パーキンソン病におけるオフ症状の改善(レボドパ含有製剤の頻回投与及び他の抗パーキンソン病薬の増量等を行っても十分に効果が得られない場合)
【警告】
前兆のない突発的睡眠及び傾眠等がみられることがあるので、患者に本剤の突発的睡眠及び傾眠等についてよく説明すること。本剤投与中には、自動車の運転、機械の操作、高所作業等危険を伴う作業に従事させないよう注意すること。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
-
2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
-
2.2重度の肝機能不全患者(Child-Pugh class C 等)
効能・効果
用法・用量
パーキンソン病におけるオフ症状の発現時に皮下投与する。通常、成人にはアポモルヒネ塩酸塩として1回1mgから始め、以後経過を観察しながら1回量として1mgずつ増量し、維持量(1回量1~6mg)を定める。その後は、症状により適宜増減するが、最高投与量は1回6mgとする。
使用上の注意
-
8.1突発的睡眠、傾眠がみられることがある。海外において、突発的睡眠を起こした症例の中には、傾眠や過度の睡眠のような前兆を認めなかった例が報告されている。患者には本剤の突発的睡眠及び傾眠等についてよく説明すること。本剤投与中には、自動車の運転、機械の操作、高所作業等危険を伴う作業に従事させないよう注意すること。
-
8.2高用量の本剤を投与中の患者では、重篤な不整脈の発現に注意して観察を十分に行うこと。
-
8.3レボドパ又はドパミン受容体作動薬の投与により、病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害が報告されているので、このような症状が発現した場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また、患者及び家族等にこのような衝動制御障害の症状について説明すること。
-
8.4本剤の減量、中止が必要な場合は、漸減すること。ドパミン受容体作動薬の急激な減量又は中止により、薬剤離脱症候群(無感情、不安、うつ、疲労感、発汗、疼痛などの症状を特徴とする)があらわれることがある。
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8.5自己投与の適用については、パーキンソン病治療に対する十分な経験を有する医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。適用後、自己投与の継続が困難な場合には、直ちに投与中止等の適切な処置を行うこと。
-
8.6投与開始に先立ち、患者又はその家族に投与局所における腫瘍発生のリスクを十分に説明すること。また、投与中に結節、腫瘤等の皮膚の異常が認められた場合には、直ちに受診するよう患者に指導すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1幻覚等の精神症状又はそれらの既往歴のある患者
症状が増悪又は発現しやすくなることがある。
- 9.1.2重篤な心血管系疾患又はそれらの既往歴のある患者
血圧の低下により冠状動脈や脳の虚血状態を悪化させるおそれがある。
- 9.1.3不整脈の既往歴のある患者、QT延長症候群の患者又はQT延長を起こすことが知られている薬剤を投与中の患者
重篤な不整脈の発現に注意して観察を十分に行うこと。本剤の投与によりQTが延長する可能性がある。
- 9.1.4電解質異常(低カリウム血症等)のある患者
重篤な不整脈の発現に注意して観察を十分に行うこと。
- 9.1.5うっ血性心不全の患者
重篤な不整脈の発現に注意して観察を十分に行うこと。
- 9.1.6低体重の患者
血中濃度上昇により副作用が発現しやすくなるおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
血中濃度上昇により副作用が発現しやすくなるおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1重度の肝機能不全患者(Child-Pugh class C 等)
投与しないこと。
- 9.3.2肝機能障害患者(重度の肝機能不全患者を除く)
血中濃度上昇により副作用が発現しやすくなるおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないことが望ましい。動物実験(ラット)で胚あるいは胎児への移行が報告されている。また、動物(ラット)を用いた生殖発生毒性試験で、出生児の低体温、削痩、生存率の低下及び体重の低値が認められている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で母乳中への移行が認められている。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
臨床試験において血圧低下等の副作用の発現率が高い傾向が認められているので注意すること。血中濃度が上昇するおそれがある。
相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| 5-HT3受容体拮抗剤 • オンダンセトロン グラニセトロン等 |
海外において、本剤との併用により、重度の血圧低下、失神/意識消失、徐脈、けいれん発作が発現したとの報告がある。 | 機序は明らかではないが、副作用が増強されるおそれがある。 |
| 降圧作用を有する薬剤 | 血圧が過度に低下することがある。 | 降圧作用が増強される。 |
| ドパミン拮抗剤 • フェノチアジン系薬剤 ブチロフェノン系薬剤 メトクロプラミド等 |
本剤の作用が減弱することがある。 | 本剤はドパミン作動薬であり、両薬剤の作用が拮抗するおそれがある。 |
| QT延長を起こすことが知られている薬剤 • イミプラミン クロミプラミン等 |
