抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)(遅発期を含む)
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
-
2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
-
2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性
効能・効果
用法・用量
他の制吐剤との併用において、通常、成人にはホスネツピタントとして235mgを抗悪性腫瘍剤投与1日目に1回、点滴静注する。
使用上の注意
本剤の活性本体ネツピタントはCYP3Aに対する阻害作用を有し、CYP3Aで代謝される抗悪性腫瘍剤を含めた併用薬剤と相互作用を起こすことがあるため、十分注意して投与すること。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1中等度以上の肝機能障害患者(Child-Pughスコア 7以上)
血中濃度が上昇するおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
**妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後1カ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物試験において、臨床用量の曝露量未満より、ラットで恥骨の未骨化、ウサギで吸収胚数及び胎児死亡数の高値、小型胎児等が認められている。また、ラットで本剤の胎盤及び胎児への移行が確認されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で本剤の乳汁中への移行が報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
相互作用
- 本剤の活性本体ネツピタントは主にCYP3Aで代謝される。また、本剤の活性本体ネツピタントはCYP3A阻害作用を有する。
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| CYP3Aを阻害する薬剤 ケトコナゾール、クラリスロマイシン、フルコナゾール、イトラコナゾール等 |
本剤の活性本体ネツピタントの作用が増強するおそれがある。 本剤と強いCYP3A阻害剤との併用は慎重に行うこと。 |
CYP3A阻害剤との併用により、本剤の活性本体ネツピタントの血漿中濃度が上昇するおそれがある。 |
| CYP3Aを誘導する薬剤 リファンピシン、フェニトイン等 |
本剤の活性本体ネツピタントの作用が減弱するおそれがある。 本剤と強いCYP3A誘導剤との併用は治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。 |
CYP3A誘導剤との併用により、本剤の活性本体ネツピタントの血漿中濃度が低下するおそれがある。 |
| CYP3Aで代謝される薬剤 デキサメタゾン、ドセタキセル、シクロホスファミド、エトポシド、ピモジド、ミダゾラム、エリスロマイシン、経口避妊剤(エチニルエストラジオール・レボノルゲストレル)等 |
これらの薬剤の作用が増強されるおそれがある。 なお、デキサメタゾンを併用する場合は、デキサメタゾンの用量を減量するなど用量に注意すること。 |
本剤の活性本体ネツピタントのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の血漿中濃度が上昇するおそれがある。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| ALP上昇 | 1%未満 |
| ALT上昇 | 1〜5%未満 |
| AST上昇 | 1%未満 |
| QT延長 | 1%未満 |
| しゃっくり | 5%以上 |
| ビリルビン上昇 | 1%未満 |
| めまい | 1〜5%未満 |
| 下痢 | 1〜5%未満 |
| 低カリウム血症 | 1%未満 |
| 低ナトリウム血症 | 1%未満 |
| 便秘 | 5%以上 |
| 倦怠感 | 1〜5%未満 |
| 口内乾燥 | 1%未満 |
| 味覚障害 | 1%未満 |
| 心室性期外収縮 | 1%未満 |
| 湿疹 | 1%未満 |
| 潮紅 | 1%未満 |
| 耳鳴 | 1%未満 |
| 肝機能異常 | 1%未満 |
| 腹痛 | 1%未満 |
| 腹部膨満 | 1%未満 |
| 蕁麻疹 | 1%未満 |
| 頭痛 | 1〜5%未満 |
| 食欲不振 | 1〜5%未満 |
| 高血圧 | 1%未満 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
ホスネツピタントは、静脈内投与後、速やかに活性本体ネツピタントに代謝される。ネツピタントは、ニューロキニン1(NK1)受容体に対して、選択的な拮抗作用を示す。
18.2 ホスネツピタントの薬理作用
ヒトNK1受容体に対するホスネツピタントのpKi値は9.92であった17)(in vitro)。
18.3 活性本体ネツピタントの薬理作用
- 18.3.1NK1受容体に対する結合阻害活性
