- 下記の下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制
股関節全置換術、膝関節全置換術、股関節骨折手術
- 静脈血栓塞栓症の発症リスクの高い、腹部手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制
脊椎・硬膜外麻酔あるいは腰椎穿刺等との併用により、穿刺部位に血腫が生じ、神経の圧迫による麻痺があらわれるおそれがある。併用する場合には神経障害の徴候及び症状について十分注意し、異常が認められた場合には直ちに適切な処置を行うこと。
2.1本剤の成分又はヘパリン、ヘパリン誘導体(低分子量ヘパリン等)に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2出血している患者(頭蓋内出血、後腹膜出血又は他の重要器官における出血等)[出血が助長されるおそれがある。]
2.3急性細菌性心内膜炎患者[血栓剥離に伴う血栓塞栓様症状を呈するおそれがある。]
2.4重度の腎障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者
2.5ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)の既往歴のある患者[HITが起こるおそれがある。]
股関節全置換術、膝関節全置換術、股関節骨折手術
通常、エノキサパリンナトリウムとして、1回2000IUを、原則として12時間毎に1日2回連日皮下注射する。
8.1脊椎・硬膜外麻酔等との併用により、穿刺部位に血腫が生じ、神経の圧迫による長期又は永続的な麻痺等の神経障害があらわれるおそれがあるので、以下の点に留意すること。
8.1.1出血のリスクを避けるために、カテーテルの挿入又は抜去は本剤の抗凝固作用が低下した時点で行うこと。 本剤の初回投与開始2時間前までには、脊椎・硬膜外カテーテルを抜去しておくことが望ましい。やむを得ず併用する場合には、本剤投与後10~12時間経過した後にカテーテルを抜去すること。その後の本剤投与はカテーテル抜去後2時間以上経過した後行うこと。 また、やむを得ず新たにカテーテルを挿入する場合には、本剤投与後10~12時間経過した後に行うこと。その後の本剤投与はカテーテル挿入後2時間以上経過した後行うこと。
8.1.2次の場合では、神経障害のリスクがより高くなる。
脊椎手術の既往又は脊柱変形のある患者
術後のカテーテル留置
止血に影響を及ぼす薬剤(非ステロイド性消炎鎮痛剤等)との併用
血管損傷を伴う針の刺入やカテーテルの挿入又は頻回の刺入
8.1.3併用する場合には、背部痛、感覚及び運動障害、膀胱直腸障害等の神経障害の徴候及び症状を十分に観察すること。
8.2ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)を含む血小板減少のリスクがあるので、本剤投与開始前及び投与中は1週間に1回程度は臨床検査を実施するなど観察を十分に行うこと。なお、投与終了後も血小板数の減少のリスクが継続するおそれがある。
8.3出血等の副作用が生じることがあるので、必要に応じて血算(ヘモグロビン値及び血小板数)及び便潜血検査等の臨床検査を実施することが望ましい。
8.4「高リスク」以上の泌尿器科及び婦人科手術施行患者に対する使用経験が少ないため、これらの患者に投与する場合には、患者の状態を十分に観察すること。
8.5活性化凝固時間(ACT)、プロトロンビン時間(PT)及び活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)等の通常の凝固能検査は、本剤に対する感度が比較的低く、薬効をモニタリングする指標とはならないので、臨床症状を十分に観察し、出血等がみられた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
止血障害、消化性潰瘍の既往のある患者、虚血性脳卒中発症後日の浅い患者、コントロール出来ない高血圧症、糖尿病性網膜症、脳・眼科手術後日の浅い患者、侵襲性処置を受けた患者、止血に影響を与える薬剤を投与されている患者においては血管や臓器の障害箇所に出血が起こるおそれがある。
相対的に血中濃度が上昇し、出血が起こるおそれがある。
投与しないこと。血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大するおそれがある。
排泄が遅延し、血中濃度が上がることにより出血が起こるおそれがある。
