肺動脈性肺高血圧症
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
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2.1妊婦又は妊娠している可能性のある女性
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2.2重度の肝障害のある患者
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2.3強いCYP3A4誘導剤(リファンピシン、セイヨウオトギリソウ含有食品、カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール、リファブチン)を投与中の患者
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2.4本剤及び本剤の成分に過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
通常、3カ月以上の小児には、マシテンタンとして以下に示す用量を1日1回、用時、少量の水に分散させ経口投与する。
| 年齢 | 体重 | 用量 |
|---|---|---|
| 3カ月以上、6カ月未満 | - | 1.0mg |
| 6カ月以上、2歳未満 | - | 2.5mg |
| 2歳以上 | 15kg未満 | 3.5mg |
| 15kg以上、25kg未満 | 5.0mg | |
| 25kg以上、50kg未満 | 7.5mg | |
| 50kg以上 | 10mg |
使用上の注意
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8.1他のエンドセリン受容体拮抗薬において肝酵素値上昇が認められているため、肝機能検査を必ず投与開始前に行い、投与中は、必要に応じて肝機能検査を定期的に実施すること。本剤投与中に臨床的に顕著にAST、ALT値が上昇した場合、これら肝酵素値上昇に伴いビリルビン値が基準値上限の2倍を超える場合、又はこれら肝酵素値上昇に伴い黄疸などの肝障害の徴候を伴う場合には、本剤の投与を中止すること。
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8.2ヘモグロビン減少が起こる可能性があるため、本剤の投与開始前及び投与中は必要に応じてヘモグロビン濃度を定期的に測定することが望ましい。
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8.3本剤の投与により肺水腫の徴候がみられた場合は肺静脈閉塞性疾患の可能性を考慮すること。肺静脈閉塞性疾患が疑われた場合には、本剤の投与を中止すること。
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8.4本剤は血管拡張作用を有するため、本剤の投与に際しては、血管拡張作用により患者が有害な影響を受ける可能性がある状態(降圧剤投与中、安静時低血圧、血液量減少、重度の左室流出路閉塞、自律神経機能障害等)にあるのかを十分検討すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
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9.1.1重度の貧血のある患者
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9.1.2低血圧の患者
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9.1.3肺静脈閉塞性疾患患者
本剤を投与しないことが望ましい。血管拡張薬を使用した場合に肺水腫の発現が報告されている。
9.2 腎機能障害患者
- 9.2.1透析中の患者
臨床試験では除外されている。
- 9.2.2重度の腎障害のある患者
血圧及びヘモグロビンの測定を考慮すること。低血圧及び貧血が起こる可能性がある。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1重度の肝障害のある患者
投与しないこと。類薬において重篤な肝障害の報告がある。国内第Ⅲ相臨床試験及び海外第Ⅲ相臨床試験では除外されている。
- 9.3.2投与開始前の肝酵素(AST、ALT)値のいずれか又は両方が基準値上限の3倍を超える患者
国内第Ⅲ相臨床試験及び海外第Ⅲ相臨床試験では除外されている。
9.4 生殖能を有する者
本剤の投与に際しては、以下について説明及び指導し、妊娠する可能性のある女性には本剤投与開始前及び投与中は1カ月に1回妊娠検査を実施すること。
