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クロピドグレル錠75mg「ケミファ」

クロピドグレル硫酸塩

添付文書改訂 2023年12月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1出血している患者(血友病、頭蓋内出血、消化管出血、尿路出血、喀血、硝子体出血等)[出血を助長するおそれがある。]

  2. 2.2本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 虚血性脳血管障害(心原性脳塞栓症を除く)後の再発抑制

  • 経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される下記の虚血性心疾患

  • 急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞) 安定狭心症、陳旧性心筋梗塞

  • 末梢動脈疾患における血栓・塞栓形成の抑制

用法・用量

  • 〈虚血性脳血管障害(心原性脳塞栓症を除く)後の再発抑制〉

通常、成人には、クロピドグレルとして75mgを1日1回経口投与するが、年齢、体重、症状によりクロピドグレルとして50mgを1日1回経口投与する。

  • 〈経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される虚血性心疾患〉

通常、成人には、投与開始日にクロピドグレルとして300mgを1日1回経口投与し、その後、維持量として1日1回75mgを経口投与する。

  • 〈末梢動脈疾患における血栓・塞栓形成の抑制〉

通常、成人には、クロピドグレルとして75mgを1日1回経口投与する。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、無顆粒球症、重篤な肝障害等の重大な副作用が発現することがあるので、投与開始後2ヵ月間は、2週間に1回程度の血液検査等の実施を考慮すること。

  2. 8.2本剤による血小板凝集抑制が問題となるような手術の場合には、14日以上前に投与を中止することが望ましい。なお、十分な休薬期間を設けることが出来ない場合は重大な出血のリスクが高まることが報告されているので十分に観察すること。また、投与中止期間中の血栓症や塞栓症のリスクの高い症例では、適切な発症抑制策を講じること。手術後に本剤の再投与が必要な場合には、手術部位の止血を確認してから再開すること。

  3. 8.3高血圧が持続する患者への投与は慎重に行い、本剤投与中は十分な血圧のコントロールを行うこと。

  4. 8.4再発の危険性の高い虚血性脳血管障害患者において、アスピリンと併用した時、クロピドグレル単剤に比べ重大な出血の発現率の増加が海外で報告されている1) 。

  5. 8.5出血を起こす危険性が高いと考えられる場合には、中止・減量等を考慮すること。

  6. 8.6後天性血友病(活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)の延長、第VIII因子活性低下等)があらわれることがある。aPTTの延長等が認められた場合には、出血の有無にかかわらず、後天性血友病の可能性を考慮し、専門医と連携するなど適切な処置を行うこと。

  7. 8.7患者には通常よりも出血しやすくなることを説明し、異常な出血が認められた場合には医師に連絡するよう注意を促すこと。また、他院(他科)を受診する際には、本剤を服用している旨を医師に必ず伝えるよう患者に注意を促すこと。

  • 〈経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される虚血性心疾患〉
  1. 8.8ローディングドーズ投与(投与開始日に300mgを投与すること)及びアスピリンとの併用によって出血のリスクが高まる可能性があることを十分考慮すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1次の患者では出血の危険性が高くなるおそれがある。
  • 出血傾向及びその素因のある患者

  • 高血圧が持続している患者

  • 低体重の患者

  1. 9.1.2他のチエノピリジン系薬剤(チクロピジン塩酸塩等)に対し過敏症の既往歴のある患者

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重篤な腎障害のある患者

出血の危険性が高くなるおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重篤な肝障害のある患者

出血の危険性が高くなるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

減量などを考慮し、患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。高齢者では造血機能、腎機能、肝機能等の生理機能が低下していることが多く、また体重が少ない傾向があり、出血等の副作用があらわれやすい。

