Clinical snapshot

アピドラ注100単位/mL

インスリン グルリジン(遺伝子組換え)

添付文書改訂 2020年05月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1低血糖症状を呈している患者

  2. 2.2本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

インスリン療法が適応となる糖尿病

用法・用量

通常、成人では1回2~20単位を毎食直前に皮下注射するが、中間型又は持効型溶解インスリン製剤と併用することがある。投与量は、患者の症状及び検査所見に応じて適宜増減するが、中間型又は持効型溶解インスリン製剤の投与量を含めた維持量としては通常1日4~100単位である。 必要に応じポータブルインスリン用輸液ポンプを用いて投与する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の自己注射にあたっては、以下の点に留意すること。
  • 投与法について十分な教育訓練を実施したのち、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。

  • すべての器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。

  1. 8.2低血糖に関する注意について、その対処法も含め患者及びその家族に十分徹底させること。

  2. 8.3急激な血糖コントロールに伴い、糖尿病網膜症の顕在化又は増悪、眼の屈折異常、治療後神経障害(主として有痛性)があらわれることがあるので注意すること。

  3. 8.4他のインスリン製剤から本剤への変更により、インスリン用量の変更が必要になる可能性がある。用量の調整には、初回の投与から数週間あるいは数ヵ月間必要になることがある。

  4. 8.5本剤と他のインスリン製剤を取り違えないよう、毎回注射する前に本剤のラベル等を確認するよう患者に十分指導すること。

  5. 8.6低血糖を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること。

  6. 8.7*同一箇所への繰り返し投与により、注射箇所に皮膚アミロイドーシス又はリポジストロフィーがあらわれることがあるので、定期的に注射箇所を観察するとともに、以下の点を患者に指導すること。

  • *本剤の注射箇所は、少なくとも前回の注射箇所から2~3cm離すこと。

  • *注射箇所の腫瘤や硬結が認められた場合には、当該箇所への投与を避けること。

  1. 8.8*皮膚アミロイドーシス又はリポジストロフィーがあらわれた箇所に本剤を投与した場合、本剤の吸収が妨げられ十分な血糖コントロールが得られなくなることがある。血糖コントロールの不良が認められた場合には、注射箇所の腫瘤や硬結の有無を確認し、注射箇所の変更とともに投与量の調整を行うなどの適切な処置を行うこと。血糖コントロールの不良に伴い、過度に増量されたインスリン製剤が正常な箇所に投与されたことにより、低血糖に至った例が報告されている。

  2. 8.9*インスリン含有単位(UNITS)と液量の単位(mL)を混同することにより、誤ったインスリン量を投与する可能性がある。本剤を調製又は投与する場合は、「単位」もしくは「UNITS」の目盛が表示されているインスリンバイアル専用の注射器を用いること。 ただし、持続皮下インスリン注入療法(CSII療法)に用いる場合は、ポータブルインスリン用輸液ポンプの取扱説明書に記載された器具を用いること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1手術、外傷、感染症等の患者

インスリン需要の変動が激しい。

  1. 9.1.2自律神経障害のある患者

低血糖の自覚症状が明確でないことがある。

  1. 9.1.3低血糖を起こしやすい以下の患者又は状態
  • 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全

  • 下痢、嘔吐等の胃腸障害

  • 飢餓状態、不規則な食事摂取

  • 激しい筋肉運動

  • 過度のアルコール摂取

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重篤な腎障害のある患者

低血糖を起こすおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重篤な肝障害のある患者

低血糖を起こすおそれがある。

9.5 妊婦

治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠した場合、あるいは妊娠が予測される場合には医師に知らせるよう指導すること。妊娠中、周産期等にはインスリンの需要量が変化しやすいため、用量に留意し、定期的に検査を行い投与量を調整すること。通常インスリン需要量は、妊娠初期は減少し、中期及び後期は増加する。

