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エンドキサン錠50mg

シクロホスファミド水和物

添付文書改訂 2022年02月01日

【警告】

  • 〈効能共通〉
  1. 1.1本剤とペントスタチンを併用しないこと。外国においてシクロホスファミドとペントスタチンとの併用により、心毒性が発現し死亡した症例が報告されている1)。

  2. 1.2本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。適応患者の選択にあたっては、各併用薬剤の電子添文を参照して十分注意すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

  • 〈全身性ALアミロイドーシス〉
  1. 1.3*緊急時に十分対応できる医療施設において、本剤についての十分な知識と全身性ALアミロイドーシス治療の経験を持つ医師のもとで使用すること。
  • 〈治療抵抗性のリウマチ性疾患〉
  1. 1.4緊急時に十分対応できる医療施設において、本剤についての十分な知識と治療抵抗性のリウマチ性疾患治療の経験を持つ医師のもとで行うこと。
  • 〈ネフローゼ症候群〉
  1. 1.5緊急時に十分対応できる医療施設において、本剤についての十分な知識とネフローゼ症候群治療の経験を持つ医師のもとで行うこと。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1ペントスタチンを投与中の患者1)

  2. 2.2本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者

  3. 2.3重症感染症を合併している患者

効能・効果

  • ○ 下記疾患の自覚的並びに他覚的症状の緩解

多発性骨髄腫、悪性リンパ腫(ホジキン病、リンパ肉腫、細網肉腫)、乳癌 急性白血病、真性多血症、肺癌、神経腫瘍(神経芽腫、網膜芽腫)、骨腫瘍 ただし、下記の疾患については、他の抗腫瘍剤と併用することが必要である。 慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、咽頭癌、胃癌、膵癌、肝癌、結腸癌、子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌、睾丸腫瘍、絨毛性疾患(絨毛癌、破壊胞状奇胎、胞状奇胎)、横紋筋肉腫、悪性黒色腫

  • ○ 細胞移植に伴う免疫反応の抑制**

  • *○ 全身性ALアミロイドーシス

  • ○ 治療抵抗性の下記リウマチ性疾患

全身性エリテマトーデス、全身性血管炎(顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、結節性多発動脈炎、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、高安動脈炎等)、多発性筋炎/皮膚筋炎、強皮症、混合性結合組織病、及び血管炎を伴う難治性リウマチ性疾患

  • ○ ネフローゼ症候群(副腎皮質ホルモン剤による適切な治療を行っても十分な効果がみられない場合に限る。)

用法・用量

  • 〈自覚的並びに他覚的症状の緩解〉

  • (1)単独で使用する場合

通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日100~200mgを経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。

  • (2)他の抗腫瘍剤と併用する場合

単独で使用する場合に準じ、適宜減量する。

  • 〈細胞移植に伴う免疫反応の抑制〉**

再生医療等製品の用法及び用量又は使用方法に基づき使用する。

  • *〈全身性ALアミロイドーシス〉

他の薬剤との併用において、通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として週1回300mg/m2(体表面積)を経口投与する。投与量の上限は、1回量として500mgとする。

  • 〈治療抵抗性のリウマチ性疾患〉

通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日50~100mgを経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。

  • 〈ネフローゼ症候群〉

通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日50~100mgを8~12週間経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。

通常、小児にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日2~3mg/kgを8~12週間経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減するが、通常1日100mgまでとする。原則として、総投与量は300mg/kgまでとする。

使用上の注意

  1. 8.1骨髄抑制、出血性膀胱炎等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、尿検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。出血性膀胱炎の防止のため尿量の増加を図ること。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと。

  2. 8.2感染症、出血傾向の発現又は増悪に十分注意すること。

  3. 8.3二次性悪性腫瘍(急性白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、膀胱腫瘍、腎盂・尿管腫瘍等)が発生したとの報告があるため、本剤の投与終了後も長期間経過を観察するなど十分注意すること。なお、シクロホスファミドの総投与量の増加により、発癌のリスクが増加するとの報告がある5)。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1骨髄抑制のある患者

骨髄抑制が増強するおそれがある。

  1. 9.1.2感染症を合併している患者

骨髄抑制作用により、感染症が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.3水痘患者

致命的な全身障害があらわれることがある。

9.2 腎機能障害患者

腎障害が増悪するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

肝障害が増悪するおそれがある。

9.4 生殖能を有する者

  1. 9.4.1小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。なお、シクロホスファミドの総投与量の増加により、男女とも性腺障害のリスクが増加するとの報告がある5)。

