急性肝性ポルフィリン症
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
通常、12歳以上の患者には、ギボシランとして2.5mg/kgを1ヵ月に1回皮下投与する。
使用上の注意
-
8.1本剤投与により、アナフィラキシーなどの重度の過敏症反応が起こることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、このような症状の発現に備え、緊急処置をとれる準備をしておくこと。
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8.2本剤投与により、ALT又はASTの上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、投与開始前に肝機能検査を行い、投与開始後6ヵ月間は月1回を目安に、それ以降は定期的に肝機能検査を行うこと。重度の肝機能検査値異常や、臨床的に顕著な肝機能検査値の変動が認められた場合は、休薬又は投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。本剤の投与を再開する場合は、肝機能検査値が改善したことを確認した上で、用量を1回1.25mg/kgとする等、慎重に投与を再開し、その後も患者の状態を観察しながら必要に応じて1回2.5mg/kgへの増量を検討すること。
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8.3本剤投与により、血清クレアチニンの上昇又はeGFRの低下がみられることがあるので、腎機能を定期的に検査すること。
9.2 腎機能障害患者
重度の腎機能障害患者は臨床試験では除外されている。
9.3 肝機能障害患者
中等度及び重度の肝機能障害患者は臨床試験では除外されている。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ウサギにおいて、本剤の臨床推奨用量における曝露量未満で着床後胚損失率及び総吸収胚数の高値、生存胎児数の低値、全胚・胎児死亡並びに流産、臨床推奨用量における曝露量の3.2倍で骨格変異(胸骨の非対称、変形、化骨中心分離)が認められ、これらの所見は母動物の体重及び摂餌量の低値を伴うものであった。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ラットにおいて、高用量(30mg/kg)投与時に4例中1例で乳汁中に本薬がわずかに検出されたが、母動物における血漿中濃度の1/10未満であった。ヒトでの乳汁移行に関するデータ及びヒトの哺乳中の児への影響に関するデータはない。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| CYP1A2の基質となる薬剤 リドカイン、デュロキセチン、テオフィリン等 |
これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。 | 本剤は、肝臓でのヘム生合成経路に対して薬理作用を有することから、チトクロームP450(CYP1A2)の活性を抑制する。 |
| CYP2D6の基質となる薬剤 ロラタジン、パロキセチン、アミトリプチリン等 |
これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。 | 本剤は、肝臓でのヘム生合成経路に対して薬理作用を有することから、チトクロームP450(CYP2D6)の活性を抑制する。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| C-反応性蛋白増加 | 頻度不明 |
| アミラーゼ増加 | 頻度不明 |
| インフルエンザ | 5%以上 |
| インフルエンザ様疾患 | 頻度不明 |
| ウイルス感染 | 頻度不明 |
| そう痒感 | 5%以上 |
| そう痒症 | 5%以上 |
| パニック発作 | 頻度不明 |
| プロトロンビン量増加 | 頻度不明 |
| ほてり | 頻度不明 |
| リパーゼ増加 | 5%以上 |
| 上咽頭炎 | 5%以上 |
| 上気道感染 | 5%以上 |
| 下気道感染 | 頻度不明 |
| 下痢 | 5%以上 |
| 不安 | 頻度不明 |
| 不快感及び出血) | 5%以上 |
| 不眠症 | 頻度不明 |
| 体重増加 | 頻度不明 |
| 体重減少 | 頻度不明 |
| 便秘 | 5%以上 |
| 側腹部痛 | 頻度不明 |
| 内出血 | 5%以上 |
| 副鼻腔炎 | 頻度不明 |
| 動悸 | 頻度不明 |
| 口腔咽頭痛 | 頻度不明 |
| 味覚異常 | 頻度不明 |
| 呼吸困難 | 頻度不明 |
| 咳嗽 | 頻度不明 |
| 喘息 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 5%以上 |
| 四肢痛 | 頻度不明 |
| 国際標準比増加 | 頻度不明 |
| 多汗症 | 頻度不明 |
| 尿路感染 | 頻度不明 |
| 悪心 | 5%以上 |
| 感覚鈍麻 | 頻度不明 |
