Clinical snapshot

カムザイオスカプセル5mg

マバカムテン

添付文書改訂 2026年06月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性

  3. 2.3イトラコナゾール、クラリスロマイシン含有製剤、ボリコナゾール、ポサコナゾール、リトナビル含有製剤、コビシスタット含有製剤、セリチニブ、エンシトレルビル フマル酸、ロナファルニブ、ジョサマイシン、ミフェプリストン・ミソプロストールを投与中の患者

  4. 2.4重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者

効能・効果

閉塞性肥大型心筋症

用法・用量

通常、成人にはマバカムテンとして2.5mgを1日1回経口投与から開始し、患者の状態に応じて適宜増減する。ただし、最大投与量は1回15mgとする。

使用上の注意

  1. 8.1本剤は、肥大型心筋症の診断及び治療に十分な知識及び経験を持つ医師のもとで使用すること。

  2. 8.2本剤はLVEFを低下させ、収縮機能障害により心不全を引き起こすおそれがある。本剤投与中は、定期的に心エコー検査を行い、患者の状態(バルサルバLVOT圧較差及びLVEF)をモニタリングすること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1収縮機能障害による心不全のリスクが高まるおそれがある患者

  2. (1)不整脈(心房細動又はその他のコントロール不良の頻脈性不整脈を含む)等の重篤な合併症のある患者

  3. (2)心臓手術(例:冠動脈バイパス術、弁膜症手術、心筋切除術、心臓移植)を受ける患者

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者

投与しないこと。本剤の血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある。重度の肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。

  1. 9.3.2肝機能障害のある患者(重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者を除く)

本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。

9.4 生殖能を有する者

妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後4ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと。動物実験(ラット及びウサギ)において、臨床最大曝露量と同程度の曝露量で胚致死作用及び催奇形性が認められている1)。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。本剤は乳汁中に移行する可能性がある。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

相互作用

  • 本剤は、主にCYP2C19及びCYP3A4によって代謝される。

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
イトラコナゾール
(イトリゾール)
クラリスロマイシン含有製剤
(クラリス、クラリシッド、ボノサップ、ラベキュア)
ボリコナゾール
(ブイフェンド)
ポサコナゾール
(ノクサフィル)
リトナビル含有製剤
(カレトラ、ノービア、パキロビッド)
コビシスタット含有製剤
(シムツーザ、ゲンボイヤ、プレジコビックス)
セリチニブ
(ジカディア)
エンシトレルビル フマル酸
(ゾコーバ)
ロナファルニブ
(ゾキンヴィ)
ジョサマイシン
(ジョサマイ)
ミフェプリストン・ミソプロストール
(メフィーゴ)
本剤の副作用が増強され、収縮機能障害による心不全のリスクが高まるおそれがある。 これらの薬剤がCYP3A4を強力に阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
強い又は中程度のCYP2C19阻害剤
• フルコナゾール
• フルボキサミン
• チクロピジン等
本剤の副作用が増強され、収縮機能障害による心不全のリスクが高まるおそれがある。 これらの薬剤がCYP2C19を阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
弱いCYP2C19阻害剤
• オメプラゾール等
本剤の副作用が増強され、収縮機能障害による心不全のリスクが高まるおそれがある。
本剤投与中にこれらの薬剤の投与を開始又は増量する場合は、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察すること。
これらの薬剤がCYP2C19を阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
中程度又は弱いCYP3A4阻害剤
• ベラパミル
• ジルチアゼム
• エリスロマイシン
• グレープフルーツジュース等
本剤の副作用が増強され、収縮機能障害による心不全のリスクが高まるおそれがある。 これらの薬剤がCYP3A4を阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
強い又は中程度のCYP2C19誘導剤
• アパルタミド等
本剤の有効性が減弱するおそれがある。
本剤と併用中にこれらの薬剤の投与を中止又は減量すると収縮機能障害による心不全のリスクが高まるおそれがある。
これらの薬剤がCYP2C19を誘導することにより、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。
強い、中程度又は弱いCYP3A4誘導剤
• リファンピシン
• カルバマゼピン
• フェニトイン
• ダブラフェニブ
• エンザルタミド
• ミトタン
• セイヨウオトギリソウ(St. Johnʼs Wort:セント・ジョーンズ・ワート)含有食品等
本剤の有効性が減弱するおそれがある。
本剤と併用中にこれらの薬剤の投与を中止又は減量すると収縮機能障害による心不全のリスクが高まるおそれがある。
これらの薬剤がCYP3A4を誘導することにより、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。
β遮断薬
• ビソプロロール
• メトプロロール等非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬
• ベラパミル
• ジルチアゼム
これらの薬剤と併用する場合、患者の状態を慎重に観察しながら投与すること。特に本剤とβ遮断薬及び非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬との併用の場合には注意すること。本剤投与中にこれらの薬剤の投与を開始又は増量する場合は、薬剤の投与量及び患者の状態が安定するまで心エコー検査によるLVEFのモニタリング等を定期的に実施し、患者の状態を慎重に観察しながら投与すること。 相加的に陰性変力作用を増強させ、左室収縮力を過度に低下させる可能性がある。
クラスⅠA抗不整脈薬
• ジソピラミド
• シベンゾリン等
これらの薬剤と併用する場合、患者の状態を慎重に観察しながら投与すること。本剤投与中にこれらの薬剤の投与を開始又は増量する場合は、薬剤の投与量及び患者の状態が安定するまで心エコー検査によるLVEFのモニタリング等を定期的に実施し、患者の状態を慎重に観察しながら投与すること。 相加的に陰性変力作用を増強させ、左室収縮力を過度に低下させる可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
労作性呼吸困難 頻度不明
動悸 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
心房細動 頻度不明
末梢性浮腫 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
疲労 頻度不明
筋力低下 頻度不明
頭痛 頻度不明
駆出率減少 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

