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アミトリプチリン塩酸塩錠25mg「サワイ」

アミトリプチリン塩酸塩

添付文書改訂 2023年05月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。]

  2. 2.2三環系抗うつ剤に対し過敏症の患者

  3. 2.3心筋梗塞の回復初期の患者[循環器系に影響を及ぼすことがあり、心筋梗塞が悪化するおそれがある。]

  4. 2.4尿閉(前立腺疾患等)のある患者[抗コリン作用を有するため、症状が悪化するおそれがある。]

  5. 2.5モノアミン酸化酵素阻害剤(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者

効能・効果

精神科領域におけるうつ病・うつ状態、夜尿症、末梢性神経障害性疼痛

用法・用量

  • 〈うつ病・うつ状態〉

アミトリプチリン塩酸塩として、通常、成人1日30~75mgを初期用量とし、1日150mgまで漸増し、分割経口投与する。まれに300mgまで増量することもある。

なお、年齢、症状により適宜減量する。

  • 〈夜尿症〉

アミトリプチリン塩酸塩として、1日10~30mgを就寝前に経口投与する。

なお、年齢、症状により適宜減量する。

  • 〈末梢性神経障害性疼痛〉

アミトリプチリン塩酸塩として、通常、成人1日10mgを初期用量とし、その後、年齢、症状により適宜増減するが、1日150mgを超えないこと。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

  2. 8.2うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期ならびに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。

  3. 8.3因果関係は明らかではないが、不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等の症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されている。患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、これらの症状の増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと。

  4. 8.4自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること。

  5. 8.5家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること。

  6. 8.6投与量の急激な減少ないし投与の中止により、嘔気、頭痛、倦怠感、易刺激性、情動不安、睡眠障害等の離脱症状があらわれることがある。投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。

  7. 8.7重篤な血液障害があらわれることがあるので、定期的に検査を実施するなど観察を十分に行うこと。

  • 〈末梢性神経障害性疼痛〉
  1. 8.8本剤による治療は原因療法ではなく対症療法であることから、疼痛の原因となる疾患の診断及び治療を併せて行い、本剤を漫然と投与しないこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1排尿困難のある患者

抗コリン作用を有するため、症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.2開放隅角緑内障の患者

抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。

  1. 9.1.3眼内圧亢進のある患者

抗コリン作用を有するため、症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.4心不全・心筋梗塞・狭心症・不整脈(発作性頻拍・刺激伝導障害等)等の心疾患のある患者(心筋梗塞の回復初期の患者を除く)

循環器系に影響を及ぼすことがあり、これらの症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.5甲状腺機能亢進症の患者

循環器系に影響を及ぼすことがある。

  1. 9.1.6てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者

痙攣を起こすことがある。

  1. 9.1.7躁うつ病患者

躁転、自殺企図があらわれることがある。

  1. 9.1.8脳の器質障害又は統合失調症の素因のある患者

精神症状を増悪させることがある。

  1. 9.1.9衝動性が高い併存障害を有する患者

精神症状を増悪させることがある。

  1. 9.1.10自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者

自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。三環系抗うつ剤には動物実験で催奇形作用が報告されているものがある。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等に対するうつ病治療の使用経験は少ないので、投与しないことが望ましい。

9.8 高齢者

少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。起立性低血圧、ふらつき、抗コリン作用による口渇、排尿困難、便秘、眼内圧亢進等があらわれやすい。

相互作用

  • 本剤は、主に肝代謝酵素チトクロームP450 2D6(CYP2D6)により代謝される。また、CYP3A4、CYP2C19及びCYP1A2によっても代謝されることが示されている。

