Clinical snapshot

インライタ錠1mg

アキシチニブ

添付文書改訂 2026年02月01日

【警告】

本剤の投与にあたっては、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与を開始すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

根治切除不能又は転移性の腎細胞癌

用法・用量

通常、成人にはアキシチニブとして1回5mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、1回10mg1日2回まで増量できる。

使用上の注意

  1. 8.1高血圧があらわれることがあるので、本剤投与期間中は定期的に血圧測定を行い、血圧を十分観察すること。また、高血圧クリーゼがあらわれることがあるので、血圧の推移等に十分注意して投与すること。

  2. 8.2甲状腺機能障害(低下症又は亢進症)があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に甲状腺機能の検査を実施すること。

  3. 8.3ヘモグロビン又はヘマトクリットが上昇することがあるので、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的にヘモグロビン又はヘマトクリットを観察し、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。

  4. 8.4創傷治癒を遅らせる可能性があるので、外科的処置が予定されている場合には、外科的処置の前に本剤の投与を中断すること。外科的処置後の投与再開は、患者の状態に応じて判断すること。

  5. 8.5蛋白尿があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に尿蛋白を観察すること。中等度から重度の蛋白尿が認められた場合は、減量又は休薬すること。

  6. 8.6手足症候群があらわれることがあるので、必要に応じて皮膚科を受診するよう、患者に指導すること。

  7. 8.7肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1高血圧症の患者

高血圧が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.2甲状腺機能障害のある患者

甲状腺機能障害が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.3血栓塞栓症又はその既往歴のある患者

血栓塞栓症が悪化もしくは再発するおそれがある。

  1. 9.1.4脳転移を有する患者

脳出血があらわれるおそれがある。

  1. 9.1.5外科的処置後、創傷が治癒していない患者

創傷治癒遅延があらわれることがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1中等度以上の肝機能障害のある患者

減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。本剤の血中濃度が上昇する。また、重度の肝機能障害を有する患者を対象とした臨床試験は実施していない。

9.4 生殖能を有する者

妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(マウス3mg/kg/日)において胚・胎児死亡及び奇形の発生が報告されている1)。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤の母乳中への移行は不明である。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

