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アロチノロール塩酸塩錠5mg「サワイ」

アロチノロール塩酸塩

添付文書改訂 2023年12月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1高度の徐脈(著しい洞性徐脈)、房室ブロック(Ⅱ、Ⅲ度)、洞房ブロック、洞不全症候群のある患者[これらの症状が悪化するおそれがある。]

  2. 2.2糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある患者[アシドーシスによる心筋収縮力の抑制を増強するおそれがある。]

  3. 2.3気管支喘息、気管支痙攣のおそれのある患者[気管支を収縮させ喘息症状の誘発、悪化を起こすおそれがある。]

  4. 2.4心原性ショックのある患者[心機能を抑制し症状が悪化するおそれがある。]

  5. 2.5肺高血圧による右心不全のある患者[心機能を抑制し症状が悪化するおそれがある。]

  6. 2.6うっ血性心不全のある患者[心機能を抑制し症状が悪化するおそれがある。]

  7. 2.7*未治療の褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者

  8. 2.8妊婦又は妊娠している可能性のある女性

  9. 2.9本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 本態性高血圧症(軽症~中等症)

  • 狭心症

  • 頻脈性不整脈

  • 本態性振戦

用法・用量

  • 〈本態性高血圧症(軽症~中等症)、狭心症、頻脈性不整脈〉

通常、成人にはアロチノロール塩酸塩として、1日20mgを2回に分けて経口投与する。なお、年齢・症状等により適宜増減することとするが、効果不十分な場合は、1日30mgまで増量することができる。

  • 〈本態性振戦〉

通常、成人にはアロチノロール塩酸塩として、1日量10mgから開始し、効果不十分な場合は、1日20mgを維持量として2回に分けて経口投与する。なお、年齢・症状等により適宜増減するが1日30mgを超えないこととする。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1投与が長期間にわたる場合は、心機能検査(脈拍、血圧、心電図、X線等)を定期的に行うこと。特に徐脈になったとき及び低血圧を起こした場合には減量又は中止すること。また、必要に応じアトロピンを使用すること。 なお、肝機能、腎機能、血液像等に注意すること。

  2. 8.2類似化合物(プロプラノロール)使用中の狭心症の患者で急に投与を中止したとき、症状が悪化したり、心筋梗塞を起こした症例が報告されているので、休薬を要する場合は徐々に減量し、観察を十分に行うこと。 また、患者に医師の指示なしに服薬を中止しないよう注意すること。狭心症以外の適用、例えば不整脈で投与する場合でも、特に高齢者においては同様の注意をすること。

  3. 8.3手術前48時間は投与しないことが望ましい。

  4. 8.4めまい・ふらつきがあらわれることがあるので、本剤投与中の患者(特に投与初期)には、自動車の運転等危険を伴う機械の作業に注意させること。

  • 〈本態性振戦〉
  1. 8.5徐脈、めまい、低血圧等が高血圧患者に投与した時にくらべ、多くみられることがあるので観察を十分に行い症状が認められた場合は減量又は中止するなどの適切な処置を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1*褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者

本剤投与により急激に血圧が上昇するおそれがある。

  1. 9.1.2うっ血性心不全のおそれのある患者

観察を十分に行い、ジギタリス剤を併用するなど慎重に投与すること。心機能を抑制しうっ血性心不全の症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.3特発性低血糖症、コントロール不十分な糖尿病、長期間絶食状態の患者

血糖値に注意すること。低血糖の前駆症状である頻脈等の交感神経系反応をマスクしやすい。

  1. 9.1.4低血圧、徐脈、房室ブロック(Ⅰ度)のある患者

症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.5末梢循環障害(レイノー症候群、間欠性跛行症等)を有する患者

末梢血管の拡張を抑制し症状が悪化するおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重篤な腎機能障害のある患者

薬物の排泄が影響をうける可能性がある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重篤な肝機能障害のある患者

薬物の代謝が影響をうける可能性がある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ラット(Wistar系)における器官形成期投与試験において、臨床用量の250倍(100mg/kg)以上で腎盂拡大が、また600倍(250mg/kg)で視神経欠損の自然発生頻度の増加が報告されている。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で母乳中への移行が、乳母哺育試験(ラット)で母体を介した生後発育の遅れが認められた。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

