Clinical snapshot

イムブルビカカプセル140mg

イブルチニブ

添付文書改訂 2026年03月01日

【警告】

本剤は、緊急時に十分に対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療又は造血幹細胞移植に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2中等度以上の肝機能障害のある患者

  3. **2.3ケトコナゾール、イトラコナゾール、クラリスロマイシン、エンシトレルビル フマル酸、セリチニブを投与中の患者

  4. 2.4妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

  • 慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)

  • 原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫

  • マントル細胞リンパ腫

  • 造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)

用法・用量

  • 〈慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)、原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫〉

通常、成人にはイブルチニブとして420mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

  • 〈マントル細胞リンパ腫〉

  • 未治療の場合

ベンダムスチン塩酸塩及びリツキシマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人にはイブルチニブとして560mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

  • 再発又は難治性の場合

通常、成人にはイブルチニブとして560mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

  • 〈造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)〉

通常、成人及び12歳以上の小児にはイブルチニブとして420mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤投与時に外科的処置に伴う大量出血が報告されていることから、本剤投与中に手術や侵襲的手技を実施する患者に対しては本剤の投与中断を考慮すること。

  2. 8.2肺炎、敗血症等の重篤な感染症や日和見感染が発現又は悪化することがあり、B型肝炎ウイルス、結核、帯状疱疹等が再活性化するおそれがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス、結核等の感染の有無を確認すること。本剤投与前に適切な処置を行い、本剤投与中は感染症の発現又は増悪に十分注意すること。

  3. 8.3貧血、好中球減少症、血小板減少症等の重篤な骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与に際しては定期的に血液検査を行うこと。

  4. 8.4重篤な不整脈が発現又は悪化することがあるので、本剤投与に際しては定期的に心機能検査(十二誘導心電図検査等)を行うこと。

  5. 8.5腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

  6. 8.6肝不全、ALT、AST、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与に際しては定期的に肝機能検査を行うこと。

  7. 8.7間質性肺疾患があらわれることがあるので、息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等の臨床症状を十分に観察すること。

  8. 8.8*ぶどう膜炎があらわれることがあるので、眼の異常の有無を定期的に確認すること。また、眼の異常が認められた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1感染症を合併している患者

骨髄抑制等により、感染症が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.2重篤な骨髄機能低下のある患者

血球減少を増悪させ重篤化させるおそれがある。

  1. 9.1.3不整脈のある患者又はその既往歴のある患者

心房細動等の不整脈があらわれることがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重度の腎機能障害のある患者

重度の腎機能障害のある患者を対象とした臨床試験は実施していない。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1中等度以上の肝機能障害患者

投与しないこと。血中濃度が著しく上昇する。

  1. 9.3.2軽度の肝機能障害患者

減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。血中濃度が上昇する。

9.4 生殖能を有する者

妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験で胚致死作用(ラット及びウサギ)、及び催奇形性(ラット:心血管系の奇形、ウサギ:胸骨分節の癒合)が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトにおける乳汁中への移行は不明である。

9.7 小児等

  • 〈慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)、原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫〉
  1. 9.7.1小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
  • 〈造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)〉
  1. 9.7.212歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

海外臨床試験において、65歳以上の患者で、Grade 3注)以上の有害事象、肺炎、尿路感染、心房細動、白血球増加症等の発現率が高かった。 注)CTCAE(Common Terminology Criteria for Adverse Events)version 4.0に準じる。