QT間隔延長、心室性不整脈等の重篤な副作用を起こすおそれがある。 | 本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT間隔を延長させるおそれがあるため、併用により作用が増強するおそれがある。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| ALT上昇 | 頻度不明 |
| AST上昇 | 頻度不明 |
| あくび(16.2%) | 頻度不明 |
| うつ | 頻度不明 |
| クームス試験陽性 | 頻度不明 |
| ジスキネジー(11.1%) | 頻度不明 |
| しゃっくり | 頻度不明 |
| 上室性期外収縮 | 頻度不明 |
| 下痢 | 頻度不明 |
| 不安 | 頻度不明 |
| 不眠症 | 頻度不明 |
| 体位性めまい | 頻度不明 |
| 体重減少 | 頻度不明 |
| 便秘 | 頻度不明 |
| 全身性そう痒症 | 頻度不明 |
| 冷汗 | 頻度不明 |
| 動悸 | 頻度不明 |
| 単球数増加 | 頻度不明 |
| 口内炎 | 頻度不明 |
| 口渇 | 頻度不明 |
| 呼吸困難 | 頻度不明 |
| 喀痰増加 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 頻度不明 |
| 回転性めまい | 頻度不明 |
| 好酸球数増加(18.2%) | 頻度不明 |
| 姿勢異常 | 頻度不明 |
| 尿中蛋白陽性 | 頻度不明 |
| 尿中血陽性 | 頻度不明 |
| 息詰まり感 | 頻度不明 |
| 悪心(18.2%) | 頻度不明 |
| 意識消失 | 頻度不明 |
| 投与部位反応 | 頻度不明 |
| 持続勃起症 | 頻度不明 |
| 末梢性浮腫 | 頻度不明 |
| 注射部位そう痒感 | 頻度不明 |
| 注射部位反応(13.1%) | 頻度不明 |
| 注射部位硬結 | 頻度不明 |
| 注射部位血腫 | 頻度不明 |
| 洞性不整脈 | 頻度不明 |
| 流涎過多 | 頻度不明 |
| 浮動性めまい | 頻度不明 |
| 消化不良 | 頻度不明 |
| 溶血性貧血 | 頻度不明 |
| 異常感 | 頻度不明 |
| 疲労感 | 頻度不明 |
| 疼痛など) | 頻度不明 |
| 病的賭博 | 頻度不明 |
| 発汗 | 頻度不明 |
| 白血球数増加 | 頻度不明 |
| 白血球数減少 | 頻度不明 |
| 眼精疲労 | 頻度不明 |
| 筋痙縮 | 頻度不明 |
| 筋骨格不快感 | 頻度不明 |
| 緊張性膀胱 | 頻度不明 |
| 肝障害 | 頻度不明 |
| 胸部不快感 | 頻度不明 |
| 腹部不快感 | 頻度不明 |
| 自発陰茎勃起 | 頻度不明 |
| 蒼白 | 頻度不明 |
| 薬剤離脱症候群注)(無感情 | 頻度不明 |
| 薬疹 | 頻度不明 |
| 血中Al-P上昇 | 頻度不明 |
| 血中CK上昇 | 頻度不明 |
| 血中免疫グロブリンE上昇 | 頻度不明 |
| 血中尿素上昇 | 頻度不明 |
| 血圧上昇 | 頻度不明 |
| 血小板数減少 | 頻度不明 |
| 血小板減少症 | 頻度不明 |
| 視力障害 | 頻度不明 |
| 貧血 | 頻度不明 |
| 転倒 | 頻度不明 |
| 鎮静 | 頻度不明 |
| 限局性及び全身性皮疹 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 頻度不明 |
| 麻痺性イレウス | 頻度不明 |
| 鼻漏 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
-
18.1.1本剤はドパミンD1様及びD2様受容体作動薬であり、線条体において当該受容体を刺激することによりパーキンソン病における運動機能障害に対して改善効果を示す。
-
18.1.2ヒト組換えドパミンD1様(D1及びD5)及びD2様(D2、D3及びD4)受容体に対し、親和性を有する8)(in vitro)。
-
18.1.3ラットの線条体ホモジネートにおいてアデニル酸シクラーゼを活性化することから、D1様受容体作動薬と考えられる9)(in vitro)。
-
18.1.4ラット脳下垂体中葉のメラニン細胞刺激ホルモン(MSH)産生細胞からのMSHの放出を抑制することや、ラットの線条体スライスにおいてドパミンの放出を抑制すること等から、D2様受容体作動薬と考えられる10),11)(in vitro)。
18.2 パーキンソン病様症状改善作用
-
18.2.1レセルピン処置マウスのカタレプシーやレセルピン処置ラットのアキネジア等の運動障害に対し改善作用を示した12),13)。
-
18.2.26-hydroxydopamineによる片側黒質-線条体ドパミン神経破壊ラットにおいて破壊側と逆方向に回転行動を誘発した14)。
-
18.2.3カニクイザル、リスザル及びコモンマーモセットの1-Methyl-4-phenyl-1, 2, 3, 6-tetrahydropyridine誘発パーキンソン様症状(無動、動作緩慢、固縮及び姿勢反射障害等)に対して改善作用を示した15),16),17)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回投与
健康成人男性にドンペリドン(制吐剤)併用下で、本剤1、2及び3mgを単回皮下投与したときの血漿中アポモルヒネ濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった1)。
健康成人男性に単回皮下投与したときの血漿中濃度推移
| 投与量 (例数) |
tmax (h) |
Cmax (ng/mL) |
AUC0-∞ (ng・h/mL) |
t1/2 (h) |
|---|---|---|---|---|
| 1mg (n=5) |
0.267 ±0.091 |
3.330 ±1.235 |
3.448 ±1.067 |
0.768 ±0.199 |
| 2mg (n=6) |
0.336 ±0.111 |
7.826 ±2.320 |
7.223 ±1.682 |
0.694 ±0.250 |
| 3mg (n=6) |
0.278 ±0.086 |
11.95 ±3.70 |
12.722 ±2.355 |
0.989 ±0.130 |
mean±S.D.
