治療抵抗性統合失調症
【警告】
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1.1本剤の投与は、統合失調症の診断、治療に精通し、無顆粒球症、心筋炎、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の重篤な副作用に十分に対応でき、かつクロザリル患者モニタリングサービス(Clozaril Patient Monitoring Service:CPMS)注)に登録された医師・薬剤師のいる登録医療機関・薬局において、登録患者に対して、血液検査等のCPMSに定められた基準がすべて満たされた場合にのみ行うこと。また、基準を満たしていない場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を講じること。
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1.2本剤の投与に際しては、治療上の有益性が危険性を上回っていることを常に検討し、投与の継続が適切であるかどうか定期的に判断すること。
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1.3糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の死亡に至ることのある重大な副作用が発現するおそれがあるので、本剤投与中はCPMSに準拠して定期的に血糖値等の測定を行うこと。また、臨床症状の観察を十分に行い、高血糖の徴候・症状に注意するとともに、糖尿病治療に関する十分な知識と経験を有する医師と連携して適切な対応を行うこと。特に、糖尿病又はその既往歴もしくはその危険因子を有する患者には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。なお、糖尿病性ケトアシドーシス又は糖尿病性昏睡の徴候が認められた場合には投与を中止し、インスリン製剤を投与するなど適切な処置を行うこと。
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1.4本剤の投与にあたっては、患者又は代諾者に本剤の有効性及び危険性を文書によって説明し、文書で同意を得てから投与を開始すること。また、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の耐糖能異常に関しては、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意し、異常が認められた場合には、直ちに医師の診察を受けるよう指導すること。
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1.5無顆粒球症等の血液障害は投与初期に発現する例が多いので、原則として投与開始後18週間は入院管理下で投与を行い、無顆粒球症等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うこと。
注)定期的な血液モニタリング等を実施し、無顆粒球症等の早期発見を目的として規定された手順
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
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2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
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2.2CPMSへの患者登録前(4週間以内)の血液検査で、白血球数が4,000/mm3未満又は好中球数が2,000/mm3未満の患者[無顆粒球症が発現するおそれがある。]
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2.3CPMSの規定を遵守できない患者
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2.4CPMSで定められた血液検査の中止基準により本剤の投与を中止し、CPMSで定められた再投与検討基準に該当しない患者[無顆粒球症が発現するおそれがある。]
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2.5骨髄機能障害のある患者[骨髄機能が悪化し、無顆粒球症が発現するおそれがある。]
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2.6骨髄抑制を起こす可能性のある薬剤を投与中の患者又は放射線療法、化学療法等の骨髄抑制を起こす可能性のある治療を行っている患者
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2.7持効性抗精神病剤(ハロペリドールデカン酸エステル注射液、フルフェナジンデカン酸エステル注射液、リスペリドン持効性懸濁注射液、パリペリドンパルミチン酸エステル持効性懸濁注射液、アリピプラゾール水和物持続性注射剤)を投与中の患者
