Clinical snapshot

オンブレス吸入用カプセル150μg

インダカテロールマレイン酸塩

添付文書改訂 2024年01月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解

用法・用量

通常、成人には1回1カプセル(インダカテロールとして150μg)を1日1回本剤専用の吸入用器具を用いて吸入する。

使用上の注意

  1. 8.1用法・用量どおり正しく使用しても効果が認められない場合には、本剤が適当ではないと考えられるので、漫然と投与を継続せず中止すること。

  2. 8.2吸入薬の場合、薬剤の吸入により気管支痙攣が誘発され生命を脅かすおそれがある。気管支痙攣が認められた場合は、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  3. 8.3本剤の交感神経刺激作用により脈拍増加、血圧上昇等の心血管系症状があらわれるおそれがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

  4. 8.4過度に使用を続けた場合、不整脈、場合により心停止を起こすおそれがあるので、使用が過度にならないよう注意すること。また、患者に対し、本剤の過度の使用による危険性を理解させ、1日1回を超えて使用しないよう注意を与えること。本剤の気管支拡張作用は通常24時間持続するので、その間は次の投与を行わないこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1甲状腺機能亢進症の患者

甲状腺機能亢進症の症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.2心血管障害(冠動脈疾患、急性心筋梗塞、不整脈、高血圧、QT間隔延長等)のある患者

*交感神経刺激作用等により症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.3糖尿病の患者

血糖値をモニタリングするなど慎重に投与すること。高用量のβ2刺激剤を投与すると、血糖値が上昇するおそれがある。

  1. 9.1.4てんかん等の痙攣性疾患のある患者

痙攣の症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.5気管支喘息を合併した患者

気管支喘息の管理が十分行われるよう注意すること。

  1. 9.1.6低酸素血症の患者

血清カリウム値をモニターすることが望ましい。低酸素血症により血清カリウム値の低下の心リズムに及ぼす影響が増強されることがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ウサギ)で骨格変異の発生率増加を伴う生殖発生毒性が報告されている。また、動物実験(ラット)で、胎盤通過性が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

用量調節の必要はないが、患者の状態を観察しながら注意して投与すること。臨床試験において、年齢とともに最高血中濃度及び全身暴露量が増加することが示唆されている。

相互作用

  • 本剤は主に代謝酵素チトクロームP450 3A4(CYP3A4)で代謝され、またP糖蛋白(Pgp)の基質である。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• CYP3A4を阻害する薬剤• エリスロマイシン等 本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。エリスロマイシンとの併用投与により本剤のCmax及びAUCがそれぞれ1.2倍及び1.4~1.6倍に上昇したとの報告がある。 CYP3A4の活性を阻害することにより、本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇すると考えられる。
リトナビル 本剤のAUCが上昇するおそれがある。リトナビルとの併用投与により本剤のAUCが1.6~1.8倍に上昇したとの報告がある。 CYP3A4及びP糖蛋白の活性を阻害することにより、本剤の代謝及び排泄が阻害されると考えられる。
• P糖蛋白を阻害する薬剤• ベラパミル等 本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。ベラパミルとの併用投与により本剤のCmax及びAUCがそれぞれ1.5倍及び1.4~2.0倍に上昇したとの報告がある。 P糖蛋白の活性を阻害することにより、本剤の排泄が阻害され、血中濃度が上昇すると考えられる。
• QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤• MAO阻害剤
• 三環系抗うつ剤等
QT間隔が延長され心室性不整脈等のリスクが増大するおそれがある。 いずれもQT間隔を延長させる可能性がある。
交感神経刺激剤 本剤の作用が増強するおそれがある。 交感神経刺激剤との併用により、アドレナリン作動性神経刺激が増大する可能性がある。
• キサンチン誘導体
• ステロイド剤
• 利尿剤• サイアザイド系利尿剤
• サイアザイド系類似利尿剤
• ループ利尿剤
低カリウム血症による心血管事象(不整脈)を起こすおそれがあるため、血清カリウム値に注意すること。 キサンチン誘導体はアドレナリン作動性神経刺激を増大させるため、血清カリウム値の低下が増強する可能性がある。
ステロイド剤及びこれらの利尿剤は尿細管でのカリウム排泄促進作用があるため、血清カリウム値の低下が増強する可能性がある。
β遮断剤(点眼剤を含む) 本剤の作用が減弱するおそれがある。やむを得ず併用する場合には、心選択性β遮断剤が望ましいが、注意すること。 β遮断剤との併用により、本剤の作用が拮抗される可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
5%以上
頻度不明
5%以上
5%以上
5%以上
5%以上
5%以上
5%以上
そう痒症 頻度不明
めまい 頻度不明
上気道感染 頻度不明
副鼻腔炎 頻度不明
動悸 頻度不明
口渇 頻度不明
口腔咽頭痛 頻度不明
咳嗽 5%以上
心房細動 頻度不明
末梢性浮腫 頻度不明
気管支痙攣 頻度不明
発疹 頻度不明
筋痙縮 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
筋骨格痛 頻度不明
糖尿病・高血糖 頻度不明
胸痛 頻度不明
胸部不快感 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
虚血性心疾患 頻度不明
血管浮腫 頻度不明
錯感覚 頻度不明
頭痛 頻度不明
頻脈 頻度不明
鼻咽頭炎 頻度不明
鼻漏 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