9.6 授乳婦

用量に留意し、定期的に検査を行い投与量を調整すること。インスリンの需要量が変化しやすい。

9.7 小児等

定期的に検査を行うなどして投与すること。成長及び活動性に応じてインスリンの需要量が変化する。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。生理機能が低下していることが多く、低血糖が起こりやすい。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• 糖尿病用薬• ビグアナイド系薬剤
• スルホニルウレア系薬剤
• 速効型インスリン分泌促進剤
• α-グルコシダーゼ阻害剤
• チアゾリジン系薬剤
• DPP-4阻害薬
• GLP-1受容体作動薬
• SGLT2阻害剤 等
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
血糖降下作用が増強される。
モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
インスリン分泌促進、糖新生抑制作用による血糖降下作用を有する。
• 三環系抗うつ剤• ノルトリプチリン塩酸塩 等 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
機序は不明であるが、インスリン感受性を増強するなどの報告がある。
• サリチル酸誘導体• アスピリン
• エテンザミド
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
糖に対するβ細胞の感受性の亢進やインスリン利用率の増加等による血糖降下作用を有する。また、末梢で弱いインスリン様作用を有する。
• 抗腫瘍剤• シクロホスファミド水和物 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
インスリンが結合する抗体の生成を抑制し、その結合部位からインスリンを遊離させる可能性がある。
• クマリン系薬剤• ワルファリンカリウム 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
機序不明
クロラムフェニコール 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
機序不明
サルファ剤 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
膵臓でのインスリン分泌を増加させることにより、低血糖を起こすと考えられている。腎機能低下、空腹状態の遷延、栄養不良、過量投与が危険因子となる。
シベンゾリンコハク酸塩
ジソピラミド
ピルメノール塩酸塩水和物
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
インスリン分泌作用を認めたとの報告がある。
• フィブラート系薬剤• ベザフィブラート 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
インスリン感受性増強等の作用により、本剤の作用を増強する。
レセルピン 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
低血糖に対する交感神経系の症状(振戦、動悸等)をマスクし、低血糖を遷延させる可能性がある。
• チアジド系利尿剤• トリクロルメチアジド
• ループ利尿剤• フロセミド
血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
カリウム喪失が関与すると考えられている。カリウム欠乏時には、血糖上昇反応に対するβ細胞のインスリン分泌能が低下する可能性がある。
• 副腎皮質ステロイド• プレドニゾロン
• トリアムシノロン
血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
糖新生亢進、筋肉組織・脂肪組織からのアミノ酸や脂肪酸の遊離促進、末梢組織でのインスリン感受性低下等による血糖上昇作用を有する。
• ACTH• テトラコサクチド酢酸塩 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
副腎皮質刺激作用により糖質コルチコイドの分泌が増加する。糖質コルチコイドは、糖新生亢進、筋肉組織・脂肪組織からのアミノ酸や脂肪酸の遊離促進、末梢組織でのインスリン感受性低下等による血糖上昇作用を有する。
アドレナリン 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
糖新生亢進、末梢での糖利用抑制、インスリン分泌抑制による血糖上昇作用を有する。
グルカゴン 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
糖新生亢進、肝グリコーゲン分解促進による血糖上昇作用を有する。
• 甲状腺ホルモン• レボチロキシンナトリウム水和物
• 乾燥甲状腺
血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
糖新生亢進、肝グリコーゲン分解促進による血糖上昇作用を有する。
• 成長ホルモン• ソマトロピン 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
抗インスリン様作用による血糖上昇作用を有する。
• 卵胞ホルモン• エチニルエストラジオール
• 結合型エストロゲン
血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
末梢組織でインスリンの作用に拮抗する。
経口避妊薬 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
末梢組織でインスリンの作用に拮抗する。
ニコチン酸 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
末梢組織でのインスリン感受性を低下させるため耐糖能障害を起こす。
濃グリセリン 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
代謝されて糖になるため、血糖値が上昇する。
イソニアジド 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
炭水化物代謝を阻害することによる血糖上昇作用を有する。
ダナゾール 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
インスリン抵抗性を増強するおそれがある。
フェニトイン 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
インスリン分泌抑制作用を有する。
ブセレリン酢酸塩 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
機序不明
耐糖能を悪化させることがある。
フェノチアジン誘導体 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
機序不明であるが、動物実験(ラット)において、インスリン分泌が低下したとの報告がある。
• 蛋白同化ステロイド• メスタノロン 血糖降下作用の増強による低血糖症状、又は減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
機序不明
• ソマトスタチンアナログ製剤• オクトレオチド酢酸塩 等 血糖降下作用の増強による低血糖症状、又は減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
インスリン、グルカゴン及び成長ホルモン等互いに拮抗的に調節作用をもつホルモン間のバランスが変化することがある。
ペンタミジンイセチオン酸塩 血糖降下作用の増強による低血糖症状、又は減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
膵臓のβ細胞に作用し、初期に低血糖、それに引き続いて高血糖を起こすことがある。
• β-遮断剤• プロプラノロール塩酸塩
• アテノロール
• ピンドロール
• セリプロロール塩酸塩 等
血糖降下作用の増強による低血糖症状、又は減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
アドレナリンによる低血糖からの回復反応を抑制する。また、低血糖に対する交感神経系の症状(振戦、動悸等)をマスクし、低血糖を遷延させる可能性がある。また、インスリン感受性は薬剤により増強あるいは減弱することが報告されている。
炭酸リチウム 血糖降下作用の増強による低血糖症状、又は減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
機序不明
インスリン分泌が減少したとの報告、逆に低血糖が発現したとの報告がある。
クロニジン 血糖降下作用の増強による低血糖症状、又は減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
機序不明
血糖値が低下したとの報告、逆に血糖値を上昇させたとの報告がある。また、低血糖に対する交感神経系の症状(振戦、動悸等)をマスクし、低血糖を遷延させる可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
そう痒感等) 頻度不明
リポジストロフィー(皮下脂肪の萎縮・肥厚等) 頻度不明
全身性そう痒症 頻度不明
増悪 1〜5%未満
注射部位反応(発赤 頻度不明
発疹 頻度不明
皮膚アミロイドーシス 頻度不明
糖尿病性網膜症の顕在化 1〜5%未満
腫脹 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

