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エピルビシン塩酸塩注射用50mg「NK」

エピルビシン塩酸塩

添付文書改訂 2024年07月01日

【警告】

本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。適応患者の選択にあたっては、各併用薬剤の電子添文を参照して十分注意すること。 また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  • 〈用法共通〉
  1. 2.1心機能異常又はその既往歴のある患者[心筋障害があらわれるおそれがある。]

  2. 2.2本剤に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者

  3. 2.3他のアントラサイクリン系薬剤等心毒性を有する薬剤による前治療が限界量(ドキソルビシン塩酸塩では総投与量が体表面積当り500mg/m2、ダウノルビシン塩酸塩では総投与量が体重当り25mg/kg等)に達している患者[うっ血性心不全があらわれるおそれがある。]

  • 〈肝癌に対する肝動脈化学塞栓療法(TACE)〉
  1. 2.4ヨード系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.5重篤な甲状腺疾患のある患者

効能・効果

  • 下記疾患の自覚的並びに他覚的症状の緩解

  • 急性白血病、悪性リンパ腫、乳癌、卵巣癌、胃癌、肝癌、尿路上皮癌(膀胱癌、腎盂・尿管腫瘍)

  • 以下の悪性腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法

  • 乳癌(手術可能例における術前、あるいは術後化学療法)

用法・用量

  • 〈急性白血病〉

エピルビシン塩酸塩として15mg(力価)/m2(体表面積)を約20mLの日局注射用水に溶解し、1日1回5~7日間連日静脈内に投与し3週間休薬する。これを1クールとし、必要に応じて2~3クール反復する。

  • 〈悪性リンパ腫〉

エピルビシン塩酸塩として40~60mg(力価)/m2(体表面積)を約20mLの日局注射用水に溶解し、1日1回静脈内に投与し3~4週休薬する。これを1クールとし、通常3~4クール反復する。

  • 〈乳癌、卵巣癌、胃癌、尿路上皮癌(膀胱癌、腎盂・尿管腫瘍)〉

エピルビシン塩酸塩として60mg(力価)/m2(体表面積)を約20mLの日局注射用水に溶解し、1日1回静脈内に投与し3~4週休薬する。これを1クールとし、通常3~4クール反復する。

  • 〈肝癌〉

エピルビシン塩酸塩として60mg(力価)/m2(体表面積)を約20mLの日局注射用水に溶解し、肝動脈内に挿入されたカテーテルより、1日1回肝動脈内に投与し3~4週休薬する。これを1クールとし、通常3~4クール反復する。

  • 〈膀胱癌(表在性膀胱癌に限る)〉

エピルビシン塩酸塩として60mg(力価)を30mLの日局生理食塩液に溶解し、1日1回3日間連日膀胱腔内に注入し4日間休薬する。これを1クールとし、通常2~4クール反復する。 注入に際しては、ネラトンカテーテルで導尿し十分に膀胱腔内を空にした後、同カテーテルよりエピルビシン塩酸塩溶液を注入し、1~2時間膀胱腔内に把持する。

なお投与量は年齢、症状、副作用により、適宜増減する。

  • 〈乳癌(手術可能例における術前、あるいは術後化学療法)に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法〉

  • シクロホスファミド水和物との併用において、標準的なエピルビシン塩酸塩の投与量及び投与方法は、エピルビシン塩酸塩として100mg(力価)/m2(体表面積)を約20mLの日局注射用水に溶解し、1日1回静脈内に投与後、20日間休薬する。これを1クールとし、通常4~6クール反復する。

  • シクロホスファミド水和物、フルオロウラシルとの併用において、標準的なエピルビシン塩酸塩の投与量及び投与方法は、エピルビシン塩酸塩として100mg(力価)/m2(体表面積)を約20mLの日局注射用水に溶解し、1日1回静脈内に投与後、20日間休薬する。これを1クールとし、通常4~6クール反復する。

  • なお、投与量は年齢、症状により適宜減量する。

  • 〈肝癌に対する肝動脈化学塞栓療法(TACE)〉

エピルビシン塩酸塩として10mg(力価)に対し、ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステルを0.5~2mLの割合で加え、肝動脈内に挿入されたカテーテルより肝動脈内に投与する。本剤の投与量は、1日60mg(力価)/m2(体表面積)とするが、患者の状態により適宜増減し、腫瘍血管に乳濁液が充満した時点で終了すること。

