Clinical snapshot

カソデックス錠80mg

日本薬局方 ビカルタミド錠ビカルタミド口腔内崩壊錠

添付文書改訂 2023年09月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2小児[本薬の薬理作用に基づき、男子小児の生殖器官の正常発育に影響を及ぼす恐れがある。また、本薬の毒性試験(ラット)において、雌性ラットで子宮の腫瘍性変化が認められている。]

  3. 2.3女性[本薬の毒性試験(ラット)において、子宮の腫瘍性変化及び雄児の雌性化が報告されている。]

効能・効果

前立腺癌

用法・用量

通常、成人にはビカルタミドとして1回80mgを1日1回、経口投与する。

使用上の注意

  1. 8.1外国の臨床試験において、本剤投与例で本剤との関連性が否定できなかった前立腺癌以外の死亡例が報告されている。そのうち心・循環器系疾患による死亡は9%未満であり、その主な死因は心不全、心筋梗塞、脳血管障害等であった。これら外国の臨床試験で報告された心・循環器系疾患による死亡率は、対照の去勢術群(16%未満)より低く、高齢者で一般に予期される死亡率の範囲内であったが、本剤を投与する場合は十分に観察を行い、慎重に投与すること。

  2. 8.2本剤は内分泌療法剤であり、がんに対する薬物療法について十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤による治療が適切と判断される患者についてのみ使用すること。

  3. 8.3劇症肝炎、肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に肝機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

9.3 肝機能障害患者

本剤は肝臓でほぼ完全に代謝を受けるため、定常状態時の血中濃度が高くなる可能性がある。

9.8 高齢者

高齢者への投与の際には患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤の臨床試験成績から、高齢者と非高齢者において血漿中濃度及び副作用の発現に差はみられていないが、一般に高齢者では、心・循環器系の機能が低下していることが多く、心・循環器系の有害事象の発現頻度が若年層より高い。

相互作用

  • 本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4を阻害する。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
クマリン系抗凝血薬
• ワルファリン等
クマリン系抗凝血薬の作用を増強するおそれがある。
プロトロンビン時間を測定する、又は、トロンボテストを実施するなど、血液凝固能検査等出血管理を十分に行いつつ、凝固能の変動に注意し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
in vitro試験で蛋白結合部位においてワルファリンと置換するとの報告がある。
トルブタミド トルブタミドの作用を増強するおそれがある。
但し、相互作用に関する報告症例はない。
本剤は、in vitro試験でトルブタミドの代謝を阻害した。
デキストロメトルファン デキストロメトルファンの作用を増強するおそれがある。
但し、相互作用に関する報告症例はない。
本剤は、in vitro試験でデキストロメトルファンの代謝を阻害した。
主にCYP3A4によって代謝される薬物
• カルバマゼピン、シクロスポリン、トリアゾラム等
主にCYP3A4によって代謝される薬物の作用を増強するおそれがある。
但し、相互作用に関する報告症例はない。
本剤は、in vitro試験でCYP3A4によるテストステロン6β-水酸化酵素活性を阻害した。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P上昇 1〜5%未満
ALT上昇 1〜5%未満
AST上昇 1〜5%未満
BUN上昇) 1%未満
LDH上昇 1%未満
γ-GTP上昇 1%未満
さむけ 1%未満
そう痒 1%未満
ほてり 5%以上
めまい 頻度不明
下痢 頻度不明
不眠 頻度不明
中性脂肪上昇 1〜5%未満
乳房圧痛(46.6%) 5%以上
乳房腫脹(44.7%) 5%以上
体重増加・減少 頻度不明
便秘 1〜5%未満
倦怠感 頻度不明
傾眠 1%未満
光線過敏症 頻度不明
勃起力低下 5%以上
口渇 1%未満
嘔吐 頻度不明
多毛 頻度不明
夜間頻尿 頻度不明
心電図異常 1%未満
性欲減退 5%以上
悪心 頻度不明
抑うつ状態 頻度不明
浮腫 頻度不明
消化不良 頻度不明
無力症 頻度不明
疲労 頻度不明
発汗 頻度不明
発疹 1%未満
皮膚乾燥 頻度不明
総コレステロール上昇 1〜5%未満
胸痛 1%未満
脱毛 頻度不明
腎機能障害(クレアチニン上昇 1%未満
腹痛 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
血尿 頻度不明
血管浮腫 頻度不明
貧血 頻度不明
頭痛 頻度不明
食欲不振 頻度不明
骨盤痛 頻度不明
高血糖 頻度不明
鼓腸放屁 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ビカルタミドは、前立腺腫瘍組織のアンドロゲン受容体に対するアンドロゲンの結合を阻害し、抗腫瘍効果を発揮する。なお、ビカルタミドの抗アンドロゲン活性は実質的にR体によるものであった。

