急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫
【警告】
本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、本剤による治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
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2.1本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
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2.2重度の肝機能障害のある患者(ビリルビン基準値上限(ULN)3倍超、トランスアミナーゼULN10倍超)
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2.3L-アスパラギナーゼによる重篤な血栓症の既往歴のある患者[重篤な血栓症があらわれるおそれがある]
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2.4膵炎の既往歴(L-アスパラギナーゼによる膵炎を含む)のある患者[膵炎があらわれるおそれがある]
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2.5L-アスパラギナーゼによる重篤な出血性イベントの既往歴のある患者[重篤な出血性イベントがあらわれるおそれがある]
効能・効果
用法・用量
他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、ペグアスパルガーゼとして、下記の用法・用量で2週間間隔で点滴静脈内投与する。
21歳以下の患者: 体表面積0.6m2以上の場合は1回2500国際単位/m2(体表面積)を、体表面積0.6m2未満の場合は1回82.5国際単位/kg(体重)を投与する。
22歳以上の患者: 1回2000国際単位/m2(体表面積)を投与する。
使用上の注意
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8.1アナフィラキシーを含む過敏症があらわれることがあるので、緊急時に十分な対応のできる準備を行った上で開始し、本剤投与中及び投与後は患者の状態を十分に観察すること。また、過敏症を軽減するため、本剤の投与30~60分前に、解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、副腎皮質ホルモン剤等の前投与を考慮すること。
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8.2膵炎があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血清アミラーゼ値やリパーゼ値の測定を行うなど、観察を十分に行うこと。
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8.3出血傾向、血栓塞栓症等があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的にフィブリノゲン、AT-III等の凝固パラメータのモニタリングを行うなど、観察を十分に行うこと。
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8.4肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に肝機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。
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8.5骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。
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8.6高血糖があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血糖値の測定を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。
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8.7痙攣発作、失神等の中枢神経障害があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察すること。また、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1L-アスパラギナーゼに対し過敏症の既往歴のある患者
本剤を投与するにあたっては、リスクとベネフィットを慎重に検討し、投与の要否を判断した上で、過敏症に対する前投与の実施も含め、適切な安全管理下において慎重に投与すること。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1重度の肝機能障害のある患者(ビリルビンULN3倍超、トランスアミナーゼULN10倍超)
本剤を投与しないこと。肝機能障害が悪化するおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
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9.4.1妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後少なくとも1カ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。
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9.4.2本剤は経口避妊薬の肝クリアランスを阻害しうる肝毒性を有するため、本剤と経口避妊薬を併用することは推奨されていない。妊娠する可能性のある女性には、経口避妊薬以外の方法を使用すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤を用いた生殖発生毒性試験は実施されていない。L-アスパラギナーゼの動物実験(ラット・ウサギ)において催奇形性、胚吸収等が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト乳汁中への移行は不明である。
9.7 小児等
新生児及び乳児を対象とした臨床試験は実施していない。
相互作用
- 本剤はタンパク合成及び肝機能に影響すること、またチトクロームP450(CYP)の発現量を低下させることにより、他の薬剤の代謝及び排泄を阻害する可能性がある。
