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イルベサルタン錠100mg「トーワ」

イルベサルタン錠

添付文書改訂 2025年09月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性

  3. 2.3アリスキレンフマル酸塩を投与中の糖尿病患者(ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く)

効能・効果

高血圧症

用法・用量

通常、成人にはイルベサルタンとして50~100mgを1日1回経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日最大投与量は200mgまでとする。

使用上の注意

  1. 8.1本剤を含むアンジオテンシンII受容体拮抗剤投与中に重篤な肝機能障害があらわれたとの報告がある。肝機能検査を実施するなど観察を十分に行うこと。

  2. 8.2降圧作用に基づくめまい、ふらつきがあらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。

  3. 8.3手術前24時間は投与しないことが望ましい。アンジオテンシンII受容体拮抗剤投与中の患者は、麻酔及び手術中にレニン-アンジオテンシン系の抑制作用による高度な血圧低下を起こす可能性がある。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。腎血流量の減少や糸球体ろ過圧の低下により急速に腎機能を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.2高カリウム血症の患者

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。高カリウム血症を増悪させるおそれがある。 また、腎機能障害、コントロール不良の糖尿病等により血清カリウム値が高くなりやすい患者では、血清カリウム値に注意すること。

  1. 9.1.3脳血管障害のある患者

過度の降圧が脳血流不全を引き起こし、病態を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.4厳重な減塩療法中の患者

低用量から投与を開始し、増量する場合は徐々に行うこと。一過性の急激な血圧低下を起こすおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重篤な腎機能障害のある患者

過度の降圧により腎機能を悪化させるおそれがある。

  1. 9.2.2血液透析中の患者

低用量から投与を開始し、増量する場合は徐々に行うこと。一過性の急激な血圧低下を起こすおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1肝障害のある患者、特に胆汁性肝硬変及び胆汁うっ滞のある患者

本剤は主に胆汁中に排泄されるため、血中濃度が上昇するおそれがある。

9.4 生殖能を有する者

  1. 9.4.1*妊娠する可能性のある女性

*妊娠していることが把握されずアンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤を使用し、胎児・新生児への影響(腎不全、頭蓋・肺・腎の形成不全、死亡等)が認められた例が報告されている1),2)。

*本剤の投与に先立ち、代替薬の有無等も考慮して本剤投与の必要性を慎重に検討し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、投与が必要な場合には次の注意事項に留意すること。

  1. (1)*本剤投与開始前に妊娠していないことを確認すること。本剤投与中も、妊娠していないことを定期的に確認すること。投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。

  2. (2)*次の事項について、本剤投与開始時に患者に説明すること。また、投与中も必要に応じ説明すること。

  • *妊娠中に本剤を使用した場合、胎児・新生児に影響を及ぼすリスクがあること。

  • *妊娠が判明した又は疑われる場合は、速やかに担当医に相談すること。

  • *妊娠を計画する場合は、担当医に相談すること。

9.5 妊婦

*妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。妊娠中期及び末期にアンジオテンシンII受容体拮抗剤又はアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与された患者で羊水過少症、胎児・新生児の死亡、新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋の形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、頭蓋顔面の奇形、肺の低形成等があらわれたとの報告がある。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。動物試験(ラット)において乳汁中への移行が認められている。また、動物試験(ラット出生前及び出生後の発生並びに母体の機能に関する試験)の50mg/kg/日以上で哺育期間において出生児の体重増加抑制が認められている。