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2.8重度の痙攣性疾患又は治療により十分な管理がされていないてんかん患者[症状が悪化するおそれがある。]
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2.9アルコール又は薬物による急性中毒、昏睡状態の患者[これらの状態を悪化させるおそれがある。]
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2.10循環虚脱状態の患者又は中枢神経抑制状態の患者[これらの状態を悪化させるおそれがある。]
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2.11重度の心疾患(心筋炎等)のある患者[心疾患が悪化するおそれがある。]
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2.12重度の腎機能障害のある患者[腎機能が悪化するおそれがある。]
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2.13重度の肝機能障害のある患者[肝機能が悪化するおそれがある。]
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2.14麻痺性イレウスの患者[抗コリン作用により症状が悪化するおそれがある。]
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2.15*アドレナリン作動薬(アドレナリン、ノルアドレナリン)を投与中の患者(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)
効能・効果
用法・用量
通常、成人にはクロザピンとして初日は12.5mg(25mg錠の半分)、2日目は25mgを1日1回経口投与する。3日目以降は症状に応じて1日25mgずつ増量し、原則3週間かけて1日200mgまで増量するが、1日量が50mgを超える場合には2~3回に分けて経口投与する。維持量は1日200~400mgを2~3回に分けて経口投与することとし、症状に応じて適宜増減する。ただし、1回の増量は4日以上の間隔をあけ、増量幅としては1日100mgを超えないこととし、最高用量は1日600mgまでとする。
使用上の注意
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8.1本剤の投与にあたっては、無顆粒球症、心筋炎、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の重篤な副作用が発現するおそれがあることから、CPMSに登録された医療機関・薬局において、登録医師・薬剤師によって、登録患者に対しCPMSの規定を遵守し、本剤の投与の可否を判断した後に投与すること。
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8.2本剤の投与にあたっては、以下の基準に基づき適切な頻度で血液検査を行うとともに、好中球減少症等の血液障害が発現した場合には、適切な処置を行うこと。
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8.2.1投与前(10日以内)に血液検査を行い、白血球数が4,000/mm3以上かつ好中球数が2,000/mm3以上(下表①の範囲)であることを確認すること。
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8.2.2投与開始から最初の26週間は血液検査を週1回行うこと。
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8.2.3白血球数が3,000/mm3以上4,000/mm3未満又は好中球数が1,500/mm3以上2,000/mm3未満を示した場合(下表②の範囲)は、下表①の範囲に回復するまで、その後の血液検査を週2回以上行うこと。また、著しい減少傾向(直近の過去3週間以内の白血球数が最も高い値より3,000/mm3以上減少した場合)を示した場合は、再検査を行うなど減少傾向の確認を考慮すること。
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8.2.4白血球数が3,000/mm3未満又は好中球数が1,500/mm3未満を示した場合(下表③の範囲)は、直ちに本剤の投与を中止した上で、CPMSで定められた血液内科医等に連絡し、下表①の範囲に回復するまで血液検査を毎日行い、少なくとも回復後4週間までは血液検査を週1回以上行うとともに感染の徴候(発熱、咽頭痛等の感冒様症状等)を注意深く観察し、感染予防をするなど適切な処置を行うこと。