凝固因子の産生が低下していることがあるので、出血が起こるおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で35S-エノキサパリンナトリウムを投与したとき、微量の放射活性の乳汁中への移行が報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
出血リスク増大のおそれがある。一般的に生理機能が低下している。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| • 抗凝固剤• ヘパリン • ワルファリン 等 |
出血傾向が増強するおそれがあるので、併用しないことが望ましいが、やむを得ず併用する場合には観察・検査を十分に行う等慎重に投与すること。 | 両剤の抗凝固作用が相加的に増強される。 |
| • 血小板凝集抑制剤• チクロピジン塩酸塩 • ジピリダモール 等 |
出血傾向が増強するおそれがあるので、併用しないことが望ましいが、やむを得ず併用する場合には観察・検査を十分に行う等慎重に投与すること。 | 本剤の抗凝固作用と血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される。 |
| • サリチル酸誘導体• アスピリン 等 | 出血傾向が増強するおそれがあるので、併用しないことが望ましいが、やむを得ず併用する場合には観察・検査を十分に行う等慎重に投与すること。 | 本剤の抗凝固作用と血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される。 |
| デキストラン40 | 出血傾向が増強するおそれがあるので、併用しないことが望ましいが、やむを得ず併用する場合には観察・検査を十分に行う等慎重に投与すること。 | 本剤の抗凝固作用と血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される。 |
| • 血栓溶解剤• ウロキナーゼ • t-PA製剤 等 |
出血傾向が増強するおそれがあるので、併用しないことが望ましいが、やむを得ず併用する場合には観察・検査を十分に行う等慎重に投与すること。 | 本剤の抗凝固作用とフィブリン溶解作用により相加的に出血傾向が増強される。 |
| • 非ステロイド性消炎鎮痛剤• ロキソプロフェン • ナトリウム水和物 • ジクロフェナク • ナトリウム 等 |
出血傾向が増強するおそれがあるので、併用する場合には観察・検査を十分に行う等慎重に投与すること。 | 本剤の抗凝固作用と血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される。 |
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| Al-P上昇 | 頻度不明 |
| ALT上昇 | 頻度不明 |
| AST上昇 | 頻度不明 |
| CRP上昇 | 1%未満 |
| LDH上昇 | 頻度不明 |
| γ-GTP上昇 | 頻度不明 |
| そう痒症 | 頻度不明 |
| トリグリセリド上昇 | 1%未満 |
| ビリルビン上昇 | 1%未満 |
| めまい | 頻度不明 |
| 下痢 | 1%未満 |
| 不眠 | 1%未満 |
| 中等度の刺激感 | 頻度不明 |
| 便秘 | 頻度不明 |
| 創合併症 | 1%未満 |
| 創部分泌 | 1%未満 |
| 動悸 | 1%未満 |
| 四肢痛 | 頻度不明 |
| 好酸球数増加 | 頻度不明 |
| 悪心・嘔吐 | 1%未満 |
| 感覚減退 | 1%未満 |
| 末梢冷感 | 1%未満 |
| 末梢性浮腫 | 頻度不明 |
| 水疱性皮疹 | 頻度不明 |
| 消化不良 | 1%未満 |
| 湿疹 | 1%未満 |
| 熱感 | 頻度不明 |
| 疼痛・硬結・そう痒感・熱感 | 頻度不明 |
| 発熱 | 頻度不明 |
| 発疹 | 1%未満 |
| 白血球数増加 | 頻度不明 |
| 白血球数減少 | 頻度不明 |
| 皮膚壊死注1) | 頻度不明 |
| 皮膚血管炎 | 頻度不明 |
| 紅斑 | 頻度不明 |
| 肝機能異常 | 1%未満 |
| 背部痛 | 1%未満 |
| 胸痛 | 1%未満 |
| 脱毛症 | 頻度不明 |
| 腹痛 | 1%未満 |
| 血中カリウム上昇 | 頻度不明 |
| 血中カリウム減少 | 1%未満 |
| 血中カルシウム減少 | 頻度不明 |
| 血中尿素上昇 | 頻度不明 |
| 血小板数増加 | 頻度不明 |
| 貧血 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 頻度不明 |