相互作用

  • 本剤は、主にCYP2C19により活性代謝物に代謝される。また、本剤のグルクロン酸抱合体はCYP2C8を阻害する。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
非ステロイド性消炎鎮痛薬(ナプロキセン等) 本剤との併用により、消化管からの出血が助長されたとの報告がある。 本剤は血小板凝集抑制作用を有するため、これら薬剤と併用すると消化管出血を助長すると考えられている。
抗凝固薬(ワルファリン、ヘパリン等)、血小板凝集抑制作用を有する薬剤(アスピリン等)、血栓溶解薬(ウロキナーゼ、アルテプラーゼ等)
出血した時、それを助長するおそれがある。併用時には出血等の副作用に注意すること。 本剤は血小板凝集抑制作用を有するため、これら薬剤と併用すると出血を助長するおそれがある。
• 薬物代謝酵素(CYP2C19)を阻害する薬剤• オメプラゾール 本剤の作用が減弱するおそれがある。 CYP2C19を阻害することにより、本剤の活性代謝物の血中濃度が低下する。
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)(フルボキサミンマレイン酸塩、セルトラリン塩酸塩等) 出血を助長するおそれがある。 SSRIの投与により血小板凝集が阻害され、本剤との併用により出血を助長すると考えられる。
• 薬物代謝酵素(CYP2C8)の基質となる薬剤• レパグリニド レパグリニドの血中濃度が増加し、血糖降下作用が増強するおそれがある。 本剤のグルクロン酸抱合体によるCYP2C8阻害作用により、これら薬剤の血中濃度が増加すると考えられる。
セレキシパグ セレキシパグの活性代謝物(MRE-269)のCmax 及びAUC が増加したとの報告がある。本剤と併用する場合には、セレキシパグの減量を考慮すること。 本剤のグルクロン酸抱合体によるCYP2C8阻害作用により、これら薬剤の血中濃度が増加すると考えられる。
• 強力なCYP2C19誘導薬• リファンピシン 本剤の血小板阻害作用が増強されることにより出血リスクが高まるおそれがある。
リファンピシン等の強力なCYP2C19誘導薬との併用は避けることが望ましい。
クロピドグレルは主にCYP2C19によって活性代謝物に代謝されるため、CYP2C19酵素を誘導する薬剤との併用により本剤の活性代謝物の血漿中濃度が増加する。
モルヒネ 本剤の血漿中濃度が低下するおそれがある。 モルヒネの消化管運動抑制により、本剤の吸収が遅延すると考えられる。
ロスバスタチン 本剤300mgの投与後、ロスバスタチンのCmaxが1.3倍、AUCが2倍上昇し、本剤75mgの反復投与後、ロスバスタチンのCmaxには影響せず、AUCが1.4倍上昇したとの報告がある。 本剤により、ロスバスタチンの血中濃度が上昇する。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P上昇 1〜5%未満
BUN上昇 1〜5%未満
CK上昇 1〜5%未満
Cl下降 1%未満
CRP上昇 1%未満
K上昇 1〜5%未満
K下降 1%未満
LDH上昇 1〜5%未満
Na上昇 1%未満
Na下降 1%未満
アナフィラキシー 頻度不明
アミラーゼ上昇 1%未満
アルブミン低下 1〜5%未満
カテーテル留置部位血腫 1%未満
しびれ 1%未満
そう痒感 1〜5%未満
てんかん 1%未満
ヘマトクリット減少 1〜5%未満
