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オドリック錠1mg

トランドラプリル錠

添付文書改訂 2025年09月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し、過敏症の既往歴のある患者

  2. **2.2血管性浮腫の既往歴のある患者(アンジオテンシン変換酵素阻害剤等の薬剤による血管性浮腫、遺伝性血管性浮腫、後天性血管性浮腫、特発性血管性浮腫等)[高度の呼吸困難を伴う血管性浮腫を発現することがある。]

  3. 2.3デキストラン硫酸固定化セルロース、トリプトファン固定化ポリビニルアルコール又はポリエチレンテレフタレートを用いた吸着器によるアフェレーシスを施行中の患者

  4. 2.4アクリロニトリルメタリルスルホン酸ナトリウム膜(AN69Ⓡ)を用いた血液透析施行中の患者

  5. 2.5妊婦又は妊娠している可能性のある女性

  6. 2.6アリスキレンフマル酸塩を投与中の糖尿病患者(ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く)

  7. 2.7サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物を投与中の患者、又は投与中止から36時間以内の患者

効能・効果

高血圧症

用法・用量

通常、成人にはトランドラプリルとして1~2mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。 ただし、重症高血圧症又は腎障害を伴う高血圧症の患者では0.5mgから投与を開始することが望ましい。

使用上の注意

  1. 8.1降圧作用に基づくめまい、ふらつきがあらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。

  2. 8.2手術前24時間は投与しないことが望ましい。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。腎血流量の減少や糸球体ろ過圧の低下により急速に腎機能を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.2高カリウム血症の患者

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。高カリウム血症を増悪させるおそれがある。また、腎機能障害、コントロール不良の糖尿病等により血清カリウム値が高くなりやすい患者では、血清カリウム値に注意すること。

  1. 9.1.3重症の高血圧症患者

投与は低用量より開始し、増量する場合は患者の状態を十分に観察しながら徐々に行うこと。初回投与後一過性の急激な血圧低下を起こすおそれがある。

  1. 9.1.4厳重な減塩療法中の患者

投与は低用量より開始し、増量する場合は患者の状態を十分に観察しながら徐々に行うこと。初回投与後一過性の急激な血圧低下を起こすおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1腎機能障害のある患者

定期的に腎機能検査を行うこと。

  1. 9.2.2重篤な腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアランスが30mL/分以下、又は血清クレアチニン値が3mg/dL以上)

投与量を減らすか、又は投与間隔を延ばすなど経過を十分に観察すること。排泄の遅延により本剤の活性代謝物の血中濃度が上昇し、過度の血圧低下及び腎機能を悪化させるおそれがある。

  1. 9.2.3血液透析中の患者

投与は低用量より開始し、増量する場合は患者の状態を十分に観察しながら徐々に行うこと。初回投与後一過性の急激な血圧低下を起こすおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重篤な肝障害のある患者

胆汁排泄能が低下しているため、活性代謝物の血中濃度が上昇するおそれがある。

9.4 生殖能を有する者

  1. 9.4.1*妊娠する可能性のある女性

*妊娠していることが把握されずアンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤を使用し、胎児・新生児への影響(腎不全、頭蓋・肺・腎の形成不全、死亡等)が認められた例が報告されている1),2)。

*本剤の投与に先立ち、代替薬の有無等も考慮して本剤投与の必要性を慎重に検討し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、投与が必要な場合には次の注意事項に留意すること。

  1. (1)*本剤投与開始前に妊娠していないことを確認すること。本剤投与中も、妊娠していないことを定期的に確認すること。投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。

  2. (2)*次の事項について、本剤投与開始時に患者に説明すること。また、投与中も必要に応じ説明すること。

  • *妊娠中に本剤を使用した場合、胎児・新生児に影響を及ぼすリスクがあること。

  • *妊娠が判明した又は疑われる場合は、速やかに担当医に相談すること。

  • *妊娠を計画する場合は、担当医に相談すること。

9.5 妊婦

*妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。また、投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。妊娠中期及び末期にアンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤を投与された患者で羊水過少症、胎児・新生児の死亡、新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋の形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、頭蓋顔面の変形、肺の低形成等があらわれたとの報告がある。また、海外で実施されたレトロスペクティブな疫学調査で、妊娠初期にアンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤を投与された患者群において、胎児奇形の相対リスクは降圧剤が投与されていない患者群に比べ高かったとの報告がある。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが認められている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

