Clinical snapshot

アボネックス筋注用シリンジ30μg

インターフェロン ベータ-1a(遺伝子組換え)Interferon Beta-1a(Genetical Recombination)(略名:IFNβ-1a)

添付文書改訂 2024年04月01日

【警告】

  1. 1.1本剤又は他のインターフェロン製剤の投与によりうつ病や自殺企図が報告されているので、投与にあたっては、うつ病、自殺企図の症状又は他の精神神経症状があらわれた場合には直ちに医師に連絡するように注意を与えること。

  2. 1.2間質性肺炎があらわれることがあるので、投与にあたっては、患者の状態を十分に観察し、呼吸困難等があらわれた場合には、直ちに医師に連絡するように注意を与えること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1*本剤の成分又は他のインターフェロン製剤に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2*重度のうつ病又は自殺念慮のある患者又はその既往歴のある患者[うつ病や自殺企図があらわれることがある。]

  3. 2.3*非代償性肝疾患の患者

  4. 2.4*自己免疫性肝炎の患者

  5. 2.5*治療による管理が十分なされていないてんかん患者[症状が悪化するおそれがある。]

  6. 2.6*小柴胡湯を投与中の患者

  7. 2.7*ワクチン等生物学的製剤に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

多発性硬化症の再発予防

用法・用量

通常、成人にはインターフェロン ベータ-1a(遺伝子組換え)として1回30μgを週一回筋肉内投与する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の投与初期においてインフルエンザ様症状(発熱、悪寒、頭痛、筋痛、無力症、疲労、悪心及び嘔吐等)があらわれるので、その旨を患者にあらかじめ説明しておくこと。投与数時間~数日後にあらわれることもあるので、投与後数日間は慎重に観察するとともに、異常が認められた場合には、解熱消炎鎮痛薬の併用等適切な処置を行うこと。

  2. 8.2過敏症等の反応を予測するため、使用に際しては十分な問診を行うとともに、あらかじめ本剤によるプリック試験を行うことが望ましい。

  3. 8.3劇症肝炎等の重篤な肝障害があらわれることがある。投与開始前及び投与中は肝機能検査(AST、ALT、γ-GTP等)を定期的に(1~3ヵ月に1回)行うなど患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。肝機能障害の既往のある患者では、投与開始1~2週間後にも検査をすることが望ましい。また、肝機能障害が報告されている薬剤やアルコールなどと本剤の併用により肝障害が発現する可能性があるので、それらと併用する際には十分注意すること。また、本剤投与後に悪心・嘔吐、倦怠感、食欲不振、尿濃染、眼球結膜黄染等の症状があらわれた場合には、医師等に連絡するよう患者に指導すること。

  4. 8.4汎血球減少症、白血球減少又は血小板減少等の血球数減少を起こすことがあるので、白血球分画及び血小板数を含む血液検査を定期的に行い、患者の状態を十分に観察すること。

  5. 8.5本剤投与中は尿検査(尿蛋白)を定期的に行うこと。

  6. 8.6自己投与の適用については、医師がその妥当性を検討し、患者に対し十分な教育訓練を実施した後、本剤投与による危険性と対処法を理解させ、患者自らが筋肉内に確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導の下で実施すること。また、適用後、感染等本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させ、医師の管理下で慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。

使用済みの注射針あるいは注射器を再使用しないように患者に注意を促し、安全な廃棄方法について指導を徹底すること。すべての器具の安全な廃棄方法に関する指導を行うと同時に、使用済みの針及び注射器を廃棄する容器を提供すること。

  1. 8.7本剤投与により中和抗体が出現することがある。In vitroの試験において、中和抗体が本剤の生物活性を減弱させることが知られている。また、中和抗体が、本剤の臨床効果を減弱させる可能性がある。

  2. 8.8本剤の投与にあたっては、抑うつ、自殺企図をはじめ、躁状態、攻撃的行動、不眠、不安、焦燥、興奮、攻撃性、易刺激性等の精神神経症状発現の可能性について患者及びその家族に十分理解させ、これらの症状があらわれた場合には直ちに連絡するよう注意を与えること。

  3. 8.9投与を一時中止し、再投与する場合、ショック等の過敏症があらわれることがあるので、慎重に投与すること。

  4. 8.10間質性肺炎があらわれることがあるので、咳嗽又は呼吸困難等があらわれた場合には直ちに連絡するよう患者に対し注意を与えること。

  5. 8.11溶血性尿毒症症候群(HUS)があらわれることがあるので、定期的に腎機能検査及び血液学的検査(血小板、赤血球等)を行うこと。

  6. 8.12糖尿病があらわれることがあるので、定期的に検査(血糖値、尿糖等)を行うこと。

  7. 8.13急性腎不全があらわれることがあるので、定期的に腎機能検査を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1うつ病又は他の精神神経症状のある患者又はその既往歴のある患者(ただし重度のうつ病又は自殺念慮のある患者又はその既往歴のある患者を除く)

症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.2てんかん等のけいれん性疾患又はこれらの既往歴のある患者(ただし治療による管理が十分なされていないてんかん患者を除く)

症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.3心疾患(狭心症、うっ血性心不全及び不整脈等)のある患者又はその既往歴のある患者

症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.4骨髄抑制、貧血又は血小板減少症のある患者

症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.5アレルギー素因のある患者

症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.6高血圧症を有する患者

脳出血等があらわれるおそれがある。

  1. 9.1.7糖尿病患者又はその既往歴、家族歴、耐糖能障害のある患者

症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.8多発性硬化症以外の自己免疫疾患(ただし自己免疫性肝炎を除く)のある患者又はその素因のある患者

症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.9薬物過敏症の既往歴のある患者

ショック等の過敏症があらわれることがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重篤な腎障害のある患者