ヘモグロビン減少 1〜5%未満
ほてり 1〜5%未満
めまい 1〜5%未満
リンパ球性大腸炎) 頻度不明
下痢 1〜5%未満
不整脈 1〜5%未満
不眠症 1%未満
中性脂肪上昇 1〜5%未満
乳汁分泌過多 1%未満
乳腺炎 1%未満
低血圧 1%未満
便秘 1〜5%未満
倦怠感 1%未満
光線過敏性皮膚炎 1%未満
処置後出血 1〜5%未満
動悸 1%未満
口内炎 1〜5%未満
口唇出血 1%未満
口渇 1%未満
口腔内出血 1%未満
味覚消失 頻度不明
味覚異常 1%未満
1%未満
唾液分泌過多 1%未満
嗅覚障害 1%未満
嘔吐 1〜5%未満
嘔気 1〜5%未満
多発性筋炎 1%未満
多発性関節炎 1%未満
大腸炎(潰瘍性大腸炎 頻度不明
女性化乳房 頻度不明
好中球減少 1〜5%未満
好酸球増多 1〜5%未満
好酸球減少 1%未満
尿沈渣異常 1〜5%未満
尿糖陽性 1〜5%未満
尿蛋白増加 1〜5%未満
尿路感染 1%未満
尿道出血 1%未満
尿閉 1%未満
徐脈 1%未満
心電図異常 1%未満
急性腎障害 1%未満
意識喪失 1%未満
意識障害 1%未満
扁平苔癬 頻度不明
手指硬直) 1%未満
斑状丘疹性皮疹 頻度不明
月経過多 1%未満
止血延長 1〜5%未満
歯肉(齦)炎 1%未満
歯肉出血 1〜5%未満
歯肉腫脹 1%未満
気分不良) 1〜5%未満
気分変動 1%未満
気管支痙攣 頻度不明
気管支肺炎 1%未満
水疱性皮疹 頻度不明
注射部位腫脹 1%未満
流涙 1%未満
浮腫 1〜5%未満
消化不良 1%未満
消化器不快感 1〜5%未満
湿疹 1〜5%未満
滑液包炎 1%未満
男性乳房痛 1%未満
異常感(浮遊感 1〜5%未満
痔出血 1〜5%未満
1%未満
発熱 1〜5%未満
発疹 1〜5%未満
白血球減少 1〜5%未満
皮下出血 1〜5%未満
皮膚乾燥 1%未満
皮膚感覚過敏 1%未満
眠気 1%未満
眼充血 1%未満
眼出血 1〜5%未満
眼瞼浮腫 1%未満
眼瞼炎 1%未満
眼精疲労 1%未満
穿刺部位出血 1〜5%未満
筋痛 頻度不明
筋骨格硬直(肩こり 1%未満
粘膜出血 1%未満
糸球体症 頻度不明
紅斑 1〜5%未満
紫斑(病) 1〜5%未満
結膜炎 1%未満
総コレステロール上昇 1〜5%未満
総蛋白低下 1〜5%未満
耳下腺痛 1%未満
肩痛 1%未満
胃腸炎 1〜5%未満
胆嚢炎 1%未満
胆石症 1%未満
胸水 1%未満
胸痛 1%未満
脈拍数低下 1%未満
脱毛 1%未満
腎機能障害 1〜5%未満
腰痛 1%未満
腱鞘炎 1%未満
腸管虚血 1%未満
腹痛 1〜5%未満
腹部膨満 1%未満
膵炎 頻度不明
蕁麻疹 1〜5%未満
血中クレアチニン上昇 1〜5%未満
血中尿酸上昇 1%未満
血尿 1〜5%未満
血清ビリルビン上昇 1〜5%未満
血清病 頻度不明
血痰 1〜5%未満
血管浮腫 頻度不明
血管炎 頻度不明
血糖上昇 1%未満
術中出血 1%未満
複視 1%未満
視力低下 1%未満
貧血 1〜5%未満
赤血球減少 1〜5%未満
関節炎 1〜5%未満
関節痛 頻度不明
陰茎出血 1%未満
音声変調 1%未満
頭痛 1〜5%未満
頻尿 1%未満
頻脈 1〜5%未満
食欲不振 1〜5%未満
食道炎 1〜5%未満
高血圧 1〜5%未満
黄疸 1%未満
鼻出血 1〜5%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

