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オゼックス錠75

トスフロキサシントシル酸塩水和物

添付文書改訂 2025年11月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  • 〈効能共通〉
  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 〈炭疽、コレラ以外〉
  1. 2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

  • 〈適応菌種〉

トスフロキサシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌(ペニシリン耐性肺炎球菌を含む)、腸球菌属、淋菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、炭疽菌、大腸菌、赤痢菌、サルモネラ属、チフス菌、パラチフス菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、コレラ菌、インフルエンザ菌、緑膿菌、バークホルデリア・セパシア、ステノトロホモナス(ザントモナス)・マルトフィリア、アシネトバクター属、ペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属、プレボテラ属、アクネ菌、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)

  • 〈適応症〉

表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの)、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、肛門周囲膿瘍、骨髄炎、関節炎、咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、精巣上体炎(副睾丸炎)、尿道炎、胆嚢炎、胆管炎、感染性腸炎、腸チフス、パラチフス、コレラ、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、涙嚢炎、麦粒腫、瞼板腺炎、外耳炎、中耳炎、副鼻腔炎、化膿性唾液腺炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎、炭疽

用法・用量

  • 〈骨髄炎、関節炎、腸チフス、パラチフス以外〉

通常、成人に対して、トスフロキサシントシル酸塩水和物として1日300~450mg(トスフロキサシンとして204~306mg)を2~3回に分割して経口投与する。

  • 〈骨髄炎、関節炎〉

通常、成人に対して、トスフロキサシントシル酸塩水和物として1日450mg(トスフロキサシンとして306mg)を3回に分割して経口投与する。

  • 〈腸チフス、パラチフス〉

通常、成人に対して、トスフロキサシントシル酸塩水和物として1日600mg(トスフロキサシンとして408mg)を4回に分割して14日間経口投与する。

なお、腸チフス、パラチフスを除く症例においては、感染症の種類及び症状により適宜増減するが、重症又は効果不十分と思われる症例にはトスフロキサシントシル酸塩水和物として1日600mg(トスフロキサシンとして408mg)を経口投与する。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。

  2. 8.2大動脈瘤、大動脈解離を引き起こすことがあるので、観察を十分に行うとともに、腹部、胸部又は背部に痛み等の症状があらわれた場合には直ちに医師の診察を受けるよう患者に指導すること。

  3. 8.3急性腎障害、間質性腎炎、腎性尿崩症等の重篤な腎障害、肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、定期的に検査を行うこと。

  • 〈炭疽〉
  1. 8.4長期投与中は、副作用及び臨床検査値の異常変動等の発現に特に注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者

痙攣を起こすことがある。

  1. 9.1.2重症筋無力症の患者

フルオロキノロン系抗菌薬で症状を悪化させるとの報告2)がある。

  1. 9.1.3*大動脈瘤又は大動脈解離を合併している患者、大動脈瘤又は大動脈解離の既往、家族歴若しくはリスク因子(マルファン症候群/ロイス・ディーツ症候群等)を有する患者

必要に応じて画像検査の実施を考慮すること。海外の疫学研究において、フルオロキノロン系抗菌薬投与後に大動脈瘤及び大動脈解離の発生リスクが増加したとの報告がある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1高度の腎障害のある患者

投与量・投与間隔の適切な調節をするなど慎重に投与すること。高い血中濃度が持続することがある。

9.5 妊婦

  • 〈炭疽、コレラ以外〉
  1. 9.5.1妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。
  • 〈炭疽、コレラ〉
  1. 9.5.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。母乳中への移行が報告されている。