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妊娠中に本剤を服用した場合の胎児に及ぼす危険性
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投与中及び投与中止後1カ月間は確実な避妊法を用いるとともに、妊娠した場合若しくはその疑いがある場合には、医師に直ちに連絡すること
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。 動物実験(ラット及びウサギ)で下顎弓癒合異常及び心血管系異常などが報告されており、最小毒性量に基づく安全域はラットで約3倍未満、ウサギで約30倍未満であった。また、胚吸収増加などが報告されている。
9.6 授乳婦
本剤投与中は授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)では、本剤は乳汁中に移行することが確認されている。また、母動物(ラット)に妊娠17日から分娩後20日まで経口投与した結果、出生児の体重の低値及び死亡の増加が認められている。
9.7 小児等
低出生体重児又は新生児に対する有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
相互作用
- 本剤は主にCYP3A4及びCYP2C9により代謝される。
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| 強いCYP3A4誘導剤 • リファンピシン(リファジン)、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品、カルバマゼピン(テグレトール)、フェニトイン(アレビアチン)、フェノバルビタール(フェノバール)、リファブチン(ミコブティン) |
本剤の血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。 | 強いCYP3A4誘導作用により、本剤の曝露量を減少させる。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| 強いCYP3A4阻害剤 • ケトコナゾール注) HIV感染症治療薬(リトナビル等) |
本剤の血中濃度が上昇し、本剤の副作用が発現しやすくなるおそれがある。 | 強いCYP3A4阻害作用により、本剤の曝露量を増加させる。 |
| 中程度のCYP3A4阻害作用かつ中程度のCYP2C9阻害作用を有する薬剤 • フルコナゾール |
本剤の血中濃度が上昇し、本剤の副作用が発現しやすくなるおそれがある。 | CYP3A4阻害作用及びCYP2C9阻害作用により、本剤の曝露量を増加させる可能性がある。 |
| CYP3A4誘導剤 • エファビレンツ、モダフィニル、ルフィナミド等 |
本剤の血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。 | CYP3A4誘導作用により、本剤の曝露量を減少させる。 |
注)経口剤、注射剤は国内未発売
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| ALT増加 | 5%以上 |
| AST増加 | 5%以上 |
| そう痒症/発疹 | 5%以上 |
| ヘマトクリット減少 | 5%以上 |
| ヘモグロビン減少 | 5%以上 |
| 上気道感染注) | 頻度不明 |
| 下痢 | 5%以上 |
| 不規則月経等) | 頻度不明 |
| 低血圧 | 5%以上 |
| 呼吸困難 | 5%以上 |
| 子宮出血増加(月経中間期出血 | 頻度不明 |
| 悪心/嘔吐 | 5%以上 |
| 末梢性浮腫 | 5%以上 |
| 浮動性めまい | 5%以上 |
| 浮腫 | 5%以上 |
| 潮紅 | 5%以上 |
| 片頭痛 | 5%以上 |
| 白血球数減少 | 頻度不明 |
| 肝機能検査異常 | 5%以上 |
| 胃腸炎注) | 頻度不明 |
| 胸痛 | 5%以上 |
| 腹痛 | 5%以上 |
| 蕁麻疹 | 頻度不明 |
| 血小板減少 | 5%以上 |
| 血管浮腫) | 頻度不明 |
| 過敏症(皮疹 | 頻度不明 |
| 重度月経出血 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 5%以上 |
| 顔面浮腫 | 5%以上 |
| 鼻炎注) | 頻度不明 |
| 鼻閉 | 5%以上 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