インダカテロールは、長時間作用性のβ受容体刺激薬であり、β1及びβ3受容体と比較してβ2受容体に対して高い親和性を示す18)。

18.2 気管支拡張作用

インダカテロールは、覚醒下モルモットにおけるセロトニン及び麻酔下アカゲザルにおけるメサコリンによる気管支収縮に対して抑制作用を示した19),20)。

18.3 作用持続時間

インダカテロールの覚醒下モルモットにおけるセロトニン及び麻酔下アカゲザルにおけるメサコリンによる気管支収縮に対する抑制作用を等効果用量で比較したところ、サルブタモール、ホルモテロール及びサルメテロールより明らかに長く、持続的であった19),20)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

日本人慢性閉塞性肺疾患患者にインダカテロール150~600μg注2)を単回吸入投与したとき、血清中濃度は20分で最高値に達した。Cmaxは用量比例をわずかに上回ったが、AUCは用量に比例して増加した1)。

用量
(μg)
n Tmax
(h)
Cmax
(pg/mL)
AUC
(pg・h/mL)
150 48 0.33(0.17~1.13) 157±61.6 1,140±503
300 47 0.33(0.20~1.10) 361±136 2,540±1,070
600 48 0.33(0.15~1.17) 740±285 5,150±2,100

Tmaxは中央値(最小値~最大値)を、それ以外は平均値±標準偏差を示す

また、日本人慢性閉塞性肺疾患患者にインダカテロール150~600μg注2)を単回吸入投与したときの血清中濃度推移を65歳以上及び65歳未満に層別した薬物動態パラメータは次のとおりであった1)。

用量
(μg)
65歳未満 65歳以上
n Cmax
(pg/mL)
AUC
(pg・h/mL)
n Cmax
(pg/mL)
AUC
(pg・h/mL)
150 13 124±36.2 823±294 35 170±64.7 1,260±515
300 13 282±81.3 1,960±748 34 392±142 2,760±1,100
600 13 582±133 3,770±1,040 35 799±305 5,660±2,170

平均値±標準偏差を示す

  1. 16.1.2反復投与

健康成人にインダカテロール150~600μg注2)を1日1回14日間反復吸入投与したとき、投与初日及び14日目の血清中濃度はともに約15分で最高値に達した。Cmax及びAUCは用量に比例して増加した。また、投与開始14日目までに定常状態に到達し、定常状態時の血清中暴露量は単回投与時に比べ2.9~3.5倍であった2)(外国人のデータ)。

Day 用量
(μg)
n Tmax
(h)
Cmax
(pg/mL)
AUC
(pg・h/mL)
半減期
(h)
1日目 150 72 0.25(0.25~0.48) 253±121 1,200±554
300 73 0.25(0.22~1.08) 537±224 2,640±862
600 37 0.25(0.25~0.75) 1,040±286 5,280±1,160
14日目 150 70 0.25(0.22~3.08) 439±196 3,880±1,550 49.1±17.3
300 68 0.25(0.17~1.08) 859±264 8,140±2,390 44.7±12.4
600 37 0.25(0.25~0.42) 1,660±541 15,100±3,430 39.8±12.1

