Clinical snapshot

カプレルサ錠100mg

バンデタニブ製剤

添付文書改訂 2025年11月01日

【警告】

  1. 1.1本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に本剤の有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

  2. 1.2間質性肺疾患があらわれ、死亡に至った症例が報告されているので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、疲労等)の確認、胸部画像検査の実施等、観察を十分に行うこと。異常が認められた場合には本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  3. 1.3QT間隔延長があらわれることがあるので、定期的な心電図検査及び電解質検査の実施等、患者の状態を十分に観察すること。また、QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤と併用する場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2先天性QT延長症候群のある患者[QT間隔延長が増悪するおそれがある。]

  3. 2.3妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

根治切除不能な甲状腺髄様癌

用法・用量

通常、成人にはバンデタニブとして1回300mgを1日1回、経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

使用上の注意

  1. 8.1間質性肺疾患があらわれることがあるので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認、定期的な胸部画像検査の実施等、患者の状態を十分に観察すること。また、必要に応じて動脈血酸素分圧(PaO2)、動脈血酸素飽和度(SpO2)、肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)、肺拡散能力(DLco)等の検査を行うこと。

  2. 8.2QT間隔延長があらわれることがあるので、投与開始前及び投与中は定期的に心電図検査及び電解質検査(カリウム、マグネシウム、カルシウム等)を行い、患者の状態を十分に観察すること。また、必要に応じて電解質を補正すること。

  3. 8.3重篤な心障害があらわれることがあるので、投与開始前及び投与中はこれらの症状の発現状況・重篤度等に応じて適宜心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態を十分に観察すること。

  4. 8.4血圧の上昇があらわれることがあるので、投与開始前及び投与中は定期的に血圧測定を行い、患者の状態を十分に観察すること。

  5. 8.5肝障害があらわれることがあるので、投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。

  6. 8.6手足症候群、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑等の皮膚障害があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察すること。また、必要に応じて皮膚科を受診するよう、患者に指導すること。

  7. 8.7創傷治癒を遅らせる可能性があるので、外科的処置が予定されている場合には、外科的処置の前に本剤の投与を中断すること。外科的処置後の投与再開は、患者の状態に応じて判断すること。

  8. 8.8霧視等の重篤な眼障害があらわれることがあるので、投与中は定期的に眼の異常の有無を確認すること。異常が認められた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。

  9. 8.9疲労、霧視等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。

  10. 8.10定期的に血清カルシウム濃度を測定すること。

  11. 8.11定期的に甲状腺刺激ホルモン濃度を測定すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者

間質性肺疾患が増悪又は発現するおそれがある。

  1. 9.1.2QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者

QT間隔延長が起こるおそれがある。

  1. 9.1.3心不全症状のある患者又はその既往歴のある患者

症状が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.4高血圧症の患者

高血圧が増悪するおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。本剤の血中濃度が上昇することが報告されている。

9.4 生殖能を有する者

*妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後4カ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット)で胎児死亡、胎児発育遅延、心血管系の奇形等が報告されている。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に、生理機能が低下していることが多い。