次の点に注意し、少量(例えば5mg)から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。

  • 一般に過度の降圧は好ましくないとされている。脳梗塞等が起こるおそれがある。

  • 過度の血圧低下や徐脈等が起こりやすい。心機能等が低下していることが多い。

  • 休薬を要する場合は、徐々に減量する。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
交感神経系に対し抑制的に作用する他の薬剤
(レセルピン等)
過剰の抑制を来すことがある。
減量するなど慎重に投与すること。
レセルピン等の交感神経抑制作用と本剤のβ遮断作用が相加的に作用する可能性がある。
血糖降下剤 血糖降下作用が増強されることがある。 血糖回復作用が本剤のβ遮断作用により妨げられる可能性がある。
また、低血糖時の頻脈等の症状を本剤のβ遮断作用がマスクすることがある。
カルシウム拮抗剤
• ベラパミル、ジルチアゼム等
相互に作用が増強されることがある。 両剤の陰性変力作用及び房室伝導抑制作用を相加的に増強する可能性がある。
クロニジン クロニジンの投与中止後のリバウンド現象を増強し、血圧が上昇する可能性がある。 クロニジンはα2受容体に選択的に作用してノルアドレナリンの遊離を抑制しているため、急激な中止により血中ノルアドレナリンが上昇する。この時、β遮断作用が存在するとノルアドレナリンのα受容体刺激作用のみが働き、急激な血圧上昇が発現する可能性がある。
クラスⅠ抗不整脈剤
• ジソピラミド、プロカインアミド等アミオダロン
ソタロール
過度の心機能抑制があらわれることがある。
減量するなど慎重に投与すること。
両剤の心機能抑制作用を相加的に増強する可能性がある。
ジギタリス製剤 心刺激伝導障害(徐脈、房室ブロック等)があらわれることがある。
心機能に注意し、減量するなど慎重に投与すること。
両剤の作用(心刺激伝導抑制作用)を相加的に増強する可能性がある。
フィンゴリモド フィンゴリモドの投与開始時に併用すると徐脈が増強されることがある。 ともに徐脈を引き起こすおそれがある。
非ステロイド性抗炎症剤 本剤の降圧作用が減弱することがある。 非ステロイド性抗炎症剤は、血管拡張作用を有するプロスタグランジンの合成・遊離を阻害する。
降圧作用を有する薬剤 降圧作用が増強することがある。
減量するなど慎重に投与すること。
両剤の降圧作用を相加的に増強する可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP 1%未満
ALTの上昇 1〜5%未満
AST 1〜5%未満
BUN 1%未満
CKの上昇 1%未満
LDH 1%未満
γ-GTPの上昇 1%未満
インポテンス 頻度不明
クレアチニンの上昇 1%未満
しびれ 1%未満
じん麻疹 1%未満
そう痒 1%未満
めまい・ふらつき 1〜5%未満
不眠 1%未満
中性脂肪値 1〜5%未満
低血圧 1〜5%未満
便秘 1%未満
冷感等) 1%未満
動悸・息切れ 1%未満
口渇 1%未満
咳嗽 1%未満
喘鳴 1%未満
尿酸値の上昇 1〜5%未満
心房細動 1%未満
心胸郭比の増大 1%未満
悪心・嘔吐 1〜5%未満
抑うつ 1%未満
末梢循環障害(レイノー症状 1%未満
気管支痙攣 1%未満
浮腫 1%未満
消化不良 1%未満
灼熱感 1%未満
発疹 1%未満
白血球増多 1%未満
眠気 1〜5%未満
眼精疲労 1%未満
空腹時血糖値 1%未満
立ちくらみ 1〜5%未満
筋肉痛 1%未満
総コレステロール 1%未満
胸痛・胸部不快感 1〜5%未満
脱力・倦怠感 1〜5%未満
脱毛 頻度不明
腹痛 1〜5%未満
腹部不快感 1〜5%未満
腹部膨満感 1%未満
軟便・下痢 1〜5%未満
霧視 1%未満
頭痛・頭重 1〜5%未満
食欲不振 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