  2. 9.4.2妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び本剤投与終了後一定期間は適切な避妊をするよう指導すること。

  3. 9.4.3パートナーが妊娠する可能性のある男性には、本剤投与中及び本剤投与終了後一定期間は適切な避妊をするよう指導すること。本剤5.1mg/kgを投与した雄ラットを、本剤を投与しない雌ラットと交配させたところ、胎児の死亡増加及び奇形を認めたとの報告がある6)。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。妊娠中に本剤を使用するか、本剤を使用中に妊娠した場合は、胎児に異常が生じる可能性があることを患者に説明すること。催奇形性を疑う症例報告があり、動物試験では、本剤2.5mg/kgを投与した雌ラットで胚・胎児の死亡及び催奇形作用が報告されている7)。

9.6 授乳婦

  1. 9.6.1授乳を避けさせること。乳汁中に分泌されることが報告されている。

  2. 9.6.2*授乳中の女性にシクロホスファミドを静脈内投与したときに、新生児、乳児に好中球減少症、血小板減少症、ヘモグロビン減少があらわれたとの報告がある8),9)。

9.7 小児等

  1. 9.7.1副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること。

  2. 9.7.2小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

用量並びに投与間隔に留意すること。生理機能が低下していることが多く、副作用があらわれやすい。

相互作用

  • 本剤は、主に肝代謝酵素CYP2B6で代謝され、活性化される。また、CYP2C8、2C9、3A4、2A6も本剤の代謝に関与していることが報告されている。

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• ペントスタチン• コホリン 骨髄移植の患者で、本剤投与中にペントスタチンを単回投与したところ、錯乱、呼吸困難、低血圧、肺水腫等が認められ、心毒性により死亡したとの報告がある。また、動物試験(マウス)においてペントスタチン(臨床用量の10倍相当量)とシクロホスファミド(LD50前後)又はその類縁薬であるイホスファミド(LD50前後)を同時期に単回投与したとき、それぞれを単独投与したときに比べて死亡率の増加が認められた1)。 明らかな機序は不明である。本剤は用量依存性の心毒性があり、ペントスタチンは心筋細胞に影響を及ぼすATPの代謝を阻害する。両剤の併用により心毒性が増強すると考えられている1)。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• 他の抗悪性腫瘍剤
• アロプリノール
• 放射線照射
骨髄抑制等の副作用が増強することがあるので、異常が認められた場合には、減量、休薬等の適切な処置を行うこと。 共に骨髄抑制作用を有する。
• フェノバルビタール 本剤の作用が増強することがある。 フェノバルビタールの酵素誘導により本剤の活性型への変換が促進される。
• 副腎皮質ホルモン
• クロラムフェニコール
本剤の作用が減弱することがある。 副腎皮質ホルモン、クロラムフェニコールは肝における本剤の代謝を競合的に阻害し、活性化を抑制する。
• インスリン 血糖降下作用が増強されることがある。 本剤がインスリン抗体の生成を阻害するため、遊離のインスリン量が多くなり、血糖降下作用が増強される。
• オキシトシン オキシトシンの作用が増強されることがある。 機序は不明である。
• バソプレシン バソプレシンの作用が減弱されることがある。 本剤がバソプレシンの排泄を増加させる。
• アントラサイクリン系薬剤• ドキソルビシン塩酸塩、エピルビシン塩酸塩等 心筋障害が増強されるおそれがある。また、これらの薬剤との併用療法終了後に遅発性心毒性が発現したとの報告があるため、治療終了後も長期間経過を観察するなど十分注意すること。 明らかな機序は不明であるが、共に心筋障害を有する。
• 脱分極性筋弛緩剤• スキサメトニウム等 脱分極性筋弛緩剤の作用が増強され、遷延性無呼吸を起こすおそれがある。 本剤がコリンエステラーゼによる脱分極性筋弛緩剤の分解を阻害すると考えられている。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
CK上昇 1〜5%未満
おくび 1〜5%未満
コリンエステラーゼ値の低下等 1〜5%未満
下痢等 1〜5%未満
不眠 1〜5%未満
乏尿による尿浸透圧の上昇 5%以上
低ナトリウム血症 5%以上
低血圧等 1〜5%未満
便秘 1〜5%未満
倦怠感 5%以上
副腎皮質機能不全 1〜5%未満
創傷の治癒遅延 1〜5%未満
卵巣機能不全 1〜5%未満
口渇 1〜5%未満
味覚異常 1〜5%未満
心悸亢進 1〜5%未満
心電図異常 1〜5%未満
悪心・嘔吐 5%以上
浮腫等 5%以上
潰瘍性口内炎 1〜5%未満
無月経等 1〜5%未満
無精子症 1〜5%未満
爪の変形・変色等 5%以上
甲状腺機能亢進等 1〜5%未満
発熱 1〜5%未満
発疹等 5%以上
皮膚炎 5%以上
眩暈 1〜5%未満
肝障害 1〜5%未満
肺水腫等 1〜5%未満
胸やけ 1〜5%未満
脱毛 5%以上
腹痛 1〜5%未満
腹部膨満感 1〜5%未満
色素沈着 5%以上
蛋白尿 5%以上
運動失調等 1%未満
頭痛 1〜5%未満
食欲不振 1〜5%未満
高血糖 1〜5%未満
黄疸 1〜5%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

