Clinical snapshot

エボルトラ点滴静注20mg

クロファラビン

添付文書改訂 2025年02月01日

【警告】

本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

再発又は難治性の急性リンパ性白血病

用法・用量

通常、クロファラビンとして52mg/m2(体表面積)を1日1回2時間以上かけて点滴静注する。これを5日間連日投与し、少なくとも9日間休薬する。これを1クールとして繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

使用上の注意

  1. 8.1感染症等の重篤な副作用が増悪又はあらわれることがあるので、頻回に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には、減量、休薬等の適切な処置を行うとともにカンジダ等の真菌、サイトメガロウイルス等のウイルス、ニューモシスティス等による重症日和見感染に注意すること。

  2. 8.2ALT上昇、AST上昇、ビリルビン上昇等を伴う肝機能障害、肝不全があらわれることがあるので、本剤による治療中は、定期的に肝機能検査を実施し、患者の状態を十分に観察すること。

  3. 8.3腎機能障害又は腎不全があらわれることがあるので、本剤による治療中は、定期的に腎機能検査を実施し、患者の状態を十分に観察すること。

  4. 8.4低カリウム血症、低ナトリウム血症等の電解質異常の発現が報告されているので、本剤による治療中は、定期的に血清中電解質検査を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1骨髄抑制のある患者

骨髄抑制が増強されるおそれがある。

  1. 9.1.2感染症を合併している患者

骨髄抑制により感染症が増悪するおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。本剤の血中濃度が上昇することが報告されている。

9.3 肝機能障害患者

肝機能障害が悪化するおそれがある。

9.4 生殖能を有する者

  1. 9.4.1生殖可能な年齢の患者に投与する場合には、性腺に対する影響を考慮すること。

  2. 9.4.2*妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後6カ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

  3. 9.4.3*男性には、本剤投与中及び最終投与後3カ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠中に本剤を使用するか、本剤を使用中の患者が妊娠した場合は、胎児に異常が生じる可能性があることを患者に十分説明すること。動物実験(ラット、ウサギ)で催奇形性及び胚致死作用が認められている1) 。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。クロファラビンがヒトの乳汁中に移行するかどうかは不明である。

9.7 小児等

低出生体重児、新生児、乳児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

相互作用

記載なし

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
カテーテル関連感染 頻度不明
そう痒性皮疹 1〜5%未満
そう痒症 5%以上
上腹部痛 1%未満
下痢(22.7%) 5%以上
不安 5%以上
低カリウム血症 1〜5%未満
低ナトリウム血症 1〜5%未満
低血圧 5%以上
体重減少 1〜5%未満
傾眠 頻度不明
全身性浮腫 1%未満
全身性皮疹 1%未満
全身紅斑 1%未満
単純ヘルペス 1〜5%未満
口内炎 1〜5%未満
口腔カンジダ症 1〜5%未満
口腔内出血 1〜5%未満
口腔内潰瘍形成 頻度不明
呼吸困難 1〜5%未満
呼吸窮迫 1%未満
咳嗽 1〜5%未満
嗜眠 1〜5%未満
嘔吐(60.6%) 5%以上
四肢痛 5%以上
多汗症 1〜5%未満
多臓器不全 1%未満
帯状疱疹 1%未満
悪寒 5%以上
悪心(51.5%) 5%以上
手掌・足底発赤知覚不全症候群 5%以上
挫傷 1%未満
振戦 1%未満
斑状丘疹性発疹 頻度不明
易刺激性 1〜5%未満
末梢性ニューロパチー 1〜5%未満
末梢性浮腫 1〜5%未満
歯肉出血 1%未満
浮動性めまい 1〜5%未満
浮腫 1〜5%未満
潮紅 5%以上
激越 1〜5%未満
点状出血 1〜5%未満
無力症 1〜5%未満
熱感 1%未満
異常感 1%未満
疲労 5%以上
疼痛 1%未満
発熱(28.8%) 5%以上
発疹(22.7%) 5%以上
皮膚乾燥 1〜5%未満
皮膚剥脱 1%未満
皮膚色素過剰 1%未満
筋肉痛 1〜5%未満
粘膜の炎症 5%以上
精神状態変化 1%未満
紅斑 1〜5%未満
紅斑性発疹 頻度不明
聴力低下 1%未満
肛門周囲痛 1〜5%未満
胃腸出血 1〜5%未満
背部痛 1〜5%未満
胸壁痛 1%未満
脱毛症 1〜5%未満
脱水 1%未満
腹痛 5%以上
膵炎 1%未満
菌血症 1〜5%未満
落ち着きのなさ 頻度不明
血尿 1%未満
血腫 1〜5%未満
過敏症 5%以上
錯感覚 頻度不明
関節痛 1〜5%未満
頚部痛 頻度不明
頭痛(31.8%) 5%以上
頻呼吸 頻度不明
頻脈 1〜5%未満
食欲減退 5%以上
骨痛 1〜5%未満
黄疸眼 頻度不明
鼻出血 1〜5%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