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8.2.5白血球数及び好中球数が下表③の範囲に減少することにより本剤の投与を中止した場合には、投与中止後に回復してもCPMSで定められた再投与検討基準に該当しない限り本剤を再投与してはならない。再投与の可否についてはCPMS で定められた血液内科医等に相談すること。なお、再投与を行う場合、再投与開始から26週間は週1回の血液検査を行うこと。また、条件を満たした場合には、26週以降は2週に1回、再投与開始から52週以降は4週に1回の血液検査とすることができる。本剤の再投与後、短期間で白血球減少症、好中球減少症が再発したとの報告がある。
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8.2.6下表③の基準以外により本剤の投与を中止又は終了した場合には、投与終了後4週間はそれまでと同じ頻度で血液検査を行うこと。
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8.2.7最初の26週間の白血球数及び好中球数が下記のいずれかであり、かつ血液障害以外の理由による中断が1週間未満の場合には、その後の血液検査は中断前の頻度で行うことができる。ただし、1週間以上の投与中断があった場合には、投与再開より26週間は血液検査を週1回行うこと。なお、条件を満たした場合には、26週以降は2週に1回、投与再開から52週以降は4週に1回の血液検査とすることができる。
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下表①の範囲を維持
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白血球数が4,000/mm3未満3,500/mm3以上かつ好中球数が2,000/mm3以上となったが下表①の範囲に回復
| 白血球数 (/mm3) |
好中球数 (/mm3) |
処置 | |
|---|---|---|---|
| ① | 4,000以上かつ2,000以上 | 投与開始可能。 投与継続可能。 投与開始から最初の26週間は血液検査を週1回行うこと。なお、条件を満たした場合には、26週以降は2週に1回、投与開始から52週以降は4週に1回の血液検査とすることができる。ただし、2週に1回又は4週に1回の血液検査に移行した後、4週間以上の投与中断があった場合には、投与再開から26週間は週1回の血液検査を行うこと。なお、条件を満たした場合には、26週以降は2週に1回、投与再開から52週以降は4週に1回の血液検査とすることができる。 |
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| ② | 3,000以上 4,000未満 又は 1,500以上 2,000未満 |
①の範囲に回復するまで血液検査を週2回以上行い、注意しながら投与継続可能。 | |
| ③ | 3,000未満又は1,500未満 | 直ちに投与を中止し、①の範囲に回復するまで血液検査を毎日行い、十分な感染症対策を行う。少なくとも回復後4週間までは血液検査を週1回以上行うこと。 |
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8.3好酸球増多症の報告があるので、好酸球数が3,000/mm3以上を示した場合には投与を中止することが望ましい。異常が認められた場合には、CPMSで定められた血液内科医等に相談するなど、適切な処置を行うこと。なお、投与再開は好酸球数が1,000/mm3未満に回復した場合にのみ行うこと。
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8.4血小板減少症の報告があるので、血小板数が50,000/mm3未満を示した場合は投与を中止することが望ましい。異常が認められた場合には、CPMSで定められた血液内科医等に相談するなど、適切な処置を行うこと。
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8.5感染症又は感染の徴候(発熱、咽頭痛等の感冒様症状)が発現した場合には、速やかに医師に連絡するよう、患者又は代諾者に注意を促すこと。また、感染症の症状又は徴候を認めた場合には、直ちに血液検査を行うこと。
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8.6糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の死亡に至ることのある重大な副作用が発現するおそれがあるので、本剤投与中はCPMSに準拠して定期的に血糖値等の測定を行うこと。また、臨床症状の観察を十分に行い、高血糖の徴候・症状に注意するとともに、糖尿病治療に関する十分な知識と経験を有する医師と連携して適切な対応を行うこと。特に、糖尿病又はその既往歴もしくはその危険因子を有する患者には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