相互作用

  • 本剤は主にCYP3Aにより代謝される。

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ケトコナゾール(経口剤:国内未発売)
イトラコナゾール
• イトリゾールクラリスロマイシン
• クラリス、クラリシッドエンシトレルビル フマル酸
• ゾコーバ**セリチニブ
• ジカディア
本剤の血中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがある。 これらの薬剤のCYP3A阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
CYP3A阻害作用を有する薬剤
• リトナビル含有製剤
コビシスタット含有製剤
アタザナビル
ダルナビル
ホスアンプレナビル
ボリコナゾール
,
• ポサコナゾール
,
フルコナゾール
エリスロマイシン
シプロフロキサシン
ジルチアゼム
ベラパミル
アミオダロン
アプレピタント
本剤の血中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがあるので、CYP3A阻害作用のない薬剤への代替を考慮すること。やむを得ず併用する際には、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 これらの薬剤のCYP3A阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。
グレープフルーツ含有食品 本剤の血中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがあるので、摂取しないよう注意すること。 食品中にCYP3A阻害作用を有する成分が含まれている。
CYP3A誘導作用を有する薬剤
• カルバマゼピン
リファンピシン
フェニトイン
本剤の血中濃度が低下し、効果が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない薬剤への代替を考慮すること。 これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、本剤の代謝が促進される。
セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 本剤の血中濃度が低下し、効果が減弱するおそれがあるので、摂取しないよう注意すること。 食品中にCYP3A誘導作用を有する成分が含まれている。
抗凝固剤
抗血小板剤
出血のおそれがある。 出血のリスクを増強させるおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
インフルエンザ 頻度不明
そう痒症 頻度不明
リンパ球増加症 頻度不明
リンパ腫 頻度不明
上気道感染 5%以上
下痢(27.3%) 頻度不明
不眠症 頻度不明
低カリウム血症 頻度不明
低ナトリウム血症 頻度不明
便秘 5%以上
前立腺癌 頻度不明
副鼻腔炎 頻度不明
口内炎 5%以上
呼吸困難 頻度不明
咳嗽 5%以上
嘔吐 5%以上
基底細胞癌 頻度不明
尿路感染 頻度不明
急性熱性好中球性皮膚症(Sweet症候群) 頻度不明
悪心 頻度不明
悪性黒色腫 頻度不明
扁平上皮癌 頻度不明
挫傷 頻度不明
末梢性ニューロパチー 頻度不明
末梢性浮腫 5%以上
気管支炎 頻度不明
流涙増加 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
消化不良 頻度不明
点状出血 頻度不明
無力症 頻度不明
爪破損 頻度不明
疲労 頻度不明
発熱 5%以上
発熱性好中球減少症 頻度不明
発疹 頻度不明
白血球増加症 頻度不明
皮膚感染 5%以上
皮膚癌 頻度不明
皮膚血管炎 頻度不明
眼乾燥 頻度不明
硬膜下血腫 頻度不明
筋痙縮 5%以上
筋骨格痛 5%以上
紅斑 頻度不明
結膜炎 頻度不明
胃食道逆流性疾患 頻度不明
脂肪織炎 頻度不明
脱水 頻度不明
腹痛 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
血中クレアチニン増加 頻度不明
血管浮腫 頻度不明
視力低下 頻度不明
転倒 頻度不明
関節痛 5%以上
関節障害 頻度不明
霧視 頻度不明
頭痛 5%以上
食欲減退 5%以上
骨髄異形成症候群 頻度不明
高尿酸血症 頻度不明
高血圧 頻度不明
鼻出血 5%以上

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)は、B細胞性腫瘍の発症、増殖等に関与するB細胞受容体(BCR)、及びB細胞の遊走、接着等に関与するケモカイン受容体の下流に位置するシグナル分子である。イブルチニブは、BTKの活性部位にあるシステイン残基と共有結合し、BTKのキナーゼ活性を阻害した。

18.2 抗腫瘍効果

In vitro試験において、イブルチニブは、慢性リンパ性白血病(CLL)患者由来のCLL細胞及びヒトマントル細胞リンパ腫(MCL)由来細胞株(Mino、Jeko-1等)の増殖を抑制した29),30) 。また、CLL患者由来のCLL細胞並びにヒトMCL由来細胞株(Mino及びJeko-1)の遊走及び接着を阻害した30),31) 。 In vivo試験において、イブルチニブは、マウスCLL由来TCL1-192細胞を腹腔内移植した重症複合免疫不全(SCID)マウスにおいて、末梢血中のTCL1-192細胞の増殖を抑制した29) 。また、Mino細胞株を静脈内に移植したSCIDマウスにおいて、Mino細胞数を減少させた32) 。

