-
維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症
-
下記疾患における高カルシウム血症
-
副甲状腺癌
-
副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
-
2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
-
2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性
効能・効果
用法・用量
- 〈維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症〉
通常、成人には、エボカルセトとして1回1mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。患者の状態に応じて開始用量として1日1回2mgを経口投与することができる。以後は、患者の副甲状腺ホルモン(PTH)及び血清カルシウム濃度の十分な観察のもと、1日1回1~8mgの間で適宜用量を調整し、経口投与するが、効果不十分な場合には適宜用量を調整し、1日1回12mgまで経口投与することができる。
- 〈副甲状腺癌における高カルシウム血症、副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症〉
通常、成人には、エボカルセトとして1回2mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。患者の血清カルシウム濃度に応じて開始用量として1回2mgを1日2回経口投与することができる。以後は、患者の血清カルシウム濃度により投与量及び投与回数を適宜増減するが、投与量は1回6mgまで、投与回数は1日4回までとする。
使用上の注意
-
8.1本剤投与中は定期的に血清カルシウム濃度を測定し、低カルシウム血症が発現しないよう十分注意すること。低カルシウム血症の発現あるいは発現のおそれがある場合には、本剤の減量等も考慮するとともにカルシウム剤やビタミンD製剤の投与を考慮すること。また、本剤投与中にカルシウム剤やビタミンD製剤の投与を中止した際には、低カルシウム血症の発現に注意すること。
-
8.2本剤の開始時及び用量調整時は頻回に患者の症状を観察し、副作用の発現などに注意すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1低カルシウム血症の患者
低カルシウム血症を悪化させるおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
血中濃度が上昇するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。また、投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。 動物実験(ラット)で胎盤通過性、死産児率の高値、出生率の低値、出生児の体重低値等が認められている。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。 動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが認められている。動物実験(ラット)で出生児に発育遅延等が認められている。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
副作用が発現した場合には減量するなど注意すること。一般に高齢者では生理機能が低下している。
相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| デノスマブ ビスホスホネート系製剤 • アレンドロン酸ナトリウム水和物リセドロン酸ナトリウム水和物 ミノドロン酸水和物 イバンドロン酸ナトリウム水和物 ゾレドロン酸水和物 等 カルシトニン 副腎皮質ホルモン • プレドニゾロンデキサメタゾン 等 |
血清カルシウム濃度が低下するおそれがある。 | 本剤の血中カルシウム低下作用が増強される可能性がある。 |
| テオフィリン | テオフィリンの作用が増強するおそれがある。 | 機序は不明であるが、テオフィリンの血中濃度が上昇するおそれがある。本剤とテオフィリン併用時に、テオフィリンのCmax及びAUC0-tが増加した。 |
| ジギトキシン ジアゼパム 等 |
本剤の血中濃度に影響を与えるおそれがある。 | 血漿蛋白結合率が高いことによる。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| Al-P上昇 | 頻度不明 |
| ALT上昇 | 1%未満 |
| CK上昇 | 頻度不明 |
| PTH減少 | 頻度不明 |
| γ-GTP上昇] | 1%未満 |
| シャント閉塞 | 1%未満 |
| そう痒症 | 頻度不明 |
| 下痢 | 頻度不明 |
| 不整脈 | 1%未満 |
| 便潜血 | 頻度不明 |
| 便秘 | 1%未満 |
| 副甲状腺機能低下症 | 頻度不明 |
| 動悸 | 頻度不明 |
| 口内炎 | 1%未満 |
| 呼吸困難 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 頻度不明 |
| 悪心 | 頻度不明 |
| 感覚鈍麻 | 1%未満 |
| 振戦 | 頻度不明 |
| 期外収縮 | 頻度不明 |
| 歯肉炎 | 1%未満 |
| 浮腫 | 頻度不明 |
| 消化不良 | 頻度不明 |
| 消化管潰瘍 | 頻度不明 |
| 狭心症・心筋虚血 | 頻度不明 |
| 痛風 | 頻度不明 |
| 発疹 | 1%未満 |
| 眩暈 | 1%未満 |
| 眼乾燥 | 頻度不明 |
| 筋痙縮 | 1%未満 |
| 筋骨格痛 | 1%未満 |
| 肝機能異常[AST上昇 | 1%未満 |
