Clinical snapshot

アベロックス錠400mg

モキシフロキサシン塩酸塩

添付文書改訂 2022年11月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分又は他のキノロン系抗菌剤に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2重度の肝障害のある患者

  3. 2.3QT延長のある患者(先天性QT延長症候群等)

  4. 2.4低カリウム血症のある患者

  5. 2.5クラスIA(キニジン、プロカインアミド、ジソピラミド、シベンゾリン、ピルメノール)又はクラスⅢ(アミオダロン、ソタロール等)の抗不整脈薬を投与中の患者

  6. 2.6妊婦又は妊娠している可能性のある女性

  7. 2.7小児等

効能・効果

  • 〈適応菌種〉

モキシフロキサシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、プロテウス属、インフルエンザ菌、レジオネラ・ニューモフィラ、アクネ菌、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)

  • 〈適応症〉

表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、副鼻腔炎

用法・用量

通常、成人にはモキシフロキサシンとして、1回400mgを1日1回経口投与する。

使用上の注意

  1. 8.1ショック、アナフィラキシーがあらわれるおそれがあるので、事前にアレルギー既往歴、薬物過敏症等について十分な問診を行うこと。

  2. 8.2本剤投与によりQT延長がみられていることから、心血管系障害を有する患者に対しては、本剤の投与を開始する前に心血管系の状態に注意をはらうこと。

  3. 8.3失神、意識消失、めまい等があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。投与にあたっては、これらの副作用が発現する場合があることを患者等に十分に説明すること。

  4. 8.4大動脈瘤、大動脈解離を引き起こすことがあるので、観察を十分に行うとともに、腹部、胸部又は背部に痛み等の症状があらわれた場合には直ちに医師の診察を受けるよう患者に指導すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者

痙攣を起こすことがある。

  1. 9.1.2重度の徐脈等の不整脈、急性心筋虚血等の不整脈を起こしやすい患者

心室性頻拍(Torsades de pointesを含む)、QT延長を起こすことがある。

  1. 9.1.3重症筋無力症の患者

症状を悪化させることがある。

  1. 9.1.4大動脈瘤又は大動脈解離を合併している患者、大動脈瘤又は大動脈解離の既往、家族歴若しくはリスク因子(マルファン症候群等)を有する患者

必要に応じて画像検査の実施を考慮すること。海外の疫学研究において、フルオロキノロン系抗菌薬投与後に大動脈瘤及び大動脈解離の発生リスクが増加したとの報告がある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重度の肝障害のある患者

投与しないこと。臨床試験では除外されている。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(サル、経口)で流産が報告されている。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット、経口)で乳汁中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

投与しないこと。動物実験(幼若イヌ、幼若ラット)で関節部の軟骨障害が認められている2),3)。また、小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

  1. 9.8.1腱障害があらわれやすいとの報告がある。

  2. 9.8.2患者の一般状態に注意して慎重に投与すること。本剤の臨床試験成績では、高齢者において認められた副作用の種類及びその発現率は、非高齢者と同様であったが、一般に高齢者では生理機能が低下していることが多い。特に、体重が40kg未満の高齢者では血中・組織内濃度が高くなるおそれがあり、副作用が発現しやすい。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
クラスIA抗不整脈薬
• キニジン
• プロカインアミド(アミサリン)
• ジソピラミド(リスモダン)
• シベンゾリン(シベノール)
• ピルメノール(ピメノール)クラスⅢ抗不整脈薬
• アミオダロン(アンカロン)
• ソタロール(ソタコール)
本剤を併用した場合、相加的なQT延長がみられるおそれがあり、心室性頻拍(Torsades de pointesを含む)、QT延長を起こすことがある。 これらの抗不整脈薬は単独投与でもQT延長作用がみられている。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
チアジド系利尿剤
ループ系利尿剤
糖質副腎皮質ホルモン剤
ACTH
グリチルリチン製剤
低カリウム血症のある患者に本剤を投与した場合、心室性頻拍(Torsades de pointesを含む)、QT延長を起こすことがある。 これらの薬剤が有するカリウム排泄作用により、低カリウム血症を発現することがある。
エリスロマイシン
抗精神病薬
三環系抗うつ薬
本剤を併用した場合、相加的なQT延長がみられるおそれがある。 これらの薬剤ではQT間隔を延長するとの報告がある。
アルミニウム又はマグネシウム含有の制酸剤等
鉄剤
本剤の吸収が低下し、効果が減弱されるおそれがあるので、本剤服用後2時間以上あけるなど注意すること。 多価の金属イオン含有製剤を併用した場合、難溶性のキレートを形成し、本剤の消化管からの吸収を減少させ、血中濃度を低下させるためと考えられている。
ワルファリン ワルファリンの作用を増強し、プロトロンビン時間の延長があらわれることがある。本剤を併用する場合は、プロトロンビン時間国際標準比(INR)値等を測定するなど、観察を十分に行うこと。 ワルファリンの肝代謝を抑制、又はタンパク結合部位での置換により遊離ワルファリンが増加する等と考えられている。
フェニル酢酸系又はプロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛剤
• ロキソプロフェン等
本剤を併用した場合、痙攣を起こすおそれがある。 中枢神経系におけるGABAA受容体への結合阻害が増強されると考えられている。
副腎皮質ホルモン剤(経口剤、注射剤)
• プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン等
腱障害のリスクが増大するとの報告がある。これらの薬剤との併用は、治療上の有益性が危険性を上回る場合のみとすること。 機序不明

