抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与及び放射線照射に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
通常、成人にはグラニセトロンとして1回2mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
使用上の注意
抗悪性腫瘍剤投与後、本剤の効果が不十分で悪心、嘔吐が発現した場合には、他の制吐療法(注射剤の投与等)を考慮すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1フェニルケトン尿症の患者
- 〈細粒剤〉(アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)に関する注意)
細粒剤はアスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)を含有する。
- 9.1.2消化管通過障害の症状のある患者
本剤投与後観察を十分に行うこと。本剤の投与により消化管運動の低下があらわれることがある。
9.5 妊婦
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠前及び妊娠初期投与(ラット、0.25~100mg/kg経口)試験では、100mg/kg投与群で胎児の骨格異常の軽度増加及び雌で協調運動機能低下がみられたが、親動物の生殖能、次世代児の発育・生殖能及び第二世代児に対する影響はみられなかった。胎児の器官形成期投与(ラット、0.25~125mg/kg経口)、周産期及び授乳期投与(ラット、0.25~100mg/kg経口)の各試験において、雌雄の生殖能、次世代児の発育・生殖能に影響はなく、催奇性もみられなかった。1)
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。授乳中のラットに14C標識グラニセトロン塩酸塩3mg/kgを静脈内投与し、乳児に哺乳させた際の乳児の胃(乳汁を含む内容物)中の放射能を測定したところ、投与量の0.5%以下であった。2)
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
一般に、高齢者には副作用の発現に注意し、慎重に投与すること。なお、国内で実施された第Ⅱ相及び第Ⅲ相臨床試験において、65才以上の高齢者での副作用発現は112例中3例(発熱1例、頭痛2例)であった。
相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| セロトニン作用薬 • 選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI) セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI) MAO阻害剤 等 |
セロトニン症候群(不安、焦燥、興奮、錯乱、発熱、発汗、頻脈、振戦、ミオクローヌス等)があらわれるおそれがある。 | セロトニン作用が増強するおそれがある。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| ALT(GPT)上昇等の肝機能検査値異常 | 頻度不明 |
| AST(GOT) | 頻度不明 |
| 便秘 | 頻度不明 |
| 発熱 | 頻度不明 |
| 発疹 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
- 18.1.1各種受容体に対する親和性13)
ラット又はモルモット脳標本を用いて、各種受容体に対するグラニセトロン塩酸塩の親和性を検討したところ、本剤は5-HT3受容体に対しては極めて高い親和性を示したが(Ki値=0.26nM)、5-HT1(5-HT1A、5-HT1B/C、5-HT1C)、5-HT2、ドパミンD2、アドレナリンα1、α2及びβ、ベンゾジアゼピン、ピクロトキシン並びにヒスタミンH1、オピオイドμ、κ及びδの各受容体に対する親和性はほとんど認められなかった(5-HT1C受容体以外の受容体:Ki値>1000nM、5-HT1C受容体:IC50値>10000nM)。
- 18.1.25-HT誘発徐脈に対する作用14)
5-HTによる5-HT3受容体を介した一過性の徐脈(von Bezold-Jarischreflex)に対する作用を麻酔ラットで検討したところ、グラニセトロン塩酸塩はこの反射を用量依存的に抑制した。
18.2 抗悪性腫瘍剤誘発嘔吐の抑制
- 18.2.1シスプラチン誘発嘔吐の抑制
フェレットにグラニセトロン塩酸塩を経口投与し、15分後にシスプラチン10mg/kgを静脈内投与したところ、グラニセトロン塩酸塩0.005mg/kg以上で嘔吐回数の有意な減少及び嘔吐潜伏時間の有意な延長が認められた。
- 18.2.2ドキソルビシンとシクロホスファミド併用による誘発嘔吐に対する作用
フェレットにドキソルビシン6mg/kgとシクロホスファミド80mg/kgを静脈内投与する15分前にグラニセトロン塩酸塩0.5mg/kgを経口投与したところ、嘔吐回数の有意な減少及び嘔吐潜伏時間の有意な延長が認められた。
薬物動態
16.1 血中濃度
健康成人男子20例にグラニセトロンとして2mg(錠1mgを2錠あるいは錠2mgを1錠)を単回経口投与したときの血漿中濃度は以下のとおりであった。3)
図 単回投与後の血漿中濃度
| 投与量 | Tmax (hr) |
Cmax (ng/mL) |
t1/2 (hr) |
AUC (ng・hr/mL) |
|---|---|---|---|---|
| 1mg×2 | 1.85±0.59 | 9.91±3.33 | 5.05±2.11 | 79.48±48.83 |
| 2mg×1 | 2.05±0.69 | 9.05±3.52 | 5.29±3.34 | 79.61±50.00 |
mean±SD
16.4 代謝
- 16.4.1代謝部位
肝臓
- 16.4.2代謝経路
主な代謝は、芳香環7位の水酸化(代謝物D)及びN-脱メチル化(代謝物A)であった。本剤0.1mg/kg投与時の血漿中濃度は、投与後0.5時間において遊離型及び抱合型を含め、グラニセトロン約49%、代謝物D約8%、代謝物A約5%、投与後24時間ではそれぞれ約16%、13%、6%であった。代謝物Bも認められたが、24時間時に約4%であった。 ヒト肝ミクロゾームを用いて行なったin vitro試験の結果では、グラニセトロンの芳香環7位の水酸化及びN-脱メチル化の代謝にはP450(CYP3A)の関与が報告されている。
- 16.4.3代謝物の活性の有無
本剤の代謝物について、5-HT3受容体に対する作用の有無をin vitro及びin vivoで検討したところ、代謝物D及びBは、本剤とほぼ同等の5-HT3受容体拮抗作用を示し、抗悪性腫瘍剤誘発嘔吐に対しても制吐作用を示したが、他の代謝物では認められなかった。これらの代謝物は、ヒト血中での濃度が低いことから、本剤の制吐作用にはほとんど影響しないと考えられた。
16.5 排泄
- 16.5.1排泄部位
主な排泄経路は腎臓。
-
16.5.2排泄率
-
(1)日本人における成績
健康成人に、グラニセトロンとして2mgを単回経口投与した際の尿中排泄を検討した。その結果、24時間後の累積排泄率(平均値)は、33.7%であった。4)
- (2)外国人における成績(参考)
健康成人(西欧人)に14C標識グラニセトロン塩酸塩0.1mg/kgを経口投与した際、168時間後の尿中及び糞中の累積排泄率は、それぞれ投与量の59%及び38%であった。