相互作用

  • 本剤はCYP3A4の基質となる。また、本剤は有機カチオントランスポーター2(OCT2)及びP-糖蛋白を阻害することが示されている。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• 抗不整脈剤• キニジン
• プロカインアミド
• ジソピラミド等
• QT間隔延長を起こすおそれがある他の薬剤• オンダンセトロン
• クラリスロマイシン
• ハロペリドール等
QT間隔延長を起こす又は悪化させるおそれがあるので、QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤と併用する場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。 本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT間隔を延長させるおそれがあるため、併用により作用が増強するおそれがある。
• CYP3A誘導剤• フェニトイン
• カルバマゼピン
• リファンピシン
• バルビツール酸系薬物
• セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品等
CYP3A誘導剤との併用により、本剤の血漿中濃度が低下するおそれがある。 本剤の代謝には主にCYP3A4が関与しているため、左記薬剤のようなCYP3A誘導剤との併用で、本剤の代謝が亢進し血漿中濃度が低下する可能性がある。
• OCT2の基質となる薬剤• メトホルミン等 OCT2基質との併用により、OCT2基質の血漿中濃度が上昇するおそれがある。 本剤はOCT2の阻害剤であるため、OCT2基質との併用によりOCT2基質の血漿中濃度が増加する可能性がある。
• P-糖蛋白の基質となる薬剤• ジゴキシン
• アリスキレン
• フェキソフェナジン
• サキサグリプチン
• シタグリプチン等
P-糖蛋白基質との併用により、P-糖蛋白基質の血漿中濃度が上昇するおそれがある。 本剤はP-糖蛋白の阻害剤であることから、本剤とP-糖蛋白基質との併用によりP-糖蛋白基質の血漿中濃度が増加する可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
うつ病 頻度不明
ざ瘡 頻度不明
そう痒症等) 頻度不明
ニューロパチー 頻度不明
ヘモグロビン増加 頻度不明
ほてり 頻度不明
マイボーム腺機能不全 1%未満
めまい 頻度不明
メラノサイト性母斑 1%未満
リンパ球減少症 頻度不明
下痢 頻度不明
不安 頻度不明
低カリウム血症 頻度不明
低ナトリウム血症 1%未満
低マグネシウム血症 頻度不明
体重増加 頻度不明
体重減少 頻度不明
便秘 頻度不明
光視症 1%未満
全身健康状態低下 頻度不明
口の感覚鈍麻 1%未満
口内乾燥 頻度不明
口内炎 頻度不明
味覚異常 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咳嗽 頻度不明
唾液欠乏 1%未満
嗜眠等) 頻度不明
嘔吐 頻度不明
嚥下障害 頻度不明
多汗症 1%未満
寝汗 1%未満
尿意切迫 頻度不明
性欲減退 頻度不明
悪心 頻度不明
意識消失 1%未満
感覚鈍麻 1%未満
手掌・足底発赤知覚不全症候群 頻度不明
振戦 頻度不明
擦過傷 1%未満
放屁 1%未満
末梢冷感 1%未満
毛質異常 1%未満
毛髪成長異常 1%未満
治癒不良 1%未満
注意力障害 頻度不明
浮腫 頻度不明
消化不良 頻度不明
潮紅 頻度不明
無力症 頻度不明
爪の障害 頻度不明
狭心症 1%未満
甲状腺機能低下症 頻度不明
疲労 頻度不明
疼痛 頻度不明
発声障害 頻度不明
発熱 頻度不明
皮膚乾燥 頻度不明
皮膚炎 頻度不明
皮膚症状(発疹 頻度不明
眼の障害 1%未満
眼乾燥 頻度不明
眼瞼浮腫 1%未満
睡眠障害(不眠症 頻度不明
知覚過敏 1%未満
神経過敏 頻度不明
筋力低下 1%未満
筋痙縮 頻度不明
筋骨格系胸痛 頻度不明
粘膜の炎症 1%未満
結膜炎 頻度不明
緑内障 1%未満
羞明 1%未満
聴力低下 頻度不明
胃腸音異常 1%未満
脱毛症 頻度不明
脱水 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部膨満 1%未満
膵炎 1%未満
虚血性脳血管障害 1%未満
視力障害 頻度不明
角膜混濁 頻度不明
貧血 1%未満
錯感覚 頻度不明
長睫毛症 1%未満
関節炎 頻度不明
霧視 頻度不明
頭痛 頻度不明
頻尿 1%未満
食欲減退 頻度不明
骨壊死 頻度不明
鼻乾燥 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