使用上の注意

  • 〈用法共通〉
  1. 8.1骨髄抑制、心筋障害等の重篤な副作用が起こることがあるので、適宜臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査、心機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと。

  2. 8.2アントラサイクリン系薬剤未治療例で、本剤の総投与量が900mg/m2(体表面積)を超えると、うっ血性心不全を起こすことが多くなるので注意すること。本剤の総投与量が900mg/m2以下であっても、うっ血性心不全を起こすことがある。特に、他のアントラサイクリン系薬剤等心毒性を有する薬剤による前治療歴のある患者及び心臓部あるいは縦隔に放射線療法を受けた患者では心機能検査を行い、慎重に投与すること。

  3. 8.3心筋障害等の心毒性については、本剤の投与終了後も発現することがあるので、長期にわたり観察すること。

  4. 8.4感染症・出血傾向の発現又は増悪に十分注意すること。

  • 〈肝動脈内投与〉
  1. 8.5肝内胆汁性嚢胞、胆管炎、胆管壊死、肝壊死、肝不全、胆嚢炎等の肝・胆道障害があらわれることがあるので、造影剤等により薬剤の分布領域をよく確認すること。
  • 〈肝癌に対する肝動脈化学塞栓療法(TACE)〉
  1. 8.6投与時にショック、血圧低下、徐脈等があらわれることがあるので、投与中及び投与直後は経過観察を十分に行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  • 〈用法共通〉
  1. 9.1.1骨髄抑制のある患者

副作用が強くあらわれるおそれがある。

  1. 9.1.2感染症を合併している患者

骨髄抑制により感染を増悪させるおそれがある。

  1. 9.1.3水痘患者

致命的な全身障害があらわれるおそれがある。

  1. 9.1.4他のアントラサイクリン系薬剤等心毒性を有する薬剤による前治療歴のある患者(他のアントラサイクリン系薬剤等心毒性を有する薬剤による前治療が限界量に達している患者を除く)

心筋障害があらわれるおそれがある。

  • 〈肝癌に対する肝動脈化学塞栓療法(TACE)〉
  1. 9.1.5甲状腺疾患のある患者(重篤な甲状腺疾患のある患者を除く)

本剤の乳濁液はヨード化合物を含むため、ヨード摂取量の増加により甲状腺障害を増悪させるおそれがある。

  1. 9.1.6血管造影で明らかな肝内シャントがある患者

本剤が肝内シャントを介して正常組織に流入し、血管塞栓による重篤な副作用を起こすおそれがある。

  1. 9.1.7血管造影で明らかな門脈腫瘍栓がある患者

門脈血が遮断されているため、本剤の投与により投与部位の血流が低下し、肝不全を起こすおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

副作用が強くあらわれるおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  • 〈用法共通〉
  1. 9.3.1副作用が強くあらわれるおそれがある。
  • 〈肝癌に対する肝動脈化学塞栓療法(TACE)〉
  1. 9.3.2総ビリルビン値が3mg/dL以上の患者又は重度の肝障害(Child-Pugh分類C)のある患者

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。肝不全を起こすことがある。

9.4 生殖能を有する者

  1. 9.4.1妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。

  2. 9.4.2パートナーが妊娠する可能性のある男性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。

  3. 9.4.3小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。外国で妊娠中に本剤とシクロホスファミド水和物を投与された患者の胎児において、心毒性が認められ死亡に至った例も報告されている1)。動物実験(ラット)で胎児毒性が報告されており、またアントラサイクリン系の他の抗悪性腫瘍剤では、動物実験で催奇形性が報告されている。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。

9.7 小児等

  1. 9.7.1小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

  2. 9.7.2副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること。小児での副作用として主なものは、食欲不振、白血球減少、悪心等が報告されている。