Tmaxは中央値(最小値~最大値)を、それ以外は平均値±標準偏差を示す

健康成人にインダカテロールを1日1回14日間反復吸入投与したときの血清中濃度推移

16.2 吸収

健康成人にインダカテロールを吸入投与したときの絶対的バイオアベイラビリティは43%であった。また、健康成人にインダカテロールを経口投与したときの吸入投与時に対する相対的バイオアベイラビリティは46%であり、消化管からも吸収されることが考えられた3),4)(外国人のデータ)。

16.3 分布

インダカテロールの血清中蛋白結合率は94%~95%であった5)。健康成人にインダカテロールを静脈内投与したときの分布容積は2,560Lであった3)(外国人のデータ)。

16.4 代謝

健康成人男子に14Cインダカテロール800μg注2)を単回経口投与したとき、血清中には主として未変化体が存在し、総放射能の約1/3を占めた。主な代謝経路は、ベンジル炭素の一水酸化、グルクロン酸抱合、酸化的開裂及びN-脱アルキル化反応と推察された6)(外国人のデータ)。インダカテロールは主としてCYP3A4とUGT1A1で代謝され、Pgpの低親和性の基質であることが示唆された7),8)。

16.5 排泄

日本人健康成人男子にインダカテロールを単回吸入投与したとき、未変化体の尿中排泄量は投与量の1.6%~1.9%であった。また、このときの腎クリアランスは1.2~1.7L/hであった。インダカテロールの全身クリアランス(23L/h)との比較から、腎排泄の寄与は小さいことが示唆された。健康成人男子に14C標識したインダカテロール800μg注2)を単回経口投与したとき、投与量の85%が糞中に排泄され、尿中への排泄は9.7%であった。糞中への排泄は未変化体(投与量の54%)及び水酸化代謝物(投与量の24%)が主であった3),6),9)(日本人及び外国人のデータ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1肝機能障害患者

軽度及び中等度の肝機能障害患者にインダカテロールを単回吸入投与したとき、インダカテロールのCmaxは健康成人の0.98倍及び0.77倍、AUCは健康成人の0.87~1.0倍及び0.95~1.1倍であった。肝機能障害による血清中蛋白結合率の変化はみられなかった。重度の肝機能障害患者に対する検討は行っていない10)(外国人のデータ)。

  1. 16.6.2UGT1A1変異型を有する被験者

活性の低いUGT1A1変異型を有する被験者にインダカテロールを反復吸入投与したとき、定常状態時のCmax及びAUCはそれぞれ野生型を有する被験者の1.2倍であった11)(外国人のデータ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1エリスロマイシン

健康成人男子にエリスロマイシン400mg(経口投与)とインダカテロール300μg注2)(吸入投与)を併用したとき、インダカテロールのCmax及びAUCがそれぞれ1.2倍及び1.4~1.6倍に上昇した12)(外国人のデータ)。

  1. 16.7.2ベラパミル

健康成人男子にベラパミル80mg(経口投与)とインダカテロール300μg注2)(吸入投与)を併用したとき、インダカテロールのCmax及びAUCがそれぞれ1.5倍及び1.4~2.0倍に上昇した13)(外国人のデータ)。

  1. 16.7.3リトナビル

健康成人にリトナビル300mg(経口投与)とインダカテロール300μg注2)(吸入投与)を併用したとき、インダカテロールのAUCが1.6~1.8倍に上昇した14)(外国人のデータ)。

  1. 16.7.4ケトコナゾール(経口剤は国内未発売)

健康成人男子にケトコナゾール200mg(経口投与)とインダカテロール300μg注2)(吸入投与)を併用したとき、インダカテロールのCmax及びAUCがそれぞれ1.3倍及び1.9倍に上昇した15)(外国人のデータ)。

注2)本剤の承認された用法及び用量は、1日1回150μgの吸入投与である。