マバカムテンは、心筋ミオシンに対する選択的かつ可逆的なアロステリック阻害剤である。マバカムテンは、ミオシンヘッドからの無機リン酸(Pi)放出の抑制及びsuper relaxed(SRX)18)状態のミオシンヘッドの増加を介してアデノシン三リン酸(ATP)加水分解サイクルを阻害することにより、肥大型心筋症における左室での心筋の過収縮を抑制し、閉塞性肥大型心筋症患者における拡張機能障害やLVOT狭窄を改善する。

18.2 心筋サルコメアにおけるATP加水分解サイクルの進行に対する作用

マバカムテンは、in vitroにおいて、野生型のヒト心筋ミオシンのATP加水分解サイクルを阻害し、その50%阻害濃度(IC50値)は0.52~0.73μMであった。また、マバカムテンは、ミオシン重鎖(MYH7)に肥大型心筋症の病因性変異(R403Q、R453C、R719W、R723G、G741R)を有するヒト心筋ミオシンの同サイクルを阻害し、IC50値は0.65~1.31μMであった19)。

18.3 心機能及び血行動態に対する作用

正常ラット及びイヌにおいて、マバカムテンは心筋の収縮力を低下させ、心室容積を増大させる一方で、全身の血行動態及び左室圧には顕著な影響を及ぼさなかった20)。

18.4 LVOT圧較差に対する作用

βアドレナリン受容体作動薬投与によりLVOT狭窄を誘導した閉塞性肥大型心筋症モデルネコにおいて、マバカムテンは曝露量依存的にLVOT圧較差を減少させた21)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康被験者(20例)にマバカムテン5、15又は25mgを空腹時単回投与注)したときの、マバカムテンの薬物動態パラメータは下表のとおりであった2)。

投与量
(例数)
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(h)
AUC(INF)
(ng・h/mL)
T1/2
(h)
5mg
(4例)
141.3
(15.5)
1.50
(1.00, 2.00)
6277
(28.7)
216.3
(28.6)
15mg
(8例)
289.0
(19.8)
1.00
(0.50, 4.00)
15410
(27.4)
216.3
(23.9)
25mg
(8例)
504.0
(18.3)
1.50
(0.50, 3.00)
17370
(34.0)
141.4
(43.1)

Tmaxの値は中央値(範囲)、T1/2、Cmax及びAUC(INF)の値は、幾何平均値[幾何変動係数(gCV%)]を示す。

  1. 16.1.2反復投与

健康被験者(40例)にマバカムテンを28日間反復投与注)したときの、マバカムテンの薬物動態パラメータは下表のとおりであった3)(外国人データ)。

投与量
(例数)
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(h)
AUC(TAU)
(ng・h/mL)
T1/2
(h)
1mg
1日2回
(10例)
1 29.00
(58.01)
1.00
(0.50, 3.00)
81.10
(30.96)
9.69
(41.26)
28 76.02
(31.66)
0.50
(0.50, 1.50)
577.43
(40.45)
18.93
(78.77)
3mg
1日2回
(10例)
1 52.85
(62.76)
1.00
(0.50, 2.00)
176.62
(42.91)
7.01
(64.83)
28 159.08
(50.54)
1.75
(0.50, 8.00)
1387.28
(57.77)
42.62
(230.26)
12.5mg
1日1回
(10例)
1 208.05
(27.06)
1.54
(1.50, 3.00)
1194.67
(30.80)
24.83
(35.05)
28 411.97
(39.68)
2.00
(0.50, 24.00)
6184.49
(44.66)
45.36
(48.32)
18.5mg
1日1回
(10例)
1 362.16
(31.19)
1.50
(0.50, 3.00)
2220.42
(25.84)
16.84
(66.25)
28 943.51
(27.77)
2.00
(0.50, 4.00)
15818.53
(41.83)
78.88
(63.05)

