Clinical snapshot

オータイロカプセル160mg

レポトレクチニブ

添付文書改訂 2025年12月01日

【警告】

  1. 1.1本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

  2. 1.2本剤の投与により間質性肺疾患があらわれることがあるので、初期症状(息切れ、咳嗽、発熱等の有無)の確認及び胸部CT検査等の実施など、十分に観察すること。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、治療初期は入院又はそれに準じる管理の下で、間質性肺疾患等の重大な副作用発現に関する観察を十分に行うこと。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌

    • NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌

用法・用量

  • ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉

通常、成人にはレポトレクチニブとして1回160mgを1日1回14日間経口投与する。その後、1回160mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

  • NTRK*融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌〉

通常、レポトレクチニブとして以下の用量を1日1回14日間経口投与する。その後、同用量を1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

  • 成人には、1回160mg

  • 4歳以上の小児には、体重に合わせて次の用量

体重 1回投与量
30kg以上 160mg
30kg未満 120mg

使用上の注意

  1. 8.1めまい、運動失調、認知障害等の中枢神経系の副作用が認められた場合には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作を避けるよう患者を指導すること。

  2. 8.2*間質性肺疾患があらわれることがあるので、初期症状(息切れ、咳嗽、発熱等の有無)の確認及び胸部CT検査等の実施など、十分に観察すること。また、患者に対して、初期症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう指導すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者

間質性肺疾患が発現又は増悪するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1中等度以上の肝機能障害のある患者

本剤は主に肝臓で代謝されるため、血中濃度が上昇する可能性がある。なお、中等度以上(総ビリルビン値が基準値上限の1.5倍超)の肝機能障害のある患者を対象とした臨床試験は実施していない。

9.4 生殖能を有する者

妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後2ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。経口避妊薬による避妊法の場合には、経口避妊薬以外の方法をあわせて使用するよう指導すること。

9.5 妊婦

*妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で、母集団薬物動態解析に基づく推定曝露量(160mg1日2回)の約2.4倍に相当する投与量で胎児に奇形(後肢異常回転)及び体重の低値が認められている1)。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中への移行は不明である。

9.7 小児等

  • ROS1*融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

相互作用

  • 本剤は、主にCYP3A4によって代謝され、またP糖蛋白(P-gp)の基質である。また、CYP3Aに対して誘導作用を示す。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
強い又は中程度のCYP3A阻害剤
• イトラコナゾール、ベラパミル、クラリスロマイシン等
本剤の副作用の発現頻度及び重症度が増加するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避け、やむを得ず併用する場合には、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 これらの薬剤がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
P-gp阻害剤
• アミオダロン、イトラコナゾール、ベラパミル等
本剤の副作用の発現頻度及び重症度が増加するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避け、やむを得ず併用する場合には、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 これらの薬剤がP-gpを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
強い又は中程度のCYP3A誘導剤
• リファンピシン、フェニトイン、カルバマゼピン等
本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避け、CYP3A誘導作用のない薬剤への代替を考慮すること。 これらの薬剤がCYP3Aを誘導することにより、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。
CYP3Aの基質となる薬剤
• ミダゾラム、経口避妊薬(デソゲストレル・エチニルエストラジオール、ノルエチステロン・エチニルエストラジオール、レボノルゲストレル・エチニルエストラジオール等)、シンバスタチン等
これらの薬剤の有効性が減弱するおそれがある。 本剤がCYP3A誘導作用を有するため、これらの薬剤の血中濃度が低下する可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT増加 5%以上
AST増加 5%以上
γ-GTP増加 頻度不明
いびき 頻度不明
ドライアイ 頻度不明
ナルコレプシー 頻度不明
下痢 頻度不明
不眠症 頻度不明
体重増加 頻度不明
便秘(26.4%) 5%以上
傾眠 頻度不明
光線過敏性反応 頻度不明
口の感覚鈍麻 頻度不明
口の錯感覚 頻度不明
同名性半盲 頻度不明
味覚不全(味覚障害 5%以上
味覚消失 5%以上
味覚減退 5%以上
呼吸困難 頻度不明
咳嗽 頻度不明
嘔吐 頻度不明
四肢痛 頻度不明
多発ニューロパチー) 5%以上
夜盲 頻度不明
好中球数減少 頻度不明
心嚢液貯留 頻度不明
悪心 頻度不明
感覚消失)(53.4%) 5%以上
感覚鈍麻 5%以上
感覚障害 5%以上
末梢性ニューロパチー(神経痛 5%以上
末梢性感覚ニューロパチー 5%以上
末梢性運動ニューロパチー 5%以上
灼熱感 5%以上
無感覚 5%以上
異常な夢 頻度不明
異常感覚 5%以上
異痛症 5%以上
疲労 5%以上
発熱 頻度不明
白内障 頻度不明
白血球数減少 頻度不明
眼帯状疱疹 頻度不明
眼球浮腫 頻度不明
眼痛 頻度不明
眼瞼そう痒症 頻度不明
眼瞼損傷 頻度不明
眼瞼痙攣 頻度不明
眼瞼障害 頻度不明
眼窩周囲浮腫 頻度不明
眼窩浮腫 頻度不明
眼精疲労 頻度不明
眼血腫 頻度不明
眼部腫脹 頻度不明
睡眠時無呼吸症候群 頻度不明
睡眠障害 頻度不明
硝子体浮遊物 頻度不明
筋力低下 5%以上
筋肉痛 頻度不明
結膜炎 頻度不明
緑内障 頻度不明
羞明 頻度不明
色覚異常 頻度不明
蟻走感)(35.0%) 5%以上
血中ALP増加 頻度不明
血中クレアチンホスホキナーゼ増加 5%以上
複視 頻度不明
視力低下 頻度不明
視力障害 頻度不明
視野欠損 頻度不明
貧血(27.3%) 5%以上
転倒 頻度不明
過眠症 頻度不明
錯感覚(知覚過敏 5%以上
閉塞性睡眠時無呼吸症候群 頻度不明
関節痛 頻度不明
霧視 頻度不明
頭痛 頻度不明
食欲亢進 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