マシテンタンはETA及びETB受容体に対して拮抗作用を示し、125I-ET-1結合に対するIC50値(平均値±標準誤差)はそれぞれ0.49±0.07nM及び391±49nMであった。活性代謝物もマシテンタンと同様の拮抗作用を示し、そのIC50値はそれぞれ3.4±0.20nM及び987±92nMであった13),14)。
18.2 血管収縮の阻害
マシテンタンはラットから摘出した内皮剥離大動脈のエンドセリン(ET)-1刺激誘発収縮(ETA受容体媒介性)及び上皮剥離気管のサラフォトキシンS6c刺激誘発収縮(ETB受容体媒介性)を阻害し、そのpA2値はそれぞれ7.6±0.2(ETA受容体)及び5.9±0.2(ETB受容体)であった13)。
18.3 病態モデルに対する作用
- 18.3.1肺高血圧モデル
マシテンタンはモノクロタリン誘発肺高血圧ラットにおいて、心拍数に影響することなく平均肺動脈圧を低下させ、また、肺動脈肥大及び右室肥大を抑制した。さらに、生存率を改善した13),15)。
- 18.3.2高血圧モデル
マシテンタンはDahl食塩感受性(Dahl-S)高血圧ラット及び酢酸デオキシコルチコステロン(DOCA)食塩高血圧ラットにおいて、心拍数に影響することなく平均動脈圧を低下させた13),16)。
- 18.3.3肺線維症モデル
マシテンタンはブレオマイシン誘発肺線維症ラットにおいて、右室肥大及び肺ヒドロキシプロリン含量を抑制した17)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1反復投与
2歳以上の日本人小児肺動脈性肺高血圧症患者に、体重に応じた量の本剤を1日1回少なくとも10日間反復経口投与したとき、マシテンタン及び活性代謝物の薬物動態パラメータは以下のとおりであった1)。
| Dose (mg) |
Cmax (ng/mL) |
tmax (h) |
AUC0-24 (ng・h/mL) |
|
|---|---|---|---|---|
| マシテンタン | ||||
| 15kg未満 | 3.5 | 230, 352 | 4.33, 7.48 | 3151, 5714 |
| 15kg以上25kg未満 | 5 | 184 | 3.80 | 2855 |
| 25kg以上50kg未満 | 7.5 | 250 | 4.02 | 2886 |
| 50kg以上 | 10 | 193 | 3.80 | 2897 |
| 活性代謝物 | ||||
| 15kg未満 | 3.5 | 1170, 1340 | 0.00, 23.33 | 23246, 28313 |
| 15kg以上25kg未満 | 5 | 1000 | 0.00 | 14768 |
| 25kg以上50kg未満 | 7.5 | 929 | 24.12 | 18521 |
| 50kg以上 | 10 | 764 | 23.50 | 15288 |
個別値(15kg未満はn=2)
2歳以上の日本人小児肺動脈性肺高血圧症患者に、体重に応じた量の本剤を1日1回12週間以上反復経口投与したとき、マシテンタン及び活性代謝物のトラフ時血漿中濃度(n=4、平均値±標準偏差)は85.6±37.3ng/mL及び917±266ng/mLであった。6カ月以上2歳未満の日本人小児肺動脈性肺高血圧症患者(n=2)に本剤2.5mgを1日1回8週間以上反復経口投与したとき、マシテンタンのトラフ時血漿中濃度は59.4ng/mL及び83.5ng/mLであった。活性代謝物のトラフ時血漿中濃度は982ng/mL及び648ng/mLであった1)。
- 16.1.2生物学的同等性
健康成人に、本剤2.5mgを4錠又はマシテンタン普通錠10mgを空腹時に単回経口投与したときの、マシテンタン及び活性代謝物の血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった2)(外国人データ)。
健康成人に本剤2.5mgを4錠又はマシテンタン普通錠10mgを空腹時に単回経口投与したときのマシテンタン及び活性代謝物の血漿中濃度推移
| Cmax (ng/mL) |
tmax (h) |
AUC0-∞ (ng・h/mL) |
t1/2 (h) |
|
|---|---|---|---|---|
| 本剤 2.5mg 4錠 | ||||
| マシテンタン(n=27)a | 178(41.7) | 9.01(7.50 - 12.00) | 5948(1271) | 16.1(2.7) |
| 活性代謝物(n=26)b | 158(35.9) | 48.00(23.91 - 72.20) | 20047(4529) | 53.8(9.9) |
| マシテンタン普通錠 | ||||
| マシテンタン(n=27) | 186(31.3) | 8.51(5.00 - 15.00) | 5666(1111) | 15.7(3.0) |