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P上昇 頻度不明
ALT上昇 頻度不明
APTT延長 1%未満
AST上昇 頻度不明
INR増加 1%未満
INR減少 1%未満
γ-GTP上昇 1%未満
アミラーゼ上昇 1%未満
アレルギー反応 1%未満
うつ病 1%未満
カンジダ症 頻度不明
じん麻疹 1%未満
そう痒 1%未満
ビリルビン上昇 1%未満
一時的な視力喪失 頻度不明
下痢 頻度不明
不安 1%未満
不整脈 頻度不明
会話障害 1%未満
低血圧 1%未満
便秘 1%未満
健忘 1%未満
傾眠 1%未満
動悸 1%未満
協調運動障害 1%未満
口内炎 1%未満
口渇 頻度不明
味覚障害 1%未満
呼吸困難 1%未満
嗅覚障害 1%未満
嘔吐 頻度不明
嚥下障害 1%未満
回転性めまい 1%未満
多発ニューロパシー 頻度不明
好中球減少 頻度不明
好酸球増加 1%未満
心停止※ 頻度不明
心室性頻脈性不整脈 頻度不明
悪心 頻度不明
情動不安定 1%未満
感覚鈍麻 1%未満
振戦 1%未満
末梢性浮腫 1%未満
歩行障害 頻度不明
注意力障害 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
消化不良 頻度不明
無力症 1%未満
異常な夢 1%未満
疼痛 1%未満
発汗 1%未満
発疹 1%未満
白血球減少 1%未満
睡眠障害 1%未満
知覚過敏 頻度不明
筋力低下 頻度不明
筋痙攣 1%未満
筋痛 1%未満
精神病性反応 頻度不明
精神運動亢進 1%未満
耳鳴 1%未満
聴覚障害 1%未満
胃腸炎 1%未満
脱水 頻度不明
腎機能障害 1%未満
腹痛 頻度不明
血小板増加 1%未満
血小板減少 1%未満
血管拡張 1%未満
視覚障害 1%未満
貧血 1%未満
錯感覚 1%未満
関節炎 1%未満
関節痛 1%未満
離人症 1%未満
頭痛 頻度不明
頻脈 1%未満
食欲不振 1%未満
高尿酸血症 1%未満
高脂血症 1%未満
高血圧 1%未満
高血糖 1%未満
鼓腸 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤は細菌のDNAジャイレース及びトポイソメレースⅣに対して阻害活性を示し、殺菌的に作用する29),30)。

18.2 抗菌作用

グラム陽性菌、グラム陰性菌、嫌気性菌及び非定型菌に対し、幅広い抗菌スペクトルを有し、ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、プロテウス属、インフルエンザ菌、レジオネラ・ニューモフィラ、アクネ菌、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)に対して強い抗菌活性を示す。特に呼吸器感染症の原因菌である肺炎球菌(ペニシリン耐性肺炎球菌を含む)に対して、同系統のレボフロキサシンより優れた抗菌活性を示した29),31),32),33),34),35)。