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8.7本剤の投与にあたっては、患者又は代諾者に本剤の有効性及び危険性を文書によって説明し、文書で同意を得てから投与を開始すること。また、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の耐糖能異常に関しては、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意し、異常が認められた場合には、直ちに医師の診察を受けるよう指導すること。
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8.8体重増加を来すことがあるので、肥満に注意し、肥満の徴候があらわれた場合には、食事療法、運動療法等の適切な処置を行うこと。
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8.9肝機能障害のある患者に投与する場合には、定期的に肝機能検査を行うこと。治療中に悪心、嘔吐、食欲不振等の肝機能障害を疑わせる症状があらわれた場合には、直ちに肝機能検査を行い、臨床上重要な検査値の上昇や黄疸が認められた場合には投与を中止し、肝機能検査値が正常に回復するまで投与を再開しないこと。投与再開後は肝機能検査値の変動に十分注意すること。
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8.10眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
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8.11本剤は、原則として投与開始後18週間は入院管理下で投与を行うが、本剤の有効性及び安全性が十分に確認され、以下の基準をすべて満たした場合には必要に応じて外来での治療に移行することができる。
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投与後3週間を経過し、かつ至適用量設定後1週間以上経過した場合。
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患者と同居して患者の症状を確認し、規定量の服薬及びCPMSの規定どおりの通院を支援できる者がいる場合。
ただし、感染症の徴候等血液障害に関連すると思われる症状がみられた場合には、直ちに主治医に相談するよう、退院の際に患者又は代諾者に十分説明すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1糖尿病又は糖尿病の既往歴のある患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しない。血糖値が上昇するおそれがある。
- 9.1.2糖尿病の家族歴、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。血糖値が上昇するおそれがある。
- 9.1.3CPMSで定められた血液検査の中止基準により、本剤の投与を中止したことのある患者(CPMSで定められた再投与検討基準に該当しない患者を除く)
無顆粒球症が発現するおそれがあるため、 CPMSで定められた血液内科医等との連携のもとで投与を行うこと。CPMSで定められた血液検査の中止基準により中止した後に再投与した患者では、無顆粒球症を含む血球減少関連の事象が初回投与時と比較し早期に再発し、重症例が多かったとの報告がある1)。
- 9.1.4無顆粒球症又は重度の好中球減少症の既往歴のある患者
CPMSで定められた血液内科医等との連携のもとで投与を行うこと。無顆粒球症が発現するおそれがある。
- 9.1.5軽度から中等度の好中球減少症の既往歴のある患者
血液障害が発現するおそれがある。
- 9.1.6てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者
痙攣閾値を低下させるおそれがある。
- 9.1.7心・血管疾患、低血圧又はそれらの疑いのある患者
心・血管疾患の悪化及び一過性の血圧低下があらわれるおそれがある。
- 9.1.8QT延長の家族歴のある患者
QT延長が起こるおそれがある。
- 9.1.9前立腺肥大又は閉塞隅角緑内障のある患者
抗コリン作用により、症状が悪化するおそれがある。
- 9.1.10アルコール又は薬物の依存・乱用又はその既往歴のある患者
これらの状態を悪化させるおそれがある。
- 9.1.11不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の危険因子を有する患者
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。
9.2 腎機能障害患者
