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カペシタビン錠300mg「JG」

カペシタビン錠

添付文書改訂 2026年03月01日

【警告】

  1. 1.1本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例についてのみ実施すること。適応患者の選択にあたっては、本剤及び各併用薬剤の添付文書を参照して十分注意すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

  2. 1.2テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤との併用により、重篤な血液障害等の副作用が発現するおそれがあるので、併用を行わないこと。

  3. 1.3本剤とワルファリンカリウムとの併用により、血液凝固能検査値異常、出血が発現し死亡に至った例も報告されている。これらの副作用は、本剤とワルファリンカリウムの併用開始数日後から本剤投与中止後1ヶ月以内の期間に発現しているので、併用する場合には血液凝固能検査を定期的に行い、必要に応じて適切な処置を行うこと。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分又はフルオロウラシルに対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中の患者及び投与中止後7日以内の患者

  3. 2.3重篤な腎障害のある患者

  4. 2.4妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

  • 手術不能又は再発乳癌

  • 結腸・直腸癌

  • 胃癌

用法・用量

手術不能又は再発乳癌にはA法又はB法を使用し、ラパチニブトシル酸塩水和物と併用する場合にはC法を使用する。結腸・直腸癌における補助化学療法にはB法を使用し、オキサリプラチンと併用する場合にはC法を使用する。治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌には他の抗悪性腫瘍剤との併用でC法又はE法を使用する。直腸癌における補助化学療法で放射線照射と併用する場合にはD法を使用する。胃癌には白金製剤との併用でC法を使用する。

A法:体表面積にあわせて次の投与量を朝食後と夕食後30分以内に1日2回、21日間連日経口投与し、その後7日間休薬する。 これを1コースとして投与を繰り返す。

体表面積 1回用量
1.31m2未満 900mg
1.31m2以上1.64m2未満 1,200mg
1.64m2以上 1,500mg

B法:体表面積にあわせて次の投与量を朝食後と夕食後30分以内に1日2回、14日間連日経口投与し、その後7日間休薬する。 これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

体表面積 1回用量
1.33m2未満 1,500mg
1.33m2以上1.57m2未満 1,800mg
1.57m2以上1.81m2未満 2,100mg
1.81m2以上 2,400mg

C法:体表面積にあわせて次の投与量を朝食後と夕食後30分以内に1日2回、14日間連日経口投与し、その後7日間休薬する。 これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

体表面積 1回用量
1.36m2未満 1,200mg
1.36m2以上1.66m2未満 1,500mg
1.66m2以上1.96m2未満 1,800mg
1.96m2以上 2,100mg

D法:体表面積にあわせて次の投与量を朝食後と夕食後30分以内に1日2回、5日間連日経口投与し、その後2日間休薬する。 これを繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

体表面積 1回用量
1.31m2未満 900mg
1.31m2以上1.64m2未満 1,200mg
1.64m2以上 1,500mg

E法: 体表面積にあわせて次の投与量を朝食後と夕食後30分以内に1日2回、14日間連日経口投与し、その後7日間休薬する。 これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

体表面積 1回用量
1.31m2未満 900mg
1.31m2以上1.69m2未満 1,200mg
1.69m2以上2.07m2未満 1,500mg
2.07m2以上 1,800mg

使用上の注意

  1. 8.1テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中止後、本剤の投与を行う場合は、少なくとも7日以上の間隔をあけること。

  2. 8.2本剤投与中は定期的(特に投与初期は頻回)に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

  3. 8.3感染症・出血傾向の発現又は悪化に十分注意すること。

  4. 8.4治癒切除不能な進行・再発の胃癌、直腸癌における補助化学療法に本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書」1),2) 等)を熟読すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1冠動脈疾患の既往歴のある患者

心障害があらわれるおそれがある。

  1. 9.1.2骨髄抑制のある患者

骨髄抑制が増強するおそれがある。

  1. 9.1.3消化管潰瘍又は出血のある患者

症状が悪化するおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重篤な腎障害のある患者

投与しないこと。

  1. 9.2.2腎障害のある患者(重篤な腎障害のある患者を除く)

副作用が重症化又は発現率が上昇するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1肝機能障害患者

9.4 生殖能を有する者

  1. 9.4.1生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。

  2. 9.4.2妊娠可能な女性患者には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。

  3. 9.4.3パートナーが妊娠する可能性のある男性患者には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験で胚致死作用及び催奇形作用が報告されている。マウスにおいて、早期胚死亡、脳室拡張、骨格変異の増加、化骨遅延(198mg/kg/日以上 反復投与)、サルにおいて、流産、胚死亡(90mg/kg/日以上 反復投与)が報告されている。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。動物実験(マウス)において、乳汁への移行(198mg/kg 単回投与)が報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。特に80歳以上の高齢者において、重症の下痢、嘔気、嘔吐等の発現率が上昇したとの報告がある。