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| • 代謝拮抗剤• メトトレキサート • シタラビン 等 |
本剤を代謝拮抗剤と同時投与又は本剤投与後に代謝拮抗剤を投与する場合、本剤が代謝拮抗剤の抗腫瘍効果を減弱する可能性がある。 | 本剤が代謝拮抗剤の効果発現に必要な細胞複製を阻害する可能性がある。 |
| • 副腎皮質ホルモン剤• プレドニゾロン • デキサメタゾン 等 |
本剤を副腎皮質ホルモン剤と同時に投与する場合、凝固パラメータの変化(フィブリノゲン低下、ATIII欠乏など)が認められる又は副腎皮質ホルモン剤による骨壊死を増強する可能性がある。 | 本剤により副腎皮質ホルモン剤の排泄が減少し曝露が増加する可能性がある。 |
| • ビンクリスチン硫酸塩 | 神経系及び造血器系の副作用が増強する可能性がある。 | 本剤がビンクリスチンの肝クリアランスを低下させる可能性がある。 |
| • イマチニブメシル酸塩 | 本剤との併用により肝障害の発現率が増加したとの報告がある。 | 本剤がイマチニブのクリアランスを低下させる可能性がある。また、本剤による肝臓でのタンパク合成の減少により、イマチニブによる肝毒性を増加させる可能性がある。 |
| • CYPの基質となる抗悪性腫瘍剤 | 本剤との併用により、副作用が増強する可能性がある。 | 本剤による肝臓でのタンパク合成の減少によるクリアランスの低下により、CYPの基質となる抗悪性腫瘍剤の代謝及び消失を妨げる可能性がある。 |
| • 抗凝固剤• ワルファリンカリウム • ヘパリン製剤 • アセチルサリチル酸 等 |
本剤との併用により、出血や血栓症の傾向が増強する可能性がある。 | 本剤により、凝固因子の増減が認められる可能性がある。 |
| • 経口避妊薬 • ノルエチステロン・エチニルエストラジオール 等 |
経口避妊薬の副作用が増強する可能性があるため、経口避妊薬との併用は避けること。 | 本剤は経口避妊薬の肝クリアランスを低下させる可能性がある。 |
| • 生ワクチン | 生ワクチン接種後の患者の状態の観察を行うとともに、接種した生ワクチンの原病に基づく症状が発現した際には適切な処置を行うこと。 | 本剤の免疫抑制作用により、重篤な感染症を引き起こす可能性がある。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| アミラーゼ増加 | 頻度不明 |
| アンチトロンビンIII減少(57.7%) | 頻度不明 |
| フィブリンDダイマー増加 | 頻度不明 |
| プラスミノーゲン減少(23.1%) | 頻度不明 |
| プラスミン・インヒビター減少(23.1%) | 頻度不明 |
| リンパ球数減少 | 頻度不明 |
| 下痢 | 頻度不明 |
| 不眠症 | 頻度不明 |
| 低γグロブリン血症 | 頻度不明 |
| 低アルブミン血症 | 頻度不明 |
| 低カリウム血症 | 頻度不明 |
| 低グロブリン血症 | 頻度不明 |
| 低蛋白血症(38.5%) | 頻度不明 |
| 低血糖 | 頻度不明 |
| 体重減少 | 頻度不明 |
| 便秘 | 頻度不明 |
| 倦怠感 | 頻度不明 |
| 免疫グロブリン減少 | 頻度不明 |
| 凝固検査異常 | 頻度不明 |
| 凝血異常 | 頻度不明 |
| 口内炎 | 頻度不明 |
| 嘔吐(38.5%) | 頻度不明 |
| 悪心(30.8%) | 頻度不明 |
| 末梢神経障害 | 頻度不明 |
| 栄養障害 | 頻度不明 |
| 毛包炎 | 頻度不明 |
| 気分の落ち込み | 頻度不明 |
| 活性化部分トロンボプラスチン時間延長 | 頻度不明 |
| 潮紅 | 頻度不明 |
| 発熱 | 頻度不明 |
| 真菌感染 | 頻度不明 |
| 総蛋白減少 | 頻度不明 |
| 肺炎 | 頻度不明 |
| 胃食道逆流性疾患 | 頻度不明 |
| 脂肪性肝炎 | 頻度不明 |
| 脱毛症(38.5%) | 頻度不明 |
| 脱水 | 頻度不明 |
| 自律神経失調症 | 頻度不明 |
| 菌血症 | 頻度不明 |
| 蕁麻疹 | 頻度不明 |
| 血中アルブミン減少 | 頻度不明 |
| 血中乳酸脱水素酵素増加 | 頻度不明 |
| 血中尿素増加 | 頻度不明 |
| 血便排泄 | 頻度不明 |
| 貧血(42.3%) | 頻度不明 |
| 頭痛 | 頻度不明 |
| 食欲減退 | 頻度不明 |
| 高アンモニア血症 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
ペグアスパルガーゼは、L-アスパラギンをアスパラギン酸とアンモニアに分解し、L-アスパラギンを枯渇させることにより、腫瘍細胞におけるタンパク合成を阻害し、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。
18.2 抗腫瘍作用
ペグアスパルガーゼは、マウス悪性リンパ腫由来L5178Y及び6C3HED細胞株を腹腔内移植したマウス、並びに悪性リンパ腫を自然発症したイヌにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した2),3) 。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回投与
- 〈急性リンパ性白血病〉
未治療の日本人B前駆細胞性急性リンパ性白血病患者に、体表面積0.6m2以上の患者には本剤2500IU/m2、体表面積0.6m2未満の患者には本剤82.5IU/kgを静脈内投与したときの血中アスパラギナーゼ活性値の推移を図1に、薬物動態パラメータを表1に示す1) 。
図1 未治療の日本人B前駆細胞性急性リンパ性白血病患者に、体表面積0.6m2以上の患者には本剤2500IU/m2、体表面積0.6m2未満の患者には82.5IU/kgを静脈内投与したときの血中アスパラギナーゼ活性値の推移(片対数)
| 投与量 | Cmax [IU/mL] |
AUC0-inf [h・IU/mL] |
t1/2 [h] |
CL [L/h] |
Vss [L] |
|---|---|---|---|---|---|
| 2500IU/m2 | 1.46a (0.384) |
405a (85.8) |
121b (100) |
0.00670c (0.00348) |
1.52c (0.842) |
| 82.5IU/kg (n=4) |
1.26 (0.146) |
387 (55.1) |
92.5 (23.0) |
0.00246 (0.000395) |
0.558 (0.0596) |
Cmax:最高血漿中濃度、AUC0-inf:無限時間までの血漿中濃度−時間曲線下面積、t1/2:消失半減期、CL:クリアランス、Vss:定常状態における分布容積、a:n=22, b:n=21, c:n=19