18.3 慢性移植片対宿主病に対する作用

In vivo試験において、イブルチニブはT及びB細胞が発症に関与するマウス慢性移植片対宿主病モデル(LP/Jの骨髄細胞をC57BL/6に移植、又はC57BL/6の骨髄細胞をB10.BRに移植)での慢性移植片対宿主病症状(強皮症、又は肺及び肝の線維化)を改善し、無増悪生存期間を延長した33)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1再発又は難治性成熟B細胞性腫瘍患者

再発又は難治性成熟B細胞性腫瘍患者にイブルチニブ140mg注1)~560mgを単回又は反復経口投与したとき、血漿中イブルチニブ濃度は用量によらず、投与後1~2時間(中央値)に最高濃度に達し、4~9時間(平均値)の消失半減期で消失した。血漿中イブルチニブのCmax及びAUCは個体間変動が大きいが、用量の増加に伴って増加した。反復経口投与による累積率は1.6未満であった。1)

測定日 用量
(mg)
n Cmax
(ng/mL)
tmax a)
(h)
AUClast
(ng・h/mL)
t1/2
(h)
1日目 140 3 42.53
± 23.74
2.02
(1.98, 3.95)
203.64
± 128.60
3.90
± 1.67
280 3 68.47
± 14.09
1.82
(1.00, 1.97)
339.21
± 72.42
5.64
± 1.50
420 9 87.33
± 62.15
1.97
(1.00, 3.98)
381.73
± 265.26
6.99 b)
± 3.34
560 6 94.57
± 65.43
1.48
(0.98, 3.92)
419.09
± 238.74
7.35、5.33 c)
8日目 420 8 77.50
± 58.11
2.00
(0.95, 3.97)
383.17
± 189.61
4.60 b)
± 1.86
560 6 105.47
± 68.60
2.00
(0.97, 4.00)
638.96
± 476.16
6.39、4.23 c)

算術平均値±標準偏差、a):中央値(範囲)、b):n=6、c):個別値(n=2)

再発又は難治性成熟B細胞性腫瘍患者にイブルチニブ420mg又は560mgを単回(Day 1)又は反復(Day 8)経口投与したときの血漿中イブルチニブ濃度推移(平均値+標準偏差)

  1. 16.1.2造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病患者

12歳以上のステロイド依存性又は抵抗性の日本人慢性移植片対宿主病患者にイブルチニブ140注1)~420mgを1日1回反復経口投与したとき、血漿中イブルチニブ濃度は下表のとおりであった。2)

測定日 用量
(mg)
n Cmax(ng/mL) tmax a)
(h)
AUClast
(ng・h/mL)
t1/2 a)
(h)
中程度以上のCYP3A阻害剤併用なし Week1
1日目
420 7 386 ± 166 2.08
(1.78, 4.50)
1843 ± 1146 4.86
(4.42, 5.15) b)
Week2
1日目
420 7 275 ± 171 4.08
(1.85, 5.28)
2102 ± 938 3.83, 10.2 c)
ボリコナゾール併用 Week1
1日目
280 4 399 ± 126 3.83
(1.78, 5.75)
4003 ± 1586 4.88 c)
Week2
1日目
280 4 432 ± 374 3.87
(1.75, 5.43)
2970 ± 2201 N/A
フルコナゾール併用 Week1
1日目
420 8 628 ± 526 3.91
(1.97, 4.25)
5134 ± 4173 N/A
Week2
1日目
420 8 678 ± 701 3.95
(1.82, 5.17)
6235 ± 5875 4.33, 4.56 c)

算術平均値±標準偏差、N/A:報告対象となるデータなし a):中央値(範囲)、b):n=3、c):個別値

12歳以上の日本人及び外国人慢性移植片対宿主病患者にイブルチニブ140注1)~420mgを1日1回反復経口投与したとき、血漿中イブルチニブ濃度は下表のとおりであった。2)