| 抑うつ気分 | 頻度不明 |
| 振戦 | 頻度不明 |
| 排尿困難 | 頻度不明 |
| 月経困難症 | 頻度不明 |
| 月経過多 | 頻度不明 |
| 末梢腫脹 | 頻度不明 |
| 気管支炎 | 頻度不明 |
| 気道うっ血 | 頻度不明 |
| 気道感染 | 頻度不明 |
| 水疱 | 頻度不明 |
| 注射部位反応注1)(紅斑 | 5%以上 |
| 活性化部分トロンボプラスチン時間延長 | 頻度不明 |
| 浮動性めまい | 頻度不明 |
| 消化不良 | 頻度不明 |
| 湿疹 | 頻度不明 |
| 無力症 | 5%以上 |
| 爪甲剥離症 | 頻度不明 |
| 片頭痛 | 5%以上 |
| 疲労 | 5%以上 |
| 疼痛 | 5%以上 |
| 発熱 | 5%以上 |
| 発疹 | 頻度不明 |
| 発疹 | 5%以上 |
| 皮膚炎 | 5%以上 |
| 眼そう痒症 | 頻度不明 |
| 筋痙縮 | 頻度不明 |
| 筋肉痛 | 頻度不明 |
| 筋骨格痛 | 頻度不明 |
| 精神状態変化 | 頻度不明 |
| 紅斑 | 頻度不明 |
| 結膜出血 | 頻度不明 |
| 胃腸炎 | 頻度不明 |
| 胃食道逆流性疾患 | 頻度不明 |
| 背部痛 | 頻度不明 |
| 脱毛症 | 頻度不明 |
| 脱水 | 頻度不明 |
| 腫脹 | 5%以上 |
| 腹痛 | 5%以上 |
| 蕁麻疹 | 頻度不明 |
| 血中ナトリウム減少 | 頻度不明 |
| 血中ホモシステイン増加 | 5%以上 |
| 過敏症 | 頻度不明 |
| 鉄過剰 | 頻度不明 |
| 錯感覚 | 頻度不明 |
| 関節痛 | 頻度不明 |
| 関節腫脹 | 頻度不明 |
| 霧視 | 頻度不明 |
| 頚部痛 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 5%以上 |
| 食欲減退 | 頻度不明 |
| 高血圧 | 頻度不明 |
| 鼻出血 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
ギボシランは二本鎖の低分子干渉リボ核酸(siRNA)であり、RNA干渉により肝細胞内でアミノレブリン酸合成酵素1(ALAS1)mRNAの分解を促進し、肝臓におけるALAS1 mRNA濃度を減少させる12) 。これにより、急性肝性ポルフィリン症の発作などの疾患症状を引き起こす要因となるALA及びPBGの血中濃度を抑制する13) 。
18.2 ALA及びPBGの減少作用
急性間欠性ポルフィリン症モデルマウスやPBGDノックダウンラットに本薬を皮下投与した結果、血清中ALA及びPBG濃度が減少した。サルに本薬を皮下投与した結果、肝臓、血清及び尿におけるALAS1 mRNA濃度が低下した13) 。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回投与
外国人慢性高排出者注2) に本薬0.35、1.0又は2.5mg/kgを単回皮下投与したときの本薬及びアンチセンス鎖の3'末端から1個のヌクレオチドが欠落した代謝物AS(N-1)3'の血漿中濃度時間推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。本薬2.5mg/kg投与時のt1/2は10.4±2.62時間、見かけの全身クリアランスは36.7±10.3L/h、見かけの分布容積は524±69.2L(いずれも平均値±標準偏差)であった2) 。
| 測定対象 | 用量 (mg/kg) |
例数 | Cmax (ng/mL) |
AUClast (ng・h/mL) |
tmax (h) |
|---|---|---|---|---|---|
| 本薬 | 0.35 | 3 | 52.1(20.5) | 293(32.5) | 1.0[0.3, 6.0] |
| 1.0 | 3 | 124(4.6) | 1180(55.1) | 4.0[2.0, 6.0] | |
| 2.5 | 3 | 356(16.6) | 4620(15.6) | 2.1[2.0, 4.0] | |
| AS(N-1)3' | 0.35 | 3 | 18.3(31.8) | 97.1(76.8) | 4.0[4.0, 8.0] |
| 1.0 | 3 | 51.2(10.0) | 439(45.4) | 4.0[4.0, 4.0] | |
| 2.5 | 3 | 154(20.0) | 2270(21.9) | 4.0[2.0, 4.0] |
Cmax及びAUClastは平均値±標準偏差、tmaxは中央値[最小値, 最大値] 本薬の承認用量は2.5mg/kgである。
注2)急性肝性ポルフィリン症に関連する遺伝子変異を有するが、活動性の内臓神経発作は認められない被験者で、健康成人と比べてALA及びPBG高値を示す。
- 16.1.2反復投与
外国人急性間欠性ポルフィリン症患者3例に本薬2.5mg/kgを1ヵ月に1回、4回皮下投与したとき、初回投与時及び4回目投与時における本薬のCmax(平均値)はそれぞれ279及び321ng/mL、AUClast(平均値)はそれぞれ3030及び4130ng・h/mL、代謝物AS(N-1)3'のCmax(平均値)はそれぞれ132及び123ng/mL、AUClast(平均値)はそれぞれ1880及び1930ng・h/mLであり、本薬及び代謝物AS(N-1)3'のいずれも蓄積性は認められなかった3) 。
