EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌
【警告】
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1.1本剤による治療を開始するにあたり、患者に本剤の有効性・安全性、息切れ等の副作用の初期症状、非小細胞肺癌の治療法、致命的となる症例があること等について十分に説明し、同意を得た上で投与すること。
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1.2本剤の投与により急性肺障害、間質性肺炎があらわれることがあるので、胸部X線検査等を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、急性肺障害や間質性肺炎が本剤の投与初期に発生し、致死的な転帰をたどる例が多いため、少なくとも投与開始後4週間は入院またはそれに準ずる管理の下で、間質性肺炎等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うこと。
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1.3特発性肺線維症、間質性肺炎、じん肺症、放射線肺炎、薬剤性肺炎の合併は、本剤投与中に発現した急性肺障害、間質性肺炎発症後の転帰において、死亡につながる重要な危険因子である。このため、本剤による治療を開始するにあたり、特発性肺線維症、間質性肺炎、じん肺症、放射線肺炎、薬剤性肺炎の合併の有無を確認し、これらの合併症を有する患者に使用する場合には特に注意すること。
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1.4急性肺障害、間質性肺炎による致死的な転帰をたどる例は全身状態の良悪にかかわらず報告されているが、特に全身状態の悪い患者ほど、その発現率及び死亡率が上昇する傾向がある。本剤の投与に際しては患者の状態を慎重に観察するなど、十分に注意すること。
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1.5本剤は、肺癌化学療法に十分な経験をもつ医師が使用するとともに、投与に際しては緊急時に十分に措置できる医療機関で行うこと。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
- 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
通常、成人にはゲフィチニブとして250mgを1日1回、経口投与する。
使用上の注意
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8.1急性肺障害、間質性肺炎等の重篤な副作用が起こることがあり、致命的な経過をたどることがあるので、本剤の投与にあたっては、臨床症状(呼吸状態、咳及び発熱等の有無)を十分に観察し、定期的に胸部X線検査を行うこと。また、必要に応じて胸部CT検査、動脈血酸素分圧(PaO2)、肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)、肺拡散能力(DLco)などの検査を行うこと。
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8.2本剤を投与するにあたっては、本剤の副作用について患者に十分に説明するとともに、臨床症状(息切れ、呼吸困難、咳及び発熱等の有無)を十分に観察し、これらが発現した場合には、速やかに医療機関を受診するように患者を指導すること。
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8.3AST、ALT等の肝機能検査値の上昇があらわれることがあるので、本剤投与中は1~2ヵ月に1回、あるいは患者の状態に応じて肝機能検査を実施することが望ましい。
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8.4皮膚の副作用があらわれた場合には、患者の状態に応じて休薬あるいは対症療法を施すなど適切な処置を行うこと。
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8.5臨床試験において無力症が報告されているので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意するよう指導すること。