相互作用

  • 本剤が肝チトクロームP450(CYP2C9)の酵素蛋白合成系に影響し、酵素活性が低下する可能性があるので、CYP2C9で代謝を受ける薬剤と併用する場合に併用薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(ティーエスワン)
早期に重篤な血液障害や下痢、口内炎等の消化管障害等が発現するおそれがあるので、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中及び投与中止後7日以内は本剤を投与しないこと。 ギメラシルがフルオロウラシルの異化代謝を阻害し、血中フルオロウラシル濃度が著しく上昇する。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ワルファリンカリウム
併用開始数日後から本剤投与中止後1ヶ月以内の期間に血液凝固能検査値異常、出血の発現が報告されている。定期的に血液凝固能検査(プロトロンビン時間、INR等)を行い、必要に応じて適切な処置を行うこと。 本剤が肝チトクロームP450(CYP2C9)の酵素蛋白合成系に影響し、酵素活性が低下している可能性が考えられている。
フェニトイン フェニトインの血中濃度が上昇したとの報告があるので、フェニトインの血中濃度の変化に注意すること。 本剤が肝チトクロームP450(CYP2C9)の酵素蛋白合成系に影響し、酵素活性が低下している可能性が考えられている。
トリフルリジン・チピラシル塩酸塩配合剤 副作用が増強するおそれがある。 フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤の代謝に影響を及ぼす可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P増加 頻度不明
ALT増加 頻度不明
AST増加 頻度不明
BUN増加 頻度不明
LDH増加 頻度不明
うつ病 頻度不明
そう痒症 頻度不明
プロトロンビン時間延長 頻度不明
ヘマトクリット減少 頻度不明
ヘモグロビン減少 頻度不明
リンパ球数減少(21.5%) 頻度不明
上腹部痛 頻度不明
下肢浮腫 頻度不明
不眠症 頻度不明
体重増加 頻度不明
体重減少 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 頻度不明
光線過敏 頻度不明
剥脱性皮膚炎 頻度不明
十二指腸炎 頻度不明
単球数増加 頻度不明
口内乾燥 頻度不明
口唇炎 頻度不明
口渇 頻度不明
味覚異常 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咳嗽 頻度不明
嘔吐 頻度不明
四肢痛 頻度不明
好中球数減少 頻度不明
尿中ブドウ糖陽性 頻度不明
尿沈渣陽性 頻度不明
心筋症 頻度不明
心筋虚血 頻度不明
悪心(33.2%) 頻度不明
放射線照射リコール症候群 頻度不明
流涙増加 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
消化不良 頻度不明
無力症 頻度不明
爪ジストロフィー等) 頻度不明
爪の異常(爪甲離床症 頻度不明
爪変色 頻度不明
疲労 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
白血球数減少(24.8%) 頻度不明
皮膚乾燥 頻度不明
皮膚亀裂 頻度不明
皮膚炎 頻度不明
皮膚落屑 頻度不明
眼刺激等) 頻度不明
眼障害(結膜炎 頻度不明
筋痛 頻度不明
紅斑性皮疹 頻度不明
肝機能異常 頻度不明
胃不快感 頻度不明
胃炎 頻度不明
胃腸出血 頻度不明
背部痛 頻度不明
胸痛 頻度不明
胸痛 頻度不明
脆弱爪 頻度不明
脱力 頻度不明
脱毛症 頻度不明
腹痛 頻度不明
色素沈着障害 頻度不明
蛋白尿 頻度不明
血中アルブミン減少 頻度不明
血中クレアチニン増加 頻度不明
血中ビリルビン増加(24.2%) 頻度不明
血中ブドウ糖増加 頻度不明
血圧上昇 頻度不明
血小板数減少 頻度不明
角膜炎 頻度不明
貧血 頻度不明
赤血球数減少(26.2%) 頻度不明
軟便 頻度不明
錯感覚 頻度不明
関節痛 頻度不明
電解質異常 頻度不明
頭痛 頻度不明
頻脈 頻度不明
食欲不振(30.5%) 頻度不明
食道炎 頻度不明
高トリグリセリド血症 頻度不明
鼓腸 頻度不明
鼻咽頭炎 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本薬は消化管より未変化体のまま吸収され、肝臓でカルボキシルエステラーゼにより5’-DFCRに代謝される。次に主として肝臓や腫瘍組織に存在するシチジンデアミナーゼにより5’-DFURに変換される。更に、腫瘍組織に高レベルで存在するチミジンホスホリラーゼにより活性体である5-FUに変換され抗腫瘍効果を発揮する31) 。5-FUはFdUMPに代謝され、チミジル酸合成酵素及び5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸と不活性複合体を形成する。その結果チミジル酸合成を抑制することにより、DNA合成を阻害する。また、5-FUはFUTPに代謝され、UTPの代わりにRNAに取り込まれることにより、リボソームRNA及びメッセンジャーRNAの機能を障害すると考えられている32) 。