*レポトレクチニブは、TRK、ROS1、ALK等に対するチロシンキナーゼ阻害剤である。レポトレクチニブは、ROS1融合タンパク、TRK融合タンパク等のチロシンキナーゼ活性を阻害し、下流のシグナル伝達分子のリン酸化を阻害することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。

18.2 *抗腫瘍作用

レポトレクチニブは、in vitroにおいて、CD74-ROS1、LMNA-TRKA、TEL-TRKB及びTEL-TRKC融合タンパクを発現させたマウスpro-B細胞由来Ba/F3細胞株の増殖を抑制した20)。また、レポトレクチニブは、in vivoにおいて、CD74-ROS1融合タンパクを発現させたBa/F3細胞株を皮下移植した重症複合型免疫不全-ベージュマウス、及びTPM3-NTRK1融合遺伝子を有するヒト結腸・直腸癌由来KM12細胞株を皮下移植したヌードマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した21)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

ROS1又はNTRK1/2/3融合遺伝子陽性の日本人固形癌患者(6例)に本剤160mgを空腹時単回経口投与したときのレポトレクチニブの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータを以下に示す6)。

日本人固形癌患者に本剤160mgを空腹時単回経口投与したときのレポトレクチニブの血漿中濃度推移(平均値±標準偏差、n=6)

薬物動態パラメータ レポトレクチニブ160mg
単回投与(n=6)
Cmax(ng/mL) 1350(46.4)
Tmax(h) 3.81(1.95、5.62)
AUClast(ng・h/mL) 11800(44.4)

Tmaxは中央値(最小値、最大値)で示し、それ以外は幾何平均値(変動係数%)で示した。

固形癌患者に本剤40mgから240mg※を単回経口投与したときのレポトレクチニブのCmax及びAUCは、この用量範囲においておおむね用量に比例して増加した7)(外国人データ)。

  1. 16.1.2反復投与

ROS1又はNTRK1/2/3融合遺伝子陽性の日本人固形癌患者(6例)に本剤160mgを1日1回14日間反復経口投与したときのレポトレクチニブの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータを以下に示す。14日間の反復投与によるAUCとCmaxの累積係数の幾何平均値(幾何変動係数%)は、それぞれ0.625(31.2)及び0.606(38.6)であり、レポトレクチニブはCYP3A4の誘導によると考えられる曝露量の減少を示した6)。

日本人固形癌患者に本剤160mgを1日1回反復経口投与したときの14日目のレポトレクチニブの血漿中濃度推移(平均値±標準偏差、n=6)

薬物動態パラメータ レポトレクチニブ160mg
1日1回投与14日目(n=6)
Cmax(ng/mL) 816(40.3)
Tmax(h) 3.73(2.00、3.82)
AUClast(ng・h/mL) 5810(27.1)

Tmaxは中央値(最小値、最大値)で示し、それ以外は幾何平均値(幾何変動係数%)で示した。

固形癌患者に本剤160mgを1日1回反復経口投与した際に、レポトレクチニブは投与開始後14日以内に定常状態に達した7)(外国人データ)。

16.2 吸収

  1. 16.2.1バイオアベイラビリティ

健康成人男性(7例)に本剤160mgを空腹時に単回経口投与後のAUCinfに基づくレポトレクチニブの絶対的バイオアベイラビリティの幾何平均値(変動係数%)は45.7%(19.6%)であった8)(外国人データ)。

  1. 16.2.2食事の影響

健康成人男性(14例)に本剤160mgを食後(高脂肪、高カロリー食)に単回経口投与したとき、空腹時と比較してレポトレクチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値比はそれぞれ2.49及び1.56であった9)(外国人データ)。

16.3 分布

  1. 16.3.1分布容積

健康成人男性(7例)に[14C]レポトレクチニブ100μgを単回静脈内投与※後の定常状態における分布容積(Vss)の平均値(変動係数%)は264L(22%)であった8)(外国人データ)。