シクロホスファミドは生体内で活性化された後、腫瘍細胞のDNA合成を阻害し、抗腫瘍作用をあらわすことが認められている。

  1. 18.1.1マウスEhrlich癌(腹水型)に75mg/kgを腹腔内投与し、腫瘍細胞の核酸合成に及ぼす影響をみたところ、DNA及びRNAの合成を共に抑制したが、DNAの合成をより著明に抑制した16)。

  2. 18.1.2マウスEhrlich癌(腹水型)に30、60、120mg/kgを腹腔内に投与した場合、いずれの投与量においても、腫瘍細胞分裂周期のG2期(分裂前期)に作用し、M期(分裂期)への移行を遅らせ、その結果として細胞の増殖を抑制した。 なお、120mg/kg投与群においてはS期(DNA合成期)にも作用した17)。

18.2 抗腫瘍効果

  1. 18.2.1動物移植性腫瘍に対する効果

マウスのEhrlich癌、Bashford癌、ラットの吉田肉腫、Walker癌、Jensen肉腫等に対して明らかな腫瘍増殖抑制効果を示し、マウスL1210白血病、ラット腹水肝癌AH13等のほか多くの動物移植性腫瘍に対して延命効果を認めている18),19),20),21)(in vivo)。

  1. 18.2.2細胞学的効果

ラット吉田肉腫の試験において、短時間内に分裂像の減少、異常分裂像がみられ、細胞の膨化、核の崩壊、細胞質の融解を認めた22)(in vitro)。

薬物動態

16.3 分布

シクロホスファミドの血漿蛋白結合率は12~24%であった10)(外国人データ)。

16.4 代謝

  1. 16.4.1シクロホスファミドは、主に肝代謝酵素CYP2B6で代謝され、活性化される。また、CYP2C8、2C9、3A4、2A6もシクロホスファミドの代謝に関与していることが報告されている11)(in vitro)

  2. 16.4.2シクロホスファミドの代謝物は4-ヒドロキシシクロホスファミド注2)、アルドホスファミド注2)、ホスファミドマスタード注2)、アクロレイン、4-ケトシクロホスファミド、カルボキシホスファミドである10)。

注2)活性代謝物

16.5 排泄

  1. 16.5.1各種の悪性腫瘍患者26例に、14C-標識シクロホスファミド6.8~80mg/kgを静脈内投与注3)した場合、尿中には投与量の約62%が2日以内に、約68%が4日以内に排泄された。また、糞便中には投与量の約1.8%が4日以内に排泄され、呼気中には投与量の約0.9~1.4%が4日以内に排泄された12)(外国人データ)。

注3)本剤の成人に対する承認用法・用量は1日最高200mg(全身性ALアミロイドーシスでは週1回最高500mg)を経口投与である。

  1. 16.5.2大部分は不活性代謝物として尿中に排泄され10)、活性代謝物の尿中排泄率は12時間で投与量の約1%13)、未変化体の尿中排泄率は24時間で投与量の約10%であった14)(外国人データ)。