| 活性代謝物 (n=24) |
165(42.7) | 48.00(23.97 - 72.18) | 20324(4804) | 49.6(5.7) |
平均値(標準偏差)、tmaxは中央値(最小値 - 最大値) a:n=26 for AUC0-∞ b:n=25 for t1/2;n=24 for AUC0-∞
16.2 吸収
- 16.2.1食事の影響
健康成人10例にマシテンタン10mg製剤を空腹時又は食後に単回経口投与した時、食後投与時のマシテンタン及び活性代謝物のAUC0-∞、Cmaxは空腹時投与と同様であり、食事の影響は認められなかった3)(外国人データ)。
16.3 分布
- 16.3.1タンパク結合率
血漿タンパク結合率は、マシテンタンは99%以上、活性代謝物は99.5%であり、主にアルブミン及びα1-酸性糖タンパク質と結合する4)。
16.4 代謝
本剤の主要な代謝はCYP酵素、主にCYP3A4及びCYP2Cファミリー(CYP2C8、CYP2C9及びCYP2C19)による。活性代謝物の生成は主にCYP3A4によるものであり、CYP2C8、CYP2C9及びCYP2C19の関与はわずかであった。薬理活性を有さない代謝物の生成は主にCYP2C9によるものであり、CYP2C8、CYP2C19及びCYP3A4の関与はわずかであった。
16.5 排泄
健康成人6例に14C-マシテンタン10mgを単回経口投与した時、投与後14日間までの放射能回収率は、尿中49.7%、糞中23.9%であった。尿中にマシテンタン及び活性代謝物は排泄されなかった5)(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1肝機能障害患者における体内動態
健康成人8例及び軽度肝障害患者(Child-Pugh分類A)7例、中等度(Child-Pugh分類B)8例、重度(Child-Pugh分類C)8例にマシテンタン10mgを単回経口投与した時、マシテンタン及び活性代謝物のAUC0-∞は肝障害患者で健康成人の66~94%であったが、t1/2は健康成人と肝障害患者で変わらなかった6)(外国人データ)。
- 16.6.2腎機能障害患者における体内動態
健康成人8例及び重度腎障害患者(CLcr=15~29mL/分)8例にマシテンタン10mgを単回経口投与した時、マシテンタンのCmax及びAUC0-∞は健康成人に比べ重度腎障害患者でそれぞれ11%及び24%高く、t1/2は10%未満の延長であった。活性代謝物のCmax及びAUC0-∞は健康成人よりも重度腎障害患者でそれぞれ39%及び58%高く、t1/2は約32%延長した6)(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1ワルファリン
健康成人14例に、マシテンタン10mgとワルファリン25mgを併用投与した時、マシテンタンの薬物動態にワルファリンは影響を与えなかった。また、マシテンタンはワルファリンの薬物動態に影響を与えなかった7)(外国人データ)。
- 16.7.2シルデナフィル
健康成人12例に、マシテンタン10mgとシルデナフィル20mgを併用投与した時、マシテンタンの薬物動態にシルデナフィルは影響を与えなかった。また、マシテンタンはシルデナフィルの薬物動態に影響を与えなかった8)(外国人データ)。
- 16.7.3ケトコナゾール
健康成人12例に、ケトコナゾール400mg反復投与時にマシテンタン10mgを併用した結果、マシテンタンのCmax、tmax及びt1/2が増加し、AUC0-∞は約2倍に増加した。活性代謝物のCmaxは51%、AUC0-∞は26%減少し、tmaxは48時間から72時間に延長した9)(外国人データ)。
- 16.7.4シクロスポリン
健康成人10例に、マシテンタン10mg反復投与時にシクロスポリン100mgを併用した結果、マシテンタンのAUCτ及びCtroughはそれぞれ10%及び38%増加したが、活性代謝物のAUCτ及びCtroughに対する影響は認められなかった10)(外国人データ)。
- 16.7.5リファンピシン
健康成人10例に、マシテンタン10mg反復投与時にリファンピシン600mgを併用した結果、マシテンタンのAUCτ及びCtroughはそれぞれ79%及び93%減少した。活性代謝物のCtroughは17%減少したが、AUCτに対する影響は認められなかった10)(外国人データ)。
- 16.7.6フルコナゾール
生理学的薬物動態モデルによる解析の結果、マシテンタン10mg単剤投与時に比べてフルコナゾール400mg/日の併用時では、マシテンタンのAUC及びCmaxがそれぞれ約3.8倍及び約1.3倍になることが推定された。活性代謝物のAUC及びCmaxはそれぞれ約1.0倍及び約0.6倍になることが推定された。