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8.6非臨床試験において本剤によるQT延長の可能性が示唆されていることから、必要に応じて心電図検査を実施すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1急性肺障害、特発性肺線維症、間質性肺炎、じん肺症、放射線肺炎、薬剤性肺炎またはこれらの疾患の既往歴のある患者
間質性肺炎が増悪し、致死的となる症例が報告されている。
- 9.1.2全身状態の悪い患者
全身状態の悪化とともに急性肺障害、間質性肺炎の発現率及び死亡率が上昇する傾向がある。
- 9.1.3無酸症など著しい低胃酸状態が持続している患者
無酸症など著しい低胃酸状態が持続する状態では、本剤の血中濃度が低下し作用が減弱するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1肝機能障害のある患者
本剤投与中に肝機能検査値の上昇がみられている。また、本剤の血中濃度の上昇がみられるとの報告がある。
9.4 生殖能を有する者
本剤投与中の女性には妊娠を避けるよう指導すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。やむを得ず投与する場合は、本剤投与によるリスクについて患者に十分説明すること。 動物実験で胎児重量の減少(ウサギ)、生存出生児数の減少(ラット)及び出生児の早期死亡(ラット)が認められている。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが認められている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に高齢者では生理機能が低下していることが多い。 なお、本剤の臨床試験成績から、65歳以上と65歳未満で血漿中濃度及び副作用発現率並びにその程度に差はみられていない。
相互作用
- in vitro試験において、本薬は薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP3A4)で代謝されることが示唆されているので、本酵素の活性に影響を及ぼす薬剤と併用する場合には、注意して投与すること。CYP3A4活性を阻害する薬剤との併用により、本剤の代謝が阻害され、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。また、CYP3A4誘導剤との併用により、本剤の代謝が促進され血中濃度が低下する可能性がある。 一方、本薬はin vitro試験においてCYP2D6を阻害することが示唆されているので、CYP2D6により代謝される他の薬剤の血中濃度を増加させる可能性がある(本剤とメトプロロールの併用では、メトプロロールのAUCは平均で35%増加した)。
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| CYP3A4誘導剤 • フェニトイン、 カルバマゼピン、 リファンピシン、 バルビツール酸系薬物、 セイヨウオトギリソウ (St. John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品等 |
本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある。 | 本剤の代謝には主にCYP3A4が関与しているため、左記薬剤のようなCYP3A4誘導剤との併用で、本剤の代謝が亢進し血中濃度が低下する可能性がある。 |
| CYP3A4阻害剤 • アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール等)、 マクロライド系抗生物質(エリスロマイシン等)、 リトナビル、ジルチアゼム塩酸塩、ベラパミル塩酸塩等グレープフルーツジュース |
本剤の血中濃度が増加し、副作用の発現頻度及び重症度が増加するおそれがある。 | 本剤の代謝には主にCYP3A4が関与しているため、左記のようなCYP3A4阻害剤等との併用で、本剤の代謝が阻害され血中濃度が増加する可能性がある。 |
| プロトンポンプ阻害剤 • オメプラゾール等H2-受容体拮抗剤 • ラニチジン塩酸塩等 |
著しい低胃酸状態が持続することにより、本剤の血中濃度が低下するおそれがある。 | 本剤の溶解性がpHに依存することから、胃内pHが持続的に上昇した条件下において、本剤の吸収が低下し、作用が減弱するおそれがある。 |
| ワルファリン | INR上昇や出血があらわれたとの報告がある。本剤とワルファリンを併用する場合には、定期的にプロトロンビン時間又はINRのモニターを行うこと。 | 機序は不明。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| ALT上昇等) | 頻度不明 |