| 胃腸炎 | 1%未満 |
| 胸痛 | 1%未満 |
| 胸部不快感 | 1%未満 |
| 腸炎 | 頻度不明 |
| 腹痛 | 1%未満 |
| 腹部不快感 | 頻度不明 |
| 腹部膨満 | 1%未満 |
| 視力障害 | 頻度不明 |
| 貧血 | 1%未満 |
| 逆流性食道炎 | 1%未満 |
| 頭痛 | 頻度不明 |
| 頭部不快感 | 頻度不明 |
| 食欲減退 | 頻度不明 |
| 高血圧 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
本剤は、副甲状腺細胞表面のカルシウム受容体を介して作用を発現する。カルシウム受容体はPTH分泌に加え、PTH生合成を制御している。本剤は、カルシウム受容体に作動し、主としてPTH分泌を抑制することで、血中PTH濃度を低下させる17),18)。
18.2 作用・効果
本剤は、正常ラット及びマウス並びに部分腎摘ラットへの単回及び反復経口投与により血中PTH及びカルシウム濃度を低下させた17),18)。
薬物動態
16.1 血中濃度
-
16.1.1単回投与
-
(1)健康成人
健康成人に本剤1、3、6、12及び20mg注2)を絶食下単回経口投与したときの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。血漿中エボカルセトのCmax及びAUC0-∞は、投与量に比例して増加した1)。
注2)本剤の維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症患者に対する承認用量は1回12mgまで、副甲状腺癌における高カルシウム血症患者、副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症患者に対する承認用量は1回6mgまでである。
健康成人に単回投与したときの血漿中濃度推移(平均値+標準偏差)
| 投与量 | Cmax(ng/mL) | tmaxa)(h) | AUC0-∞(ng・h/mL) | t1/2(h) |
|---|---|---|---|---|
| 1mg (n=6) |
58.8±13.2 | 1.50 1.00~3.00 |
601.6±170.3 | 19.77±13.82 |
| 3mg (n=6) |
217±24 | 1.50 1.00~3.00 |
2239.7±269.5 | 17.32±6.74 |
| 6mg (n=6) |
376±54 | 1.50 1.00~2.00 |
4038.5±1154.7 | 14.76±2.74 |
| 12mg (n=6) |
867±109 | 2.00 1.00~3.00 |
8855.8±991.2 | 12.98±4.91 |
| 20mg (n=6) |
1400±240 | 2.00 1.00~3.00 |
15307.4±4442.1 | 18.89±8.95 |
平均値±標準偏差
a)中央値、最小値~最大値
- (2)二次性副甲状腺機能亢進症患者
血液透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者に本剤1、4及び12mg並びに腹膜透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者に本剤1mgを単回経口投与したときの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。血液透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者における本剤単回投与後の血漿中エボカルセトのCmax及びAUC0-∞は、投与量に比例して増加した2),3)。
二次性副甲状腺機能亢進症患者に単回投与したときの血漿中濃度推移(平均値+標準偏差)
血液透析:血液透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者、腹膜透析:腹膜透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者
| 投与量 | 透析の種類 | Cmax(ng/mL) | tmaxa)(h) | AUC0-∞(ng・h/mL) | t1/2(h) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1mg (n=29) |
血液透析 | 61.9±21.6 | 4.00 1.95~11.88 |
1288.5±954.9 | 20.86±13.07 |
| 4mg (n=28) |
血液透析 | 210±98 | 4.08 2.02~12.07 |
5267.8±5818.7 | 22.42±16.89 |
| 12mg (n=26) |
血液透析 | 706±208 | 4.00 0.88~11.92 |
14680.4±8473.0 | 22.52±12.24 |
| 1mg (n=9) |
腹膜透析 | 104±49 | 4.03 0.93~24.07 |
2040.5±938.5b) | 33.58±11.62b) |
平均値±標準偏差
a)中央値、最小値~最大値
b)n=7
-
16.1.2反復投与
-
(1)健康成人
健康成人に本剤6及び12mgを食後に1日1回反復経口投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった。いずれの投与量でも反復投与開始後速やかに定常状態に到達し、顕著な蓄積は認められなかった1)。
| 投与量 | Day | Cmax(ng/mL) | tmaxa)(h) | AUC0-24(ng・h/mL) | t1/2(h) |
|---|---|---|---|---|---|
| 6mg (n=6) |
1 | 393±118 | 4.00 3.00~4.00 |
3447.1±721.3 | ‐ |
| 6mg (n=6) |