  1. 18.1.1ヒト甲状腺髄様癌由来細胞株のVEGFR-2、EGFR、RET等のチロシンキナーゼのリン酸化を阻害することにより、細胞増殖を抑制した17)。

  2. 18.1.2ヒト臍帯血管内皮細胞(HUVEC)のVEGFR-2及びEGFRのチロシンキナーゼのリン酸化を阻害し、VEGF又はEGF刺激によるHUVECの増殖を抑制した18),19)。

  3. 18.1.3ヒト肺癌由来Calu-6細胞株を皮下移植したヌードマウスにおいて、バンデタニブによる腫瘍組織内の血管内皮細胞減少及び腫瘍細胞壊死の増加が認められた。ヒト肺癌由来A549細胞株を皮内移植したヌードマウスにおいて、バンデタニブによる腫瘍血管新生阻害が認められた19)。

18.2 抗腫瘍効果

  1. 18.2.1In vitro

RET遺伝子変異を有するヒト甲状腺髄様癌由来TT及びMZ-CRC-1細胞株(それぞれC634W及びM918T変異)の増殖を抑制した17)。

  1. 18.2.2In vivo

TT細胞株を皮下移植したヌードマウスにおいて腫瘍増殖を抑制した17)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

日本人固形癌患者18例において本剤100、200、300及び400mg注4)を単回経口投与したとき、最高血漿中濃度は投与4~6時間後に認められ、その後、血漿中濃度は2相性の消失を示した。Cmax及びAUC0-∞は100~400mgの用量範囲で、ほぼ用量に比例して増加した2)。

用量注4)
(mg/日)
症例数 Cmax
(ng/mL)
tmax注1)
(h)
AUC0-∞
(μg・h/mL)
t1/2
(h)
100 3 103±42.0 6 10.1±3.53 115±46.0
200 6 186±91.6 4 16.8±6.94 101±14.1
300 6 392±198 5 29.4±11.8 90.2±13.7
400 3 447±240 6 32.1±4.66 114±44.7

注1)中央値

バンデタニブ100、200、300及び400mg注4)を単回経口投与後の血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)

  1. 16.1.2反復投与

日本人固形癌患者において本剤100、200、300及び400mg注4)を1日1回28日間反復経口投与したとき、血漿中バンデタニブ濃度は投与開始後28日以降に定常状態に到達すると考えられた2)。

用量注4)
(mg/日)
症例数 Cmax
(ng/mL)
tmax注2)
(h)
AUC0-24
(μg・h/mL)
累積係数注3)
100 3 1200±583 4 20.5±5.00 14.2±1.8
200 4 922±259 6 18.3±5.71 6.2±1.9
300 3 1580±302 6 29.9±4.60 5.3±1.2
400 1 2050 4 44.6 6.5

注2)中央値

注3)累積係数=28日目のAUC0-24/1日目のAUC0-24

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

健康被験者16例を対象に、本剤300mgを食後に投与したとき、本剤のAUCには食事による影響は認められなかった。本剤のCmaxには、空腹時投与に比べ、食後投与で僅かな(11%)減少が認められた3)(外国人データ)。

16.3 分布

本薬はヒト血清アルブミン及びヒトα1-酸性糖蛋白に結合し、蛋白結合率は約90%である4)(in vitro)。

16.4 代謝

健康男性被験者4例に14C標識バンデタニブ800mgを単回経口投与したとき、血漿、尿及び糞中に、バンデタニブのN-オキシド体及びN-脱メチル体が検出された。尿及び糞中には少量のグルクロン酸抱合体も認められた3)(外国人データ)。 N-脱メチル体は主にCYP3A4により生成し、N-オキシド体はフラビン含有モノオキシゲナーゼ(FMO1及びFMO3)により生成した5),6)(in vitro)。

16.5 排泄

健康男性被験者4例に14C標識バンデタニブ800mgを単回経口投与したとき、投与後21日までの総放射能排泄率は約69%であった。糞及び尿中にはそれぞれ投与した放射能の約44%及び25%が排泄された3)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害を有する被験者における薬物動態