インスリン グルリジンは、ヒトインスリンのB鎖3番目のアスパラギン残基をリシンに、また、B鎖29番目のリシン残基をグルタミン酸に置換したヒトインスリン誘導体である。これらのアミノ酸の置換により、インスリン グルリジンは、単量体としてより安定的に存在し、かつ、単量体から二量体へ、更に二量体から六量体への会合形成も抑制されている。また、インスリン グルリジンは製剤中において単量体として存在する割合が大きいため、皮下投与後、これらの単量体がそのまま速やかに血流に到達し、超速効型のプロファイルを示す。 インスリン及びインスリン グルリジンを含むその誘導体の主要な活性は、グルコース代謝の調節にある。インスリン及びその誘導体は、末梢におけるグルコースの取り込み、特に骨格筋及び脂肪による取り込みを促進し、また肝におけるグルコース産生を阻害することによって血糖値を降下させる。更に、蛋白分解を阻害し、蛋白合成を促進するとともに、脂肪細胞における脂肪分解を阻害する。

18.2 血糖降下作用

イヌを用いた正常血糖クランプ試験において、本剤を皮下投与したとき、同用量のヒトインスリンの投与よりも速やかに血糖降下作用を発現した13)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回皮下投与後の血清中濃度及び血糖降下作用

  2. (1)1型糖尿病患者

日本人の成人1型糖尿病患者男女15例に、本剤、インスリン リスプロ又は速効型インスリン0.2単位/kg注1)を腹部に単回皮下投与し、血清中インスリン濃度及び血糖降下作用(正常血糖クランプ法によるグルコース注入率)の経時的推移について検討した。本剤及びインスリン リスプロは、速効型インスリンに比べて吸収(T20%-AUC:20%血清中インスリン濃度時間曲線下面積到達時間)及び作用発現(T20%-AUC:20%グルコース利用量到達時間)が速く、最高血清中インスリン濃度(Cmax)及び投与後2時間の区間グルコース利用量(AUC(0-2h))が大きいこと、並びに、作用持続時間(GIRが2mg/min/kg以上の値を維持した時間)が短いことが示された。