- 9.2.1重度の腎機能障害のある患者
投与しないこと。
- 9.2.2軽度から中等度の腎機能障害のある患者
腎機能障害が悪化するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1重度の肝機能障害のある患者
投与しないこと。
- 9.3.2軽度から中等度の肝機能障害のある患者
肝機能障害が悪化するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物を用いた生殖発生毒性試験において、胚・胎児毒性及び催奇形性は認められていない。プロラクチン濃度の増加に伴う二次的な影響と考えられる性周期の乱れ、交配所要日数の延長、着床前死亡数の増加及び受胎動物数の減少(ラット、20あるいは40mg/kg/日、経口)が、母動物の体重減少に伴う二次的な影響と考えられる胎児の発育遅延(ラット及びウサギ、40mg/kg/日、経口)及び流産(ウサギ、40mg/kg/日、経口)が報告されている。また、妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)において、乳汁中への移行が報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。抗コリン作用による尿閉・便秘等があらわれやすく、また特に循環器機能が低下している高齢者では起立性低血圧や頻脈があらわれやすいとの報告がある。
相互作用
- 本剤は主に代謝酵素チトクロームP450(CYP1A2、3A4)で代謝される。
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| 骨髄抑制を起こす可能性のある薬剤 放射線療法 化学療法 |
無顆粒球症の発現が増加するおそれがある。 | 血液障害の副作用が相互に増強される可能性がある。 |
| 持効性抗精神病剤 • ハロペリドールデカン酸エステル注射液 (ハロマンス、ネオペリドール) フルフェナジンデカン酸エステル注射液 (フルデカシン) リスペリドン持効性懸濁注射液 (リスパダール コンスタ) パリペリドンパルミチン酸エステル持効性懸濁注射液 (ゼプリオン) アリピプラゾール水和物持続性注射剤 (エビリファイ持続性水懸筋注用) |
副作用発現に対し速やかに対応できないため、血中から薬剤が消失するまで本剤を投与しないこと。 | 血中から消失するまでに時間を要する。 |
| アドレナリン作動薬 • アドレナリン (アナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く) (ボスミン) ノルアドレナリン (ノルアドリナリン) |
アドレナリンの作用を反転させ、重篤な血圧低下を起こすおそれがある。 | 本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧上昇作用が減弱し、アドレナリンの昇圧作用が反転するおそれがある。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| アルコール MAO阻害剤 中枢神経抑制剤 • 抗ヒスタミン剤 ベンゾジアゼピン系薬剤 麻薬系鎮痛剤等 |
鎮静、傾眠等の中枢神経抑制作用が強くあらわれるおそれがある。 | 相互に中枢神経抑制作用が増強される可能性が考えられる。 |
| ベンゾジアゼピン系薬剤 | 循環虚脱を発現する危険性が高まり、重度の循環虚脱から心停止、呼吸停止に至るおそれがある。 | 心循環系の副作用が相互に増強されると考えられる。 |
| 抗コリン作用を有する薬剤 | 抗コリン作用を増強するおそれがある。 | 共に抗コリン作用を有する。 |
| 降圧剤 | 血圧低下、起立性低血圧があらわれるおそれがある。 | 本剤のα受容体遮断作用により降圧剤の作用を増強する可能性が考えられる。 |
| 呼吸抑制作用を有する薬剤 | 呼吸抑制作用を増強するおそれがある。 | 共に呼吸抑制作用を有する。 |
| リチウム製剤 | 悪性症候群発現の危険性が増加するとの報告がある。 | 機序は不明である。 |
| バルプロ酸 | てんかん発作、せん妄があらわれたとの報告がある。 | 機序は不明である。 |
| CYP3A4を誘導する薬剤 • リファンピシン カルバマゼピン フェニトイン等 |
本剤の血中濃度が低下し、効果が減弱されるおそれがある。 なお、喫煙については、喫煙の中止により本剤の血中濃度が増加する可能性がある。 |
これらの薬剤はCYP3A4を誘導することから本剤の代謝が促進されると考えられる。 |
| CYP1A2を誘導する薬剤 • オメプラゾール ニコチン(喫煙)等 |
本剤の血中濃度が低下し、効果が減弱されるおそれがある。 なお、喫煙については、喫煙の中止により本剤の血中濃度が増加する可能性がある。 |
これらの薬剤はCYP1A2を誘導することから本剤の代謝が促進されると考えられる。 なお、喫煙については、喫煙の中止によりCYP1A2活性が低下し、本剤の代謝が低下する可能性がある。 |
| CYP1A2を阻害する薬剤 • フルボキサミン シプロフロキサシン |
