施していない。
  • 〈放射線照射に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)、術後の消化器症状(悪心、嘔吐)〉
  1. 9.7.2小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

副作用の発現に注意し、慎重に投与すること。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
セロトニン作用薬
• 選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)
MAO阻害剤 等
セロトニン症候群(不安、焦燥、興奮、錯乱、発熱、発汗、頻脈、振戦、ミオクローヌス等)があらわれるおそれがある。 セロトニン作用が増強するおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT(GPT)上昇等の肝機能検査値異常 頻度不明
AST(GOT) 頻度不明
めまい 頻度不明
下痢 頻度不明
不眠 頻度不明
便秘 頻度不明
全身倦怠感 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
発赤 頻度不明
胃もたれ感 頻度不明
腹痛 頻度不明
頭痛 頻度不明
頻脈 頻度不明
顔面潮紅 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

  1. 18.1.1各種受容体に対する親和性15)

ラット又はモルモット脳標本を用いて、各種受容体に対するグラニセトロン塩酸塩の親和性を検討したところ、グラニセトロンは5-HT3受容体に対しては極めて高い親和性を示したが(Ki値=0.26nM)、5-HT1(5-HT1A、5-HT1B/C、5-HT1C)、5-HT2、ドパミンD2、アドレナリンα1、α2及びβ、ベンゾジアゼピン、ピクロトキシン並びにヒスタミンH1、オピオイドμ、κ及びδの各受容体に対する親和性はほとんど認められなかった(Ki値>1000nM)。

  1. 18.1.25-HT誘発徐脈に対する作用16)

5-HTによる5-HT3受容体を介した一過性の徐脈(von Bezold-Jarisch reflex)に対する作用を麻酔ラットで検討したところ、グラニセトロン塩酸塩はこの反射を用量依存的に抑制した。

18.2 抗悪性腫瘍剤誘発嘔吐の抑制

  1. 18.2.1シスプラチン誘発嘔吐の抑制17),18)

フェレットにグラニセトロン塩酸塩を静注し、15分後にシスプラチン10mg/kgを静注したところ、グラニセトロン塩酸塩0.5mg/kg以上で嘔吐回数の有意な減少及び嘔吐潜伏時間の有意な延長が認められた。

  1. 18.2.2シスプラチン誘発嘔吐に対する制吐作用17)

フェレットにシスプラチン10mg/kgを静注し、嘔吐を生じさせて、グラニセトロン塩酸塩0.5mg/kgを静注したところ、嘔吐は投与後30秒以内に抑制された。

  1. 18.2.3ドキソルビシンとシクロホスファミド併用による誘発嘔吐に対する作用17)

フェレットにドキソルビシン6mg/kgとシクロホスファミド80mg/kgを静注する30分前及び30分後の2回、グラニセトロン塩酸塩0.5mg/kgを静注したところ、嘔吐回数の減少及び嘔吐潜伏時間の延長が認められた。

18.3 放射線照射誘発嘔吐の抑制

  1. 18.3.1放射線全身照射誘発嘔吐に対する作用19)

フェレットにグラニセトロン塩酸塩を静注し、15分後に放射線全身照射を行ったところ、グラニセトロン塩酸塩0.05mg/kg以上で嘔吐回数の有意な減少及び嘔吐潜伏時間の有意な延長が認められた。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1日本人における成績

  2. (1)単回静脈内点滴投与4),5)

健康成人男子6例にグラニセトロンとして40μg/kgを30分かけて静脈内点滴投与した。血漿中濃度は点滴終了時に最高値を示し、以後2相性に消失した。

投与量
(μg/kg)
Cmax
(ng/mL)
t1/2β
(hr)
AUC
(ng・hr/mL)
Vd
(L/kg)
40 19.48±6.05 3.14±1.20 63.06±36.54 3.30±1.22

mean±SD

  1. (2)単回静脈内投与6)

健康成人男子11例にグラニセトロンとして40μg/kgを2分間かけて静脈内投与した。血漿中濃度は投与後5分で最高値に達し、以後2相性に消失した。

投与量
(μg/kg)
Cmax
(ng/mL)
t1/2
(hr)
AUC
(ng・hr/mL)
40 42.77±22.33 3.18±1.57 64.99±39.60

mean±SD

  1. 16.1.2外国人における成績7)(参考)

欧米人小児癌患者(2~16歳、36例)にグラニセトロンとして40μg/kgを30分かけて静脈内点滴投与した。血漿中濃度は点滴終了時に最高値を示した(各患者の採血時間が異なるため、薬物動態学的パラメータは中央値と最小-最大で示した)。

投与量
(μg/kg)
Cmax
(ng/mL)
t1/2
(hr)
AUC
(ng・hr/mL)
Vd
(L/kg)
40 43.1
(14.3-276)
n=36
5.63
(0.9-21.1)
n=27
185
(43.7-781)
n=22
1.34
(0.541-2.71)
n=22

中央値(最小-最大)

16.4 代謝

  1. 16.4.1代謝部位8)

肝臓

  1. 16.4.2代謝経路8)

グラニセトロンは水酸化及び脱メチル化の代謝を受け、主な代謝は芳香環7位の水酸化である。 ヒト肝ミクロゾームを用いて行なったin vitro試験の結果では、グラニセトロンの芳香環7位の水酸化及びN-脱メチル化の代謝にはP450(CYP3A)の関与が報告されている。

  1. 16.4.3尿中代謝物9)

尿中代謝物は、7-hydroxyの遊離型及び抱合型が主であり、N9'-desmethyl及びN1-desmethylも認められた。

16.5 排泄

  1. 16.5.1排泄部位9)

主な排泄経路は腎臓。

  1. 16.5.2排泄率

  2. (1)単回静脈内点滴投与4)

健康成人男子6例に、グラニセトロンとして40μg/kgを30分かけて静脈内点滴投与した際の尿中排泄を検討した。その結果、グラニセトロンの平均排泄率は以下のとおりであった。

時間(hr) 0~2 2~4 4~6 6~12 12~24 24~48
排泄率 7.6% 2.1% 1.9% 2.1% 1.8% 1.0%
  1. (2)単回静脈内投与6)

健康成人男子11例にグラニセトロンとして40μg/kgを約2分間かけて静脈内投与した際の48時間後までの尿中グラニセトロン排泄率は11.04%であった。