- 16.1.2反復投与
パーキンソン病患者8例にドンペリドン(制吐剤)併用下で、本剤2~6mgを2時間ごとに3回反復皮下投与したとき、いずれの患者でも蓄積性は認められなかった2)。 また、パーキンソン病患者54例に各患者の維持用量(本剤1~6mg)を1~5回/日で12~52週間反復皮下投与したとき、各患者の投与後20~40分の血漿中アポモルヒネ濃度(Cmax)は反復投与期間中を通して大きな変化は認められなかった。
- 16.1.3用量比例性
パーキンソン病患者89例に本剤を反復皮下投与して維持用量を決定し、維持用量(1~6mg)群別に1mgから維持用量までの用量比例性を検討した。いずれの維持用量群においても投与後20~40分の血漿中アポモルヒネ濃度(Cmax)は投与量に比例して増加した。
維持用量3mg群(22例)における投与量とCmaxの関係
16.3 分布
- 16.3.1蛋白結合率
ヒト血漿蛋白結合率は90.4~93.6%であった3)(in vitro)。
16.4 代謝
外国人健康成人6例にtrimethobenzamide注1)(制吐剤)併用下で、14C-アポモルヒネ塩酸塩2mgを単回皮下投与したとき、投与後0.5時間の血漿中には未変化体が約8%認められた。主代謝物は硫酸抱合体(約83%)であった。尿中に未変化体は認められず、主代謝物は硫酸抱合体であった4)。
16.5 排泄
外国人健康成人6例にtrimethobenzamide注1) (制吐剤)併用下で、14C-アポモルヒネ塩酸塩2mgを単回皮下投与したとき、投与後144時間までに投与放射能の91.3%(尿中86.7%、糞中4.56%)が排泄された4)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎機能障害患者
外国人健康成人及び外国人腎機能障害(クレアチニンクリアランス推定値に基づく中等度の障害)患者にtrimethobenzamide注1)(制吐剤)併用下で、本剤2mg(健康成人4例及び腎機能障害患者1例)又は3mg(健康成人4例及び腎機能障害患者7例)を単回皮下投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった。腎機能障害患者のCmax及びAUC0-∞は、健康成人に比べてそれぞれ約50%及び約16%高い値を示した5)。
| 投与対象 (例数) |
tmax (h) |
Cmax a) (ng/mL) |
AUC0-∞a) (ng・h/mL) |
t1/2 (h) |
CL/F (L/h) |
|---|---|---|---|---|---|
| 健康成人 (n=8) |
0.560 ±0.178 |
4.967 ±1.877 |
7.723 ±2.031 |
0.941 ±0.429 |
422.2 ±153.8 |
| 腎機能障害患者 (n=8) |
0.490 ±0.282 |
7.777 ±3.498 |
8.982 ±2.777 |
0.828 ±0.334 |
361.7 ±104.3 |
mean±S.D. a)2mgを投与した健康成人及び腎機能障害患者については3mg投与換算値
- 16.6.2肝機能障害患者
外国人健康成人及び外国人肝機能障害(Child-Pugh分類による中等度の肝機能障害(7例)及び重度の肝機能障害(1例))患者にtrimethobenzamide注1)(制吐剤)併用下で、本剤3mgを単回皮下投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった。肝機能障害患者のCmax及びAUC0-∞は、健康成人に比べてそれぞれ約25%及び約10%高い値を示した6)。
| 投与対象 (例数) |
tmax (h) |
Cmax (ng/mL) |
AUC0-∞ (ng・h/mL) |
t1/2 (h) |
CL/F (L/h) |
|---|---|---|---|---|---|
| 健康成人 (n=8) |
0.645 ±0.271 |
3.854 ±1.731 |
6.971 ±1.167 |
1.029 ±0.237 |
531.9 ±266.5 |
| 肝機能障害患者 (n=8) |
0.604 ±0.317 |
4.848 ±2.157 |
7.833 ±2.231 |
0.969 ±0.356 |
501.5 ±277.8 |
mean±S.D.
注1)国内未承認