クロファラビンは、デオキシシチジンキナーゼ(dCK)によりクロファラビン三リン酸に変換され、DNAポリメラーゼαを阻害することで、DNAの合成を阻害する。また、クロファラビンはリボヌクレオチドレダクターゼを阻害することで、細胞内のデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)を枯渇させ、DNAの合成を阻害する15) 。 クロファラビンは、ミトコンドリアに作用し、チトクロームC及び他のアポトーシス誘導因子を介して、アポトーシスを誘導する16) 。

18.2 抗腫瘍作用

クロファラビンは、ヒト急性リンパ性白血病細胞株を皮下に移植したマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した17) 。

薬物動態

16.1 血中濃度

日本人の再発又は難治性の急性リンパ性白血病患者(3〜16歳)に本剤30又は52mg/m2を1日1回2時間以上かけて点滴静注、5日間連日投与したとき、投与1日目及び5日目の血漿中クロファラビンの薬物動態パラメータ及び濃度推移は以下のとおりであった。Cmax及びAUCは投与量比を上回って増加する傾向を示した。また、投与1日目及び5日目の濃度推移に差は認められなかった。 なお、本剤の承認された用量は52mg/m2である6) 。

投与量 パラメータ 投与1日目 投与5日目
30mg/m2 例数 3 2
Cmax(ng/mL) 221.3±14.74 236.5±79.90
Tmax(h) 1.822±0.019 1.925±0.012
AUC0-t(ng*h/mL)注1) 911.2±273.6
(AUC0-24h)
645.0±255.9
(AUC0-10h)
CL(L/h/m2) 33.16±8.49 46.08±16.70
T1/2(h) 5.823±2.476 2.459±0.056
52mg/m2 例数 4 4
Cmax(ng/mL) 683.5±120.4 598.8±180.1
Tmax(h) 1.917±0.113 1.975±0.087
AUC0-t(ng*h/mL)注1) 2358.2±436.8
(AUC0-24h)
1462.8±251.5
(AUC0-10h)
CL(L/h/m2) 22.42±4.73 33.92±5.27
T1/2(h) 3.933±0.592 1.977±0.225

注1)最終採血時点は、投与1日目では投与24時間後、投与5日目では投与7.5~10時間後とした。

16.3 分布

クロファラビンのヒト血漿蛋白結合率は20、200及び2000ng/mLで、それぞれ11.8、20.2及び21.1%であった7) (in vitro試験)。 クロファラビンのヒト血球/血漿分配係数は20、200及び2000ng/mLで、1.99〜2.37であった8) (in vitro試験)。

16.4 代謝

日本人の再発又は難治性の急性リンパ性白血病患者(3〜16歳)に本剤52mg/m2を1日1回2時間以上かけて点滴静注、5日間連日投与したとき、血漿中において、未変化体曝露量(Cmax及びAUC)に対する代謝物6-ケトクロファラビン曝露量の相対比率は3%未満であった。 単離ヒト肝細胞又は肝ミクロソームを用いたin vitro試験において、クロファラビンはほとんど代謝されなかった9),10) 。

16.5 排泄

日本人の再発又は難治性の急性リンパ性白血病患者(3〜16歳)に本剤52mg/m2を1日1回2時間以上かけて点滴静注、5日間連日投与したとき、初回投与24時間後までに投与量の85.2%が未変化体として尿中に排泄された6) 。このとき、投与1日目の腎クリアランス(CLr)の平均値は24.48L/hと推定され、ヒトの糸球体濾過量を上回っていたことから、クロファラビンは糸球体濾過と尿細管分泌の両方の機序によって腎排泄されることが示唆された。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

腎機能障害のある患者におけるクロファラビンの薬物動態を検討するための臨床試験は実施していないが、外国人の白血病患者(2〜21歳、クレアチニンクリアランス90mL/min以上)においてクレアチニンクリアランスの低下に伴いクロファラビンの曝露量(AUC)が上昇する傾向が認められた。なお、成人のデータに基づくシミュレーションの結果、中等度の腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアランス30mL/min以上60mL/min未満)での曝露量(AUC)は、腎機能が正常な患者(クレアチニンクリアランス90mL/min以上)の約2倍に上昇すると推定された11) 。

  1. 16.6.2肝機能障害患者

肝機能障害のある患者におけるクロファラビンの薬物動態を検討するための臨床試験は実施していない。