なお、臨床上、本剤の投与の中止により一部の患者でAWS(antiandrogen withdrawal syndrome)をみることがある。

18.2 抗腫瘍効果

In vitro試験において、アンドロゲン刺激によるヒト前立腺腫瘍細胞(LNCaP)及びマウス乳腺腫瘍細胞(Shionogi S115)の増殖を抑制した15),16)。一方、in vivo試験(ラット)において、移植されたアンドロゲン依存性ラット前立腺腫瘍(Dunning R3327)の増殖を抑制し、ラットの生存期間を延長させた。また、血漿中テストステロン及びLHの上昇の程度はごく僅かであった17)。

18.3 アンドロゲン受容体との結合能

ラット及びヒト前立腺アンドロゲン受容体に対する結合能は、ジヒドロテストステロンの約2%であった18)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

  2. (1)健康成人

健康成人男子にカソデックス錠80mg又はカソデックスOD錠80mg(水なし)をクロスオーバー法にて空腹時に単回経口投与した。R-ビカルタミド(活性体)の血漿中濃度は投与後36時間に最高値を示し、消失半減期は4.9~5.2日であった。また、カソデックス錠とOD錠は生物学的に同等であった1)。

n Cmax
(µg/mL)
tmax
(h)
AUC∞
(µg·h/mL)
t1/2
(日)
カソデックス錠80mg 23 1.21±0.23 36.0
(24.0~72.0)
280±80 5.2±1.4
カソデックスOD錠80mg 21 1.26±0.21 36.0
(15.0~72.0)
286±69 4.9±1.1

平均値±標準偏差[tmaxは中央値(範囲)]

図1 カソデックス錠80mg及びカソデックスOD錠80mg(水なし)を単回経口投与したときの血漿中R-ビカルタミド濃度推移

健康成人男子にカソデックスOD錠80mgを水とともに空腹時単回経口投与し、クロスオーバー法にてカソデックス錠80mgと比較したところ、両製剤は生物学的に同等であった1)。

n Cmax
(µg/mL)
tmax
(h)
AUC∞
(µg·h/mL)
t1/2
(日)
カソデックス錠80mg 22 1.25±0.27 36.0
(9.0~72.0)
262±78 4.6±0.7
カソデックスOD錠80mg 22 1.29±0.25 36.0
(5.0~72.0)
277±86 4.8±1.2

平均値±標準偏差[tmaxは中央値(範囲)]

図2 カソデックス錠80mg及びカソデックスOD錠80mg(水と服用)を単回経口投与したときの血漿中R-ビカルタミド濃度推移

  1. (2)前立腺癌患者

前立腺癌患者にビカルタミド80mgを単回経口投与したとき、投与後6、12及び24時間の血漿中R-ビカルタミド(活性体)濃度はほぼ一定(1.5~1.7μg/mL,n=3)であった2)。

  1. 16.1.2反復投与

前立腺癌患者にビカルタミド80mgを1日1回反復経口投与したとき、血漿中R-ビカルタミド濃度は約8週で定常状態(18µg/mL,n=37)に達した3)。さらに、反復投与時の血漿中濃度推移から推定したみかけの消失半減期は8.4日であった2)。なお、定常状態における血漿中S-ビカルタミド(非活性体)濃度はR-ビカルタミド濃度の1%以下であった。

16.3 分布

In vitroにおけるヒト血漿蛋白結合率(ラセミ体)は96%であった4)。

16.4 代謝

ヒトにおけるビカルタミドの代謝は、水酸化及びグルクロン酸抱合であった。血漿中には未変化体が、尿中には未変化体のグルクロン酸抱合体及び水酸化体のグルクロン酸抱合体が、糞中には未変化体及び水酸化体が認められた5)(外国人データ)。

16.5 排泄

健康成人男子にビカルタミド50mgを経口投与後9日目までの累積尿中及び糞中排泄率は、それぞれ36%及び43%であった5)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1年齢及び腎機能の影響

反復投与時の血漿中濃度は、年齢あるいはクレアチニンクリアランスとの間に相関関係を示さなかった6)(外国人データ)。

  1. 16.6.2肝機能障害患者

肝機能障害患者では、R-ビカルタミドの消失半減期が長くなる傾向が認められている7)(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

本薬はin vitro試験で、チトクロームP450酵素(CYP3A4)を阻害し、またそれより程度は低いが、他のチトクロームP450酵素(CYP2C9、2C19、2D6)に対しても阻害作用を示すとの報告がある8)。海外臨床試験において、ビカルタミド150mgまで投与された患者で、アンチピリン代謝に関与するチトクロームP450酵素に対しほとんど影響は認められていない9)。ビカルタミドは臨床の場で通常併用される薬剤とは相互作用を示す可能性は低いと考えられる。