ヒトNK1受容体に対するネツピタントのpKi値は8.90であった18)(in vitro)。
- 18.3.2各種薬剤誘発嘔吐反応に対する作用
フェレットにネツピタント(3mg/kg)を経口投与したとき、アポモルヒネ、モルヒネ、トコン又は硫酸銅投与により誘発された嘔吐反応を完全に抑制した19)。
- 18.3.3シスプラチン誘発嘔吐反応に対する作用
フェレットにネツピタント(0.03、0.1、0.3mg/kg)を経口投与したとき、シスプラチン投与により誘発される嘔吐反応を0.1及び0.3mg/kgの用量において有意に抑制した19)。
- 18.3.4シスプラチン誘発嘔吐反応に対するパロノセトロン及びデキサメタゾンとの併用効果
フェレットにネツピタント(1mg/kg)及びパロノセトロン(0.1mg/kg)を経口投与し、更にデキサメタゾン(1mg/kg)を腹腔内投与したとき、シスプラチン投与により誘発される嘔吐反応を有意に抑制し、また、パロノセトロン及びデキサメタゾンの投与時と比べ抑制した20)。
- 18.3.5アポモルヒネ誘発嘔吐反応に対する作用
フェレットにネツピタント(0.03、0.1、0.3mg/kg)を経口投与したとき、アポモルヒネ投与により誘発される嘔吐反応を0.03、0.1及び0.3mg/kgの用量において有意に抑制した19)。
薬物動態
16.1 血中濃度
-
16.1.1単回投与
-
(1)国内第Ⅰ相試験
- 〈健康成人〉
日本人健康成人に本剤118mg、235mg、353mgを30分かけて点滴静脈内投与したとき、ホスネツピタントは速やかに活性本体ネツピタントに代謝された。ホスネツピタント及びネツピタントの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった1)。
| 本剤 投与量(mg) |
例数 | Cmax (ng/mL) |
tmax (h) |
AUCinf (ng・h/mL) |
t1/2 (h) |
|
|---|---|---|---|---|---|---|
| 118 | ホスネツピタント | 8 | 3430±450 | 0.34±0.13 | 1557±198 | 0.26±0.33 |
| ネツピタント | 8 | 344±62 | 0.52±0.06 | 6196±1531 | 68.6±19.8 | |
| 235 | ホスネツピタント | 7 | 6291±681 | 0.36±0.13 | 2896±320 | 0.96±0.45 |
| ネツピタント | 7 | 852±138 | 0.52±0.06 | 17718±4067 | 70.4±22.3 | |
| 353 | ホスネツピタント | 7 | 8742±1666 | 0.43±0.12 | 3970±744 | 0.97±0.27 |
| ネツピタント | 7 | 1160±289 | 0.64±0.38 | 25944±4562 | 68.6±14.7 |
平均値±標準偏差
- (2)国内第Ⅱ相試験
- 〈悪性腫瘍患者〉
日本人悪性腫瘍患者に本剤235mgを30分かけて点滴静脈内投与したとき、ホスネツピタントは速やかに活性本体ネツピタントに代謝された。ホスネツピタント及びネツピタントの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった2)。
| 本剤 投与量(mg) |
例数 | Cmax (ng/mL) |
tmax (h) |
AUClast (ng・h/mL) |
t1/2 (h) |
|
|---|---|---|---|---|---|---|
| 235 | ホスネツピタント | 10 | 8448±1438 | 0.41±0.12 | 4283±651 | 0.60±0.51※1 |
| ネツピタント | 10 | 1009±341 | 0.68±0.48 | 15259±4451 | 69.5±30.6※2 |
平均値±標準偏差、※1 6名、※2 8名
16.3 分布
ホスネツピタント及びネツピタントの血漿蛋白結合率は、それぞれ93.5%及び99.67%であった(in vitro)。 ホスネツピタントはOATP1B1及びOATP1B3の基質であった(in vitro)。ネツピタントはP-糖蛋白質の基質の輸送を5µmol/Lで有意に阻害し、BCRPの基質の輸送を6µmol/Lで50%阻害した(in vitro)。有色ラットで本剤関連成分のメラニン含有組織(眼球・ブドウ膜等)への親和性が認められた。
16.4 代謝
ホスネツピタントは、速やかに活性本体ネツピタントに代謝され、ネツピタントは主に脱メチル体及び2種の酸化体に代謝された2),3)。ネツピタントは主にCYP3Aで代謝されたが、CYP2C9及び2D6も代謝に一部関与した(in vitro)。 ネツピタントはCYP3Aの活性を阻害定数1.1~2.2µmol/Lで阻害し、UGT2B7の活性を0.7µmol/Lで50%阻害した(in vitro)。
16.5 排泄
健康成人6名に放射能標識したネツピタント(300mg)注1)を経口投与したとき、投与後336時間までに糞中及び尿中にそれぞれ投与量の69%及び4%の放射能が排泄された4)(外国人データ)。健康成人13名にネツピタント(450mg)注1)を経口投与したとき、ネツピタントの尿中排泄率は0.1%未満であった5)(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1肝機能障害患者