測定日 用量
(mg)
n Cmax
(ng/mL)
tmax a)
(h)
AUClast
(ng・h/mL)
t1/2 a)
(h)
中程度以上のCYP3A阻害剤併用なし Week2
1日目
420 23 235 ± 261 2.00
(0.880, 6.05)
1313 ± 1017 b) 4.10
(1.34, 10.1) c)
Week2
1日目
140 d) 1 158 1.00 388 5.51
ボリコナゾール併用 Week2
1日目
280 12 436 ± 292 2.00
(0.930, 5.00)
2934 ± 1805 4.04
(2.47, 9.04) e)
Week2
1日目
140 3 322 ± 258 2.22
(1.00, 4.00)
1610, 1010 f) ND
ポサコナゾール併用 Week2
1日目
420 g) 2 98.4, 241 3.92, 1.75 1060 h) ND
Week2
1日目
280 13 289 ± 296 2.00
(1.88, 6.00)
1979 ± 1205 i) 4.70
(4.02, 5.70) j)
Week2
1日目
140 10 140 ± 124 2.83
(1.87, 5.38)
915 ± 617 4.97
(4.95, 5.88) k)
フルコナゾール併用 Week2
1日目
420 6 629 ± 480 2.05
(1.12, 4.08)
3662 ± 2392 4.92
(4.46, 5.39) k)
Week2
1日目
280 4 242 ± 93.9 2.99
(1.92, 5.08)
1638 ± 819 5.49 h)

算術平均値 ± 標準偏差、ND:算出されず a):中央値(範囲)、b):n=20、c):n=10、d):イブルチニブの減量を要する併用薬の併用はなかったが140mgに減量された、e):n=7、f):n=2、g):イブルチニブを減量されなかった、h):n=1、i):n=12、j):n=5、k):n=4

注1)CYP3A阻害作用を有するボリコナゾール又はポサコナゾール併用時並びに副作用発現時は減量することとされた。

16.2 吸収

  1. 16.2.1絶対的バイオアベイラビリティ及び食事の影響

健康成人にイブルチニブ560mgを絶食時注2)及び食前30分に経口投与し、経口投与の2時間後に13C-イブルチニブ(100μg)を静脈内投与したときの絶対的バイオアベイラビリティはそれぞれ、2.9%(90%CI:2.1~3.9%)及び7.6%(90%CI:6.4~9.0%)であった3) 。健康成人にイブルチニブ420mgを経口投与したときのCmax及びAUClastは、食前30分、食後30分又は食後2時間に投与したときと比較して絶食時注2)にはそれぞれ約30~40%及び約60%に低下した4) 。再発又は難治性慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫患者にイブルチニブ420mgを経口投与したときのCmax及びAUC0-24hは、食事の30分以上前又は2時間以上後に経口投与(modified fasting投与)したときと比較して絶食時注2)にはそれぞれ約40%及び約60~70%に低下した5) 。(外国人データ)

16.3 分布

イブルチニブのヒト血漿蛋白結合率は97.3%であり、検討された濃度域(in vitro、50~1000ng/mL)で概ね一定であった6) 。健康成人に13C-イブルチニブ(100μg)を静脈内投与したときの定常状態における分布容積は683L3)、再発又は難治性慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫患者にイブルチニブ420mgを単回経口投与したときのみかけの分布容積(Vdz/F)は10837Lであった5) 。(外国人データ)

16.4 代謝

イブルチニブは主にCYP3A4/5により代謝される(in vitro)7),8) 。主な代謝物であるジヒドロジオール体は、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)に対してイブルチニブの約1/15の阻害活性を示す9) 。ジヒドロジオール体の定常状態における曝露量は、イブルチニブと同程度であった1) 。

16.5 排泄

健康成人に14C-イブルチニブ1480kBqを含むイブルチニブ140mg注1)を単回経口投与したとき、放射能の約90%が168時間以内に回収され、糞中では80%、尿中では10%以下であった。イブルチニブの回収率は、糞中で1%、尿中には認められなかった10) 。健康成人に13C-イブルチニブ(100μg)を静脈内投与したときの全身クリアランス(CL)は、絶食時及び食前30分においてそれぞれ62及び76L/hであった3) 。健康成人にイブルチニブ560mgを経口投与したときのみかけの全身クリアランス(CL/F)は、絶食時及び食前30分においてそれぞれ1572及び875L/hであった3) 。(外国人データ)