9.7 小児等

低出生体重児、新生児及び乳児を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

  1. 9.8.1腱障害があらわれやすいとの報告がある。

  2. 9.8.2用量並びに投与間隔に留意し、慎重に投与すること。本剤は主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがある。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• テオフィリン
• アミノフィリン水和物
健康成人にテオフィリン1日400mgと本剤1日450mgを併用したところ、テオフィリンの最高血中濃度は、併用3日目で1.13倍、5日目では1.23倍の上昇を示したとの報告がある。
テオフィリンの中毒症状(消化器障害、頭痛、不整脈、痙攣等)があらわれるおそれがあるため、観察を十分に行い、血中濃度モニタリングを行うなど注意すること。
機序:テオフィリンの肝での代謝を抑制し、血中濃度を上昇させることが報告されている。
危険因子:高齢者、高度の腎障害患者
• フェニル酢酸系、プロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛剤• ジクロフェナクナトリウム
• ロキソプロフェンナトリウム水和物
• 等
痙攣があらわれることがある。
観察を十分に行い、症状があらわれた場合には両剤の投与を中止し、気道確保と抗痙攣薬の使用など痙攣に対する治療を実施すること。
機序:中枢神経におけるGABAA受容体への結合阻害作用が非ステロイド性消炎鎮痛剤により増強されることが主な機序と考えられている。
危険因子:高齢者、てんかん等痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者、高度の腎障害患者
• アルミニウム又はマグネシウム含有の制酸剤、鉄剤、カルシウム含有製剤• 乾燥水酸化アルミニウムゲル
• 酸化マグネシウム
• クエン酸第一鉄ナトリウム
• 沈降炭酸カルシウム
• 等
本剤の効果が減弱されるおそれがある。
同時投与を避けるなど注意すること。
機序:金属カチオンと難溶性の錯塩を形成し、本剤の消化管からの吸収が低下することが報告されている。
• 副腎皮質ホルモン剤(経口剤、注射剤)• プレドニゾロン
• ヒドロコルチゾン
• 等
腱障害のリスクが増大するとの報告がある。これらの薬剤との併用は、治療上の有益性が危険性を上回る場合のみとすること。 機序不明

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
頻度不明
頻度不明
1%未満
1%未満
1%未満
1%未満
1%未満
1%未満
Al-P上昇 1%未満
ALT上昇 1%未満
AST上昇 1%未満
BUN上昇 1%未満
LDH上昇 1%未満
γ-GTP上昇 1%未満
クレアチニン上昇 頻度不明
しびれ 1%未満
そう痒感 1%未満
ビリルビン上昇 1%未満
めまい 1%未満
下痢・軟便 1%未満
不眠 1%未満
便秘 1%未満
倦怠感 1%未満
光線過敏症 頻度不明
口内炎 1%未満
口渇 1%未満
味覚異常 頻度不明
嘔吐 1%未満
好酸球増多 頻度不明
幻覚 頻度不明
悪心 1%未満
振戦 1%未満
発熱 1%未満
発疹 1%未満
白血球減少 頻度不明
胃・腹痛 1%未満
胃・腹部不快感 1%未満
腹部膨満感 1%未満
舌炎 1%未満
蕁麻疹 1%未満
血小板減少 頻度不明
血尿 1%未満
貧血 頻度不明
関節痛 頻度不明
頭痛 1%未満
食欲不振 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

細菌のDNAジャイレース及びトポイソメラーゼⅣを阻害し、殺菌的に作用する24)。

18.2 抗菌作用

トスフロキサシンはグラム陽性・陰性菌に対し、幅広い抗菌スペクトルを有し、その作用は殺菌的である。 ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌(ペニシリン耐性肺炎球菌を含む注2))、大腸菌、クレブシエラ属、インフルエンザ菌、緑膿菌、バクテロイデス属に対して優れた抗菌力を示した25)。また、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)、チフス菌、パラチフス菌に対しても優れた抗菌力を示した26),27),28)。コレラ菌に対するMIC50、MIC90はそれぞれ≦0.006μg/mL、0.05μg/mLであった29)。なお、炭疽菌に対するMICは0.012μg/mL(106cell/mL接種時)であった30)。