| INR上昇注4) | 頻度不明 |
| クレアチニン上昇 | 1%未満 |
| ざ瘡等の皮膚症状 | 頻度不明 |
| じん麻疹 | 1%未満 |
| そう痒症 | 頻度不明 |
| 下痢 | 頻度不明 |
| 倦怠感 | 1%未満 |
| 出血注4) | 頻度不明 |
| 口内乾燥注3) | 1%未満 |
| 口内炎 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 頻度不明 |
| 嘔気 | 頻度不明 |
| 手掌・足底発赤知覚不全症候群 | 頻度不明 |
| 無力症 | 1%未満 |
| 爪の障害 | 頻度不明 |
| 疲労 | 頻度不明 |
| 発熱 | 1%未満 |
| 発疹 | 頻度不明 |
| 白血球減少 | 1%未満 |
| 皮下出血 | 1%未満 |
| 皮膚乾燥 | 頻度不明 |
| 皮膚亀裂 | 頻度不明 |
| 皮膚血管炎 | 頻度不明 |
| 眼乾燥注3) | 1%未満 |
| 眼瞼炎 | 1%未満 |
| 結膜炎 | 1%未満 |
| 肝機能障害(AST上昇 | 頻度不明 |
| 脱毛 | 1%未満 |
| 蛋白尿 | 1%未満 |
| 血小板減少 | 1%未満 |
| 血管浮腫 | 頻度不明 |
| 角膜びらん注2) | 1%未満 |
| 角膜炎 | 1%未満 |
| 食欲不振 | 頻度不明 |
| 鼻出血 | 1%未満 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
本薬はEGFRチロシンキナーゼを選択的に阻害し、腫瘍細胞の増殖能を低下させる18)。また、DNA断片化19)及び組織形態学的観察20),21)に基づき、ゲフィチニブがアポトーシスを誘導するとの報告がある。さらに、血管内皮増殖因子(VEGF)の産生抑制を介して腫瘍内の血管新生を阻害することも報告されている22)。さらにゲフィチニブは野生型EGFRよりも変異型EGFRに対してより低濃度で阻害作用を示し23)、アポトーシスを誘導することにより24)、悪性腫瘍の増殖抑制あるいは退縮を引き起こすことが報告されている。
18.2 抗腫瘍効果
- 18.2.1in vitro試験
本薬は口腔扁平上皮癌株KBのEGF刺激による増殖を阻害した(IC50:0.054µmol/L)18)。本薬はEGFRチロシンキナーゼを選択的に阻害し(EGFRチロシンキナーゼに対するIC50は0.027µmol/Lであり、ErbB2、KDR、Flt-1、Raf、MEK-1及びERK-2に対する阻害作用はその100分の1以下)、腫瘍細胞の増殖能を低下させる18)。 また、DNA断片化19)及び組織形態学的観察20),21)に基づき、ゲフィチニブがアポトーシスを誘導するとの報告がある。さらに、血管内皮増殖因子(VEGF)の産生抑制を介して腫瘍内の血管新生を阻害することも報告されている22)。さらに本薬は野生型EGFRよりも変異型EGFRに対してより低濃度で阻害作用を示し23)、アポトーシスを誘導することにより24)、悪性腫瘍の増殖抑制あるいは退縮を引き起こすことが報告されている。
- 18.2.2in vivo試験
ヒト腫瘍ヌードマウス移植系において、本薬は12.5~200mg/kg/日の用量で非小細胞肺癌株A549、ヒト前立腺癌株Du145、ヒト外陰部腫瘍株A431、大腸癌株CR10、HCT15、HT29、LoVo、口腔扁平上皮癌株KB、卵巣癌株HX62に対して腫瘍増殖抑制作用を示した18)。
18.3 代謝物
ヒトの主代謝物O-脱メチル体のEGF刺激下での細胞増殖に対する阻害作用は本薬の約14分の1であり、本代謝物の臨床効果への寄与は小さいと思われる25)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回及び反復経口投与時の血中濃度
日本人固形癌患者(n=6)に本剤225mg注5)を単回経口投与したとき、本薬の吸収は緩徐で、最高血漿中濃度到達時間は概ね4時間であり、患者間で変動(3~12時間)がみられた。終末相における消失半減期は約30時間であった。 本剤225mg注5)を単回経口投与したときの血漿中未変化体濃度推移及び単回及び反復投与時の薬物動態パラメータは以下の通りである6)。
図1 血漿中未変化体濃度推移(平均値±標準偏差、n=6、片対数表示)
| Cmax (ng/mL) |
Tmaxa) (hr) |
AUC0→∞ (ng・hr/mL) |
t1/2 (hr) |
|
|---|---|---|---|---|
| 単回 | 188±120 | 4.0(3.0~12.0) | 4968±2125 | 30.1±4.6 |
| 反復 | 384±194 | 5.0(3.0~7.0) | 16660±10630 | 41.3±9.9 |
a)中央値(範囲)