注1)本剤の承認用量は、1回2~20単位を皮下注射するが、その他のインスリン製剤を併用する場合の投与量を含めた維持量は、1日4~100単位である。

血清中インスリン濃度 Cmax
(μU/mL)注2)
AUC(0-clamp end)
(μU・min/mL)注2)
T20%-AUC
(min)注3),注5)
Tmax
(min)注4),注6)
アピドラ注 131.7
(19.5%)
17354.2
(8.7%)
41.5
(±7.3)
50
インスリン リスプロ 159.5
(27.1%)
21325.7
(20.5%)
49.6
(±11.6)
40
速効型インスリン 110.0
(33.9%)
21402.5
(19.2%)
71.1
(±13.8)
40
グルコース注入率 AUC(0-2h)
(mg/kg)注3)
AUC(0-clamp end)
(mg/kg)注3)
T20%-AUC
(min)注3),注5)
Tmax
(min)注4)
Duration of action
(min)注4)
アピドラ注 428.7
(±153.2)
1399.5
(±357.6)
93.0
(±16.8)
110 304
インスリン リスプロ 417.3
(±201.0)
1470.8
(±390.9)
101.0
(±17.5)
177 286
速効型インスリン 344.8
(±155.9)
1717.4
(±487.0)
124.3
(±21.0)
198 393

注2)幾何平均(CV%)

注3)算術平均(±SD)

注4)中央値

注5)AUC(0-clamp end)に対して20%相当のAUCに到達するまでの時間(被験者毎に分単位で算出)

注6)投与後10、20、30、40、50、60、70、80、90、120、150、180、240、300、360、480分時点の測定値に基づく

本剤1モルと速効型インスリン1モルの血糖降下作用は同等であり、同一用量単位は等価であることが示されている2),3) 。

16.2 吸収

  1. 16.2.1投与部位による比較

健康成人男性16例に、本剤0.1単位/kg注7)を腹部、上腕部又は大腿部に単回皮下投与、並びに本剤0.1単位/kg注7)を静脈内投与した。本剤の皮下投与時の絶対的バイオアベイラビリティは、それぞれ腹部73%、上腕部71%及び大腿部68%であり、正常血糖クランプに要した総グルコース利用量は皮下投与部位によらず同様であることが示された4)(外国人データ)。

注7)本剤の承認用量は、1回2~20単位を皮下注射するが、その他のインスリン製剤を併用する場合の投与量を含めた維持量は、1日4~100単位である。

  1. 16.2.2食事と投与のタイミング

成人1型糖尿病患者男女21例に、本剤0.15単位/kg注8)を標準食の食直前(食事開始前2分以内)又は食直後(食事開始15分後)に、速効型インスリン0.15単位/kgを食前(食事開始30分前)に、それぞれ腹部に単回皮下投与したところ、食後血糖値がピークに到達するまでの時間は、本剤の食直前投与で48分、食直後投与で45分、速効型インスリンの食前投与で115分であった5)(外国人データ)。

注8)本剤の承認用量は、1回2~20単位を皮下注射するが、その他のインスリン製剤を併用する場合の投与量を含めた維持量は、1日4~100単位である。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害を有する非糖尿病被験者

腎機能の程度が異なる非糖尿病成人被験者男女24例に、本剤又は速効型インスリン0.15単位/kg注9)を、それぞれ標準食の食直前(食事開始前2分以内)及び食前(食事開始15分前)に腹部に単回皮下投与し、血清中インスリン濃度及び食後血糖値の経時的推移について検討した。本剤の血清中インスリン濃度推移及び本剤投与下の食後血糖値の経時的推移は、腎機能の程度によらず同様であることが示された6)(外国人データ)。