  1. 16.3.2蛋白結合率

レポトレクチニブのin vitroにおける血漿蛋白結合率は95.4%であった10)。

  1. 16.3.3血液/血漿中濃度比

レポトレクチニブのin vitroにおける血漿中濃度に対する血液中濃度の比は0.55であった11)。

16.4 代謝

レポトレクチニブは主にCYP3A4により代謝され酸化代謝物を生成し、その後、グルクロン酸抱合を受ける12)。健康成人男性(7例)に[14C]レポトレクチニブ160mgを単回経口投与したとき、血漿中総放射能のAUCに対する未変化体の割合は84.3%であった13)。

16.5 排泄

健康成人男性(7例)に[14C]レポトレクチニブ160mgを単回経口投与したとき、放射能の4.84%(未変化体として0.56%)が尿中に、88.8%(未変化体として50.6%)が糞中から回収された13)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1*小児

25歳以下のROS1NTRK又はALK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌患者を対象とした海外第I/Ⅱ相試験において、本剤を年齢又は体重に応じて設定した用量で1日1回14日間経口投与した後、同用量を1日2回経口投与注1)した14)ときのレポトレクチニブの薬物動態パラメータは以下のとおりであった。

年齢区分 体重区分 投与量注1),注2) 測定日
(日)
例数 Cmax
(ng/mL)
Tmax注3)
(h)
AUC0-24
(ng・h/mL)
6ヵ月以上
1歳未満注1)
0.118mL/kg 1 1 1,060 2.00 6,637
15 1 1,110 2.00 5,857
1歳以上
2歳未満注1)
0.119mL/kg 1 1 1,290 3.95
15 1 1,000 2.05
2歳以上
4歳未満注1)
0.121mL/kg 1 3 912
(50.5)
2.03
(2.00、2.10)
15 3 812
(37.4)
1.07
(1.00、4.00)
5,346
(9.54)
4歳以上
12歳未満
20kg以上
30kg未満
3.0mL 1 1 1,330 1.02 9,657
15 1 855 0.95 6,937
30kg以上
40kg未満
120mg 1 3 919
(11.6)
4.08
(2.02、4.08)
8,204、8,346
15 3 750
(106)
4.03
(2.00、4.13)
6,313
(52.2)
40kg以上
50kg未満
4.4mL 1 1 1,630 4.03
15 1 491 1.98 4,508
12歳以上 40kg以上
50kg未満
140mg 15 1 659 3.97 4,731
50kg以上 160mg又は5.0mL注4) 1 11 877
(57.2)
2.03
(1.00、5.52)
8,449
(72.8)
15 11 884
(35.9)
3.78
(1.00、6.00)
7,111
(32.2)

幾何平均値(幾何変動係数%)(1又は2例の場合は個別値)、-:算出せず 注1)本剤の承認された用量は「成人には、1回160mg」であり、「4歳以上の小児には、1回160mg(体重30kg以上)又は120mg(30kg未満)」である。 注2)カプセル剤又は懸濁液(レポトレクチニブ32mg/mLを含む、本邦未承認)が用いられた。単位について、カプセル剤はmg、懸濁液はmL/kg又はmL 注3)中央値(最小値、最大値) 注4)1例は懸濁液が投与された。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1イトラコナゾール

健康成人男性(16例)に、CYP3A及びP-gp阻害剤であるイトラコナゾール200mgを1日1回反復投与し、本剤80mg※を単回併用投与したとき、レポトレクチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値比(併用投与時/単独投与時)[90%信頼区間(CI)]は、それぞれ2.67[2.32、3.09]及び6.89[6.26、7.59]であった15)(外国人データ)。

  1. 16.7.2リファンピシン

健康成人男性(14例)に、CYP3A及びP-gp誘導剤であるリファンピシン600mgを1日1回反復投与し、本剤160mgを単回併用投与したとき、レポトレクチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値比(併用投与時/単独投与時)[90%CI]は、それぞれ0.209[0.180、0.244]及び0.084[0.073、0.097]であった15)(外国人データ)。

  1. 16.7.3ミダゾラム

固形癌患者(6例)に、本剤160mgを1日1回14日間反復投与後、本剤160mgを1日2回反復投与し、CYP3Aの基質であるミダゾラム5mgを単回併用投与したとき、ミダゾラムのCmax及びAUCinfの幾何平均値比(併用投与時/単独投与時)[90%CI]は、それぞれ0.521[0.383、0.711]及び0.310[0.205、0.467]であった16)(外国人データ)。

  1. 16.7.4その他

レポトレクチニブはCYP2B6、CYP2C8、CYP2C9及びCYP2C19を誘導し、CYP2C8、CYP2C9、UGT1A1、P-gp、BCRP、OATP1B1、MATE1及びMATE2-Kを阻害し、消化管内でCYP3Aを阻害する可能性が示唆された。また、レポトレクチニブはBCRP及びMATE2-Kの基質である(in vitro)17)。 ※本剤の承認された用法及び用量(成人)は、レポトレクチニブとして1回160mgを1日1回14日間経口投与後、1回160mgを1日2回経口投与である。