18.2 抗腫瘍効果

可移植性ヒト乳癌(ZR-75-1、MCF-7、MAXF401、MX-1)、ヒト結腸癌(CXF280、HCT116、LoVo、COLO205)及びヒト胃癌(MKN28、MKN45、GXF97)担癌ヌードマウスに対して抗腫瘍効果が認められた33) 。また、他の抗悪性腫瘍剤との併用により、抗腫瘍効果の増強が認められた34),35) 。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1A法で投与した場合の血漿中濃度

固形癌患者12名にカペシタビン829mg/m2注1)を食後に単回経口投与したとき、カペシタビン、5’-DFCR、5’-DFUR及び5-FUは、投与後1.1~1.3時間でCmaxに到達し、半減期0.4~0.8時間で減少した。5-FUのAUClastは、5’-DFURの約1/20であった4) 。

化合物 Tmax
(h)
Cmax
(μg/mL)
AUClast
(μg・h/mL)
T1/2
(h)
カペシタビン 1.1±0.7 4.85±3.74 4.77±2.51 0.42±0.70
5’-DFCR 1.3±0.7 5.35±3.04 9.63±4.25 0.79±0.19
5’-DFUR 1.3±0.7 4.33±2.09 6.96±1.66 0.67±0.11
5-FU 1.3±0.7 0.25±0.18 0.39±0.20 0.69±0.17

(Mean±S.D.,n=12)

また固形癌患者16名に251~1,255mg/m2注1)の投与量で、カペシタビン及び各代謝物のCmax、AUClastは投与量に比例して増加し、初回投与後のカペシタビン及び各代謝物の体内動態は線形性を示すことが示唆された5) 。 注1)承認された用法・用量は体表面積にあわせてA法及びD法では1回900~1,500mgを、B法では1回1,500~2,400mgを、C法では1回1,200~2,100mgを、E法では1回900~1,800mgを1日2回である。

  1. 16.1.2B法で投与した場合の血漿中濃度

結腸・直腸癌患者20名にカペシタビン1,250mg/m2を食後1日2回連日経口投与したときの投与1日目注2)のカペシタビン、5’-DFCR、5’-DFUR及び5-FUの血漿中濃度は、投与後1.7~2.3時間でCmaxに到達し、半減期0.55~0.81時間で減少した。投与1日目の5-FUのAUClastは、5’-DFURの約1/30であった。投与14日目の薬物動態パラメータは5-FUを除き、初回投与後の値とほぼ同様であった6),7)。 注2)投与1日目は1,250mg/m2を朝食後に1日1回経口投与した。

化合物 Cmax(μg/mL) AUClast(μg・h/mL) n
1日目 14日目 1日目 14日目 1日目 14日目
カペシタビン 4.80±1.75 4.19±2.55 6.91±2.40 6.14±1.92 20 19
5’-DFCR 5.95±2.50 5.20±1.90 15.1±4.31 14.1±4.58 20 19
5’-DFUR 6.02±2.49 6.59±2.83 12.8±3.74 13.0±3.31 20 19
5-FU 0.22±0.12 0.38±0.21 0.45±0.18 0.71±0.23 20 19

(Mean±S.D.)

  1. 16.1.3生物学的同等性試験

結腸・直腸癌患者34名にカペシタビン錠300mg「JG」とゼローダ錠300mgを、2剤4期クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(カペシタビンとして300mg)空腹時単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された8)。

判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0-3
(ng・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
カペシタビン錠
300mg「JG」
681±203 1270±714 0.59±0.365 0.45±0.0990
ゼローダ錠300 669±172 1320±746 0.58±0.283 0.73±2.35

(Mean±S.D.)

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.3 分布

  1. 16.3.1組織内移行性

マウス及びサルに14C標識カペシタビンをそれぞれ198mg/kg及び54mg/kgの用量で単回経口投与したとき、放射能は速やかに吸収された後、体内に広く分布したが、投与後24時間までにそのほとんどが体内より消失した。本薬の吸収、代謝、排泄に関与する消化管、肝臓、腎臓における放射能は高かったが、放射能の脳への移行は低かった9) 。妊娠マウスに14C標識カペシタビン(198mg/kg)を単回経口投与したとき、放射能の胎児への移行が認められた10) 。