注意して投与すること。一般に高齢者では、生理機能が低下している。

相互作用

  • 本剤は主にCYP3A4/5で代謝される。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
CYP3A4/5阻害剤
• アゾール系抗真菌剤
〔ケトコナゾール(錠剤及び注射剤:国内未承認)、イトラコナゾール等〕
マクロライド系抗生物質(クラリスロマイシン等)
HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル等)グレープフルーツジュース
ケトコナゾールと併用投与したとき、単独投与時と比べ、本剤のCmax及びAUC0-∞がそれぞれ50%及び106%増加した2)。本剤の血中濃度が上昇し、副作用の発現頻度及び重症度が増加するおそれがあるので、CYP3A4/5阻害作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。やむを得ず併用する際には本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。 これらの薬剤等がCYP3A4/5の代謝活性を阻害するため、本剤の血漿中濃度が上昇する可能性がある。
CYP3A4/5誘導剤
• デキサメタゾン
フェニトイン
カルバマゼピン
リファンピシン
フェノバルビタール等セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
リファンピシンと併用投与したとき、単独投与時と比べ、本剤のCmax及びAUC0-∞がそれぞれ71%及び79%低下した3)。本剤の血中濃度が低下し、本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、CYP3A4/5誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。 これらの薬剤等がCYP3A4/5の代謝活性を誘導するため、本剤の血漿中濃度が低下する可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP増加 頻度不明
CPK増加 頻度不明
QT延長 1%未満
T3増加 1%未満
T3減少 1%未満
T4増加 1%未満
TSH増加 頻度不明
TSH減少 1%未満
γ-GTP増加 頻度不明
アフタ性口内炎 1%未満
アミラーゼ増加 頻度不明
アルブミン減少 1%未満
インフルエンザ様疾患 頻度不明
うつ病 1%未満
カリウム増加 頻度不明
カリウム減少 頻度不明
カルシウム増加 1%未満
カルシウム減少 1%未満
カンジダ感染 1%未満
クレアチニンクリアランス減少 1%未満
クレアチニン増加 頻度不明
コルチコトロピン増加 1%未満
ざ瘡 頻度不明
しゃっくり 1%未満
そう痒症(10.8%) 頻度不明
トロポニン増加 1%未満
ヘモグロビン増加 頻度不明
ヘモグロビン減少 1%未満
ほてり 1%未満
リパーゼ増加 頻度不明
リンパ球減少 1%未満
上気道感染 頻度不明
上腹部痛 頻度不明
下痢(52.7%) 頻度不明
下腹部痛 1%未満
不安 1%未満
不整脈 1%未満
不眠症 頻度不明
乳頭痛 1%未満
低ナトリウム血症 頻度不明
低マグネシウム血症 頻度不明
低リン酸血症 頻度不明
低血圧 頻度不明
体重増加 1%未満
体重減少(13.5%) 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 頻度不明
側腹部痛 1%未満
傾眠 頻度不明
免疫応答低下 1%未満
全身健康状態低下 1%未満
冷感 1%未満
副腎機能不全 頻度不明
労作性呼吸困難 頻度不明
動悸 頻度不明
口内乾燥 頻度不明
口内炎(18.6%) 頻度不明
口腔内潰瘍形成 1%未満
口腔内痛 頻度不明
口腔咽頭痛 頻度不明
口腔知覚不全 1%未満
味覚消失 1%未満
味覚異常(11.6%) 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咳嗽 頻度不明
嘔吐(12.8%) 頻度不明
嚥下痛 1%未満
嚥下障害 頻度不明
四肢痛 頻度不明
回転性めまい 1%未満
変色便 1%未満
多汗症 1%未満
失神 1%未満
失神寸前の状態 1%未満
失語症 1%未満
好中球減少 頻度不明
寝汗 頻度不明
尿意切迫 1%未満
尿路感染 1%未満
尿酸増加 頻度不明
徐脈 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心(26.2%) 頻度不明
感覚鈍麻 1%未満
手足症候群(30.4%) 頻度不明
振戦 頻度不明
排尿困難 1%未満
擦過傷 1%未満
敗血症 1%未満
末梢性ニューロパチー 頻度不明
歯の障害 1%未満
歯痛 1%未満
歯肉炎 1%未満
歯肉痛 頻度不明
毛髪変色 1%未満
水疱 頻度不明
注意力障害 1%未満
流涙増加 1%未満
浮動性めまい 頻度不明
浮腫 頻度不明
消化不良 頻度不明
温度変化不耐症 1%未満
湿疹 頻度不明
潮紅 1%未満
無力症(12.8%) 頻度不明
爪の障害 頻度不明
爪囲炎 1%未満
爪破損 1%未満
爪色素沈着 1%未満
片頭痛 1%未満
甲状腺炎 頻度不明
疲労(35.4%) 頻度不明
疼痛 頻度不明
痔核 頻度不明
発声障害(27.1%) 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹(18.6%) 頻度不明
白血球減少 1%未満
皮膚乾燥 頻度不明
皮膚刺激 1%未満
皮膚剥脱 頻度不明
皮膚感染 1%未満
皮膚炎 頻度不明
皮膚障害 頻度不明
眼瞼浮腫 1%未満
睡眠障害 1%未満
知覚過敏 頻度不明
筋力低下 頻度不明
筋固縮 1%未満
筋痙縮 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
筋骨格痛 頻度不明
筋骨格系胸痛 1%未満
粘膜の炎症(13.9%) 頻度不明
粘膜乾燥 1%未満
紅斑 頻度不明
羞明 1%未満
耳の障害 1%未満
耳不快感 1%未満
耳鳴 頻度不明
肛門の炎症 頻度不明
肛門周囲痛 1%未満
肺炎 頻度不明
胃炎 1%未満
胃食道逆流性疾患 頻度不明
背部痛 頻度不明
胸痛 頻度不明
脱毛症 頻度不明
脱水 頻度不明
腎不全 頻度不明
腸炎 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部不快感 頻度不明
腹部膨満 頻度不明
舌炎 1%未満
舌痛 頻度不明
舌障害 1%未満
落ち着きのなさ 1%未満
蛋白尿 頻度不明
血小板減少 頻度不明
裂肛 1%未満
視力低下 1%未満
記憶障害 頻度不明
貧血 頻度不明
赤血球増加 頻度不明
転倒 1%未満
過角化 頻度不明
錯感覚 頻度不明
関節炎 1%未満
関節痛(10.3%) 頻度不明
難聴 1%未満
霧視 1%未満
頚部痛 1%未満
頭痛(10.1%) 頻度不明
頻尿 1%未満
頻脈 1%未満
顔面浮腫 1%未満
食欲減退(23.7%) 頻度不明
骨痛 1%未満
高コレステロール血症 頻度不明
高脂血症 頻度不明
高血糖 頻度不明
鼓腸 頻度不明
鼻漏 頻度不明
鼻炎 頻度不明
鼻部障害 1%未満
鼻閉 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