低用量(例えば0.5mg/日)から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に過度の降圧は好ましくないとされている。また、脳梗塞等が起こるおそれがある。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
デキストラン硫酸固定化セルロース、トリプトファン固定化ポリビニルアルコール又はポリエチレンテレフタレートを用いた吸着器によるアフェレーシスの施行
• リポソーバーⓇ
イムソーバTRⓇ
セルソーバⓇ
血圧低下、潮紅、嘔気、嘔吐、腹痛、しびれ、熱感、呼吸困難、頻脈等の症状があらわれショックを起こすことがある。 陰性に荷電したデキストラン硫酸固定化セルロース、トリプトファン固定化ポリビニルアルコール又はポリエチレンテレフタレートにより血中キニン系の代謝が亢進し、ブラジキニン産生が増大する。更にACE阻害剤はブラジキニンの代謝を阻害するため、ブラジキニンの蓄積が起こるとの考えが報告されている。
アクリロニトリルメタリルスルホン酸ナトリウム膜を用いた透析
• AN69Ⓡ
アナフィラキシーを発現することがある。 多陰イオン体であるAN69Ⓡにより血中キニン系の代謝が亢進し、ブラジキニン産生の増大をもたらし、更にACE阻害剤によりブラジキニンの代謝が妨げられ蓄積すると考えられている。
アリスキレンフマル酸塩
• ラジレス
(糖尿病患者に使用する場合。ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く。)
非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されている。 レニン-アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。
サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物
• エンレスト
**血管性浮腫があらわれるおそれがある。この薬剤を投与する場合は、本剤を少なくとも36時間前に中止すること。また、この薬剤の投与終了後に本剤を投与する場合は、36時間以上の間隔をあけること。 **相加的にブラジキニンの分解を抑制し、血管性浮腫のリスクを増加させる可能性がある。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
カリウム保持性利尿剤
• スピロノラクトン
トリアムテレン
等カリウム補給剤
• 塩化カリウム
血清カリウム値が上昇することがあるので、血清カリウム値に注意すること。 本剤のアンジオテンシンⅡ産生抑制によりアルドステロン分泌低下が起こり、血清カリウムの排泄を減少させると考えられている。(特に腎機能障害のある患者)
利尿降圧剤
• トリクロルメチアジド
ヒドロクロロチアジド
初回投与後、一過性の急激な血圧低下を起こすおそれがあるので、投与は低用量より開始し、増量する場合は患者の状態を十分に観察しながら徐々に行い、用量を調節するなど注意すること。利尿降圧剤を投与開始直後の患者では特に注意すること。 利尿降圧剤により血漿レニン活性が上昇した状態となり、本剤併用によりレニン・アンジオテンシン系がブロックされる結果、急激な血圧低下を起こすと考えられている。
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤 腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがあるため、腎機能、血清カリウム値及び血圧を十分に観察すること。 レニン・アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。
アリスキレンフマル酸塩 腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがあるため、腎機能、血清カリウム値及び血圧を十分に観察すること。
なお、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンフマル酸塩との併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。
レニン・アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。
リチウム
• 炭酸リチウム
リチウム中毒(振戦、消化器愁訴等)が報告されているので、血中のリチウム濃度に注意すること。 ACE阻害剤は腎でのナトリウム再吸収を抑制するため、競合的にリチウムの再吸収が促進されて、リチウムの血中濃度が上昇すると考えられている。
非ステロイド性消炎鎮痛剤
• インドメタシン
他のACE阻害剤との併用により、その降圧作用が減弱するとの報告がある。 非ステロイド性消炎鎮痛剤はプロスタグランジン産生を抑制するため、ACE阻害剤のプロスタグランジン合成促進作用による血圧低下作用を減弱させると考えられている。
非ステロイド性消炎鎮痛剤
• インドメタシン
腎機能が悪化している患者では、更に腎機能が悪化するおそれがある。 非ステロイド性消炎鎮痛剤はプロスタグランジン産生を抑制するため、腎血流量が低下すると考えられている。
カリジノゲナーゼ製剤 過度の血圧低下が引き起こされる可能性がある。 本剤のキニン分解抑制作用とカリジノゲナーゼ製剤のキニン産生作用により、血中キニン濃度が増大し血管平滑筋の弛緩が増強される可能性がある。
降圧作用を有する薬剤
• 降圧剤
硝酸剤
降圧作用が増強することがある。 相加的に降圧作用を増強させる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P 1〜5%未満
ALT 1〜5%未満
AST 1〜5%未満
BUN 1%未満
CKの上昇 1〜5%未満
LDH等の上昇 1〜5%未満
クレアチニンの上昇 1%未満
そう痒 1%未満
ほてり 1%未満
めまい 1%未満
下痢 頻度不明
乾性の咳嗽 5%以上
低血糖 頻度不明
便秘 1%未満
倦怠感 1%未満
動悸 1%未満
咽頭部刺激感等 1%未満
嗄声 1%未満
嘔吐 頻度不明
嘔気 1%未満
尿酸の上昇 1%未満
息切れ 1%未満
意識障害 頻度不明
発疹 1%未満
白血球減少 1%未満
眠気 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部不快感 1%未満
腹部膨満感 1%未満
蕁麻疹 頻度不明
血小板減少 頻度不明
血清カリウムの上昇 1%未満
貧血 頻度不明
頭痛 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