- 16.1.2反復経口投与におけるトラフ濃度
日本人固形癌患者(n=6)に本剤225mg注5)を1日1回14日間反復経口投与したとき、投与後7~10日目で定常状態に達した。投与第3、7、10及び14日目の投与前の血漿中未変化体濃度(トラフ濃度)を以下に示す。反復投与によりAUC0→∞は約2~5倍増加した6)。 また、日本人及び欧米人非小細胞肺癌患者を対象とした国際共同臨床試験において日本人及び欧米人非小細胞肺癌患者に本剤250mgを投与したときの定常状態時のトラフ血漿中未変化体濃度は264±5.8(平均値±標準誤差)ng/mLであった7)。
| 3日目 | 7日目 | 10日目 | 14日目 |
|---|---|---|---|
| 102±29.1 | 165±73.2 | 185±72.6 | 201±93.9 |
- 16.1.3日本人及び欧米人患者の薬物動態
第I相臨床試験において日本人6)及び欧米人8)固形癌患者に本剤を50~700mg注5)の用量範囲で単回経口投与したとき、血漿中未変化体濃度推移及び薬物動態パラメータは類似していた。 また、日本人及び欧米人非小細胞肺癌患者を対象とした国際共同第II相臨床試験におけるポピュレーションファーマコキネティクス解析の結果、有意な人種差は認められなかった7)。
16.2 吸収
- 16.2.1バイオアベイラビリティ
欧米人固形癌患者(n=17)における絶対バイオアベイラビリティは59%であった9)。
- 16.2.2食事の影響
欧米人健康志願者(n=25)において、本剤を食後投与したときAUC及びCmaxがそれぞれ37%及び32%増加したが、臨床上特に問題となる変化ではなかった10)。
16.3 分布
欧米人固形癌患者(n=19)に本薬を静脈内持続投与したときの定常状態における分布容積は1400Lであった9)。 ヒトにおける血漿蛋白結合率は約90%であった。また、血清アルブミン及びα1-酸性糖蛋白へ結合する11)(in vitro)。
16.4 代謝
ヒト血漿中には、ゲフィチニブのO-脱メチル体、ON-脱アルキル体、酸化脱フッ素体及びその他5種の代謝物が認められた。血漿中の主代謝物はO-脱メチル体であり、その濃度には大きな個体間変動がみられたが、未変化体と同程度の血漿中濃度を示した。ON-脱アルキル体及び酸化脱フッ素体の血漿中濃度は未変化体の約3%以下であった。その他の代謝物はほとんど定量できなかった。 未変化体からO-脱メチル体への代謝にはCYP2D6が関与し、遺伝学的にCYP2D6活性が欠損した健康被験者(Poor metabolizer, n=15)では血漿中にO-脱メチル体は検出されなかった。また、その他の代謝経路では主にCYP3A4が関与し、ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験においてO-脱メチル体の生成量は僅かであり、CYP3A4阻害剤の共存下でO-脱メチル体を除く代謝物の生成量は明らかに減少した。 以上のことから、肝臓が本薬の代謝クリアランスにおいて重要な役割を果たしているものと推察される。
16.5 排泄
欧米人固形癌患者(n=19)に本薬を静脈内持続投与したときの血漿クリアランスは約500mL/分であった9)。 欧米人健康志願者(n=6)において未変化体及び代謝物の大部分は糞中に排泄され、尿中排泄は投与量の4%未満であった12)。 胆管カニューレを施したラットの試験から14C標識ゲフィチニブを経口投与したとき、吸収量の約80%に相当する放射能が胆汁中に排泄されることが示された13)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1肝機能障害患者
Child-Pugh分類による軽度、中等度及び重度の肝硬変による肝機能障害患者(非担癌患者)に、本剤250mgを単回経口投与したとき、中等度及び重度の肝機能障害患者では未変化体のAUCの平均は健康被験者の3.1倍を示した14)(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1リファンピシン
本剤500mg注5)を強力なCYP3A4の誘導剤であるリファンピシン600mg/日と併用投与したとき、本剤のAUCが17%に減少した(外国人データ)。
- 16.7.2イトラコナゾール
本剤250mgを強力なCYP3A4の阻害剤であるイトラコナゾール200mg/日と併用投与したとき、本剤のAUCが78%増加した(外国人データ)。
- 16.7.3ラニチジン
ラニチジン450mgの2回投与及び炭酸水素ナトリウムの追加投与により胃内pHを5以上に約6~7時間維持した条件下で、本剤250mgを単回経口投与したところ、本剤のAUCが47%減少した10)(外国人データ)。
注5)本剤の承認用量は250mg/日である。