  1. 18.1.1血管内皮増殖因子受容体(VEGFR-1、VEGFR-2及びVEGFR-3)のリン酸化を阻害し、その下流のシグナル伝達を阻害した17),18)。

  2. 18.1.2ヒト腫瘍細胞株を移植したマウスにおいて、本薬投与時に腫瘍の血管内皮細胞数の減少及び総血流量の減少が認められた。また、膵島細胞腫瘍が自然発生するRIP-Tag2トランスジェニックマウスにおいて、本薬投与時に腫瘍中の血管新生の抑制が認められた17),18)。

18.2 抗腫瘍効果

ヒト腎細胞癌由来SN12C細胞株を移植したマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した17)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

固形癌患者6例に本剤5、7及び10mgを単回投与注)(食後)したとき、4.00~4.10時間(中央値)で最高血漿中濃度に到達し、消失半減期は4.8~5.9時間であった。5、7及び10mg単回投与後のCmax及びAUC0-∞は投与量の増加に概ね比例して増加した6)(日本人データ)。

投与量
(mg)
Cmax
(ng/mL)
AUC0-∞
(ng・h/mL)
tmaxa)
(h)
t1/2
(h)
5 平均値(CV%) 17.0(69.9) 142(85.9) 4.10(3.95,6.02) 4.8(58.9)
7 平均値(CV%) 23.3(88.2) 181(80.2) 4.00(0.983,9.88) 5.1(50.9)
10 平均値(CV%) 34.9(114.7) 288(91.1) 4.02(2.05,6.00) 5.9(58.8)

被験者数:6例 Cmax:最高血漿中濃度、AUC0-∞:投与後0から無限大時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積、tmax:最高血漿中濃度到達時間、t1/2:消失半減期、CV%:変動係数(%)、Cmax及びAUC0-∞は幾何平均値、t1/2は算術平均値 a)中央値(最小値、最大値)

  1. 16.1.2反復投与

固形癌患者12例に本剤5mgを1日2回反復経口投与(食後)したときの累積係数(Rac)の平均値(変動係数)は1.48(32%)であった7)(日本人データ)。

日数
(被験者数)
Cmax
(ng/mL)
AUCτ
(ng・h/mL)
tmaxa)
(h)
Rac
1日目(n=12) 幾何平均値(CV%) 20.7(45.9) 111(61.4) 3(2,4) -
15日目(n=11) 幾何平均値(CV%) 27.0(56.1) 150(66.7) 4(1,4) 1.48(32)

Cmax:最高血漿中濃度、AUCτ:投与後0から12時間(投与間隔)までの血漿中濃度-時間曲線下面積、tmax:最高血漿中濃度到達時間、Rac:AUCから算出した累積係数、CV%:変動係数(%) a)中央値(最小値、最大値)