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
モノアミン酸化酵素
阻害剤
• セレギリン塩酸塩
(エフピー)
• ラサギリンメシル酸塩
(アジレクト)
• サフィナミドメシル酸塩
(エクフィナ)
発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡等があらわれることがある。なお、モノアミン酸化酵素阻害剤の投与を受けた患者に本剤を投与する場合には、少なくとも2週間の間隔をおき、また本剤からモノアミン酸化酵素阻害剤に切りかえるときには、2~3日間の間隔をおくことが望ましい。 詳細は不明であるが、相加・相乗作用によると考えられる。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
アルコール 本剤の作用が増強さ
れることがある。
アルコールが肝での本剤の代謝を阻害し、血中濃度が上昇すると考えられる。
抗コリン作動薬
• ブチルスコポラミン臭化物
本剤の作用が増強さ
れることがある。
併用によって受容体部位での抗コリン作用が相加される。
コリン作動薬
• ピロカルピン塩酸塩
本剤がこれらの薬剤の作用を減弱することがある。 本剤がこれらの薬剤
の作用に拮抗すると
考えられる。
アドレナリン作動薬
• アドレナリン
• ノルアドレナリン
アドレナリン作動薬の作用が増強されることがある。 三環系抗うつ剤は交感神経末梢へのノルアドレナリンの取り込みを抑制し、受容体のアドレナリン作動性を上昇させ、作用を増強させることがある。
中枢神経抑制剤
• バルビツール酸誘導体
本剤の治療量において血中濃度が減少することがある。
本剤の中毒量において本剤の作用が増強されることがある。
本剤の治療量において、本剤の肝での代謝が増加することがある。
本剤の中毒量における有害作用を増強することがある。
降圧剤
• グアネチジン硫酸塩
• 硫酸ベタニジン
降圧剤の作用を減弱することがある。 本剤はアドレナリン作動性神経末でのグアネチジンの取り込みを阻害し、降圧作用を減弱させると考えられている。
スルファメトキサゾール・トリメトプリム 本剤の作用を減弱するおそれがある。 機序不明
カリウム製剤
(徐放性、腸溶剤)
カリウム製剤の消化管粘膜刺激があらわれやすい。 本剤の抗コリン作用により消化管運動が抑制される。
クマリン系抗凝血剤
• ワルファリンカリウム
抗凝血作用を増強するおそれがある。 ワルファリンの肝での代謝が阻害されると考えられている。
トラマドール塩酸塩 痙攣発作の危険性が増大するとの報告がある。 機序不明
血糖降下剤
• インスリン
• 経口血糖降下剤
これらの薬剤の血糖降下作用を増強することがある。 機序は不明であるが、他の三環系抗うつ剤でインスリン感受性を増強する等の報告がある。
バルプロ酸ナトリウム 本剤の作用が増強されることがある。 本剤の血中濃度が上昇することがある。
CYP3A4誘導作用を
有する薬剤等
• カルバマゼピン
• フェニトイン
• セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort)含有食品
本剤の作用を減弱するおそれがある。 本剤の血中濃度を減少させると考えられる。
CYP3A4阻害作用を
有する薬剤
• リトナビル
• ホスアンプレナビル
本剤の作用を増強するおそれがある。 本剤の血中濃度を増加させると考えられる。
CYP2D6阻害作用を
有する薬剤
• 選択的セロトニン再取り込み阻害剤• フルボキサミン
• パロキセチン
• 抗不整脈剤• キニジン
• プロパフェノン
• フレカイニド
• シメチジン
• フェノチアジン系製剤
本剤の作用を増強するおそれがある。 本剤の血中濃度を増加させると考えられる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT上昇 頻度不明
AST上昇 頻度不明
ふらつき 1〜5%未満
下痢 1〜5%未満
不安 頻度不明
不整脈 頻度不明
不眠 頻度不明
体重増加 頻度不明
便秘 1〜5%未満
倦怠感 1〜5%未満
動悸 頻度不明
口周部等の不随意運動(長期投与時) 頻度不明
口渇 5%以上
味覚異常 1%未満
四肢の知覚異常 1〜5%未満
尿閉 頻度不明
心ブロック 頻度不明
心発作 頻度不明
悪心・嘔吐 1〜5%未満
振戦等のパーキンソン症状 1〜5%未満
排尿困難 1〜5%未満
構音障害 1%未満
焦燥 1〜5%未満
発汗 1〜5%未満
発疹 1〜5%未満
白血球減少 頻度不明
眠気 5%以上
眩暈 1〜5%未満
眼内圧亢進 1%未満
肝機能障害 頻度不明
蕁麻疹 1%未満
血圧上昇 頻度不明
血圧低下 1〜5%未満
視調節障害 1〜5%未満
運動失調 1〜5%未満
頭痛 1〜5%未満
頻脈 1〜5%未満
食欲不振 1〜5%未満
黄疸 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

アミトリプチリンの抗うつ作用に関する詳細な作用機序は明らかにされていないが、脳内におけるノルアドレナリン及びセロトニン再取り込みを抑制する結果、シナプス領域にこれらモノアミン量が増量することにより抗うつ作用を示すと考えられている。さらに、これらの活性アミンのシナプス間隙での増加によっておこるアドレナリンβ受容体の機能低下やセロトニン受容体機能の変化が抗うつ薬の作用機序として有力視されている6)。

18.2 ノルアドレナリン及びセロトニンの再取り込み抑制

ラット脳でのノルアドレナリンの再取り込み及びマウス脳切片でのセロトニンの再取り込みをアミトリプチリンは抑制した7),8)。

薬物動態

16.1 血中濃度

うつ病患者15例にアミトリプチリン塩酸塩を2週間以上1日30mg、75mg、125~180mg3分割経口投与したときのアミトリプチリンの血漿中濃度は、それぞれ36±5ng/mL、43±3ng/mL、79±10ng/mLであり、また代謝物であるノルトリプチリンの血漿中濃度はそれぞれ8±2ng/mL、22±4ng/mL、89±25ng/mLであった3),4)。