Clinical snapshot

オンボー皮下注100mgオートインジェクター

ミリキズマブ(遺伝子組換え)注射液

添付文書改訂 2026年04月01日

【警告】

  1. 1.1本剤は肺炎、敗血症等の感染症を含む緊急時に十分に対応できる医療施設において、本剤についての十分な知識と適応疾患の治療に十分な知識・経験をもつ医師のもとで、本剤による治療の有益性が危険性を上回ると判断される患者のみに使用すること。本剤は感染症のリスクを増大させる可能性があり、また結核の既往歴を有する患者では結核を活動化させる可能性がある。また、本剤との関連性は明らかではないが、悪性腫瘍の発現が報告されている。治療開始に先立ち、本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含め、本剤の有効性及び危険性を患者に十分説明し、患者が理解したことを確認した上で治療を開始すること。

  2. 1.2重篤な感染症

ウイルス、細菌、真菌等による重篤な感染症が報告されているため、十分な観察を行うなど感染症の発症に注意し、本剤投与後に感染症の徴候又は症状があらわれた場合には、速やかに担当医に連絡するよう患者を指導すること。

  1. 1.3本剤の治療を開始する前に、適応疾患の既存治療の適用を十分に勘案すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1重篤な感染症の患者[症状を悪化させるおそれがある。]

  2. 2.2活動性結核の患者[症状を悪化させるおそれがある。]

  3. 2.3本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • *〇中等症から重症の潰瘍性大腸炎の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)

  • *〇中等症から重症の活動期クローン病の治療(既存治療で効果不十分な場合に限る)

用法・用量

  • 〈潰瘍性大腸炎〉ミリキズマブ(遺伝子組換え)点滴静注製剤による導入療法終了4週後から、通常、成人にはミリキズマブ(遺伝子組換え)として1回200mgを4週間隔で皮下投与する。

  • 〈クローン病〉ミリキズマブ(遺伝子組換え)点滴静注製剤による治療終了4週後から、通常、成人にはミリキズマブ(遺伝子組換え)として1回300mgを4週間隔で皮下投与する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤は、感染のリスクを増大させる可能性がある。そのため、本剤の投与に際しては、十分な観察を行い、感染症の発症や増悪に注意すること。感染症の徴候又は症状があらわれた場合には、速やかに担当医に連絡するよう患者を指導すること。

  2. 8.2本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部X線検査に加え、インターフェロンγ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。また、本剤投与中も、胸部X線検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核の発現には十分に注意し、結核を疑う症状(持続する咳、体重減少、発熱等)が発現した場合には速やかに担当医に連絡するよう患者に指導すること。なお、結核の活動性が確認された場合は結核の治療を優先し、本剤を投与しないこと。

  3. 8.3生ワクチン接種による感染症発現のリスクを否定できないため、本剤投与中は生ワクチン接種を行わないこと。

  4. 8.4他の生物製剤又はJAK阻害剤から変更する場合は感染症の徴候について患者の状態を十分に観察すること。

  5. 8.5本剤投与中にアミノトランスフェラーゼ(ALT、AST)上昇が認められているため、定期的に肝機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。本剤投与中にALT上昇又はAST上昇が認められ、本剤に関連する肝障害が疑われる場合は、本剤の投与を中止すること。

  6. 8.6臨床試験において皮膚及び皮膚以外の悪性腫瘍の発現が報告されている。本剤との因果関係は明確ではないが、悪性腫瘍の発現には注意すること。

  7. 8.7本剤の自己投与にあたっては、以下の点に留意すること。

  • 本剤の投与開始にあたっては、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の監督のもとで投与を行うこと。

  • 自己投与の適用については、その妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、本剤投与による危険性と対処法について患者が理解し、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。

  • 自己投与適用後、感染症等本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させ、医師の管理下で慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。

  • 自己投与を適用する場合は、使用済みのオートインジェクターあるいはシリンジを再使用しないように患者に注意を促し、安全な廃棄方法について指導を徹底すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1感染症(重篤な感染症を除く)の患者又は感染症が疑われる患者

感染症が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.2結核の既往歴を有する患者又は結核感染が疑われる患者

結核の発現に十分に注意すること。

  1. (1)結核の既往歴を有する患者では、結核を活動化させるおそれがある。

  2. (2)結核の既往歴を有する場合及び結核感染が疑われる場合には、結核の診療経験がある医師に相談すること。以下のいずれかの患者には、原則として抗結核薬を投与した上で、本剤を投与すること。

  • 胸部画像検査で陳旧性結核に合致するか推定される陰影を有する患者

  • 結核の治療歴(肺外結核を含む)を有する患者

  • インターフェロンγ遊離試験やツベルクリン反応検査等の検査により、既感染が強く疑われる患者

  • 結核患者との濃厚接触歴を有する患者

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠サルを用いた発生毒性試験において、本剤の胎児への移行が報告されているが、胎児・出生児に毒性及び催奇形性は認められなかった1)。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒトの乳汁への移行や授乳された乳児の血液中への移行の有無は不明である。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