日本人固形癌患者に本剤1回5mg1日2回投与したときの血漿中アキシチニブ濃度推移(平均値+標準偏差)

16.2 吸収

  1. 16.2.1絶対バイオアベイラビリティ

本剤の絶対バイオアベイラビリティの平均値(変動係数)は58%(45%)であった8)(外国人データ)。

  1. 16.2.2食事の影響

健康成人30例に本剤5mgをクロスオーバー法により空腹時又は食後(中脂肪食及び高脂肪食)に単回経口投与注)した。空腹時と比較して、中脂肪食摂取後のCmax及びAUC0-∞はそれぞれ0.843及び0.895倍、高脂肪食摂取後のCmax及びAUC0-∞はそれぞれ1.11及び1.19倍であった9)(外国人データ)。

16.3 分布

健康成人16例にアキシチニブを静脈内投与注)(1mg)したときの分布容積の平均値(変動係数)は68L(23%)であった。 アキシチニブの血漿蛋白結合率(平衡透析法、0.2~20μg/mL)に関して、濃度依存性は認められず、99.5%であった(in vitro試験)。 アキシチニブ(14C-標識アキシチニブ添加濃度:0.4μg/mL及び4μg/mL)の血液/血漿中濃度比は、0.8であった(in vitro試験)8),10)(外国人データ)。

16.4 代謝

本剤は主にCYP3A4/5、一部はCYP1A2、CYP2C19又はUGT1A1によって代謝される(in vitro試験)。 血漿中の主代謝物は、グルクロン酸抱合体及びスルホキシド体であった。In vitro試験において、グルクロン酸抱合体及びスルホキシド体のVEGFR-2のリン酸化阻害作用は、未変化体のそれぞれ約1/8000及び1/400倍であった。 健康成人にアキシチニブを静脈内投与注)(1mg)したときの全身クリアランスの平均値(変動係数)は21L/h(44%)であった8),11),12)(外国人データ)。

16.5 排泄

健康成人男性8例に14C-標識アキシチニブ5mgを単回経口投与したとき、投与後13日までに、投与した放射能の33.5%及び22.0%が、それぞれ糞便及び尿中に回収された。未変化体は糞便中に主な放射能成分として、投与量の12%が回収されたが、尿中には検出されなかった13)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害を有する被験者における薬物動態

本剤に関して、腎機能低下者を対象にした薬物動態試験は実施していない。 健康成人及び癌患者を対象に母集団薬物動態解析を実施している(590例)。腎機能をCLcr(mL/min)に基づいて90mL/min以上(正常腎機能、381例)、60~89mL/min(軽度腎機能低下、139例)、30~59mL/min(中等度腎機能低下、64例)、15~29mL/min(重度腎機能低下、5例)、15mL/min未満[末期腎疾患(ESRD)1例]に分類したとき、アキシチニブの全身クリアランスの中央値はそれぞれ14.0、10.7、12.3、7.81及び12.6L/hであり、腎機能低下は本剤のクリアランスにほとんど影響を与えなかった(日本人及び外国人データ)。

  1. 16.6.2肝機能障害を有する被験者における薬物動態

本剤5mgを肝機能が正常な被験者(n=8)軽度及び中等度(Child-Pugh分類A及びB)の肝機能障害を有する被験者(各8例)に単回投与注)した。軽度の肝機能障害を有する被験者におけるアキシチニブのCmax及びAUC0-∞は、健康被験者のそれぞれ0.89及び0.78倍であったが、中等度の肝機能障害を有する被験者におけるアキシチニブのCmax及びAUC0-∞は、健康被験者のそれぞれ1.28及び1.95倍に上昇した。重度(Child-Pugh分類C)の肝機能障害を有する被験者を対象とした臨床試験は実施していない14)(外国人データ)。 注)本剤の承認用法用量は1回5mg1日2回経口投与である。