9.8 高齢者

低用量から投与を開始するなど慎重に投与すること。一般に過度の降圧は好ましくないとされている。脳梗塞等が起こるおそれがある。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
アリスキレンフマル酸塩
• ラジレス(糖尿病患者に使用する場合。ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く)
非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されている。 レニン-アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
カリウム保持性利尿剤
• スピロノラクトン、トリアムテレン等カリウム補給剤
• 塩化カリウム
血清カリウム値が上昇することがある。 機序:本剤のアルドステロン分泌抑制によりカリウム貯留作用が増強する可能性がある。
危険因子:腎機能障害のある患者
利尿降圧剤
• フロセミド、トリクロルメチアジド等
一過性の急激な血圧低下を起こすおそれがあるので、利尿降圧剤を投与中の患者に本剤を投与する場合は、低用量から投与を開始し、増量する場合は徐々に行うこと。 利尿降圧剤で治療を受けている患者では、体液量の減少によりレニン活性が亢進しており、降圧作用が増強するおそれがある。
アリスキレンフマル酸塩 腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある。
なお、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンフマル酸塩との併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。
レニン-アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。
アンジオテンシン変換酵素阻害剤
• エナラプリル、イミダプリル等
腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある。 レニン-アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
• ロキソプロフェン、インドメタシン等
本剤の降圧作用が減弱するおそれがある。 血管拡張作用を有するプロスタグランジンの合成阻害により、本剤の降圧作用を減弱させる可能性がある。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
• ロキソプロフェン、インドメタシン等
腎機能が低下している患者では、更に腎機能が悪化するおそれがある。 プロスタグランジンの合成阻害により、腎血流量が低下するためと考えられる。
リチウム
• 炭酸リチウム
リチウム中毒が報告されている。 リチウムの再吸収はナトリウムと競合するため、本剤のナトリウム排泄作用により、リチウムの再吸収が促進されると考えられる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP上昇 1〜5%未満
ALT上昇 1〜5%未満
AST上昇 1〜5%未満
BUN上昇 1〜5%未満
CK上昇 1〜5%未満
CRP上昇 1〜5%未満
LDH上昇 1〜5%未満
γ-GTP上昇 1〜5%未満
クレアチニン上昇 1〜5%未満
コレステロール上昇 1〜5%未満
しびれ感 1〜5%未満
じん麻疹 1〜5%未満
そう痒 1〜5%未満
ビリルビン上昇 1〜5%未満
ヘマトクリット減少 1〜5%未満
ヘモグロビン減少 1〜5%未満
ほてり 1〜5%未満
めまい 1〜5%未満
もうろう感 1〜5%未満
下痢 1〜5%未満
不眠 1〜5%未満
便秘 1〜5%未満
倦怠感 1〜5%未満
動悸 1〜5%未満
味覚異常 1〜5%未満
咳嗽 1〜5%未満
嘔吐 1〜5%未満
好酸球増加 1〜5%未満
尿中蛋白陽性 1〜5%未満
尿沈渣異常 1〜5%未満
尿酸上昇 1〜5%未満
徐脈 1〜5%未満
心室性期外収縮 1〜5%未満
心房細動 1〜5%未満
性機能異常 頻度不明
悪心 1〜5%未満
浮腫 1〜5%未満
発熱 1〜5%未満
発疹 1〜5%未満
白血球増加 1〜5%未満
白血球減少 1〜5%未満
眠気 1〜5%未満
筋力低下 1〜5%未満
筋痛 1〜5%未満
総蛋白減少 1〜5%未満
耳鳴 頻度不明
胃不快感 1〜5%未満
背部痛 1〜5%未満
胸やけ 1〜5%未満
胸痛 1〜5%未満
腹痛 1〜5%未満
血圧低下 1〜5%未満
血清カリウム上昇 1〜5%未満
赤血球減少 1〜5%未満
起立性低血圧 1〜5%未満
関節痛 1〜5%未満
霧視 1〜5%未満
頭痛 1〜5%未満
頻尿 1〜5%未満
頻脈 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

In vitro試験においてウサギ摘出大動脈のアンジオテンシンⅡ(AⅡ)誘発収縮を特異的に抑制し、in vivo試験(ラット、イヌ、サル)においてもAⅡ誘発昇圧反応に対して抑制作用を示した。In vitro結合試験から、その抑制作用はAⅡ受容体に対する競合的拮抗に基づくものであり、更にAⅡタイプ1受容体(AT1受容体)選択的であることが示唆された。その他の受容体には親和性を示さず、アンジオテンシン変換酵素も阻害しなかった22),23),24),25),26),27)。

18.2 降圧作用

高レニン正常血圧サル、2腎性1クリップ型高血圧ラット、脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHRSP)において経口投与により用量依存的かつ持続的な降圧作用を示した。イルベサルタンは心拍数に影響を及ぼさなかった28),29),30)。

18.3 高血圧性臓器障害抑制作用

高血圧進展過程の高血圧自然発症ラット(SHR)への反復経口投与により高血圧の進展を抑制した。その作用はイルベサルタン投与中止後も持続しリバウンド現象は認められなかった。 更に、SHRに反復経口投与することにより高血圧の進展に伴う心肥大、並びに左心室及び大動脈の肥厚は抑制された。また、食塩負荷により高血圧性臓器障害と高い死亡率を呈するSHRSPでは、反復経口投与により、脳卒中発症、高血圧性臓器障害及び死亡の著明な抑制が認められた。脳卒中発症後のSHRSPでは、反復経口投与により死亡が抑制され、脳卒中症状も投与直後より著明に改善された30),31)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人男性18例にイルベサルタン50、100及び200mgをクロスオーバー法により空腹時単回経口投与したとき、血漿中には主として活性を有する未変化体で存在した。その薬物動態パラメータを表1に示す3)。