本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、併用する場合は用量に注意すること。 | これらの薬剤はCYP1A2を阻害することから本剤の代謝が阻害されると考えられる。 |
| カフェイン | カフェインの摂取により本剤の血中濃度が上昇し、5日間カフェインの摂取を中止すると、本剤の血中濃度が50%減少したとの報告がある。 | これらの薬剤はCYP1A2を阻害することから本剤の代謝が阻害されると考えられる。 |
| CYP3A4を阻害する薬剤 • エリスロマイシン シメチジン アゾール系抗真菌剤• イトラコナゾール ボリコナゾール等 • HIVプロテアーゼ阻害剤 |
本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、併用する場合は用量に注意すること。 | これらの薬剤はCYP3A4を阻害することから本剤の代謝が阻害されると考えられる。 |
| セルトラリン | 本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、併用する場合は用量に注意すること。 | CYP3A4の競合により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。 |
| パロキセチン | 併用中の患者において、本剤の血中濃度が上昇したとの報告がある。 | 代謝酵素の抑制又は競合により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。 |
| QTを延長させる又は電解質異常を引き起こすことが知られている薬剤 | QT延長が起こるおそれがある。 | 併用によりQT延長作用が相加的に増加するおそれがある。 |
| *アドレナリン含有歯科麻酔剤 • リドカイン・アドレナリン |
*重篤な血圧低下を起こすおそれがある。 | *本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧上昇作用が減弱し、アドレナリンの昇圧作用が反転するおそれがある。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| ALP増加(14.3%) | 頻度不明 |
| AST増加(15.6%) | 頻度不明 |
| CK増加(10.4%) | 頻度不明 |
| LDH増加 | 頻度不明 |
| QT延長 | 頻度不明 |
| TSH低下(10.4%) | 頻度不明 |
| γ-GTP増加(15.6%)等) | 頻度不明 |
| アカシジア | 頻度不明 |
| コリン作動性薬物離脱症候群(発汗 | 頻度不明 |
| ジストニア(側反弓) | 頻度不明 |
| せん妄 | 頻度不明 |
| プロラクチン増加(13.0%) | 頻度不明 |
| めまい(20.8%) | 頻度不明 |
| 下気道感染 | 頻度不明 |
| 下痢 | 頻度不明 |
| 下痢等) | 頻度不明 |
| 下肢静止不能症候群 | 頻度不明 |
| 不安・焦燥・興奮 | 頻度不明 |
| 不整脈 | 頻度不明 |
| 体重増加(18.2%) | 頻度不明 |
| 体重減少 | 頻度不明 |
| 便秘(33.8%) | 頻度不明 |
| 傾眠(63.6%) | 頻度不明 |
| 動悸 | 頻度不明 |
| 口内乾燥 | 頻度不明 |
| 口渇 | 頻度不明 |
| 吃音 | 頻度不明 |
| 呼吸停止 | 頻度不明 |
| 呼吸抑制 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 頻度不明 |
| 嘔吐(23.4%) | 頻度不明 |
| 嚥下性肺炎 | 頻度不明 |
| 嚥下障害 | 頻度不明 |
| 好酸球増加(13.0%) | 頻度不明 |
| 尿失禁(13.0%) | 頻度不明 |
| 尿閉 | 頻度不明 |
| 強迫症状 | 頻度不明 |
| 心房細動 | 頻度不明 |
| 心電図変化 | 頻度不明 |
| 悪心 | 頻度不明 |
| 悪心(24.7%) | 頻度不明 |
| 持続勃起症 | 頻度不明 |
| 振戦(19.5%) | 頻度不明 |
| 構語障害 | 頻度不明 |
| 流涎過多(46.8%) | 頻度不明 |
| 消化不良 | 頻度不明 |
| 疲労・けん怠感(16.9%) | 頻度不明 |
| 発汗・体温調節障害 | 頻度不明 |
| 発熱(16.9%) | 頻度不明 |
| 発疹 | 頻度不明 |
| 白血球増加(33.8%) | 頻度不明 |
| 筋力低下 | 頻度不明 |
| 筋固縮 | 頻度不明 |
| 筋肉痛 | 頻度不明 |
| 耳下腺腫大 | 頻度不明 |
| 肝機能検査値上昇(ALT増加(33.8%) | 頻度不明 |
| 肺炎 | 頻度不明 |
| 脳波異常 | 頻度不明 |
| 膵炎 | 頻度不明 |
| 落ち着きのなさ | 頻度不明 |
| 血圧低下 | 頻度不明 |
| 血小板増加 | 頻度不明 |
| 血小板減少 | 頻度不明 |
