Clinical snapshot

アンペック坐剤10mg

モルヒネ塩酸塩

添付文書改訂 2024年11月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1重篤な呼吸抑制のある患者[呼吸抑制を増強する。]

  2. 2.2気管支喘息発作中の患者[気道分泌を妨げる。]

  3. 2.3重篤な肝機能障害のある患者

  4. 2.4慢性肺疾患に続発する心不全の患者[呼吸抑制や循環不全を増強する。]

  5. 2.5痙攣状態(てんかん重積症、破傷風、ストリキニーネ中毒)にある患者[脊髄の刺激効果があらわれる。]

  6. 2.6急性アルコール中毒の患者[呼吸抑制を増強する。]

  7. 2.7本剤の成分及びアヘンアルカロイドに対し過敏症の患者

  8. 2.8ナルメフェン塩酸塩水和物を投与中又は投与中止後1週間以内の患者

効能・効果

激しい疼痛を伴う各種癌における鎮痛

用法・用量

通常、成人にはモルヒネ塩酸塩水和物として1日20~120mgを2~4回に分割し直腸内に投与する。 なお、初めてモルヒネ製剤として本剤を投与する場合は、1回10mgより開始することが望ましい。 症状により投与量、投与回数を適宜増減する。

使用上の注意

  1. 8.1連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。

  2. 8.2眠気、めまいが起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

  3. 8.3本剤を増量する場合には、予想される副作用(便秘、嘔気、眠気等)に対する対策をあらかじめ考慮するなど副作用に十分注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1心機能障害のある患者

循環不全を増強するおそれがある。

  1. 9.1.2呼吸機能障害のある患者

呼吸抑制を増強するおそれがある。

  1. 9.1.3脳に器質的障害のある患者

呼吸抑制や頭蓋内圧の上昇を起こすおそれがある。

  1. 9.1.4ショック状態にある患者

循環不全や呼吸抑制を増強するおそれがある。

  1. 9.1.5代謝性アシドーシスのある患者

呼吸抑制を起こすおそれがある。

  1. 9.1.6甲状腺機能低下症(粘液水腫等)の患者

呼吸抑制や昏睡を起こすおそれがある。

  1. 9.1.7副腎皮質機能低下症(アジソン病等)の患者

呼吸抑制作用に対し、感受性が高くなっている。

  1. 9.1.8薬物依存の既往歴のある患者

依存性を生じやすい。

  1. 9.1.9衰弱者

呼吸抑制作用に対し、感受性が高くなっている。

  1. 9.1.10前立腺肥大による排尿障害、尿道狭窄、尿路手術術後の患者

排尿障害を増悪することがある。

  1. 9.1.11器質的幽門狭窄、麻痺性イレウス又は最近消化管手術を行った患者

消化管運動を抑制する。

  1. 9.1.12痙攣の既往歴のある患者

痙攣を誘発するおそれがある。

  1. 9.1.13胆嚢障害及び胆石のある患者

胆道痙攣を起こすことがある。

  1. 9.1.14重篤な炎症性腸疾患のある患者

連用した場合、巨大結腸症を起こすおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

排泄が遅延し、副作用があらわれるおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重篤な肝機能障害のある患者

投与しないこと。昏睡に陥ることがある。

  1. 9.3.2肝機能障害患者(重篤な肝機能障害のある患者を除く)

代謝が遅延し、副作用があらわれるおそれがある。

9.5 妊婦

  1. 9.5.1妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(マウス、ラット)で催奇形作用(マウスでは脳脱、軸骨格癒合)が報告されている。

  2. 9.5.2分娩前に投与した場合、出産後新生児に退薬症候(多動、神経過敏、不眠、振戦等)があらわれることがある。

  3. 9.5.3分娩時の投与により、新生児に呼吸抑制があらわれることがある。

9.6 授乳婦

本剤投与中は授乳を避けさせること。ヒト母乳中へ移行することがある。

9.7 小児等

新生児、乳児では低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。新生児、乳児では呼吸抑制の感受性が高い。