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1肝機能障害

軽度の肝機能障害(Child-Pugh分類A)患者6例、中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類B)患者10例及び重度の肝機能障害(Child- Pugh分類C)患者8例にイブルチニブ140mg注1)を単回経口投与したときのAUClastの幾何平均値は正常肝機能被験者と比較して2.7、8.2及び9.8倍高かった。また、非結合分画も肝機能障害の程度に応じてわずかに増加し、非結合型イブルチニブのAUClastはそれぞれ4.1、9.8及び13倍増加すると推定される11) 。(外国人データ)

  1. 16.6.212歳以上の小児
  • 〈造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)〉

12歳以上の慢性移植片対宿主病患者を対象とした国内外の臨床成績における血漿中イブルチニブ濃度(162例、1,281測定時点)に基づき母集団薬物動態解析を実施した。イブルチニブ420mgを1日1回経口投与したとき、薬物動態パラメータの推定値は、小児と成人で同程度であった。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1ケトコナゾール

健康成人(18例)にCYP3Aの阻害作用を有するケトコナゾール(経口剤:国内未発売)400mg(4~9日目に投与)とイブルチニブ120mg及び40mg注1)(それぞれ1日目及び7日目に投与)を併用投与(絶食時)したとき、イブルチニブのCmax及びAUCはそれぞれ約29及び24倍増加した12) 。(外国人データ)

  1. 16.7.2ボリコナゾール

B細胞性腫瘍患者(26例)にCYP3Aの阻害作用を有するボリコナゾール200mg 1日2回とイブルチニブ140mg 1日1回注1)を併用投与したとき、イブルチニブのCmax及びAUCはそれぞれ約6.7及び5.7倍増加した13) 。(外国人データ)

  1. 16.7.3エリスロマイシン

B細胞性腫瘍患者(25例)にCYP3Aの阻害作用を有するエリスロマイシン500mg 1日3回とイブルチニブ140mg 1日1回注1)を併用投与したとき、イブルチニブのCmax及びAUCはそれぞれ約3.4及び3.0倍増加した13) 。(外国人データ)

  1. 16.7.4リファンピシン

健康成人(18例)にCYP3Aの誘導作用を有するリファンピシン600mg(4~13日目に投与)とイブルチニブ560mg(1日目及び11日目に投与)を併用投与(絶食時)したとき、イブルチニブのCmax及びAUCはそれぞれ約1/13及び1/10以下に減少した14) 。(外国人データ)

  1. 16.7.5グレープフルーツジュース

健康成人(8例)にCYP3Aの阻害作用を有するグレープフルーツジュースとイブルチニブ140mg注1)を併用投与(非絶食時)したとき、イブルチニブのCmax及びAUCはそれぞれ約3.6及び2.1倍増加した3) 。(外国人データ)

  1. 16.7.6オメプラゾール

健康成人(20例)にプロトンポンプ阻害剤であるオメプラゾール40mg(3~7日目に投与)とイブルチニブ560mg(1日目及び7日目に投与)を併用投与(絶食時)したとき、イブルチニブのCmaxは約38%に減少したが、AUCに顕著な変化は認められなかった15) 。(外国人データ)

  1. 16.7.7生理学的薬物動態モデルによるシミュレーション

イブルチニブ140mg注1)とCYP3A阻害作用を有するイトラコナゾール、クラリスロマイシン、ポサコナゾール及びジルチアゼムを併用投与(非絶食時)した場合、イブルチニブのAUCはそれぞれ、約15、11、8.3及び4.4倍増加することが推定された。イブルチニブ560mgとCYP3A阻害作用を有するフルボキサミン及びアジスロマイシンを併用投与(非絶食時)した場合、イブルチニブのAUCはそれぞれ、約1.7及び1.5倍増加することが推定された。イブルチニブ560mgとCYP3A誘導作用を有するカルバマゼピン及びエファビレンツを併用投与(非絶食時)した場合、イブルチニブのAUCはそれぞれ、約1/6及び1/3に減少することが推定された。16) 注1)本剤の承認された用法・用量は、「420mg又は560mgを1日1回経口投与する」である。 注2)一晩絶食後にイブルチニブを経口投与し、その後4時間絶食。