Clinical snapshot

オクトレオチド酢酸塩皮下注50μg「サンド」

オクトレオチド酢酸塩注射液

添付文書改訂 2020年08月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 下記疾患に伴う諸症状の改善

消化管ホルモン産生腫瘍(VIP産生腫瘍、カルチノイド症候群の特徴を示すカルチノイド腫瘍、ガストリン産生腫瘍)

  • 下記疾患における成長ホルモン、ソマトメジン-C分泌過剰状態及び諸症状の改善

先端巨大症・下垂体性巨人症(外科的処置、他剤による治療で効果が不十分な場合又は施行が困難な場合)

  • 進行・再発癌患者の緩和医療における消化管閉塞に伴う消化器症状の改善

  • *先天性高インスリン血症に伴う低血糖(他剤による治療で効果が不十分な場合)

用法・用量

  • 〈消化管ホルモン産生腫瘍、先端巨大症・下垂体性巨人症〉

通常、成人にはオクトレオチドとして1日量100又は150μgより投与をはじめ、効果が不十分な場合は1日量300μgまで漸増し、2~3回に分けて皮下投与する。なお、症状により適宜増減する。

  • 〈進行・再発癌患者の緩和医療における消化管閉塞に伴う消化器症状〉

通常、成人にはオクトレオチドとして1日量300μgを24時間持続皮下投与する。なお、症状により適宜増減する。

  • 〈先天性高インスリン血症に伴う低血糖〉*通常、オクトレオチドとして1日量5μg/kgを、3~4回に分けて皮下投与又は24時間持続皮下投与する。なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、最大投与量は1日量25μg/kgまでとする。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1本剤の投与中はインスリン、グルカゴン及び成長ホルモン等互いに拮抗的に調節作用をもつホルモン間のバランスの変化による一過性の低又は高血糖を伴うことがあるので、投与開始時及び低又は高血糖のために投与量を変更する場合は患者を十分に観察すること。

  2. 8.2*胆石の形成又は胆石症の悪化(急性胆嚢炎、胆管炎、膵炎)が報告されているので、本剤の投与前及び投与中は、定期的に(6~12ヵ月毎に)超音波・X線による胆嚢及び胆管検査を受けることが望ましい。

  3. 8.3*自己投与に際しては、以下の点に注意すること。

  • *自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施した後、本剤投与による危険性と対処法について患者及び介護者が理解し、自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導の下で実施すること。

  • *自己投与の適用後、感染症等の本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させ、医師の管理下で慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。また、本剤投与後に副作用の発現が疑われる場合は、医療施設へ連絡するよう患者及び介護者に指導を行うこと。

  • *使用済みの注射器を再使用しないように患者及び介護者に注意を促し、すべての器具の安全な廃棄方法に関する指導を行うと同時に、使用済みの注射器を廃棄する容器を提供すること。

  • 〈先端巨大症・下垂体性巨人症〉

  1. 8.4成長ホルモン産生下垂体腺腫は進展することがあり、これに伴い視野狭窄などの重篤な症状を生じることがあるので患者の状態を十分観察すること。腫瘍の進展が認められた場合は、他の治療法への切り替え等適切な処置を行うこと。

  2. 8.5成長ホルモン及びソマトメジン-Cを定期的に測定することが望ましい。

  • 〈進行・再発癌患者の緩和医療における消化管閉塞に伴う消化器症状〉
  1. 8.6増量投与を行う場合は、低体重、悪液質等の患者の状態に注意し、慎重な監視のもとで投与すること。
  • 〈先天性高インスリン血症に伴う低血糖〉
  1. 8.7*本剤を長期的に投与する場合は、血糖、尿糖及び尿ケトン値を定期的に検査すること。

  2. 8.8*本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書: オクトレオチド酢酸塩(先天性高インスリン血症に伴う低血糖)」1) 等)を熟読すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

  • 〈消化管ホルモン産生腫瘍、先端巨大症・下垂体性巨人症、進行・再発癌患者の緩和医療における消化管閉塞に伴う消化器症状〉
  1. 9.7.1小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
  • 〈先天性高インスリン血症に伴う低血糖〉
  1. 9.7.2*新生児及び乳児において、壊死性腸炎が報告されている。

  2. 9.7.3*小児に投与する場合は定期的に身長、体重を測定すること。成長遅延が報告されている。

9.8 高齢者

減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
シクロスポリン シクロスポリンの血中濃度が低下することがある。 本剤がシクロスポリンの吸収を阻害するため。
インスリン製剤 血糖降下作用の増強による低血糖症状、又は減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は、血糖値その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。 インスリン、グルカゴン及び成長ホルモン等互いに拮抗的に調節作用をもつホルモン間のバランスが変化することがある。
ブロモクリプチン ブロモクリプチンのAUCが上昇したとの報告がある。 機序は不明である。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
頻度不明
5%以上
5%以上
頻度不明
頻度不明
5%以上
1%未満
頻度不明
5%以上
頻度不明
頻度不明
頻度不明
5%以上
頻度不明
頻度不明
頻度不明
5%以上
1%未満
5%以上
ALP上昇 頻度不明
ALT上昇 頻度不明
AST上昇 頻度不明
LDH上昇 1%未満
γ-GTP上昇 頻度不明
けん怠感 1%未満
ビリルビン上昇 1%未満
めまい 1%未満
下痢 頻度不明
低血糖注1) 1%未満
便秘 1%未満
刺激感 頻度不明
刺痛 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
嘔吐 頻度不明
嘔気 5%以上
灼熱感 頻度不明
甲状腺機能低下症 頻度不明
甲状腺機能障害(甲状腺刺激ホルモン(TSH)減少 頻度不明
疲労 1%未満
疼痛 5%以上
発赤 1%未満
発赤 1%未満
白色便 1%未満
皮膚そう痒感 1%未満
硬結 1%未満
総サイロキシン(T4)減少及び遊離T4減少等) 頻度不明
耐糖能異常注1) 1%未満
肝機能異常 頻度不明
胃部不快感 頻度不明
胆嚢炎 頻度不明
胆石注2) 頻度不明
脱毛 1%未満
脱水 頻度不明
腫脹 頻度不明
腹痛 1%未満
腹部膨満 1%未満
膵炎 頻度不明
頭痛 1%未満
食欲不振 1%未満
高血糖注1) 1%未満
鼓腸放屁 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

