Clinical snapshot

オザグレルNa点滴静注液20mg「トーワ」

オザグレルナトリウム注射液

添付文書改訂 2025年05月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1出血している患者:出血性脳梗塞、硬膜外出血、脳内出血又は原発性脳室内出血を合併している患者[出血を助長する可能性がある。]

  2. 2.2重篤な意識障害を伴う大梗塞の患者、脳塞栓症の患者[出血性脳梗塞が発現しやすい。]

  3. 2.3本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • クモ膜下出血術後の脳血管攣縮およびこれに伴う脳虚血症状の改善

  • 脳血栓症(急性期)に伴う運動障害の改善

用法・用量

  • 〈クモ膜下出血術後の脳血管攣縮およびこれに伴う脳虚血症状の改善〉

通常成人に、オザグレルナトリウムとして1日量80mgを適当量の電解質液または糖液で希釈し、24時間かけて静脈内に持続投与する。投与はクモ膜下出血術後早期に開始し、2週間持続投与することが望ましい。なお、年齢、症状により適宜増減する。

  • 〈脳血栓症(急性期)に伴う運動障害の改善〉

通常成人に、オザグレルナトリウムとして1回量80mgを適当量の電解質液または糖液で希釈し、2時間かけて1日朝夕2回の持続静注を約2週間行う。なお、年齢、症状により適宜増減する。

使用上の注意

本剤の投与により出血性脳梗塞、硬膜外出血、脳内出血を助長する可能性があるので、救急処置のとれる準備を行い投与すること。また、臨床症状及びコンピュータ断層撮影による観察を十分に行い、出血が認められた場合には直ちに投与を中止し適切な処置を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1脳塞栓症のおそれのある患者:心房細動、心筋梗塞、心臓弁膜疾患、感染性心内膜炎及び瞬時完成型の神経症状を呈する患者

脳塞栓症の患者は出血性脳梗塞が発現しやすいため、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。

  1. 9.1.2出血している患者:消化管出血、皮下出血等

出血を助長する可能性がある。

  1. 9.1.3出血の可能性のある患者:脳出血の既往歴のある患者、重症高血圧患者、重症糖尿病患者、血小板の減少している患者等

出血を助長する可能性がある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

一般に生理機能が低下している。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
抗血小板剤
• チクロピジン
• アスピリン等血栓溶解剤
• ウロキナーゼ
• アルテプラーゼ等抗凝血剤
• ヘパリン
• ワルファリン
• アルガトロバン等
これらの薬剤と併用することにより出血傾向の増強をきたすおそれがある。
観察を十分に行い、減量するなど用量を調節すること。
本剤は血小板凝集能を抑制するため、類似の作用を持つ薬剤を併用することにより作用を増強する可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
AST・ALT 頻度不明
BUN 頻度不明
CK上昇 頻度不明
CRP上昇 頻度不明
LDH 頻度不明
アルカリホスファターゼ 頻度不明
クレアチニン上昇 頻度不明
ビリルビンの上昇等 頻度不明
ほてり 頻度不明
上室性期外収縮 頻度不明
下痢 頻度不明
喘息(様)発作 頻度不明
嘔吐 頻度不明
嘔気 頻度不明
悪寒・戦慄 頻度不明
注射部の発赤・腫脹・疼痛 頻度不明
瘙痒 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
紅斑 頻度不明
胸内苦悶感 頻度不明
膨満感 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
血圧下降 頻度不明
貧血 頻度不明
関節炎 頻度不明
頭痛 頻度不明
食欲不振 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

オザグレルナトリウムはトロンボキサン合成酵素を選択的に阻害してトロンボキサンA2の産生を抑制し、プロスタサイクリンの産生を促進して、両者のバランス異常を改善するとともに血小板凝集抑制作用を示す。さらに、脳血管攣縮及び脳血流量の低下を抑制し、脳の微小循環障害やエネルギー代謝異常を改善して、クモ膜下出血術後の脳血管攣縮およびこれに伴う脳虚血症状を改善すること並びに脳血栓症急性期に伴う運動障害を改善する。5)

18.2 トロンボキサンA2(TXA2)、プロスタサイクリン(PGI2)の産生に対する作用

健康成人に静脈内持続投与(1μg/kg/分、3時間)すると、TXA2の産生が著明に抑制され、PGI2の産生促進傾向が認められ、脳血栓症患者に静脈内持続投与(80mg、2時間)すると、TXA2の産生が著明に抑制され、PGI2の産生促進が認められる。また、ラット中大脳動脈閉塞・再開通モデルに閉塞後静脈内持続注入(100μg/kg/分)すると、再開通後の血漿中PGI2/TXA2濃度比の低下を改善する。1),2),6)