クロピドグレル硫酸塩の活性代謝物が、不可逆的に血小板のADP受容体サブタイプP2Y1236)に作用し、ADPの結合を阻害することにより、血小板の活性化に基づく血小板凝集を抑制する37)。また、ラットにおいて認められたコラーゲン及び低濃度トロンビンによる血小板凝集に対するクロピドグレル硫酸塩の抑制作用は、これらの刺激によって血小板から放出されたADPによる血小板凝集を抑制することに基づくと考えられる38),39)。

18.2 血小板凝集抑制作用

クロピドグレル硫酸塩はin vitroでは血小板凝集抑制作用を発現せず、経口投与後、肝で代謝を受けて活性代謝物となり、ADP刺激による血小板の活性化に基づく血小板凝集を抑制する37)。 ラットではコラーゲン及び低濃度トロンビンによる血小板凝集の抑制も認められている38),39)。 健康成人男子24例にクロピドグレル10~75mg/日を10日間反復経口投与した時、血小板凝集抑制率の増加及び出血時間の延長が認められている40)。 健康成人10例を対象に、クロピドグレルのローディングドーズ(初回投与300mg、翌日以降は75mgを1日1回5日間反復経口投与)と非ローディングドーズ(75mgを1日1回6日間反復経口投与)の用法・用量でのクロスオーバー法による投与を行い、血小板凝集抑制作用について検討した。その結果、ローディングドーズ群は、非ローディングドーズ群に比べ、初回投与後2時間から血小板凝集抑制作用(血小板活性化の抑制)を示した。300mgのローディングドーズにより、投与初日の血小板凝集抑制率は約30~40%を示し、薬力学/薬理作用的に定常状態と考えられる血小板凝集抑制率のレベルに投与初日より達していたが、ローディングドーズをしない場合では投与初日の血小板凝集抑制率は約15%であった41)。 健康成人男子15例を対象にクロピドグレル(75mgを1日1回)を10日間反復投与後、最大血小板凝集能(5μM ADP惹起maximum platelet aggregation intensity(MAI))の回復期間を検討した。その結果、クロピドグレルの最終投与後7日目にはMAIは投与前値(クロピドグレル投与前MAI±15%以内)に回復した42)。

18.3 抗血栓効果

クロピドグレル硫酸塩は、経口投与により、血小板の活性化に基づく血栓形成を抑制する。クロピドグレル硫酸塩は中大脳動脈血栓モデル(ラット)43)、動静脈シャントモデル(ラット)44)、冠状動脈周期的血流減少モデル(イヌ)45)、頸動脈バルーン内皮傷害モデル(ウサギ)46)、ステント留置動静脈シャントモデル(ウサギ)46)において血栓形成を抑制し、中大脳動脈脳血栓モデルでは血栓形成抑制に基づいて梗塞サイズを縮小した。頸動脈バルーン内皮傷害モデル、ステント留置動静脈シャントモデルにおける血栓形成抑制効果はアスピリンと併用したとき増強した。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人にクロピドグレル硫酸塩(クロピドグレルとして75mg)を食後に単回経口投与した場合のSR26334(主代謝物)の薬物動態パラメータは以下のとおりである10)。

tmax(hr) Cmax(μg/mL) t1/2(hr) AUC0-48(μg・hr/mL)
1.9±0.8 2.29±0.46 6.9±0.9 8.46±1.36

(mean±S.D., n=12) tmax:最高血漿中濃度到達時間、Cmax:最高血漿中濃度、t1/2:半減期 AUC0-48:血漿中濃度時間曲線下面積(0~48時間)

  1. 16.1.2生物学的同等性試験
  • 〈クロピドグレル錠25mg「ケミファ」〉

クロピドグレル錠25mg「ケミファ」とプラビックス錠25mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ3錠(クロピドグレルとして75mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された11)。

判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0-24
(pg・hr/mL)
Cmax
(pg/mL)
tmax
(hr)
t1/2
(hr)
クロピドグレル錠25mg
「ケミファ」
3408±4966 2591±3080 0.69±0.33 5.46±2.51
プラビックス錠25mg 2887±3266 2735±4665 0.64±0.18 5.39±2.24

(mean±S.D.,n=48)

  • 〈クロピドグレル錠75mg「ケミファ」〉

クロピドグレル錠75mg「ケミファ」とプラビックス錠75mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(クロピドグレルとして75mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、判定パラメータの対数値の平均値の差がlog(0.90)~log(1.11)の範囲内であり、且つ、溶出試験で溶出挙動が類似していると判定されたことから、両剤の生物学的同等性が確認された11)。

判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0-24
(pg・hr/mL)
Cmax
(pg/mL)
tmax
(hr)
t1/2※
(hr)
クロピドグレル錠75mg「ケミファ」 4201.7±6326.8 2907.8±4696.0 0.8±0.6 5.02±3.44
プラビックス錠75mg 3697.4±4736.9 3000.6±3863.2 0.8±0.4 5.25±3.60

(mean±S.D.,n=60、※:n=59)

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.3 分布

ラットに14C-4-クロピドグレル硫酸塩(クロピドグレルとして5mg/kg)を単回経口投与した場合、放射能濃度は、大部分の臓器において投与0.25~2時間後に最高値に達した。放射能濃度は、消化管壁・肝臓の順に高く、また脳、脊髄及び骨格筋では低かった12)。また、反復投与による各臓器への蓄積性は認められていない13)。