9.8 高齢者

低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。一般に生理機能が低下しており、特に呼吸抑制の感受性が高い。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ナルメフェン塩酸塩水和物
• セリンクロ
本剤の離脱症状があらわれるおそれがある。また、本剤の効果が減弱するおそれがある。緊急の手術等によりやむを得ず本剤を投与する場合、患者毎に用量を漸増し、呼吸抑制等の中枢神経抑制症状を注意深く観察すること。また、手術等において本剤を投与することが事前にわかる場合には、少なくとも1週間前にはナルメフェン塩酸塩水和物の投与を中断すること。 μオピオイド受容体拮抗作用により、本剤の作用が競合的に阻害される。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
中枢神経抑制剤
• フェノチアジン系薬剤
バルビツール酸系薬剤 等吸入麻酔剤
モノアミン酸化酵素阻害剤
三環系抗うつ剤
β-遮断剤
アルコール
呼吸抑制、低血圧及び顕著な鎮静又は昏睡が起こることがある。 相加的に中枢神経抑制作用が増強される。
クマリン系抗凝血剤
• ワルファリン
クマリン系抗凝血剤の作用が増強されることがある。 機序は不明である。
抗コリン作動性薬剤 麻痺性イレウスに至る重篤な便秘又は尿貯留が起こるおそれがある。 相加的に抗コリン作用が増強される。
ジドブジン(アジドチミジン) ジドブジンの副作用(骨髄抑制等)を増強させるおそれがある。 ジドブジンのグルクロン酸抱合が競合的に阻害され、ジドブジンの代謝が阻害される。
ブプレノルフィン ブプレノルフィンの高用量(8mg連続皮下投与)において、本剤の作用に拮抗するとの報告がある。 μオピオイド受容体拮抗作用により、本剤の作用が競合的に阻害される。
クロピドグレル
チカグレロル
**プラスグレル
これらの薬剤の血漿中濃度が低下するとの報告がある。 本剤の消化管運動抑制により、これらの薬剤の吸収が遅延する可能性が考えられる。
水溶性基剤を用いた非ステロイド性消炎鎮痛剤の坐剤
• インドメタシン等
インドメタシン坐剤(水溶性基剤)との併用で、基剤の影響により本剤の吸収が低下するとの報告がある。 直腸内の水分が水溶性基剤の溶解に消費されるため、モルヒネの溶解が不十分になると考えられている。
油脂性基剤を用いた非ステロイド性消炎鎮痛剤の坐剤
• ジクロフェナク等
ジクロフェナク坐剤との併用で、主薬の影響により本剤の吸収が上昇するとの報告がある。 非ステロイド性消炎鎮痛剤が直腸粘膜の透過性を亢進することによると考えられている。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALPの上昇 頻度不明
ALT 頻度不明
AST 頻度不明
そう痒感 頻度不明
めまい 頻度不明
不安 頻度不明
不整脈 頻度不明
不眠 頻度不明
不穏 頻度不明
便秘(12.7%) 5%以上
全身倦怠感 頻度不明
口渇 頻度不明
尿蛋白 頻度不明
幻覚 頻度不明
悪心・嘔吐(16.8%) 5%以上
意識障害 頻度不明
排尿障害 頻度不明
痛覚過敏・異痛症(アロディニア) 頻度不明
発汗 頻度不明
発疹 頻度不明
白血球減少 頻度不明
直腸粘膜の刺激(肛門痛 頻度不明
眠気 5%以上
粘膜びらん等) 頻度不明
腹部膨満 頻度不明
興奮 頻度不明
血圧変動 頻度不明
血小板増多 頻度不明
血小板減少 頻度不明
視調節障害 頻度不明
頭蓋内圧の亢進 頻度不明
顔面潮紅 頻度不明
食欲不振 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

オピオイド受容体のうち、主としてμ受容体に作用する。脳内の下行性痛覚制御経路を賦活することにより、脊髄後角における痛覚情報の伝達を抑制すると考えられている。

18.2 鎮痛作用

ラットのtail pressure法及び酢酸writhing法を用いて直腸内投与と経口投与で検討した結果、モルヒネ塩酸塩水和物の直腸内投与は経口投与と比べ同等ないしそれ以上の効力を示した6)。

ED50(mg/kg)
試験法\投与経路 直腸内投与 経口投与
tail pressure法 約17 34.3
酢酸writhing法 0.69 1.23

薬物動態

16.1 血中濃度

製剤 投与例数 Tmax(h) Cmax(ng/mL) t1/2(h)
10mg 12 1.5±0.3 25.8±2.1 4.18±0.56
20mg 8 1.3±0.4 35.4±5.7 4.47±0.78
30mg 5 1.5±0.6 40.7±7.2 6.0±1.6

平均値±標準誤差

16.4 代謝

  1. 16.4.1主な代謝産物及び代謝経路

モルヒネは肝臓で3位又は6位の水酸基がグルクロン酸抱合を受け、モルヒネ-3-グルクロニド(活性なし)又はモルヒネ-6-グルクロニド(活性あり)になる。