トランドラプリルは吸収後、加水分解により活性体(トランドラプリラート)に変換され、血中及び組織中(血管等)のACEを阻害して昇圧物質であるアンジオテンシンⅡの生成を抑制することにより降圧作用を示す。 また、ACEは降圧物質であるブラジキニンの分解酵素(キニナーゼⅡ)と同一酵素であることから、ブラジキニンの分解も同時に抑制し、これも一部降圧作用に関与していると考えられる。

18.2 アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害作用

  1. 18.2.1トランドラプリラートは、in vitroにおいて、ウサギ肺抽出ACEに対して強い阻害作用を示す18)。また、ラット摘出血管のアンジオテンシンⅠによる収縮を用量依存的に抑制する19)。

  2. 18.2.2ラットへの経口投与で外因性のアンジオテンシンⅠによる昇圧反応を抑制し、ブラジキニンによる降圧反応を増強する20)。

  3. 18.2.3自然発症高血圧ラット(SHR)において、組織ACEを持続的に抑制する。特に大動脈のACEが持続的に抑制され、降圧作用と相関する18)。

18.3 降圧作用

  1. 18.3.1SHRに経口投与することにより、心拍数には影響を及ぼさずに強く持続的な降圧作用を示す20),21)。

  2. 18.3.22腎1クリップGoldblatt型腎性高血圧(2K1C)ラットにおいて、1mg/kgの低用量で有意な降圧効果が認められ、その効果は24時間持続する21)。

  3. 18.3.3SHR及び2K1Cラットへの連続投与において、著明で安定した降圧効果が認められる。休薬後の血圧の回復は緩徐である21)。

  4. 18.3.4SHRにおいて、ヒドロクロロチアジドとの併用により降圧効果の増強が認められる20)。

18.4 降圧作用の持続性(トラフ/ピーク比)

本態性高血圧症患者に本剤1mgあるいは2mgを二重盲検法にて1日1回2週間経口投与し、携帯型自動血圧測定(ABPM)によって求められたトラフ/ピーク比(T/P比)は、75~100%であった22)(外国人データ)。

18.5 その他の作用

  1. 18.5.1糖尿病性腎症ラットにおいて、尿タンパクの漏出を減少させ、BUNを低下させる23)。

  2. 18.5.2SHRにおいて、心肥大、血管肥厚を著明に抑制する24),25)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人各6名に本剤0.5、1、2及び4mg注1)を単回経口投与したとき、速やかに吸収され、活性体であるトランドラプリラートに加水分解された3)。

注1)本剤の承認された1日用量は1~2mgである。

トランドラプリル トランドラプリラート
tmax(h) 0.8~1.1 2.8~6.8
t1/2Ⅰ注2)(h) 1.3~2.5 5.8~29.6
t1/2Ⅱ注3)(h) 96.7~187.7
Cmax(ng/mL) 0.53~6.28 0.83~9.94
AUC(ng・h/mL) 0.92~9.36 22.84~85.83注4)

注2)Ⅰ相:tmax~12h

注3)Ⅱ相:12~168h

注4):AUC0-24h

  1. 16.1.2反復投与

健康成人各8名における本剤1mgを1日1回、7日間反復経口投与したときの薬物動態パラメータを次に示す4)。

トランドラプリル トランドラプリラート
単回投与 連続投与7日目 単回投与 連続投与7日目
tmax(h) 1.3 1.3 4.6 3.9
t1/2(h) 0.5 0.9 67.0 18.0
Cmax(ng/mL) 1.39 1.68 1.17 3.33
AUC0-24h(ng・h/mL) 1.96 2.32 21.50 49.57

投与3日目以降のトランドラプリラートの投与直前値はほぼ一定であった。

16.5 排泄

健康成人各6名に本剤0.5、1、2mg注1)を単回経口投与したとき、投与24時間までの尿中総排泄率は、7.3~16.3%と低く、主としてトランドラプリラートとして排泄された3)。 サルにおいて、トランドラプリル(40μg/kg)を単回静脈内投与し排泄について検討した。投与8時間後までに尿中に59.4%、胆汁中に40.6%が排泄された(トランドラプリルとトランドラプリラートの合計)5)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

腎機能障害患者9例における本剤1mgを1日1回、7日間反復経口投与したときの薬物動態パラメータを次に示す6),7)。

トランドラプリル トランドラプリラート
単回投与 連続投与7日目 単回投与 連続投与7日目
tmax(h) 1.8 2.2 11.3 5.6
t1/2(h) 3.3 3.3 45.0 16.6
Cmax(ng/mL) 1.89 1.54 2.48 6.69
AUC0-24h(ng・h/mL) 6.34 6.00 44.35 106.61