9.8 高齢者

用量に留意して患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。心毒性、骨髄抑制があらわれやすく、また本剤は主として肝臓で代謝されるが、肝機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続するおそれがある。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
潜在的に心毒性を有する抗悪性腫瘍剤
• アントラサイクリン系薬剤等
これらの薬剤が過去に投与されている場合、あるいは併用療法を行う場合は、心筋障害が増強されるおそれがあるので、患者の状態を観察しながら、減量するなど用量に注意すること。 心筋に対する蓄積毒性が増強される。
投与前の心臓部あるいは縦隔への放射線照射 心筋障害が増強するおそれがあるので、患者の状態を観察しながら、減量するなど用量に注意すること。 心筋に対する蓄積毒性が増強される。
抗悪性腫瘍剤 骨髄抑制等の副作用が増強するおそれがあるので、併用療法を行う場合には、患者の状態を観察しながら、減量するなど用量に注意すること。 ともに骨髄抑制作用を有する。
抗悪性腫瘍剤 二次性白血病、骨髄異形成症候群(MDS)が発生することがあるので、本剤の投与終了後も長期にわたり注意すること。 機序は不明である。
放射線照射 骨髄抑制等の副作用が増強するおそれがあるので、併用療法を行う場合には、患者の状態を観察しながら、減量するなど用量に注意すること。 ともに骨髄抑制作用を有する。
パクリタキセル 本剤投与前にパクリタキセルを投与すると、骨髄抑制等の副作用が増強されるおそれがあるので、併用する場合は、パクリタキセルの前に本剤を投与すること。 本剤投与前にパクリタキセルを投与すると、本剤の未変化体の血漿中濃度が上昇する。
シメチジン シメチジンが本剤のAUCを増加させる2)。 シメチジンが本剤の代謝酵素であるP450を阻害する。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
しびれ 1〜5%未満
そう痒症 1%未満
びらん 頻度不明
ほてり 頻度不明
下痢 1〜5%未満
不整脈 1〜5%未満
不眠 1%未満
倦怠感 5%以上
口内炎 1〜5%未満
呼吸困難 頻度不明
心電図異常 1〜5%未満
悪寒 1%未満
悪心・嘔吐 5%以上
意識障害 1%未満
気胸・血胸注2) 頻度不明
潰瘍等の皮膚障害 頻度不明
疼痛 1〜5%未満
発熱 5%以上
発疹 1〜5%未満
発赤 1%未満
皮膚壊死 頻度不明
知覚異常(口腔内異和感) 1%未満
紅斑 頻度不明
紅斑 1%未満
耳痛・耳鳴 1%未満
肝動脈内投与時の発赤 頻度不明
肝機能異常(AST・ALT上昇等) 5%以上
胃炎 1%未満
胸痛 1%未満
腎機能異常(BUN上昇等) 1〜5%未満
腹痛 1〜5%未満
色素沈着 1%未満
蕁麻疹 頻度不明
血圧低下 1%未満
血尿 1〜5%未満
血栓 頻度不明
静脈内投与による血管痛 頻度不明
静脈炎 頻度不明
頭痛 1〜5%未満
頻尿 1〜5%未満
頻尿・排尿痛・膀胱炎・血尿等の膀胱刺激症状注1) 5%以上
頻脈 1〜5%未満
顔面浮腫 1%未満
食欲不振 5%以上
食道炎 1%未満
高度の脱毛 5%以上

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

腫瘍細胞のDNAとcomplexを形成することにより、DNA polymerase反応、RNA polymerase反応を阻害し、DNA、RNAの双方の生合成を抑制することによって、抗腫瘍効果を示す17)。

18.2 抗腫瘍作用

マウス及びラットにおいて、移植癌に対して広い抗癌スペクトルを有し、Leukemia L1210、Leukemia P388、B-16 melanoma、Colon 38、C3H乳癌、Hepatoma AH-13、吉田肉腫等に対して強い抗腫瘍効果を示す18),19)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

癌患者7例にエピルビシン40、60、80、100mg/m2を静脈内投与したとき、血中濃度は3相性を示し、α相4.67分、β相1.15時間、γ相36.5時間の半減期で消失した3)。

16.4 代謝

癌患者にエピルビシンを静脈内投与したとき、尿中及び血中におけるエピルビシンの代謝物は、還元代謝物(エピルビシノール)の他にグルクロン酸抱合体が認められる4),5)(外国人データ)。

16.5 排泄

癌患者にエピルビシンを静脈内投与したとき、48時間までの尿中排泄率は投与量の10.7%である4)(外国人データ)。