注9)本剤の承認用量は、1回2~20単位を皮下注射するが、その他のインスリン製剤を併用する場合の投与量を含めた維持量は、1日4~100単位である。

血清中インスリン濃度 Cmax
(μU/mL)注10)
AUC(0-5h)
(μU・min/mL)注10)
Tmax
(min)注12)
アピドラ注 腎機能正常注14) 107.8
(29.8%)
13120.1
(29.1%)
55.9
中等度腎機能障害注15) 131.1
(29.2%)
18412.2
(19.4%)
57.5
重度腎機能障害注16) 107.8
(15.1%)
16911.9
(15.6%)
67.8
速効型インスリン 腎機能正常注14) 112.1
(46.7%)
16081.0
(43.9%)
71.8
中等度腎機能障害注15) 103.1
(42.3%)
17514.3
(30.0%)
80.3
重度腎機能障害注16) 116.3
(33.7%)
19437.4
(28.9%)
76.5
食後血糖値 GLUmax
(mg/dL)注11),注13)
AUC(0-2h)
(mg・h/dL)注11),注13)
AUC(0-5h)
(mg・h/dL)注11),注13)
Tmax
(min)注12)
アピドラ注 腎機能正常注14) 114.0±14.2 173.5±32.9 320.8±130.3 45.0
中等度腎機能障害注15) 128.0±20.2 197.1±27.8 424.3±51.7 37.5
重度腎機能障害注16) 131.3±23.6 194.8±30.4 409.5±105.1 45.0
速効型インスリン 腎機能正常注14) 115.0±24.0 180.8±39.5 352.8±115.7 60.0
中等度腎機能障害注15) 135.0±30.6 205.0±21.3 439.6±82.8 90.0
重度腎機能障害注16) 139.3±38.2 212.3±49.9 410.8±126.4 82.5

注10)幾何平均(CV%)

注11)算術平均(±SD)

注12)中央値

注13)血糖値の換算;mg/dL=mmol/L×18

注14)クレアチニンクリアランス>80mL/min

注15)クレアチニンクリアランス30〜50mL/min

注16)クレアチニンクリアランス<30mL/min

  1. 16.6.2小児1型糖尿病患者

小児1型糖尿病患者男女20例(7~11歳の児童10例、12~16歳の青少年10例)に、本剤又は速効型インスリン0.15単位/kg注17) を、標準食の食直前(食事開始前2分以内)に、腹部に単回皮下投与し、血清中インスリン濃度及び食後血糖値の経時的推移について検討した。本剤は、速効型インスリンに比べて最高血清中インスリン濃度到達時間(Tmax)が短く、最高血清中インスリン濃度(Cmax)が高いこと、本剤投与下の食後血糖値は、速効型インスリン投与下に比べて全般的に低く推移することが示された7)(外国人データ)。

注17)本剤の承認用量は、1回2~20単位を皮下注射するが、その他のインスリン製剤を併用する場合の投与量を含めた維持量は、1日4~100単位である。

血清中インスリン濃度 Cmax
(μU/mL)注18)
AUC(0-6h)
(μU・min/mL)注18)
Tmax
(min)注20)
アピドラ注 57.8(32.2%) 8361.2(28.2%) 54
速効型インスリン 32.7(49.9%) 7051.8(38.7%) 66
食後血糖値 GLUmax
(mg/dL)注19),注21)
AUC(0-2h)
(mg・h/dL)注19),注22)
AUC(0-6h)
(mg・h/dL)注19),注22)
Tmax
(min)注20),注21)
アピドラ注 298.1±82.6 178.7±102.7 640.9±421.3 120.0
速効型インスリン 351.8±69.8 262.9±88.4 800.9±316.3 120.0

注18)幾何平均(CV%)

注19)算術平均(±SD)

注20)中央値

注21)投与後4時間までのデータ

注22)ベースラインによる補正値