16.4 代謝

クロピドグレル硫酸塩は吸収された後、肝臓で主に2つの経路で代謝される。すなわち、(1)エステラーゼにより非活性代謝物であるSR26334(主代謝物)を生成する経路と、(2)薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP)による酸化型代謝物を生成する経路である。後者の経路を経由して、活性代謝物H4が生成される14)。 血漿中においては、未変化体の濃度は極めて低くSR26334が主に存在した。クロピドグレルの肝酸化型代謝に関与するチトクロームP450分子種は主にCYP2C19であり、その他にCYP1A2、CYP2B6、CYP3A4等が関与する15),16),17)。また、SR26334はCYP2C9を阻害し、グルクロン酸抱合体はCYP2C8を阻害する18),19)(in vitro)。

16.5 排泄

健康成人に14C-4-クロピドグレル硫酸塩(クロピドグレルとして75mg)を単回経口投与した場合、投与5日後までの放射能の累積排泄率は投与放射能の約92%に達し、尿中には約41%、糞中には約51%が排泄された20)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

慢性腎不全患者をクレアチニンクリアランスにより重度(5~15mL/分)と中等度(30~60mL/分)の2グループに分け、クロピドグレル硫酸塩(クロピドグレルとして75mg/日)を8日間反復経口投与した結果、重度慢性腎不全患者において中等度慢性腎不全患者に比べSR26334のAUCは低かった21)(外国人データ)。

  1. 16.6.2肝機能障害患者

肝硬変患者と健康成人にクロピドグレル硫酸塩(クロピドグレルとして75mg/日)を10日間反復経口投与した結果、未変化体のCmaxが肝硬変患者において健康成人に比較して大きく上昇し、肝機能の低下によるクロピドグレル硫酸塩の代謝への影響が示唆された。SR26334の薬物動態パラメータには差が認められなかった22)(外国人データ)。

  1. 16.6.3CYP2C19遺伝子多型を有する患者

健康成人をCYP2C19の代謝能に応じて3群(各群9例)に分け、クロピドグレルとして初日に300mg、その後75mg/日を6日間投与する試験を実施した。CYP2C19の2つの遺伝子多型(CYP2C192CYP2C193)についていずれかをホモ接合体又はいずれもヘテロ接合体としてもつ患者群(PM群)では、活性代謝物H4のAUC0-24及びCmaxが、野生型ホモ接合体群(EM群:CYP2C191/1)と比較して低下した2)。なお、日本人におけるPMの頻度は、18~22.5%との報告がある23)。

投与量 CYP2C19遺伝子型注1)
EM IM PM
Cmax
(ng/mL)
300mg
(1日目)
29.8±9.88 19.6±4.73 11.4±4.25
75mg
(7日目)
11.1±4.67 7.00±3.81 3.90±1.36
AUC0-24
(ng・hr/mL)
300mg
(1日目)
39.9±16.8 25.7±6.06 15.9±4.73
75mg
(7日目)
11.1±3.79 7.20±1.93 4.58±1.61

(mean±S.D.)

注1) EM:CYP2C191/1 IM:CYP2C191/2あるいはCYP2C191/3 PM:CYP2C192/2CYP2C192/3あるいはCYP2C193/3

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1レパグリニド

健康成人にクロピドグレル硫酸塩(1日1回3日間、クロピドグレルとして1日目300mg、2~3日目75mg)を投与し、1日目と3日目にレパグリニド(0.25mg)を併用した結果、レパグリニドのCmax及びAUC0-∞は、レパグリニドを単独投与したときと比較して1日目は2.5及び5.1倍、3日目は2.0及び3.9倍に増加した。また、t1/2は1.4及び1.2倍であった19)(外国人データ)。

  1. 16.7.2セレキシパグ

健康成人男性22例にセレキシパグ0.2mgを1日2回10日間経口投与し、クロピドグレルを投与4日目に300mg(n=21)、投与5日目から10日目に75mg(n=20)を経口投与した。単独投与と比較して、セレキシパグのCmax及びAUC0-12は、投与4日目では1.35倍及び1.44倍に増加し、投与10日目は0.98倍及び1.14倍であった。同様に、セレキシパグの活性代謝物(MRE-269)のCmax及びAUC0-12は、投与4日目では1.69倍及び2.25倍、投与10日目では1.90倍及び2.70倍に増加した24)。