クレアチニンクリアランス(CrCL)に基づく軽度(CrCL:50mL/min以上80mL/min以下)、中等度(CrCL:30mL/min以上50mL/min未満)及び重度(CrCL:30mL/min未満)の腎機能障害者、並びに健康被験者(CrCL:80mL/min超)の計32例を対象に、本剤800mg注4)を単回経口投与した。軽度、中等度及び重度腎機能障害者では、腎機能が正常な健康被験者に比べ、バンデタニブのAUCはそれぞれ46%(軽度)、62%(中等度)及び79%(重度)と高値を示した。一方、バンデタニブのCmaxは軽度、中等度及び重度腎機能障害者では、腎機能が正常な健康被験者に比べ、それぞれ7%(軽度)、9%(中等度)及び11%(重度)高値を示したが、明らかな差異は認められなかった7)(外国人データ)。

  1. 16.6.2肝機能障害を有する被験者における薬物動態

軽度(Child-Pugh分類A)、中等度(Child-Pugh分類B)及び重度(Child-Pugh分類C)の肝機能障害者並びに健康被験者の計30例に、本剤800mg注4)を単回経口投与した。バンデタニブのAUCには、健康被験者といずれの肝機能障害者との間で差は認められなかった。一方、バンデタニブのCmaxには、健康被験者と軽度あるいは中等度肝機能障害者の間に差は認められなかったものの、健康被験者に比べ、重度肝機能障害者ではCmaxは29%低かった8)(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1リファンピシン(CYP3A誘導剤)との併用による影響

健康被験者16例を対象に、バンデタニブ300mg及びリファンピシン600mg/日を併用投与したとき、バンデタニブ単独投与に比べ、バンデタニブのAUCは40%減少した。バンデタニブのCmaxには、リファンピシン併用による影響は認められなかった9)(外国人データ)。

  1. 16.7.2メトホルミン(OCT2基質)との併用による影響

健康被験者14例を対象に、メトホルミン1000mg及びバンデタニブ800mg注4)を併用投与したとき、メトホルミン単独投与に比べ、メトホルミンのAUC及びCmaxはそれぞれ74%及び50%増加し、メトホルミンの腎クリアランスは52%減少した10)(外国人データ)。

  1. 16.7.3ジゴキシン(P-糖蛋白基質)との併用による影響

健康被験者14例を対象に、ジゴキシン0.25mg及びバンデタニブ300mgを併用投与したとき、ジゴキシン単独投与に比べ、ジゴキシンのAUC及びCmaxはそれぞれ23%及び29%増加した10)(外国人データ)。

  1. 16.7.4イトラコナゾール(CYP3A阻害剤)との併用による影響

健康被験者15例を対象に、バンデタニブ300mg及びイトラコナゾール200mg/日を併用投与したとき、バンデタニブ単独投与時に比べ、バンデタニブのAUCは9%増加した。バンデタニブのCmaxには、イトラコナゾール併用による影響は認められなかった9)(外国人データ)。

  1. 16.7.5ミダゾラム(CYP3A基質)との併用による影響

健康被験者17例を対象に、バンデタニブ800mg注4)及びミダゾラム7.5mgを併用投与したとき、バンデタニブはミダゾラムの曝露量に影響を及ぼさなかった10)(外国人データ)。

  1. 16.7.6CYP1A2及び2C9に対するバンデタニブの誘導作用

CYP1A2及び2C9に対するバンデタニブの誘導作用を評価した結果、バンデタニブはCYP1A2及び2C9を誘導することが示された(in vitro)。CYP1A2及びCYP2C9に対する誘導作用は、陽性対照で認められた誘導作用のそれぞれ28%及び38%(いずれも最大値)である11)。

  1. 16.7.7乳癌耐性タンパク(BCRP)に対するバンデタニブの阻害作用

バンデタニブはBCRPを若干阻害する(IC50値:11.9μg/mL)ことが示された12)(in vitro)。

注4)本剤の承認用量は300mg/日である。