相互作用

記載なし

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT上昇 1%未満
AST上昇 1%未満
COVID-19 頻度不明
ウイルス性上気道感染) 頻度不明
そう痒性皮疹) 1%未満
上咽頭炎 頻度不明
上気道感染 頻度不明
上気道感染(急性副鼻腔炎 頻度不明
丘疹性皮疹 1%未満
副鼻腔炎 頻度不明
口腔咽頭不快感 頻度不明
口腔咽頭痛 頻度不明
咽頭炎 頻度不明
扁桃炎 頻度不明
斑状丘疹状皮疹 1%未満
斑状皮疹 1%未満
注射部位反応 頻度不明
発疹(発疹 1%未満
頭痛 頻度不明
鼻炎 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ミリキズマブは、抗インターロイキン(IL)-23ヒト化IgG4モノクローナル抗体であり、ヒトIL-23のp19サブユニットに高い親和性と特異性で結合し、IL-23受容体との相互作用を阻害する。他のIL-12ファミリーメンバー(IL-12、IL-27及びIL-35)との交差反応性は認められていない13)。

18.2 薬理作用

マウス脾臓細胞において、ミリキズマブはヒトIL-23及びヒトIL-2刺激によるIL-17産生を抑制した。また、ヒト末梢血単核細胞において、ミリキズマブは抗ヒトCD3抗体、抗ヒトCD28抗体及びヒトIL-23刺激によるIL-17産生を抑制した13)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

日本人及び外国人健康成人(各3例)に本剤200mgを単回皮下投与したとき、血清中ミリキズマブ濃度は投与3日後に最高濃度に達した後、約11日の消失半減期で低下した。AUC0-∞及びCmaxの幾何平均値(CV%)は、それぞれ210μg・day/mL(29%)及び11.8μg/mL(39%)であった7)。本剤の薬物動態は線形であり、本剤120~300mg注1)を潰瘍性大腸炎患者、クローン病患者又は健康成人に皮下投与したときの曝露量は用量に比例して増加した8),9),10)。

図1)健康成人に本剤200mgを単回皮下投与したときの血清中ミリキズマブ濃度推移(平均値±SD、6例:日本人及び外国人各3例)

注1)ミリキズマブの承認された用法及び用量は、潰瘍性大腸炎では点滴静注製剤300mgを4週ごとに静脈内投与後、本剤200mgを4週ごとに皮下投与、クローン病では点滴静注製剤900mgを4週ごとに静脈内投与後、本剤300mgを4週ごとに皮下投与である。

  1. 16.1.2反復投与
  • 〈潰瘍性大腸炎〉

母集団薬物動態解析より、日本人及び外国人潰瘍性大腸炎患者(121例及び1008例)に、本剤を用法及び用量に従って投与したとき、血清中ミリキズマブ濃度は皮下投与開始後8週目までに定常状態に達した。本剤を4週ごとに皮下投与したとき、顕著な蓄積は認められなかった。日本人潰瘍性大腸炎患者(121例)におけるミリキズマブのAUCτ,ss及びCmax,ssの幾何平均値(CV%)はそれぞれ205μg・day/mL(43%)及び12.4μg/mL(36%)と推定された8)。

  • 〈クローン病〉

母集団薬物動態解析より、日本人クローン病患者(12例)に本剤を用法及び用量に従って投与したとき、血清中ミリキズマブのAUCτ,ss及びCmax,ssの幾何平均値(CV%)はそれぞれ224μg・day/mL(42%)及び14.0μg/mL(34%)と推定された10)。

16.2 吸収

母集団薬物動態解析より、ミリキズマブは皮下投与後3~7日で最高濃度に達し、絶対的バイオアベイラビリティの幾何平均値(CV%)は潰瘍性大腸炎患者で約44%(34%)、クローン病患者で約36%(31%)と推定された。皮下投与部位の違いによる本剤の吸収への顕著な影響は認められなかった8),10)。

16.3 分布

母集団薬物動態解析より、ミリキズマブを投与したときの分布容積の幾何平均値(CV%)は潰瘍性大腸炎患者で4.83L(21%)、クローン病患者で4.40L(14%)と推定された8),10)。

16.4 代謝

ミリキズマブは、ヒト化IgG4モノクローナル抗体であることから、内因性免疫グロブリンと同様に異化経路により低分子ペプチド及びアミノ酸に代謝されると推察される。

16.5 排泄

母集団薬物動態解析より、全身クリアランス及び消失半減期の幾何平均値(CV%)は潰瘍性大腸炎患者でそれぞれ0.0229L/hr(34%)及び約9.3日(40%)、クローン病患者でそれぞれ0.0202L/hr(38%)及び約9.3日(26%)と推定された。クリアランスは用量によらず一定であった8),10)。