交感神経α及びβ受容体を遮断する。高血圧及び正常血圧患者での検討により、α遮断作用はβ遮断作用のおよそ1/8の強さと推定されている5)。

18.2 降圧作用

高血圧自然発症ラット(SHR)及び脳卒中易発症ラット(SHR-SP)等の病態モデルを用いた実験で血圧を著明に低下させ、またSHR-SPで高血圧に伴う心・腎等の血管病変の発生を抑制することが認められている6),7),8) 。 アロチノロール塩酸塩は、適度なα遮断作用により末梢血管抵抗を上昇させることなく、β遮断作用による降圧作用を示すと考えられる。

18.3 抗狭心症作用

β遮断作用により亢進した心機能を抑制し、心筋酸素消費量を減少させ、心筋酸素の需要と供給の不均衡を是正する。イヌ、ラット(in vitro)を用いた実験では、α遮断作用により冠血管抵抗を減少させる傾向が認められている9),10),11),12),13)。

18.4 抗不整脈作用

メチルクロロホルム誘発不整脈(マウス)及びメチルクロロホルム-アドレナリン誘発不整脈(イヌ)において確認されている14)。

18.5 抗振戦作用

オキソトレモリン誘発振戦(マウス)、TRH誘発振戦(マウス)及びMPTP誘発振戦(サル)において確認されている15),16),17)。 アロチノロール塩酸塩は骨格筋のβ2遮断作用により抗振戦作用を発現し、その作用は末梢性であると考えられる18)。

18.6 その他の薬理作用

ラット、ウサギ、モルモットを用いた実験で、内因性交感神経刺激作用及び膜安定化作用は認められていない14)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1健康成人に10mgを単回経口投与した結果、約2時間後に最高血中濃度(117ng/mL)に達し、その血中濃度の半減期は約10時間であった。また、反復投与による蓄積性は認められていない1) 。

  2. 16.1.2生物学的同等性試験

  • 〈アロチノロール塩酸塩錠5mg「サワイ」〉
  1. (1)アロチノロール塩酸塩錠5mg「DSP」との生物学的同等性試験

アロチノロール塩酸塩錠5mg「サワイ」〔処方変更前〕とアロチノロール塩酸塩錠5mg「DSP」を健康成人男子にそれぞれ1錠(アロチノロール塩酸塩として5mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、血漿中アロチノロール塩酸塩濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された2)。

Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
AUC0-48hr
(ng・hr/mL)
アロチノロール塩酸塩錠5mg「サワイ」〔処方変更前〕 60.5±9.1 2.3±0.3 6.7±0.6 575.6±77.3
アロチノロール塩酸塩錠5mg「DSP」 62.0±7.1 2.1±0.4 7.3±2.0 573.7±80.4

(Mean±S.D.)

  1. (2)処方変更時の生物学的同等性試験[参考]

処方変更後製剤と処方変更前製剤を健康成人男子にそれぞれ1錠(アロチノロール塩酸塩として5mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、血漿中アロチノロール濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された3)。

Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
AUC0-48hr
(ng・hr/mL)
アロチノロール塩酸塩錠5mg「サワイ」〔処方変更後〕 68.7±19.6 2.0±0.6 5.4±2.2 518.9±141.1
アロチノロール塩酸塩錠5mg「サワイ」〔処方変更前〕 71.0±28.1 1.8±0.8 5.4±2.1 512.4±154.7

(Mean±S.D., n=20)

  • 〈アロチノロール塩酸塩錠10mg「サワイ」〉

アロチノロール塩酸塩錠10mg「サワイ」とアロチノロール塩酸塩錠10mg「DSP」を健康成人男子にそれぞれ1錠(アロチノロール塩酸塩として10mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、血漿中アロチノロール濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された4)。

Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
AUC0-36hr
(ng・hr/mL)
アロチノロール塩酸塩錠10mg「サワイ」 133.4±48.6 2.0±0.7 6.9±0.7 884.8±308.1
アロチノロール塩酸塩錠10mg「DSP」 134.0±54.8 2.2±0.5 7.0±1.2 892.6±380.2

(Mean±S.D.)

血漿中濃度ならびにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.4 代謝

血中及び尿中の主要代謝体としてカルバモイル基が加水分解された活性代謝体が認められ、その他に2種類の代謝体が尿中に同定されている1) 。