エノキサパリンナトリウムは、アンチトロンビンIII(ATIII)と複合体を形成し、ATIIIの第Xa因子及び第IIa因子阻害作用を促進して抗凝固作用を発現する。その作用は、他の低分子量ヘパリンに比較し、抗第Xa因子活性/抗第IIa因子活性比が大きかった(in vitroでの抗第Xa因子活性/抗第IIa因子活性比が、ヘパリン1に対して4.88)12) 。
ヒト血漿におけるエノキサパリンナトリウムのaPTT延長作用は、ヘパリンに比較し弱かった12) (in vitro)。
エノキサパリンナトリウムは、ウサギ深部静脈血栓モデルにおいて単回皮下投与したとき、用量依存的に腹部大静脈閉塞時間を延長させ、抗血栓作用を示した。ヘパリンと比較して、エノキサパリンナトリウムの抗血栓作用は同程度であり、血漿中抗第Xa因子活性は高く、aPTTの延長作用は弱かった13) 。
エノキサパリンナトリウムはヒト血小板のアデノシン5'-二リン酸(ADP)誘発一次凝集能に対して、影響を及ぼさなかったが、ヘパリンは一次凝集能を亢進させた14) (in vitro)。
健康成人男子18例にエノキサパリンナトリウム30mg、60mg及び90mg(それぞれ3000IU、6000IU及び9000IUに相当)を単回皮下投与したとき注4) 、血漿中抗第Xa因子活性のAmax(最高活性値)及びAUCは投与量に依存し、線形的な増加を示した。消失半減期及びクリアランスは投与量によらずほぼ一定で、それぞれ3.90~4.72時間及び0.75~0.87L/hであった。また、分布容積は4.82~5.10Lであった1) 。
健康成人男子6例にエノキサパリンナトリウムを第1日及び第9日に20mg(2000IUに相当)を単回皮下投与し注4) 、第2~8日に1日2回7日間反復皮下投与したところ、投与後72時間までに定常状態に達した。第9日の血漿中抗第Xa因子活性のAmax及びAUCは第1日に比べそれぞれ47及び49%増加した2) 。
| 投与量 (IU) |
Amax (IU/mL) |
tmax注2) (h) |
AUC注3) (h・IU/mL) |
t1/2 (h) |
CL/F (L/h) |
||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 単回投与 | 3,000 (6例) |
0.46±0.05 | 2.0 (2.0-2.5) |
3.37±0.44 | 3.90±0.84 | 0.87±0.11 | |
| 6,000 (6例) |
0.76±0.09 | 3.0 (2.0-4.0) |
7.57±0.71 | 4.47±0.40 | 0.78±0.08 | ||
| 9,000 (6例) |
1.11±0.19 | 3.5 (1.5-4.0) |
11.89±2.15 | 4.72±0.42 | 0.75±0.14 | ||
| 反復投与 | 第1日 | 2,000 (6例) |
0.25±0.03 | 2.3 (1.5-3.0) |
1.62±0.18 | 3.19±0.56 | 1.14±0.16 |
| 第9日 | 2,000 (5例) |
0.35±0.08 | 2.0 (2.0-2.5) |
2.38±0.52 | 5.68±2.27 | 0.88±0.20 |
平均値±標準偏差
注2)中央値(最小値-最大値)
注3)単回投与;AUC(0-t)、反復投与;AUC(0-12)
健康成人男女4例に99mTc(テクネチウム99m)で標識したエノキサパリンナトリウム30mg(3000IUに相当)を単回静脈内投与したとき注4) 、投与後6時間における放射能分布は心臓、肝臓及び腎臓に限局していた3) (外国人データ)。
健康成人男女4例に99mTc(テクネチウム99m)で標識したエノキサパリンナトリウム30mg(3000IUに相当)を単回静脈内投与したとき注4) 、投与放射能の29%が投与後8時間までに、41%が投与後24時間までに尿中に排泄され、主要な排泄経路であることが示唆された3) (外国人データ)。
腎機能障害患者36例〔軽度(50mL/min<クレアチニンクリアランス(以下、CLCR)≤80mL/min)12例、中等度(30mL/min<CLCR≤50mL/min)12例、高度(CLCR≤30mL/min)12例〕にエノキサパリンナトリウム40mgを1日1回4日間反復皮下投与したとき注4) 、反復投与後4日目の抗第Xa因子活性のAUCは健康成人に比較して軽度及び中等度の患者ではそれぞれ20%及び21%高かったのに対し、高度の患者では65%増加した。また、消失半減期は健康成人の6.9時間に対して高度の腎機能障害患者では15.9時間と延長した4) (外国人データ)。
注4)本剤の承認された用法及び用量は1回2000IUを、原則として12時間毎に1日2回連日皮下注射である。