Clinical snapshot

イミグランキット皮下注3mg

スマトリプタンコハク酸塩

添付文書改訂 2026年02月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2心筋梗塞の既往歴のある患者、虚血性心疾患又はその症状・兆候のある患者、異型狭心症(冠動脈攣縮)のある患者[不整脈、狭心症、心筋梗塞を含む重篤な虚血性心疾患様症状があらわれることがある]

  3. 2.3脳血管障害や一過性脳虚血性発作の既往のある患者[脳血管障害や一過性脳虚血性発作があらわれることがある]

  4. 2.4末梢血管障害を有する患者[症状を悪化させる可能性が考えられる]

  5. 2.5コントロールされていない高血圧症の患者[一過性の血圧上昇を引き起こすことがある]

  6. 2.6重篤な肝機能障害を有する患者

  7. 2.7エルゴタミン、エルゴタミン誘導体含有製剤、あるいは他の5-HT1B/1D受容体作動薬を投与中の患者

  8. 2.8モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAO阻害剤)を投与中、あるいは投与中止2週間以内の患者

効能・効果

  • 片頭痛

  • 群発頭痛

用法・用量

片頭痛及び群発頭痛発作の頭痛発現時に、通常、成人にはスマトリプタンとして1回3mgを皮下投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。 ただし、1回3mg、1日6mgを超えないこと。

  • 〈片頭痛〉

1回の頭痛発作において、初回投与で頭痛が軽減した場合には、24時間以内に起こった次の発作に対して追加投与することができるが、2回の投与の間には少なくとも1時間の間隔をおくこと。

  • 〈群発頭痛〉

1日2回の発作に投与することができるが、2回の投与の間には少なくとも1時間の間隔をおくこと。

使用上の注意

  1. 8.1心血管系の疾患が認められない患者においても、重篤な心疾患が極めてまれに発生することがある。

  2. 8.2片頭痛あるいは本剤投与により眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械操作に従事させないよう十分注意すること。

  3. 8.3本剤の自己投与の適用にあたっては、患者自らが適切に使用可能と医師が判断した患者に対してのみ交付すること。

  4. 8.4患者に本剤を交付する際には、使用方法等の患者教育を十分に行い、本剤の注射により発現する可能性のある副作用等についても十分説明すること。また自己注射後何らかの異常があればすぐに医師の指示を仰ぐよう患者を指導すること。

  5. 8.5本剤の注射針カバーは天然ゴムラテックスを含み、アレルギー反応を起こすことがあるので、投与に際し、問診を行うこと。また、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  6. 8.6本剤を含むトリプタン系薬剤により、頭痛が悪化することがあるので、頭痛の改善を認めない場合には、「薬剤の使用過多による頭痛」1)の可能性を考慮し、投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1虚血性心疾患の可能性のある患者

例えば、以下のような患者では不整脈、狭心症、心筋梗塞を含む重篤な虚血性心疾患様症状があらわれるおそれがある。

  • 虚血性心疾患を疑わせる重篤な不整脈のある患者

  • 閉経後の女性

  • 40歳以上の男性

  • 冠動脈疾患の危険因子を有する患者

  1. 9.1.2てんかん様発作の既往又は危険因子のある患者(脳炎等の脳疾患のある患者、痙攣の閾値を低下させる薬剤を使用している患者等)

てんかん様発作が発現したとの報告がある。

  1. 9.1.3スルホンアミド系薬剤に過敏症の既往歴のある患者

本剤はスルホンアミド基を有するため、交叉過敏症(皮膚の過敏症からアナフィラキシーまで)があらわれる可能性がある。

  1. 9.1.4コントロールされている高血圧症患者

一過性の血圧上昇や末梢血管抵抗の上昇がみられたとの報告がある。

  1. 9.1.5脳血管障害の可能性のある患者

脳血管障害があらわれるおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

本剤は腎臓を介して排泄されるので、重篤な腎機能障害患者では血中濃度が上昇するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重篤な肝機能障害患者

投与しないこと。本剤は主に肝臓で代謝されるので、重篤な肝機能障害患者では血中濃度が上昇するおそれがある。

  1. 9.3.2肝機能障害患者(重篤な肝機能障害患者を除く)

中等度の肝機能障害患者に本剤を経口投与したとき、健康成人と比較して血中濃度が上昇した。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