肝機能障害患者にネツピタント(300mg)注1)を経口投与したとき、軽度肝機能障害患者(Child-Pughスコア 5-6)8名ではAUCinfの有意な上昇はみられなかったが、中等度肝機能障害患者(Child-Pughスコア 7-9)8名では健康成人と比べAUCinfが有意(2.43倍)に上昇した。重度肝機能障害患者(Child-Pughスコア 10以上)2名では健康成人と比べAUCinfが2.45倍に上昇した6)(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
-
16.7.1CYP3Aを阻害する薬剤
-
(1)ケトコナゾール
健康成人17名にネツピタント(300mg)注1)とケトコナゾール(400mg連日)を併用投与したとき、ネツピタントのAUCinfは単独投与時と比べ2.40倍であった7)(外国人データ)。
-
16.7.2CYP3Aを誘導する薬剤
-
(1)リファンピシン
健康成人18名にネツピタント(300mg)注1)とリファンピシン(600mg連日)を併用投与したとき、ネツピタントのAUCinfは単独投与時と比べ17%に低下した7)(外国人データ)。
-
16.7.3CYP3Aで代謝される薬剤
-
(1)ミダゾラム
健康成人10名にネツピタント(300mg)注1)とミダゾラム(7.5mg)を併用投与したとき、ミダゾラムのAUCinfは単独投与時と比べ2.26倍であった8)(外国人データ)。
- (2)エリスロマイシン
健康成人10名にネツピタント(300mg)注1)とエリスロマイシン(500mg)を併用投与したとき、エリスロマイシンのAUCinfは単独投与時と比べ1.56倍であった8)(外国人データ)。
- (3)ドセタキセル
悪性腫瘍患者8名にネツピタント(300mg)注1)とドセタキセル(75~100mg/m2)を併用投与したとき、ドセタキセルのAUClastは単独投与時と比べ1.35倍であった9)(外国人データ)。
- (4)シクロホスファミド
悪性腫瘍患者10名にネツピタント(300mg)注1)とシクロホスファミド(500~1000mg/m2)を併用投与したとき、シクロホスファミドのAUClastは単独投与時と比べ1.20倍であった9)(外国人データ)。
- (5)エトポシド
悪性腫瘍患者12名にネツピタント(300mg)注1)とエトポシド(35~100mg/m2)を併用投与したとき、エトポシドのAUClastは単独投与時と比べ1.28倍であった9)(外国人データ)。
- (6)経口避妊剤(エチニルエストラジオール・レボノルゲストレル)
健康成人女性24名にネツピタント(300mg)注1)とエチニルエストラジオール(60µg)・レボノルゲストレル(300µg)を併用投与したとき、エチニルエストラジオールのAUCinfは単独投与時と比べ1.12倍、レボノルゲストレルのAUCinfは1.40倍であった7)(外国人データ)。
- (7)デキサメタゾン
健康成人17名に本剤(235mg)とデキサメタゾン(1日目:朝20mg、2~4日目:朝夕8mg)を併用投与したとき、デキサメタゾンのAUC0-24(1日目)は単独投与時と比べ1.50倍、AUC84-108(4日目)は2.42倍であった10)(外国人データ)。 健康成人24名にネツピタント(300mg)注1)とデキサメタゾン(1日目:12mg、2~4、6、8及び10日目:8mg)を併用投与したとき、デキサメタゾンのAUClastは、1、4、6、8及び10日目に、それぞれ単独投与時と比べ1.58、2.41、1.49、1.20及び1.11倍であった11)(外国人データ)。
-
16.7.4P-糖蛋白質の基質薬
-
(1)ジゴキシン
健康成人16名に対して、ジゴキシン(1日目:0.5mgを3回、2日目以降:0.25mgを連日)の反復投与時に、ネツピタント(8日目450mg)注1)を併用投与したとき、ジゴキシンのAUC0-24は単独投与時と比べ1.04倍であった12)(外国人データ)。
-
16.7.5その他の制吐剤
-
(1)パロノセトロン
健康成人18名にネツピタント(450mg)注1)とパロノセトロン(0.75mg)を併用投与したとき、パロノセトロンのAUCinfは単独投与時と比べ1.10倍であった7)(外国人データ)。
- (2)グラニセトロン
日本人健康成人22名に本剤(235mg)とグラニセトロン(40µg/kg)を併用投与したとき、グラニセトロンのAUCinfは単独投与時と比べ1.07倍であった13)。
注1)本剤の承認された用量は、ホスネツピタントとして抗悪性腫瘍剤投与1日目に1回235mgである。
薬価情報
YJコードに紐付く薬価基準収載データを年度別に表示します。
| 年度 | 品名 | 規格 | 単位 | 薬価 | 後発品 | 適用日 | 製造販売会社 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026年度 |
アロカリス点滴静注235mg
本剤
2391406A1029
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235mg10mL1瓶 | 235mg10mL1瓶 | ¥11275.00 | — | — | — |