注2)CLSI(Clinical and Laboratory Standards Institute)の判定基準に基づき、Penicillin(Oral penicillin V)に対するMICが2μg/mL以上の場合をペニシリン耐性肺炎球菌と判定した。

18.3 実験的感染症に対する治療効果

実験的に作成したマウスの全身感染症、皮下膿瘍、骨髄炎、肺炎、尿路感染症、免疫低下時の全身感染症に対し、抗菌力を反映する治療効果を示した25),30),31),32),33)。 また、ヒト胎児肺由来の線維芽細胞でのサルモネラ・エンテリティディスの細胞内感染実験において、細胞内移行と細胞内での殺菌力はオフロキサシン、ノルフロキサシンより優れていた34)。

18.4 耐性

黄色ブドウ球菌、大腸菌、セラチア・マルセスセンス、緑膿菌を用い自然耐性菌出現頻度を検討した結果、その頻度は低く25)、また、バクテロイデス・フラジリスの増量的継代法による耐性獲得は低く、MICの上昇は8代継代まで認められなかった35)。

薬物動態

16.1 血中濃度

健康成人に150mg又は300mgを食後単回経口投与したときのトスフロキサシンの血中濃度は以下のとおりである4)。

投与量 例数 Cmax
(μg/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
AUC
(μg・hr/mL)
150mg 34 0.54 2.00 4.85 4.95
300mg 5 1.06 2.16 4.44 8.97

16.3 分布

  1. 16.3.1組織内移行

  2. (1)扁桃組織

口蓋扁桃摘出術施行患者3例に150~300mgを空腹時単回経口投与したとき、組織内濃度は130~195分で0.66~1.08μg/gを示した5)。

  1. (2)喀痰

慢性気管支炎及び肺気腫の感染合併患者2例に150mgを食後単回経口投与したとき、最高喀痰中濃度は2~3時間後に0.31μg/mL及び0.34μg/mLの値が得られ、6~8時間後にも0.20μg/mL前後であった6)。

  1. (3)前立腺組織

前立腺肥大症手術患者5例に150mgを空腹時単回経口投与したとき、組織内濃度は2時間で0.120μg/g、4時間で0.245μg/gを示した7)。

  1. (4)皮膚組織

皮膚疾患患者2例に450mg(150mg×3/日)を7日又は10日連続で食後経口投与したとき、皮膚組織内濃度は最終投与後135分で2.5μg/g、225分で1.43μg/gを示した8)。

  1. (5)その他

女性性器組織9)、胆汁、胆嚢組織10)、耳漏5)、唾液11)、涙液12)、抜歯創11)、関節液13)等に良好な移行が認められている。また、乳汁中へも移行する14)。

16.4 代謝

健康成人6例に150mgを食後単回経口投与したとき、大部分が未変化体として尿中及び糞中に排泄されたが、未変化体以外に2種の代謝物及びこれらの抱合体が尿中に確認された15)。

16.5 排泄

健康成人6例に150mgを食後単回経口投与したとき、24時間までの未変化体の尿中排泄率は45.8%であった16)。また、代謝物も含めた24時間までの尿中総回収率は50.7%であった15)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害者の血中濃度

腎機能障害者に150mgを食後単回経口投与したとき、次表のとおり、腎機能の低下に伴い血中半減期(T1/2)の延長が認められた17)。

腎機能障害の程度(Ccr:mL/min) 例数 T1/2(hr)
正常者(Ccr≧80) 5 3.9
軽度(80>Ccr≧50) 3 4.0
中等度(50>Ccr≧20) 2 9.8
高度(20>Ccr) 4 10.5
  1. 16.6.2透析患者の血中濃度

血液透析患者2例に150mgを食後単回経口投与したとき、それぞれ投与1.5時間後に1.65μg/mL、3時間後に1.6μg/mLの血中濃度ピーク値を示し、5時間の透析で透析液中に7.31%及び8.33%が回収された17)。