Tmaxの値は中央値(範囲)、T1/2、Cmax及びAUC(TAU)の値は、幾何平均値[幾何変動係数(gCV%)]を示す。

16.2 吸収

  1. 16.2.1バイオアベイラビリティ

マバカムテンは経口投与後速やかに吸収され、経口バイオアベイラビリティは臨床用量範囲内で約85%と推定された4)(外国人データ)。

  1. 16.2.2食事の影響

健康被験者(23例)にマバカムテン15mgを高脂肪食摂取後に単回経口投与したとき、Tmaxは空腹時投与で1時間であったのに対し食後投与では4時間であり、高脂肪食により吸収の遅延が生じた。空腹時投与と比較して食後投与ではAUC(INF)が12.3%、Cmaxが50%減少した5)(外国人データ)。

16.3 分布

臨床試験におけるマバカムテンの血漿蛋白結合率は97%から98%であった6)(外国人データ)。マバカムテンの血漿中濃度に対する血中濃度の比は0.79であった7)(in vitroデータ)。 マバカムテン18.5mg(4例)又は25mg(6例)を最長28日間投与注)した男性被験者10例の精液中のマバカムテン測定に基づくと、マバカムテンの精液/血漿比の平均値(SD)はそれぞれ0.039(0.0047)及び0.044(0.016)であった3)(外国人データ)。

16.4 代謝

マバカムテンは広範に代謝され、主にCYP2C19(74%)、CYP3A4(18%)及びCYP2C9(7.6%)を介して代謝される8)(in vitroデータ)。ヒト血漿中に3種類の代謝物が検出されたが、いずれもヒト血漿中総放射能の4%未満であった4)。

16.5 排泄

健康被験者に14C標識マバカムテン25mgを単回投与後注)、総放射能の7%が糞便中に、85%が尿中に回収された。糞便中及び尿中の未変化体は、投与量のそれぞれ約1%及び3%であった4)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

母集団薬物動態解析の結果、eGFRが45、75、95mL/min/1.73m2の被験者で曝露量に差は認められなかった9)(外国人データ)。

  1. 16.6.2肝機能障害患者

軽度又は中等度(Child-Pugh分類A又はB)の肝機能障害被験者及び肝機能正常被験者に、マバカムテン25mgを単回経口投与注)したとき、正常な肝機能を有する被験者と比較して、軽度及び中等度の肝機能障害を有する被験者でマバカムテンのAUC(last)はそれぞれ3.24倍及び1.87倍に増加し、Cmaxはそれぞれ1.12倍及び1.10倍であった6)(外国人データ)。

  1. 16.6.3CYP2C19表現型

CYP2C19のNormal metabolizer(NM)又はPoor metabolizer(PM)の健康被験者(各8例)にマバカムテン15mgを単回経口投与したとき、CYP2C19 NMに対してPMではCmaxが1.47倍、AUC(INF)が3.41倍に増加した。半減期の幾何平均値はNMで8日、PMで23日であった10)(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1マバカムテンに対する併用薬の影響

薬物相互作用試験の結果は下表のとおりであった11),12)(外国人データ)。

併用薬 併用薬投与量 マバカムテン投与量 幾何平均比(90%信頼区間)
併用/非併用
Cmax AUC(INF)
オメプラゾール
(弱いCYP2C19阻害薬)
20mg
1日1回
15mg単回 0.99
(0.75, 1.30)
1.48
(1.16, 1.88)
ベラパミル
(中程度CYP3A4阻害薬)
240mg
1日1回
25mg単回注) 1.518
(1.160, 1.985)
1.155
(0.844, 1.582)
  1. 16.7.2併用薬に対するマバカムテンの影響

薬物相互作用試験の結果は下表のとおりであった13),14)(外国人データ)。

併用薬 併用薬投与量 マバカムテン投与量注) 幾何平均比(90%信頼区間)
併用/非併用
Cmax AUC(INF)
ミダゾラム
(CYP3A4基質)
5mg単回 25mg 1日1回2日間投与後、15mg 1日1回 0.93
(0.77, 1.13)
0.87
(0.68, 1.10)
エチニルエストラジオール(CYP3A4基質) 35μg単回 25mg 1日1回2日間投与後、15mg 1日1回 1.05
(0.945, 1.16)
1.20
(1.08, 1.33)
ノルエチンドロン
(CYP3A4基質)
1mg単回 25mg 1日1回2日間投与後、15mg 1日1回 1.14
(0.979, 1.33)
1.12
(1.01, 1.24)

注)本剤の承認された用法及び用量は「通常、成人にはマバカムテンとして2.5mgを1日1回経口投与から開始し、患者の状態に応じて適宜増減する。ただし、最大投与量は1回15mgとする」である。