投与量
(mg)
n Cmax
(ng/mL)
Tmax
(h)
AUC
(ng・h/mL)
T1/2
(h)
50 18 1084±375 1.4±0.7 3821±1208 10.1±5.9
100 18 1758±483 1.6±0.9 6848±1974 13.6±15.4
200 18 2098±455 2.0±1.3 11742±3549 15.2±18.6

平均値±標準偏差(測定法:LC-MS/MS)

  1. 16.1.2反復投与

健康成人男性6例にイルベサルタン50、100mgを1日1回7日間食後に反復経口投与したとき、血漿中濃度は投与開始後約3~4日で定常状態に達し、両投与量とも蓄積性はみられなかった4),5)。 また、高齢者を含む本態性高血圧症患者14例にイルベサルタン100、200mgを1日1回8日間食後に反復経口投与したとき、Cmax及びAUCに投与1日目と投与8日目との間で有意な差はなく、両投与量とも蓄積性はみられなかった6)。

  1. 16.1.3生物学的同等性試験
  • 〈イルベサルタン錠100mg「トーワ」〉

イルベサルタン錠100mg「トーワ」とアバプロ錠100mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(イルべサルタンとして100mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された7)。

図1 血漿中濃度推移

判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0-48
(ng・h/mL)
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(h)
T1/2
(h)
イルベサルタン錠
100mg「トーワ」
6720±1393 1785±484 1.56±0.73 10.57±3.95
アバプロ錠100mg 7025±2110 1856±643 1.47±0.83 12.78±6.29

平均値±標準偏差,n=16

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

  • 〈イルベサルタン錠200mg「トーワ」〉

イルベサルタン錠200mg「トーワ」とアバプロ錠200mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(イルべサルタンとして200mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された8)。

図2 血漿中濃度推移

判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0-48
(ng・h/mL)
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(h)
T1/2
(h)
イルベサルタン錠
200mg「トーワ」
10391±3170 2836±1001 1.17±0.82 14.73±7.79
アバプロ錠200mg 10637±3541 2484±747 1.31±0.73 14.36±7.50

平均値±標準偏差,n=32

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.3 分布

  1. 16.3.1蛋白結合率

ヒト血清蛋白結合率は約97%であった(in vitro)9)。

16.4 代謝

イルベサルタンは、主としてCYP2C9による酸化的代謝とグルクロン酸抱合により代謝される。ヒト肝ミクロソームを用いて、CYP活性に対するイルベサルタンの阻害作用について検討した結果、CYP1A2、CYP2D6及びCYP2E1に対しては阻害せず、CYP2A6、CYP2C8、CYP2C9及びCYP3A4に対して阻害作用が認められたものの、いずれも阻害の程度は弱かった(in vitro)10),11),12)。

16.5 排泄

健康成人において未変化体尿中排泄率は約0.3~1.3%であった4),5)。 健康成人に14C-標識イルベサルタンを経口投与した場合、放射能の約20%は尿中に排泄され、約54%は糞中に排泄された(外国人データ)13)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

軽・中等度(9例)、高度(10例)の腎機能障害患者にイルベサルタン100mgを1日1回8日間反復経口投与したとき、腎機能正常者と比較してCmax、AUCに有意な差はみられなかった。血液透析中の患者を含め、腎機能障害患者に投与した場合にも蓄積傾向はほとんどないことが示唆された(外国人データ)14)。

  1. 16.6.2肝機能障害患者

軽・中等度の肝硬変患者10例に、イルベサルタン300mg注1)を空腹時1日1回7日間反復経口投与したとき、健康成人と比較してCmax、AUCに有意な差はみられなかった。また蓄積傾向がほとんどないことも示唆された(外国人データ)15)。

  1. 16.6.3高齢者

高齢者(65~80歳、男性10例、女性10例)と若年者(18~35歳、男性10例)にイルベサルタン25mg注1)を1日1回反復経口投与したとき、Cmaxに有意な差はみられなかったが、AUCは若年者に比べて約50~70%上昇することが示された(外国人データ)16)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1ワルファリン

ワルファリン(CYP2C9の基質)と併用したとき、ワルファリンの薬物動態に変化はみられなかった(外国人データ)17),18)。

16.8 その他

  • 〈イルベサルタン錠50mg「トーワ」〉

イルベサルタン錠50mg「トーワ」は、イルベサルタン錠100mg「トーワ」を標準製剤としたとき、溶出挙動が同等と判断され、生物学的に同等とみなされた19)。

注1)本剤の承認された1日通常用量は50~100mg、1日最大用量は200mgである。