16.3 分布
本薬のヒト血漿タンパク結合率は、本薬濃度の増加に伴い減少した(本薬1μg/mLで91.8%、本薬50μg/mLで21.1%)(in vitro)。本薬2.5mg/kgを投与したとき、ヒト血漿タンパク結合率は90%超であると考えられた4) 。 急性肝性ポルフィリン症患者等125例から得られた血漿中本薬及び代謝物AS(N-1)3'濃度に基づく母集団薬物動態解析の結果、本薬及び代謝物AS(N-1)3'の見かけの中心コンパートメントにおける分布容積(Vd/F)は、いずれも10.4Lと推定された5) 。
16.4 代謝
本薬は、エキソヌクレアーゼ及びエンドヌクレアーゼによる加水分解を介して代謝される6) 。 本薬は各種チトクロームP450(CYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6及びCYP3A4/5)を阻害しなかった。また、本薬は各種チトクロームP450(CYP1A2、CYP2B6及びCYP3A4)を誘導しなかった7) (in vitro)。一方で、本剤は肝臓でのヘム生合成経路に対して薬理作用を有することから、肝臓のチトクロームP450の活性を抑制する可能性がある。
16.5 排泄
外国人急性間欠性ポルフィリン症患者3例に本薬2.5mg/kgを1ヵ月に1回、4回皮下投与したとき、初回投与時及び4回目投与時の投与量に対する投与後24時間までの尿中排泄率(平均値)は、本薬でそれぞれ13.5%及び9.63%、代謝物AS(N-1)3'でそれぞれ7.20%及び5.80%であった3) 。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1肝機能障害患者
*本剤2.5mg/kgを皮下投与したとき、投与後2時間の血漿中本薬及び代謝物AS(N-1)3'濃度(初回投与時及び投与5ヵ月時)、並びにベースラインからの尿中ALA値及びPBG値の低下率(投与6ヵ月時)は、軽度肝機能障害患者(ベースライン時の総ビリルビン又はASTが基準値上限超の患者、6例)では肝機能が正常な患者(42例)と比較して臨床的に重要な違いは認められなかった8) 。
- 16.6.2腎機能障害患者
*本剤2.5mg/kgを皮下投与したとき、投与後2時間の血漿中本薬及び代謝物AS(N-1)3'濃度(初回投与時及び投与6ヵ月時)、並びにベースラインからの尿中ALA値及びPBG値の低下率(投与6ヵ月時)は、軽度腎機能障害患者(ベースライン時のeGFR(mL/min/1.73m2、以下同様)が60以上90未満、26例)、中等度腎機能障害患者(ベースライン時のeGFRが30以上60未満、11例)及び重度腎機能障害患者注3) (eGFRが15以上30未満、3例)では、腎機能が正常な患者(11例)と比較して臨床的に重要な違いは認められなかった9) 。
注3)腎機能障害の程度がベースライン時は中等度であったが、投与6ヵ月時では重度であった患者。
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1CYP基質
外国人慢性高排出者注2) 10例に本剤2.5mg/kgと各CYP分子種の基質となるカクテルを併用投与したときの各CYP基質の薬物動態に及ぼす影響は、以下のとおりであった10) 。
| 併用薬 | 幾何最小二乗平均値の比[90%信頼区間] (本剤併用投与時/基質となる薬剤単独投与時) |
|
|---|---|---|
| Cmax | AUClast | |
| カフェイン (CYP1A2の基質) |
1.28[1.09, 1.51] | 2.07[1.65, 2.60] |
| ロサルタン (CYP2C9の基質) |
0.97[0.765, 1.23] | 1.09[0.964, 1.24] |
| オメプラゾール (CYP2C19の基質) |
1.13[0.969, 1.31] | 1.57[1.39, 1.78] |
| デキストロメトルファン (CYP2D6の基質) |
2.00[1.59, 2.51] | 2.27[1.88, 2.74] |
| ミダゾラム (CYP3A4の基質) |
1.20[1.01, 1.42] | 1.39[1.17, 1.64] |
併用投与時の解析対象は9例
16.8 その他
外国人急性間欠性ポルフィリン症患者7例にプラセボ又は本薬2.5mg/kgを1ヵ月に1回、4回皮下投与したとき、ベースラインからの尿中ALA値及びPBG値の低下率(平均値)は、プラセボ群(4例)では大きな変動は認められず、本薬群(3例)の投与1週時で83.8%及び75.7%、投与2週時で82.4%及び82.8%、投与1ヵ月時で90.8%及び90.7%であり、その後も維持された[ベースライン時の尿中ALA値及びPBG値は、プラセボ群で16.6(7.51-33.8)及び46.2(30.7-51.8)nmol/mol Cr、本薬群で19.4(11.2-50.4)及び57.8(42.2-64.7)nmol/mol Cr:中央値(範囲)]3) 。