8 | 394±97 | 4.00 2.00~4.00 |
3860.6±643.3 | 18.50±3.76 |
| 12mg (n=5) |
1 | 898±182 | 4.00 2.00~4.00 |
8517.8±2599.6 | ‐ |
| 12mg (n=5) |
8 | 1050±250 | 3.00 2.00~8.00 |
10836.3±4690.7 | 16.30±5.24 |
平均値±標準偏差
a)中央値、最小値~最大値
- (2)副甲状腺癌における高カルシウム血症患者、副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症患者
副甲状腺癌における高カルシウム血症患者、副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症患者に本剤を下表の投与量で反復経口投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった4)。
| 投与量 | Cmaxa)(ng/mL) | tmaxa,b)(h) |
|---|---|---|
| 2mg 1日2回 (n=4) |
184±29 | 1.93 1.00~2.00 |
| 4mg 1日2回 (n=4) |
479±43 | 0.98 0.50~1.03 |
| 6mg 1日2回 (n=4) |
1100±644 | 1.41 1.02~2.83 |
| 6mg 1日4回 (n=4) |
1080±658 | 0.77 0.47~2.90 |
平均値±標準偏差 a) 投与後0.5~3時間までの採血時点における最高血漿中濃度をCmax、最高血漿中濃度到達時間をtmaxとした。 b) 中央値、最小値~最大値
16.2 吸収
- 16.2.1バイオアベイラビリティ
外国人健康成人にエボカルセト1mgを単回経口投与及び14C-エボカルセト4μgを静脈内投与したときの絶対的バイオアベイラビリティは62.7%であった5)。
- 16.2.2食事の影響
健康成人に本剤2mgを食後に単回経口投与したとき、絶食下投与に比べて、Cmaxは約20%の低下が認められたが、AUC0-tに影響は認められなかった6)。
16.3 分布
- 16.3.1血球移行性及び血漿蛋白結合
in vitroでのヒト血球移行率は5.2~9.2%であり、ヒト血漿蛋白結合率は97.8~98.4%であった。血漿中の主結合蛋白はアルブミン及びα1-酸性糖蛋白であった。また、健康成人及び肝機能障害患者での血漿蛋白結合率は97.9~98.2%と同程度であった7),8)。
- 16.3.2組織移行性
14C-エボカルセトを雄性ラット(アルビノ及び有色ラット)に単回経口投与したとき、放射能はほぼ全身に分布し、アルビノラットで高い放射能が認められた組織はハーダー氏腺及び肝臓であった。有色ラットにおいて、眼球の放射能濃度はアルビノラットより高かった。更に、有色ラットの眼球、有色皮膚及びブドウ膜の放射能の消失は緩やかであり、14C-エボカルセト由来物質がメラニンに対して親和性を有することが示唆された9)。
16.4 代謝
-
16.4.1 14C-エボカルセトを用いたin vitro試験において、エボカルセトの代謝に寄与するUGT分子種及びCYP分子種はUGT1A1、UGT1A3、CYP2D6及びCYP3A4であることが示唆されたが、ヒト肝ミクロソーム中で生成した代謝物はいずれも試料中放射能の4%未満であり、極めて少なかった10)。
-
16.4.2外国人健康成人に14C-エボカルセト1mgを単回経口投与したとき、血漿中には未変化体が最も多く認められ、総放射能に対する未変化体の比は、Cmaxでは95.5%、AUC0-72では80.0%であった。血漿中の主な代謝物として、活性を有する代謝物であるタウリン抱合体及びグリシン抱合体が認められたが、総放射能に対するそれぞれの比はCmaxでは7.5%及び3.1%、AUC0-72では11.2%及び8.5%であった5)。
16.5 排泄
外国人健康成人に14C-エボカルセト1mgを単回経口投与したとき、投与後264時間までに、糞及び尿中にそれぞれ投与放射能の32.7%及び61.2%が排泄された。糞中には未変化体として投与放射能の8.6%が排泄され、尿中には未変化体は認められなかった5),11)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1肝機能障害患者
軽度及び中等度(Child-Pugh分類A及びB)の肝機能障害患者に本剤1mgを単回経口投与したとき、健康成人と比較して、AUC0-∞はそれぞれ2.18倍及び1.28倍高かった。Cmaxはそれぞれ1.10倍及び0.91倍であり、顕著な差が認められなかった8)。
- 16.6.2透析患者
血液透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者に、本剤1及び4mgを経口投与した後の、透析器の動脈側及び静脈側から同時採血して得られた血漿中エボカルセト濃度を比較した結果、透析による除去は認められなかった。また、腹膜透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者に、本剤1mgを経口投与した後の透析排液中エボカルセト濃度から算出された排泄率は2.33%以下であり、透析排液への排泄はほとんど認められなかった3),12)。
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1テオフィリン
健康成人にテオフィリン100mg(1日目及び18日目に経口投与)と本剤6mg(4~20日目に1日1回反復経口投与)を併用した結果、テオフィリンのCmax及びAUC0-tは、単独投与時と比較してそれぞれ1.15倍(90%信頼区間:1.10~1.20)及び1.26倍(90%信頼区間:1.19~1.33)であり、AUC0-tの90%信頼区間の上限値が基準値1.25を上回った13)。