Clinical snapshot

カヌマ点滴静注液20mg

セベリパーゼ アルファ(遺伝子組換え)点滴静注製剤

添付文書改訂 2023年03月01日

【警告】

本剤投与によりinfusion reactionのうち重篤なアナフィラキシーが発現することがあるので、緊急時に十分な対応のできる準備をした上で投与を開始し、投与終了後も十分な観察を行うこと。また、重篤なinfusion reactionが発現した場合には、本剤の投与を直ちに中止し、適切な処置を行うこと。

効能・効果

ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(コレステロールエステル蓄積症、ウォルマン病)

用法・用量

通常、セベリパーゼ アルファ(遺伝子組換え)として、1回体重1kgあたり1mgを2週に1回、点滴静注する。効果不十分な場合には、1回体重1kgあたり3mgを2週に1回又は週1回まで増量し、点滴静注する。 ただし、乳児期発症の急速進行性の場合には、セベリパーゼ アルファ(遺伝子組換え)として、1回体重1kgあたり1mgを週1回、点滴静注する。効果不十分な場合には、1回体重1kgあたり3mgを週1回まで増量し、点滴静注する。 なお、患者の状態に応じて適宜増減する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の使用にあたっては疾病の治療における本剤の必要性とともに、本剤が添加物として人血清アルブミンを含有しており、感染症発生の可能性をできる限り排除しているが、感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを患者に対して説明し、理解を得るよう努めること。

  2. 8.2本剤の添加物である人血清アルブミンの原料となる血漿については、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV-1抗体及び抗HIV-2抗体が陰性であることを確認している。さらに、プールした試験血漿については、HIV、HBV、HCV及びHAVについて核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を人血清アルブミンの製造に使用しているが、当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する。また、ヒトパルボウイルスB19についてもNATによるスクリーニングを実施し、適合した血漿を用いている。その後の製造工程であるコーンの低温エタノール分画法及び60℃、10時間液状加熱処理は、HIVをはじめとする各種ウイルス除去・不活化効果を有することが確認されているが、投与に際しては、以下の8.3項及び8.4項に十分注意すること。

  3. 8.3添加物に使用している人血清アルブミンの現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察すること。

  4. 8.4現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかしながら、本剤の添加物である人血清アルブミンの製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので、本剤投与の際には患者への説明を十分行い、治療上の必要性を十分検討の上投与すること。

  5. 8.5本剤はタンパク質製剤であり、アナフィラキシーショックが起こる可能性が否定できないため、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、このような症状の発現に備え、緊急処置を取れる準備をしておくこと。

  6. 8.6本剤の投与によりinfusion reaction(腹痛、発熱/体温上昇、悪寒、下痢、喉頭浮腫、悪心、蒼白、そう痒症、発疹、頻脈、蕁麻疹、嘔吐等)が発現することがある。これらの症状があらわれた場合には、重症度により、投与速度を下げるか、一旦投与を中止し、適切な薬剤治療(抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤又は副腎皮質ホルモン剤等)や緊急処置を行うこと。投与を中断した後に投与を再開する場合は、投与速度を下げて、忍容性を確認しながら投与すること。 次回以降の投与に際しては、症状発現を防ぐために、本剤投与前に抗ヒスタミン剤や解熱鎮痛剤等の前投与を考慮すること。

  7. 8.7重度の過敏症が発現した場合には、本剤の投与を直ちに中止し、適切な処置を行い、本剤投与の再開については、有益性と危険性を考慮し決定すること。

  8. 8.8本剤の投与に際しては、アレルギー歴等について十分な問診を行うこと。

  9. 8.9本剤の投与により抗体産生が予測されるため、定期的にセベリパーゼ アルファ(遺伝子組換え)に対する抗体検査を行うことが望ましい。

  10. 8.10本剤投与後に一過性に脂質異常(血中コレステロール、トリグリセリドの上昇)の増悪が認められることがあるので留意すること。なお、概ね投与後2~4週間以内に発現が認められ、投与後8週間以内に改善がみられる。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1本剤の成分に対する過敏症の既往歴のある患者

  2. 9.1.2卵又は卵製品に対する全身性の過敏症の既往歴のある患者

本剤使用の有益性と危険性を考慮した上で投与を決定すること。臨床試験において、卵アレルギーを有する患者は除外されている。本剤はトランスジェニックニワトリの卵白から製造されている。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