18.3 アラキドン酸代謝酵素に対する作用

ウサギ及びヒト血小板のTXA2合成酵素に対し強い阻害作用を示す(in vitro)。一方、シクロオキシゲナーゼ、PGI2合成酵素、PGE2イソメラーゼ及び12-リポキシゲナーゼに対しては影響を及ぼさない(in vitro)。7),8)

18.4 血小板凝集に対する作用

ウサギ多血小板血漿におけるアラキドン酸及びコラーゲンによる凝集を10-5~10-4Mで濃度依存的に抑制し、また、ヒト多血小板血漿におけるアラキドン酸、コラーゲン及びADPによる凝集並びに血小板からのセロトニン遊離を抑制する(in vitro)。9)

18.5 サイクリックAMP産生に対する作用

10-4Mを添加したウサギ多血小板血漿をアラキドン酸で刺激すると、血小板中サイクリックAMPが増加する(in vitro)。9)

18.6 脳血管攣縮及び脳血流量に対する作用

脳血栓症患者に静脈内投与すると、白質脳血流量が増加する。また、自家血を大槽内に注入したイヌのクモ膜下出血モデルに静脈内持続投与又は大槽内に直接注入すると、脳底動脈の攣縮及び脳血流量の低下を著明に抑制し、高血圧自然発症ラットの両側総頸動脈閉塞・再開通モデルに閉塞前より静脈内持続注入(100μg/kg/分)すると、局所脳血流量の低下を抑制する。10),11),12),13) ネコ脳軟膜血管内皮傷害モデルに静脈内投与(10mg/kg)すると、脳軟膜動脈を拡張する。14)

18.7 血栓形成に対する作用

ネコ脳軟膜血管内皮傷害モデルに静脈内投与(10mg/kg)すると、血栓形成を抑制する。14)

18.8 脳梗塞形成に対する作用

アラキドン酸を持続注入したウサギの脳梗塞モデルに静脈内へ前処置(0.3、1mg/kg)すると、脳梗塞巣の形成を著明に抑制する。また、ラット中大脳動脈閉塞・再開通モデルに閉塞後静脈内持続注入(100μg/kg/分)すると、脳梗塞巣の形成を抑制する。6),7)

18.9 脳エネルギー代謝に対する作用

高血圧自然発症ラットの両側総頸動脈閉塞・再開通モデルに閉塞前より静脈内持続注入(100μg/kg/分)すると、局所脳ブドウ糖代謝の低下を抑制する。また、閉塞前に静脈内投与(5、30mg/kg)すると、脳内ATPの減少及び乳酸の増加を抑制する。13),15)

18.10 運動機能障害に対する作用

ラット中大脳動脈閉塞・再開通モデルに閉塞後静脈内持続注入(100μg/kg/分)すると、運動機能障害を改善する。6)

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1健康成人

健康成人にオザグレルナトリウムを1又は15μg/kg/分注1)(それぞれ8例及び4例)で3時間静脈内持続投与した結果、血漿中濃度はそれぞれ2.1及び3.0時間で最高となり、その濃度は97.0及び1,657.3ng/mLであった。投与中止後の半減期は0.79及び0.66時間で、3時間後には6.7及び52.6ng/mLまで低下した。1)

投与量
(μg/kg/分)
Tmax
(hr)
Cmax
(ng/mL)
AUC
(ng・hr/mL)
T1/2
(hr)
1 2.07±0.79 97.0±22.2 281.0±58.5 0.79±0.56
15 3.00±0.00 1657.3±274.4 4659.2±867.2 0.66±0.04

平均±標準偏差

  1. 16.1.2脳血栓症患者

脳血栓症患者5例に80mgを2時間かけて(体重換算13μg/kg/分)静脈内持続投与した結果、投与終了時の血漿中濃度は1,000ng/mLであった。2)

16.5 排泄

健康成人に1又は15μg/kg/分注1)(それぞれ8例及び4例)で3時間静脈内持続投与した結果、オザグレルナトリウムはアシル鎖のα位のオレフィンの還元反応及びβ酸化により代謝され、投与終了後24時間までにほとんどが尿中に排泄された。1)

注1)本剤の承認用量は、クモ膜下出血術後の脳血管攣縮およびこれに伴う脳虚血症状に対しては1日量80mg、脳血栓症に対しては1回量80mgである。