18.3 実験的感染症に対する治療効果

肺炎球菌によるマウスの呼吸器感染症モデルにおいて、経口投与による生存率の改善が認められ、同系統のレボフロキサシンより優れた治療効果を示した31)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人男性6例に400mgを単回経口投与した場合の血漿中濃度は以下のとおりであった8)。

投与量 Cmax
(μg/mL)
Tmax
(hr)
AUC0-∞
(μg・hr/mL)
t1/2
(hr)
400mg 4.13 1.75 51.5 13.9
  1. 16.1.2反復投与

健康成人男性6例に400mgを1日1回7日間反復経口投与した場合の定常状態におけるCmax及びAUC0-24は、それぞれ4.08μg/mL、46.7μg・hr/mLであった8)。

16.2 吸収

絶対的バイオアベイラビリティーは約87%であった9)。

16.3 分布

健康成人男性又は感染症患者に400mgを経口投与した場合の各組織及び体液中濃度は以下のとおりであり、良好な組織移行性が確認された10),11),12)。特に肺胞マクロファージ及び気道分泌液には高い濃度が認められた(外国人データ)。 血漿タンパク結合率は約50%(in vitro試験)であった13)。

n 投与後
時間
血中濃度 組織・体液中濃度 血中濃度に対する比
気管支粘膜 8 3時間 3.2μg/mL 5.4μg/g 1.7
肺胞マクロファージ 5 56.7μg/g 18.6
気道分泌液 5 20.7μg/mL 6.8
上顎洞 4 3時間 3.6μg/mL 7.5μg/g 2.0
篩骨洞 3 8.2μg/g 2.1
鼻ポリープ 4 9.1μg/g 2.6
水疱液(表皮下) 12 10時間 1.6μg/mL

(幾何平均値)

16.4 代謝

血漿中及び尿中代謝物として、硫酸抱合体及びグルクロン酸抱合体が確認された14)。ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro代謝試験の結果、チトクロームP450(CYP)系を介した代謝物は生成されなかった15)。また、ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro阻害試験の結果、3A4、2D6、2C9、2C19、1A2の各CYP分子種に対しても阻害作用を示さなかった16)(外国人データ)。

16.5 排泄

健康成人男性6例に400mgを単回経口投与した場合、投与後96時間までに投与量の約35%(未変化体:約19%、硫酸抱合体:約3%、グルクロン酸抱合体:約14%)が尿中に、約61%(未変化体:約25%、硫酸抱合体:約36%)が糞中に排泄された14)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎障害患者及び透析患者

腎障害患者24例に400mgを単回経口投与した場合、腎機能の低下に伴い未変化体の尿中排泄率及び腎クリアランスは低下したが、血漿中濃度推移に変化は認められなかった17)。血液透析患者及び連続携行式腹膜透析(CAPD)患者の各8例に400mgを1日1回7日間反復経口投与した場合にも、全身クリアランスの低下はみられず、定常状態と初回投与時で未変化体の血漿中濃度推移に変化はなく蓄積性も認められなかった。透析による除去率は、CAPDで約3%、血液透析(5時間)で約9%と低かった18)(外国人データ)。

  1. 16.6.2肝障害患者

軽度又は中等度の肝障害患者16例(Child-Pugh分類クラスA:6例、クラスB:10例)に400mgを単回経口投与した場合、代謝物の血漿中濃度は上昇したが、未変化体の血漿中濃度に差は認められなかった19),20)(外国人データ)。

  1. 16.6.3高齢者

健康成人男性及び女性(年齢20~71歳)59例に400mgを1日1回7日間反復経口投与した場合、年齢で層別した未変化体の血漿中濃度に差は認められなかった21)。

年齢層 n Cmax
(μg/mL)
Tmax※
(hr)
AUC0-24
(μg・hr/mL)
t1/2
(hr)
若年
(20~39歳)
19 5.06 2.03 59.1 11.5
中年
(40~59歳)
20 4.50 2.03 53.7 11.2
高齢
(60歳以上)
20 4.95 1.05 57.9 11.7

※:中央値 (幾何平均値)