本剤投与後12時間は授乳しないことが望ましい。皮下投与後にヒト母乳中へ移行することが認められている2)(外国人データ)。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

高い血中濃度が持続するおそれがある。本剤は主として肝臓で代謝され、腎臓で排泄されるが、高齢者では肝機能あるいは腎機能が低下していることが多い。

相互作用

  • 本剤は、主としてMAO-Aで代謝される。

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
エルゴタミン
• エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン(クリアミン)エルゴタミン誘導体含有製剤
• ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩
エルゴメトリンマレイン酸塩(エルゴメトリンF)
メチルエルゴメトリンマレイン酸塩(パルタンM)
血圧上昇又は血管攣縮が増強されるおそれがある。
本剤投与後にエルゴタミンあるいはエルゴタミン誘導体含有製剤を投与する場合、もしくはその逆の場合は、それぞれ24時間以上の間隔をあけて投与すること。
5-HT1B/1D受容体作動薬との薬理的相加作用により、相互に作用(血管収縮作用)を増強させる。
5-HT1B/1D受容体作動薬
• ゾルミトリプタン(ゾーミッグ)
エレトリプタン臭化水素酸塩(レルパックス)
リザトリプタン安息香酸塩(マクサルト)
ナラトリプタン塩酸塩(アマージ)
血圧上昇又は血管攣縮が増強されるおそれがある。
本剤投与後に他の5-HT1B/1D受容体作動型の片頭痛薬を投与する場合、もしくはその逆の場合は、それぞれ24時間以内に投与しないこと。
併用により相互に作用を増強させる。
MAO阻害剤
本剤の消失半減期(t1/2)が延長し、血中濃度-時間曲線下面積(AUC)が増加するおそれがあるので、MAO阻害剤を投与中あるいは投与中止2週間以内の患者には本剤を投与しないこと。 MAO阻害剤により本剤の代謝が阻害され、本剤の作用が増強される可能性が考えられる。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
選択的セロトニン再取り込み阻害薬
• フルボキサミンマレイン酸塩
パロキセチン塩酸塩水和物
セルトラリン塩酸塩セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬
• ミルナシプラン塩酸塩
デュロキセチン塩酸塩
セロトニン症候群(不安、焦燥、興奮、頻脈、発熱、反射亢進、協調運動障害、下痢等)があらわれることがある。 セロトニンの再取り込みを阻害し、セロトニン濃度を上昇させる。よって本剤との併用により、セロトニン作用が増強する可能性が考えられる。
痙攣の閾値を低下させる薬剤
てんかん様発作がおこることがある。 痙攣の閾値を低下させる可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ジストニア 頻度不明
しびれなどの感覚鈍麻等) 1%未満
ちらつき 1%未満
ひっ迫感注2) 1%未満
めまい 1%未満
レイノー現象 1%未満
一過性の血圧上昇 1%未満
一過性の視力低下 頻度不明
乳房痛 頻度不明
低血圧 1%未満
倦怠感 1%未満
冷感注2) 頻度不明
出血 頻度不明
動悸 1%未満
呼吸困難 1%未満
咽喉頭痛 頻度不明
嘔吐 頻度不明
圧迫感注2) 1%未満
徐脈 1%未満
悪心 頻度不明
感覚障害(錯感覚 1%未満
挫傷 頻度不明
振戦 頻度不明
暗点 頻度不明
潮紅 1%未満
灼熱感 頻度不明
熱感注2) 頻度不明
痛み 1%未満
痛み(胸痛 頻度不明
発疹等の皮膚症状 頻度不明
眠気 1%未満
眼振 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
紅斑 頻度不明
肝機能障害 1%未満
背部痛 頻度不明
脱力感 1%未満
腫脹 1%未満
蕁麻疹 頻度不明
虚血性大腸炎 頻度不明
複視 頻度不明
視野狭窄 1%未満
重感注2) 頻度不明
関節痛 頻度不明
頚部痛等)注2) 頻度不明
頭痛 頻度不明
頻脈 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

スマトリプタンは5-HT1受容体、特に5-HT1B、5-HT1D受容体に作用して、頭痛発作時に過度に拡張した頭蓋内外の血管を収縮させることにより片頭痛を改善すると考えられる15),16),17),18),19),20)。 また、三叉神経に作用して、神経末端からのCGRP(calcitonin gene-related peptide)など起炎性ペプチドの放出を抑制することも、片頭痛の緩解に寄与していると考えられる21)。