  1. 18.1.1本剤はソマトスタチン受容体サブタイプ1~5(SSTR1~5)のうちSSTR2に特に強い親和性を示し、SSTR2選択的ソマトスタチンアナログであると考えられた(in vitro)。

  2. 18.1.2本剤は、細胞を用いた検討において、カルシウムイオン流入の阻害作用、cAMP産生の抑制作用を示した(in vitro)。

18.2 薬理作用

  • 〈消化管ホルモン産生腫瘍〉
  1. 18.2.1本剤はVIP産生腫瘍患者において血中VIP濃度を低下させる20),21) 。

  2. 18.2.2本剤はカルチノイド症候群の患者において、セロトニンの主要代謝物である5-HIAAの尿中排泄量を低下させる22) 。

  3. 18.2.3本剤はガストリン産生腫瘍患者において血中ガストリン濃度を低下させる23) 。

  • 〈先端巨大症・下垂体性巨人症〉
  1. 18.2.4本剤は先端巨大症患者の下垂体腺腫細胞からのGH放出を抑制する(in vivo14) 、in vitro24) )。
  • 〈進行・再発癌患者の緩和医療における消化管閉塞に伴う消化器症状〉
  1. 18.2.5本剤はイヌ及びラットにおいて、消化液分泌を抑制することが報告されている25),26),27),28),29) 。

  2. 18.2.6本剤は空腸からの腸液の吸収(ラット)及び回腸からの水・電解質の吸収(ウサギ)を促進することが報告されている29),30),31) 。

  • 〈先天性高インスリン血症に伴う低血糖〉
  1. 18.2.7本剤はラットにおいてグルコース誘導性インスリン分泌を抑制することが報告されている(in vivo32) )。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1健康成人

国内健康成人にオクトレオチド酢酸塩皮下注製剤50及び100μgを単回皮下投与し、ラジオイムノアッセイ法により血漿中濃度を測定した。いずれの投与量においても投与後1時間までに最高濃度に達し、消失半減期t1/2は約1.8時間であった。最高薬物濃度Cmaxは2.44ng/mL及び4.80ng/mLであり、投与後8時間までの薬物濃度-時間曲線下面積AUC0-8は6.57ng・h/mL及び12.4ng・h/mLで、Cmax、AUC0-8共に投与量にほぼ比例して増加した。 なお、海外健康成人を対象とした単回静脈内投与(25、50、100、200μg)試験及び単回皮下投与(50、100、200、400μg)試験の成績から皮下投与時のバイオアベイラビリティはほぼ100%と推定された。また海外健康成人に50あるいは200μgを1日3回5日間反復皮下投与した場合、初回投与時と比較し反復投与後で累積は認められなかった4),5),6),7) 。

国内健康成人にオクトレオチド酢酸塩皮下注製剤50μg及び100μgを単回皮下投与した後の血漿中濃度推移(平均値±標準偏差、n=16)

投与量(μg) 50 100
Cmax
(ng/mL)
2.44±0.63 4.80±0.86
Tmax
(h)
0.57±0.24 0.68±0.19
t1/2
(h)
1.79±0.19 1.77±0.49
AUC※
(ng・h/mL)
6.57±1.52
[6.78±1.39]
12.4±1.3
[13.1±1.4]

(平均値±標準偏差、n=16) ※:AUC0-8[AUC0-∞]

  1. 16.1.2先端巨大症・下垂体性巨人症患者

国内においてオクトレオチド酢酸塩皮下注製剤を反復投与されている先端巨大症・下垂体性巨人症患者に、100μgを皮下投与し血清中濃度を測定した場合、Cmaxは3.82ng/mL、AUC0-8は10.9ng・h/mL、t1/2は2.37時間であった8) 。

  1. 16.1.3消化管閉塞を伴う進行・再発癌患者

国内の消化管閉塞を伴う進行・再発癌患者に300μg/日の注入速度で6日間持続皮下投与し投与開始から2~6日目までの血漿中濃度を測定した場合、平均薬物濃度は2.84ng/mLで、1日あたりのAUCは71.8ng・h/mLであった9) 。

16.3 分布

海外健康成人に単回静脈内投与した場合、分布容積は約0.27L/kgであった6) 。血漿蛋白結合率は約65%で、血球にはほとんど結合しない10) 。

16.5 排泄

海外健康成人に単回静脈内投与した場合、全身クリアランスは160mL/分であった6) 。海外健康成人にオクトレオチド酢酸塩皮下注製剤50μgを単回皮下投与した場合、投与後8時間までの未変化体の累積尿中排泄率は約32%であった11) 。 胆管挿管ラットへの静脈内及び皮下投与では、約20%が尿中に、約75%が胆汁中に主に未変化体として排泄される12) 。