| 血管性浮腫 | 頻度不明 |
| 誤嚥 | 頻度不明 |
| 貧血 | 頻度不明 |
| 逆行性射精 | 頻度不明 |
| 遅発性ジスキネジア | 頻度不明 |
| 錯乱 | 頻度不明 |
| 鎮静 | 頻度不明 |
| 間質性腎炎 | 頻度不明 |
| 霧視 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 頻度不明 |
| 頭痛(10.4%) | 頻度不明 |
| 頻脈(26.0%) | 頻度不明 |
| 高コレステロール血症 | 頻度不明 |
| 高トリグリセリド血症(14.3%) | 頻度不明 |
| 高血圧 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
クロザピンの詳細な作用機序は不明であるが、D2受容体遮断作用に依存しない中脳辺縁系ドパミン神経系に対する選択的抑制が考えられる9)。
18.2 受容体親和性
In vitro試験でのクロザピンのドパミンD2、D4、セロトニン5-HT2A、ムスカリンM1、アドレナリンα1、ヒスタミンH1受容体親和性(Ki値:nM、平均値±標準誤差)は、それぞれ125±20、9±1及び21±2、12±3、1.9±0.4、7±4、6±2であり、ドパミンD2受容体親和性は他の受容体と比較すると極めて弱い10)。
18.3 行動薬理
ハロペリドール、リスペリドン、クロルプロマジン及びオランザピンでは、行動薬理学的な治療活性及び副作用症候(カタレプシー誘発、プロラクチン上昇等)の作用強度は、D2受容体親和性と相関する。これに対しクロザピンは、治療活性が示される一方で副作用症候は検出されないことが多く、D2受容体親和性とは相関しない。クロザピンは、D2受容体親和性が極めて弱い抗精神病薬と考えられた9)。
薬物動態
16.1 血中濃度
日本人治療抵抗性統合失調症患者10例に、クロザピン25mgを単回経口投与したときの血漿中クロザピン濃度推移及びその際の薬物動態パラメータは以下のとおりであった2)。
クロザピン25mg単回投与後の血漿中未変化体濃度推移
| Cmax (ng/mL) |
Tmax (h) |
AUC0-24 (ng・h/mL) |
T1/2 (h) |
|---|---|---|---|
| 62±24 | 3.1±2.1 | 761±349 | 16±7.2 |
(平均値±標準偏差、n=10)
また、日本人治療抵抗性統合失調症患者8例に、クロザピン50mgを単回経口投与後、漸増法により50、100及び150mgをそれぞれ1日2回8日間反復経口投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった3)。
| 投与法・投与量 | Cmax (ng/mL) |
Tmax (h) |
AUC0-12 (ng・h/mL) |
AUC0-24 (ng・h/mL) |
T1/2 (h) |
|
|---|---|---|---|---|---|---|
| 単回投与 | 50mg (n=8) |
168±56 | 1.8±1.4 | 908±166 | 1,260±224 | 16±4.5 |
| 反復投与 1日2回 8日間 |
50mg (n=8) |
453±167 | 1.8±1.0 | 3,540±1,590 | - | 15±5.1 |
| 100mg (n=7) |
728±277 | 4.7±8.5 | 5,440±2,610 | - | 16±9.0※ | |
| 150mg (n=3) |
1,140±363 | 1.3±0.6 | 7,820±3,780 | - | 14±4.4 |
(平均値±標準偏差、※n=6)
16.3 分布
クロザピン100ng/mLでの血漿蛋白結合率は91%であった(in vitro)。
16.4 代謝
クロザピンは、主に代謝酵素チトクロームP450(CYP1A2、3A4)で代謝される。クロザピン25mgを単回投与後の血漿中濃度は、未変化体が最も高く、代謝物としてはN-脱メチル体及びN-オキシド体が認められた。N-脱メチル体及びN-オキシド体のAUC0-24は、それぞれ未変化体の32%及び9%であった2)。N-脱メチル体のドパミンD2及び5-HT2A受容体親和性は未変化体と同程度であり、N-オキシド体は極めて低かった4)。
16.5 排泄
14Cクロザピン50mgを単回経口投与した場合の投与後144時間までの放射能は、尿中に49.0%、糞中に29.6%が排泄された。また、未変化体として尿中及び糞中にそれぞれ投与量の0.5%及び2.2%が排泄された5)(外国人のデータ)。
16.7 薬物相互作用
外国人統合失調症患者を対象として薬物相互作用を検討した結果、クロザピン単独投与時と比較して、CYP1A2阻害作用を有するフルボキサミンと併用投与時の血漿中クロザピンのCmax及びAUCはそれぞれ1.5倍及び2.8倍に上昇した。消失半減期はフルボキサミンの併用により15.5時間から28.7時間に延長した。また、CYP3A4誘導能を有するカルバマゼピンとの併用により、クロザピンの血漿中濃度は32~64%減少した6),7)。