18.2 5-HT1受容体に対する作用

本薬は、in vitroのレセプターバインディング試験において5-HT1B、5-HT1D受容体に対して選択的に高い親和性を示したが、5-HT2、5-HT3や他の受容体に対してはほとんど親和性を示さなかった22)。また、in vitroにおいて5-HT1受容体を有する摘出イヌ伏在静脈に対して濃度依存的な収縮作用を示し、その収縮は、5-HT1受容体拮抗薬メチオテピンで抑制されたが、5-HT2、5-HT3受容体や他の受容体の拮抗薬によってはほとんど影響されなかった23)。

18.3 各種摘出血管に対する作用

In vitroにおいて、イヌ及びヒトの摘出脳底動脈、ヒト摘出中硬膜動脈、ヒト側頭動脈、ヒト大脳動脈及びヒト摘出硬膜内の動脈を濃度依存的(1pM~100μM)に収縮させた15),16),17),18)。これらの収縮は、5-HT1B/1D受容体の選択的拮抗薬であるGR55562やこれより選択性の劣る5-HT1受容体拮抗薬メチオテピンで抑制された15),16),17),18)(in vitro)。一方、イヌ冠動脈や大腿動脈などの末梢血管に対してはほとんど作用を示さなかった24)(in vitro)。ヒト摘出冠動脈に対しては、TXA2類似薬であるU-46619の0.1μMに対して最大約10%程の弱い収縮作用を示した25)(in vitro)。

18.4 麻酔動物の血管床に対する作用

麻酔したイヌに皮下投与(0.01~1mg/kg)すると、血圧、心拍数にはほとんど影響を及ぼさずに、用量依存的な頚動脈血管抵抗の上昇が認められた19)。静脈内投与(0.1~1000μg/kg)によっても同様な頚動脈血管抵抗の上昇が認められたが、大動脈、冠動脈、腎動脈、上腸間膜動脈等に対しては、ほとんど作用を示さないか、示してもわずかであった19)。また、頚動脈血管抵抗上昇作用は、5-HT1受容体拮抗薬で抑制された。同様の結果が、ネコでも得られている19)。

18.5 脳循環に対する作用

片頭痛発作時の成人患者に3mg又は6mgを皮下投与すると、臨床症状の改善と相関して、内頚動脈と中大脳動脈の血流速度が用量依存的に増加することが報告されている20)(外国人データ)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人男性にスマトリプタン(以下、アンプル製剤)又は本剤(以下、キット製剤)を用いて3mgを単回皮下投与した時の血漿中スマトリプタン濃度は下記のとおりである。両製剤は生物学的に同等であった。

図1 健康成人男性における単回投与時の血漿中スマトリプタン濃度(平均値±標準偏差)

製剤 投与量 Cmax
(ng/mL)
AUC0-8
(ng・hr/mL)
Tmax
(hr)
t1/2
(hr)
アンプル製剤 3mg 56.9±11.6 52.2±5.6 0.23±0.06 1.78±0.27
キット製剤 3mg 64.7±13.0 52.8±5.4 0.18±0.04 1.71±0.26

平均値±標準偏差、24例

Cmax AUC0-8
幾何平均値の比(キット製剤/アンプル製剤) 1.138 1.010
幾何平均値の比の90%信頼区間 1.052-1.231 0.985-1.036

16.3 分布

In vitroでのヒト血漿蛋白結合率は約34%であった。

16.4 代謝

本剤は、主にMAO-Aにより代謝されると考えられる3)。

16.5 排泄

健康成人男性にスマトリプタン3mgを単回皮下投与した時の投与後24時間までの未変化体の尿中排泄率は約27%であった。 また、健康成人男性にスマトリプタン6mgを皮下投与した時の投与後24時間までの未変化体及び代謝物の尿中排泄率は、未変化体約28%、インドール酢酸体約37%、インドール酢酸体のグルクロン酸抱合体約11%であった4)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1MAO-A阻害剤(モクロベミド)

MAO-A阻害剤(モクロベミド)を予め経口投与することにより、本剤のAUCは約1.8倍増加し、消失半減期は約1.4倍延長した(外国人データ)。

  1. 16.7.2その他の薬剤

β遮断薬(プロプラノロール)、Ca拮抗薬(フルナリジン)あるいはアルコールとの併用投与において、スマトリプタンの薬物動態に変化は認められなかった5),6)(外国人データ)。