症状が悪化するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1非代償性肝疾患の患者

投与しないこと。症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.3.2自己免疫性肝炎の患者

投与しないこと。肝炎が悪化するおそれがある。

  1. 9.3.3重篤な肝障害のある患者(ただし非代償性肝疾患の患者又は自己免疫性肝炎の患者を除く)又はその既往歴のある患者

症状が悪化するおそれがある。

9.5 妊婦

*妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物試験(サル)において本剤の高用量の投与で流産が認められたとの報告がある。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中への移行が報告されている1) 。

9.7 小児等

臨床試験において除外されている。

9.8 高齢者

患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に高齢者では生理機能が低下している。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
小柴胡湯
間質性肺炎があらわれるおそれがある。なお、類薬(インターフェロンアルファ製剤)と小柴胡湯との併用で間質性肺炎があらわれたとの報告がある。 機序は不明である。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
抗てんかん剤
(フェニトイン等)
抗てんかん剤の作用を増強するおそれがある。 インターフェロン類は、動物において肝チトクロームP450分子種2C9及び2C19の活性を低下させるとの報告がある。
アンチピリン 本剤の投与量増加に伴い血漿中アンチピリンの消失が遅延することが報告されている。 インターフェロン類は、ヒトにおいて肝チトクロームP450分子種1A2の量及び活性を低下させるとの報告がある。
ワルファリン ワルファリンの作用を増強するおそれがあるので用量を調節するなど注意すること。 インターフェロン類は、ヒトにおいて肝チトクロームP450分子種1A2の量及び活性を低下させるとの報告がある。
テオフィリン テオフィリンの血中濃度を高めるおそれがある。 インターフェロン類は、ヒトにおいて肝チトクロームP450分子種1A2の量及び活性を低下させるとの報告がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT増加 頻度不明
AST増加 頻度不明
CRP増加 頻度不明
γ-GTP増加 頻度不明
インフルエンザ様症状(80%) 5%以上
そう痒症 頻度不明
上気道感染 頻度不明
下痢 頻度不明
不安 頻度不明
不整脈 頻度不明
不正子宮出血 頻度不明
不眠症 頻度不明
中耳炎 頻度不明
低色素性貧血 頻度不明
体重減少 頻度不明
倦怠感 5%以上
副鼻腔炎 頻度不明
動悸 頻度不明
咽頭炎 5%以上
嘔吐 頻度不明
嚢胞 5%以上
四肢痛 頻度不明
多汗症 頻度不明
失神 頻度不明
寝汗 頻度不明
尿検査異常 頻度不明
尿路感染 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心 5%以上
感情不安定 頻度不明
感染 頻度不明
感覚鈍麻 頻度不明
月経困難症 頻度不明
月経過多 頻度不明
歯痛 頻度不明
気管支炎 頻度不明
注射部位内出血 頻度不明
注射部位反応 5%以上
注射部位斑状出血 頻度不明
注射部位炎症 頻度不明
注射部位疼痛 頻度不明
注射部位硬結 頻度不明
注射部位紅斑 頻度不明
注射部位膿瘍 頻度不明
注射部位蜂巣炎 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
無力症 頻度不明
片頭痛 頻度不明
疲労 頻度不明
疼痛 頻度不明
発熱(44%)注3) 5%以上
皮膚炎 頻度不明
眼の障害 頻度不明
睡眠困難 頻度不明
知覚過敏 頻度不明
知覚障害 頻度不明
筋力低下 5%以上
筋痙直 頻度不明
筋緊張亢進 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
筋骨格硬直 頻度不明
耳痛 頻度不明
聴覚障害 頻度不明
肝機能検査異常 頻度不明
背部痛 5%以上
胸痛 頻度不明
脱毛症 頻度不明
腹痛 頻度不明
薬疹 頻度不明
血中CK増加 頻度不明
血管拡張 頻度不明
貧血 頻度不明
錯乱状態 頻度不明
錯感覚 頻度不明
関節炎 頻度不明
関節痛 5%以上
頭痛(28%) 5%以上
頻脈 頻度不明
食欲減退 5%以上
鼻漏 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

インターフェロンベータが多発性硬化症に対して臨床効果を発揮する正確な機序は不明であるが、下記のような作用が多発性硬化症の再発予防に関与するものと考えられる。

  1. 18.1.1免疫調節作用

A549細胞(ヒト肺がん細胞株)にインターフェロンベータ-1aを加えて培養した後、間接的FACS解析を行った結果、A549細胞表面にクラスI主要組織適合性抗原を誘発した13)。

  1. 18.1.2抗ウイルス作用

A549細胞(ヒト肺がん細胞株)にインターフェロンベータ-1aを加えて培養した後、脳心筋炎ウイルスを接種し、細胞変性効果(CPE)測定法を用いて細胞生存率を測定した結果、抗ウイルス作用が認められた13)。

  1. 18.1.3細胞増殖抑制作用

Daudi細胞(ヒトBリンパ腫細胞株)にインターフェロンベータ-1aを加えて培養した後、3H-チミジン1μCiを加えて標識し、液体シンチレーション計数法によりチミジンの量を測定した結果、細胞増殖抑制作用が認められた13)。

薬物動態

16.1 血中濃度

外国人健康成人に本剤(60μg)を単回筋肉内投与した際の薬物動態パラメータ及び薬力学的パラメータは以下のとおりであった6)。

投与量
(μg)
n
(例)
Tmax
(hr)
Cmax
(IU/mL)
AUC(0-168)
(IU・hr/mL)
60 87 13.0 71.4 2,006.9
投与量
(μg)
n
(例)
Tmax
(hr)
Emax
(μg/L)
EAUC(0-168)
(μg・hr/L)
60 92 47.61 860 72,230