記載なし

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
そう痒症 頻度不明
下痢 5%以上
不安 頻度不明
不眠症 頻度不明
丘疹性皮疹 頻度不明
低血圧 頻度不明
体温上昇 頻度不明
充血 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
呼吸窮迫 頻度不明
咳嗽 頻度不明
喉頭浮腫 頻度不明
嘔吐 頻度不明
尿路感染 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心 頻度不明
易刺激性 頻度不明
月経過多 頻度不明
注入部位硬結 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
浮腫 頻度不明
激越 頻度不明
疲労 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
眼瞼浮腫 頻度不明
筋緊張低下 頻度不明
胃食道逆流性疾患 頻度不明
胸部不快感 頻度不明
腹痛 5%以上
腹部膨満 頻度不明
蒼白 頻度不明
蕁麻疹 5%以上
酸素飽和度低下 頻度不明
頻脈 頻度不明
高コレステロール血症 頻度不明
高トリグリセリド血症 頻度不明
高血圧 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症は、ライソゾーム酵素であるライソゾーム酸性リパーゼ遺伝子変異による常染色体劣性遺伝疾患である。ライソゾーム酸性リパーゼの活性が低下することにより、コレステロールエステル及びトリグリセリド等が蓄積し、肝線維症、脂質代謝障害等を呈する5) 。 セベリパーゼ アルファ(遺伝子組換え)は、ヒトライソゾーム酸性リパーゼに高マンノース型糖鎖及びリン酸化高マンノース型糖鎖を含むN-結合型糖鎖を付加した糖タンパク質であり、マクロファージのマンノース受容体及びマンノース-6-リン酸受容体を介して細胞内に取り込まれ、ライソゾームに蓄積したコレステロールエステル及びトリグリセリドを加水分解する。

18.2 治療的投与の効果

ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症のモデルラットにセベリパーゼ アルファ(遺伝子組換え)を週1回又は隔週1回反復投与したとき、肝臓においてライソゾーム酸性リパーゼ活性の回復、組織中コレステロール及びトリグリセリドの減少、血清トランスアミナーゼ値の低下、肝腫大の軽減、体重増加及び生存期間の延長が観察された6) 7)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1反復投与

外国人成人ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(コレステロールエステル蓄積症)患者を対象に本剤1又は3mg/kgを隔週投与したときの定常状態時の薬物動態パラメータは表1のとおりであった。本剤の曝露量は用量比を上回って増加し、非線形性を示した1) 。

薬物動態
パラメータ
1mg/kg 3mg/kg
52週目
(4例)
104週目
(5例)
52週目
(3例)
104週目
(3例)
AUC0-last
(ng・h/mL)
1689
(1096, 2087)
1257
(1006, 1731)
21765
(17270, 44425)
9165
(8768, 18385)
Cmax
(ng/mL)
1093
(628, 1276)
595
(498, 1048)
14560
(9729, 29114)
5274
(5132, 12696)
Tmax
(h)
0.50
(0.33, 1.03)
1.50
(0.67, 2.70)
1.50
(1.00, 2.25)
1.50
(1.50, 2.17)
CL
(mL/h/kg)
600
(479, 913)
795
(578, 994)
138
(67.5, 174)
327
(163, 342)
Vz
(mL/kg)
80.9
(60.5, 89.0)
184a
(126, 354)
14.5
(14.1, 18.1)
42.5
(32.1, 63.0)
T1/2
(h)
0.127
(0.09, 0.16)
0.261a
(0.16, 0.48)
0.105
(0.10, 0.21)
0.193
(0.09, 0.26)

中央値(最小値, 最大値)、a:4例 AUC0-last:投与後0時間~最終測定可能時間までの血清中濃度-時間曲線下面積、Cmax:最高血清中濃度、Tmax:最高血清中濃度到達時間、CL:クリアランス、Vz:分布容積、T1/2:半減期

  1. 16.1.2母集団薬物動態解析

小児及び成人における本剤の薬物動態は、本剤を静脈内投与したライソゾーム酸性リパーゼ欠損症患者72例の母集団薬物動態解析により検討し、体重が本剤のクリアランスに対して有意な影響を及ぼすことが示された。本剤1mg/kgを週1回又は隔週投与した際の薬物動態パラメータは表2のとおりであった2) 。

薬物動態
パラメータ
1mg/kgを週1回又は隔週投与
2歳未満
(4例)
2~17歳
(44例)
18歳以上
(24例)
CL(L/h) 16.1(45.5) 26.2(50.7) 37.7(39.4)
Vss(L) 9.23(22.0) 9.89(21.2) 12.4(49.3)
AUCss(ng×h/mL) 487(44.7) 1560(57.0) 2070(41.4)
Cmax,ss(ng/mL) 226(44.0) 746(56.7) 993(39.5)
t1/2β(h) 2.58(36.9) 3.51(61.1) 3.05(46.7)

PKパラメータはNONMEMによるベイズ推定値 平均値(変動係数%) CL:クリアランス、Vss:定常状態における分布容積、AUCss:定常状態における血清中濃度-時間曲線下面積、Cmax,ss:定常状態における最高血清中濃度、t1/2β:消失半減期