Clinical snapshot

オンコビン注射用1mg

ビンクリスチン硫酸塩

添付文書改訂 2023年04月01日

【警告】

本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2脱髄性シャルコー・マリー・トゥース病の患者[症状を悪化させるおそれがある]

  3. 2.3髄腔内には投与しないこと

効能・効果

  • 白血病(急性白血病、慢性白血病の急性転化時を含む)

  • 悪性リンパ腫(細網肉腫、リンパ肉腫、ホジキン病)

  • 小児腫瘍(神経芽腫、ウィルムス腫瘍、横紋筋肉腫、睾丸胎児性癌、血管肉腫等)

  • 以下の悪性腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法

  • 多発性骨髄腫 悪性星細胞腫、乏突起膠腫成分を有する神経膠腫

  • 褐色細胞腫

用法・用量

  • 〈白血病(急性白血病、慢性白血病の急性転化時を含む)、悪性リンパ腫(細網肉腫、リンパ肉腫、ホジキン病)及び小児腫瘍(神経芽腫、ウィルムス腫瘍、横紋筋肉腫、睾丸胎児性癌、血管肉腫等)〉

通常、ビンクリスチン硫酸塩として小児0.05~0.1mg/kg、成人0.02~0.05mg/kgを週1回静脈注射する。 ただし、副作用を避けるため、1回量2mgを超えないものとする。

  • 〈多発性骨髄腫に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法〉

ドキソルビシン塩酸塩、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウムとの併用において、標準的なビンクリスチン硫酸塩の投与量及び投与方法は、1日量0.4mgを24時間持続静脈注射する。これを4日間連続で行い、その後17~24日間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。

  • 〈悪性星細胞腫、乏突起膠腫成分を有する神経膠腫に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法〉

ビンクリスチン硫酸塩として1.4mg/m2(体表面積)を、2回静脈注射する。1回目の投与の3週間後に2回目の投与を行い、6~8週を1クールとし、投与を繰り返す。 ただし、副作用を避けるため、1回量2mgを超えないものとする。

  • 〈褐色細胞腫〉

シクロホスファミド水和物、ダカルバジンとの併用において、通常、成人にはビンクリスチン硫酸塩として、1日1回1.4mg/m2(体表面積)を静脈注射し、少なくとも20日間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。 ただし、副作用を避けるため、1回量2mgを超えないものとする。なお、患者の状態により適宜減量する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の用量規制因子は神経毒性であり、用量依存的に重篤な末梢神経障害及び筋障害が起こることがあるので、使用に際しては、臨床症状、患者の状態を十分に観察し、また臨床検査(末梢神経伝達速度検査、握力測定、振動覚を含む知覚検査など)を定期的に行う。 また、シャルコー・マリー・トゥース病の罹患歴、家族歴の調査等を行い、脱髄性シャルコー・マリー・トゥース病が疑われる場合には本剤の投与を行わないこと。

  2. 8.2骨髄抑制作用に起因する重篤な副作用(致命的な感染症及び出血)が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。 また、骨髄抑制のある患者、感染症を合併している患者、長期間使用患者等のリスク患者では、副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、適切な治療設備(無菌室、簡易無菌室等)、G-CSF製剤、また抗生剤等の使用に関しても考慮すること。

  3. 8.3高度な骨髄抑制による感染症・出血傾向の発現又は増悪に十分注意すること。

  4. 8.4治療時に腫瘍が崩壊する腫瘍崩壊症候群(腹部痛、血尿、高尿酸血症、高リン酸血症、低カルシウム血症、代謝性アシドーシス、高カリウム血症、腎不全)を伴うことがある。特に治療開始後3~4週間は、血清尿酸値上昇を避けるため補液による尿量確保や尿のアルカリ化を促すとともに、頻繁に尿酸値や尿量を測定するなど、患者の状態を十分に観察し注意すること。

  5. 8.5本剤は脳血液関門を十分に通過しないと考えられるので、白血病性中枢神経障害の合併が認められる症例に使用する場合には、他の療法を併用するなど適切な処置を行うこと。

  6. 8.6ドキソルビシン塩酸塩、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウムとの併用において、24時間持続静脈注射を実施する場合は、直接末梢静脈に投与すると薬液の漏出による組織障害を起こすおそれがあるので、中心静脈カテーテルを留置して中心静脈より投与すること。また、血管内にカテーテルを留置することによる感染症の合併に十分注意すること。

  7. 8.7悪性星細胞腫、乏突起膠腫成分を有する神経膠腫に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法(プロカルバジン塩酸塩、ニムスチン塩酸塩、ビンクリスチン硫酸塩)においては、併用薬剤の電子添文及び関連文献(「抗がん剤報告書:プロカルバジン塩酸塩(脳腫瘍)」、「抗がん剤報告書:ビンクリスチン硫酸塩(脳腫瘍)」等)を熟読すること。

  8. 8.8褐色細胞腫に本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書」1)等)を熟読すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1骨髄抑制のある患者

本剤には骨髄抑制作用がある。

  1. 9.1.2感染症を合併している患者

本剤には骨髄抑制作用があり、感染症を増悪させることがある。

  1. 9.1.3神経・筋疾患の既往歴のある患者

末梢神経障害及び筋障害が強くあらわれることがある。

  1. 9.1.4虚血性心疾患のある患者

心筋虚血症状が強くあらわれることがある。

  1. 9.1.5水痘患者

致命的な全身障害があらわれることがある。

9.2 腎機能障害患者

腎機能障害が強くあらわれることがある。

9.3 肝機能障害患者

本剤の代謝及び排泄が遅延し副作用が増強する可能性がある。

9.4 生殖能を有する者

小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。本剤を含む多剤併用化学療法を受けた患者で、非可逆的な性腺障害(精子形成不全(無精子症等)、無月経等)が認められたとの報告がある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験で催奇形性が報告されている。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。