  1. 16.3.2腫瘍選択的5-FUの生成

ヒト結腸癌HCT116、CXF280及びCOLO205株(カペシタビン感受性)担癌ヌードマウスに本薬(経口投与)、ドキシフルリジン(5’-DFUR、経口投与)及び5-FU(腹腔内投与)を等毒性用量(長期投与時の最大耐量)投与し、経時的に腫瘍組織、筋肉及び血漿中の5-FU量を測定した。本薬投与マウスで腫瘍組織に選択的に高濃度の5-FUが検出された。腫瘍組織5-FU AUCは筋肉及び血漿中の5-FU AUCに比べ本薬投与でそれぞれ22倍及び114~209倍、5’-DFUR投与でそれぞれ6倍及び21~34倍高い値を示した。一方、5-FU投与では、5-FUは腫瘍組織ばかりでなく筋肉及び血漿中にも同様に分布した。本薬投与マウスの腫瘍組織5-FU AUCは5’-DFUR及び5-FU投与マウス腫瘍組織5-FU AUCに比べ、それぞれ3.6~4.3倍及び16~35倍高い値を示した11) 。

16.4 代謝

カペシタビンはカルボキシルエステラーゼにより5’-DFCRに代謝され、さらにシチジンデアミナーゼにより5’-DFURへ変換される。5’-DFURはピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼ(PyNPase)(ヒトの場合チミジンホスホリラーゼ、げっ歯類の場合ウリジンホスホリラーゼが関与)により5-FUに変換される12) 。

16.5 排泄

結腸・直腸癌患者20名にカペシタビン1,250mg/m2を経口投与したとき、投与後24時間までに投与量の69~80%に相当する量が尿中へ排泄された。このうち未変化体の尿中排泄率は約3%と低値を示し、FBALは約50%を示した6),7)。 固形癌患者6名に14Cで標識したカペシタビン水溶液2,000mgを食後単回経口投与したとき、7日目までの尿中累積排泄率は投与量の96%に相当し、投与量のほとんどが尿中に排泄された。尿中排泄は、大部分(平均84%)が投与後12時間以内に排泄され、約144時間で完了した。尿中で認められたカペシタビンの代謝物は5’-DFCR、5’-DFUR、5-FU、FUH2、FUPA及びFBALであり、また血漿中に認められた代謝物は5’-DFCR、5’-DFUR、5-FU、FUH2及びFBALであった。血漿中及び尿中における総放射能と各化合物の合計がほぼ同様であったことから、血漿中及び尿中に未知代謝物が存在する可能性は低いことが示唆された13) (外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

固形癌患者27名の腎機能をクレアチニン・クリアランスによって、正常(>80mL/min)、腎機能障害軽度(51~80mL/min)、中等度(30~50mL/min)及び高度(<30mL/min)に分類し、カペシタビン1,255mg/m2注1)を経口投与した際のカペシタビンとその代謝物のAUCinfは以下のとおりであった14) (外国人データ)。

化合物 クレアチニン・クリアランス(mL/min)
>80
n=6
51-80
n=8
30-50
n=6
<30
n=4
カペシタビン 6.24±2.06 5.98±3.06 7.88±4.32 7.79±4.43
5’-DFCR 11.6±4.12 12.4±2.25 13.5±7.18 12.0±2.09
5’-DFUR 13.7±2.62 13.8±3.57 19.4±7.16 23.4±5.38
5-FU 0.87±0.45 0.57±0.17 0.78±0.27 1.07±0.43
FBAL 39.6±14.6 42.6±12.8 73.5±28.2 142±53.2

(Mean±S.D.)

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1ワルファリン

固形癌患者4名にカペシタビン2,500mg/m2/日を食後1日2回、2週間経口投与、1週間休薬を1コースとした間欠投与を3コース行う前後でそれぞれワルファリンナトリウム20mgを経口投与した。カペシタビン投与前と比較して投与後におけるS-ワルファリン(光学異性体のS体)のAUCinfは57%、INRは91%増加した15) (外国人データ)。

  1. 16.7.2その他

ヒト肝ミクロゾーム画分を用いてカペシタビン、5’-DFCR、5’-DFUR、5-FU及びFBALの薬物代謝酵素系(CYP1A2、CYP2A6、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4)への影響をin vitroで検討した。その結果、カペシタビンは臨床上で推定される血漿中非結合型薬物濃度(約0.015mM、5.4μg/mL)の7倍に相当する濃度(0.1mM、約36μg/mL)では阻害は認められなかったが、130倍に相当する高濃度(2mM、約700μg/mL)においてCYP2C9、CYP2E1を50%近く阻害した。一方、代謝物については薬物代謝酵素系への直接的な阻害は認められなかった16)。 固形癌患者12名にカペシタビン1,250mg/m2を食後水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムを含む制酸剤と併用投与したとき、カペシタビン及び5’-DFCRのCmaxは単独投与時と比較して14~21%上昇したものの、その他の代謝物に影響は認められなかった17)(外国人データ)。