9.7 小児等

副作用の発現に特に注意すること。

9.8 高齢者

用量並びに投与間隔に留意すること。生理機能が低下していることが多く、副作用があらわれやすい。

相互作用

  • 本剤の代謝は肝チトクロームP-450 3Aが関与するとされている。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
アゾール系抗真菌剤
• イトラコナゾール、ミコナゾール等
本剤の筋神経系の副作用が増強することがある。 アゾール系抗真菌剤は肝チトクロームP-450 3Aを阻害するため、併用により本剤の代謝を抑制することがある。
フェニトイン フェニトインの血中濃度が低下し、痙攣が増悪することがあるとの報告があるので、フェニトインの投与量を調節することが望ましい。 フェニトインの吸収を減少させる、あるいは代謝を亢進させるとの報告がある。
神経毒性を有する薬剤
• 白金含有の抗悪性腫瘍剤等
神経系副作用が増強することがある。白金含有の抗悪性腫瘍剤の場合、聴覚障害(難聴)が増強する可能性がある。 神経毒性を有する。
L-アスパラギナーゼ 神経系及び造血器系の障害が増強する可能性がある。毒性を最小にとどめるためにL-アスパラギナーゼ投与の12~24時間前に本剤を投与することが望ましい。 本剤投与の前にL-アスパラギナーゼを投与すると本剤の肝クリアランスを低下させる可能性がある。
マイトマイシンC 呼吸困難及び気管支痙攣が発現しやすいことが報告されている。 機序不明
他の抗悪性腫瘍剤 骨髄抑制等の副作用が増強することがある。患者の状態を観察しながら減量するなど用量に注意すること。 骨髄抑制作用を有する。
他の抗悪性腫瘍剤 心筋梗塞、狭心症、脳梗塞等が発現したとの報告がある。 機序不明
他の抗悪性腫瘍剤 肝中心静脈閉塞症(VOD)が発症したとの報告がある。 機序不明
放射線照射 骨髄抑制等の副作用が増強することがある。患者の状態を観察しながら減量するなど用量に注意すること。 骨髄抑制作用を有する。
放射線照射 肝を含む病巣への放射線照射を施行中の患者に、本剤を併用すると肝毒性が増強するとの報告がある。 機序不明

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P上昇等) 頻度不明
ALT上昇 頻度不明
γ-GTP上昇 頻度不明
一過性皮質盲 頻度不明
下痢 頻度不明
低血圧 頻度不明
体重減少 頻度不明
便秘 頻度不明
出血傾向 頻度不明
口内炎 頻度不明
垂足 頻度不明
多尿 頻度不明
悪心・嘔吐 頻度不明
排尿困難 頻度不明
発汗亢進 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
皮膚落屑 頻度不明
肝機能異常(AST上昇 頻度不明
背痛 頻度不明
脱毛 頻度不明
腹痛 頻度不明
複視 頻度不明
顆粒球減少 頻度不明
食欲不振 頻度不明
高血圧 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

紡錘体を形成している微小管のチュブリンに結合することにより、細胞周期を分裂中期で停止させると考えられている6)。

18.2 動物移植性腫瘍に対する抗腫瘍効果

本剤はマウスのP-1534白血病、S-180腹水型腫瘍及びB-82A白血病に対して著明な生存日数の延長をもたらし、また、マウスのRidgeway骨肉腫に対しても、明らかな腫瘍増殖抑制効果を示した7)。

18.3 細胞学的効果

細胞の有糸分裂の中期に紡錘体へ作用し、典型的な中期停止(metaphase arrest)像を示す(in vitro)8),9)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

急性骨髄性白血病及び悪性リンパ腫各2例に本剤2mgを静脈内注射した後、ラジオイムノアッセイ法で測定した場合、血中濃度が投与直後より急速に低下するα期、比較的ゆるやかに低下するβ期、更に非常に緩徐な低下を示すγ期の3相性のパターンで推移した(外国人のデータ)2)。

投与量 n T1/2α
(hr)
T1/2β
(hr)
T1/2γ
(hr)
消失速度定数
(hr-1)
2mg i.v. 4 0.077±0.034 2.27±1.50 85.0±68.9 0.085±0.075

(Mean±S.D.)

16.3 分布

  1. 16.3.1急性骨髄性白血病及び悪性リンパ腫各2例に本剤2mgを静脈内注射した後、ラジオイムノアッセイ法で測定した場合の薬物速度論的パラメータは以下の通りである(外国人のデータ)2)。
投与量 n 分布容積
(L/kg)
血清クリアランス
(L/kg/hr)
2mg i.v. 4 8.42±3.17 0.106±0.061

(Mean±S.D.)

  1. 16.3.2ラットに3H-ビンクリスチン硫酸塩1.0mg/kgを静脈内注射した場合、脾、甲状腺、副腎、大腸、小腸には血中の20~70倍の放射活性が分布し、ついで肺、腎、肝、骨髄(血中の7~20倍)が高く、脂肪細胞、眼球、脳では低値(血中の0.2~1倍)を示した3)。

16.4 代謝

主要代謝部位は肝臓であり、肝チトクロームP-450 3Aが関与するとされている(in vitro)4)。

16.5 排泄

悪性リンパ腫4例に、3H-ビンクリスチン硫酸塩2mg(40μCi/mg)を静脈内注射した後、放射活性を測定した結果、72時間以内に糞中には投与量の約69%、尿中には約12%が排泄された(外国人のデータ)5)。