18.1 作用機序
メトロニダゾールは、菌体又はアメーバ内の酸化還元系によって還元を受け、ニトロソ化合物(R-NO)に変化する。このR-NOが嫌気性菌に対する抗菌作用及び抗アメーバ作用を示す。また、反応途中で生成したヒドロキシラジカルがDNAを切断し、DNAらせん構造の不安定化を招く36),37),38)。
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回投与
日本人健康成人6例にメトロニダゾール500mgを20分かけて単回点滴静注したときのメトロニダゾール及び活性代謝物であるヒドロキシメトロニダゾール[1-(2-hydroxyethyl)-2-hydroxymethyl-5-nitroimidazole]の血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータを以下に示す17)。
図 日本人健康成人にメトロニダゾール500mgを単回点滴静注したときの血漿中濃度推移(6例、平均値±標準偏差)
|
メトロニダゾール |
ヒドロキシメトロニダゾール |
Cmax (μg/mL) |
13.1 (23) |
0.678 (67) |
Tmax (h) |
0.32 (0.32-1.00) |
12.0 (12.0-12.0) |
AUCinf (μg・h/mL) |
161 (19) |
27.4 (52) |
t1/2 (h) |
12.4 (22) |
18.8 (29) |
CL (L/h) |
3.10 (19) |
N/A |
Tmaxは中央値(範囲)、t1/2は算術平均値(変動係数%)
N/A:算出していない
- 16.1.2反復投与
日本人健康成人6例にメトロニダゾール500mgを20分かけて1日4回5日間反復点滴静注したとき、血漿中メトロニダゾール濃度は投与開始後約3日で定常状態に達し、反復投与開始3~5日目のトラフ濃度は28.0~30.4μg/mLであった。メトロニダゾールに対するヒドロキシメトロニダゾールの比はCmaxが0.13、AUC0-6が0.15であった17)。
|
メトロニダゾール |
ヒドロキシメトロニダゾール |
Cmax (μg/mL) |
44.5 (13) |
5.24 (32) |
Tmax (h) |
0.41 (0.32-1.00) |
1.50 (0.00-6.00) |
AUC0-6 (μg・h/mL) |
206 (15) |
28.3 (35) |
t1/2 (h) |
13.4 (17) |
21.9 (18) |
CL (L/h) |
2.44 (16) |
N/A |
Tmaxは中央値(範囲)、t1/2は算術平均値(変動係数%)
N/A:算出していない
16.3 分布
- 16.3.1組織・体液中濃度
メトロニダゾール投与後、唾液、歯肉溝滲出液、腹腔液中及び母乳中に血中と同程度のメトロニダゾール濃度が認められている。またメトロニダゾールは脳膿瘍中、脳脊髄液中及び精漿中に移行するほか、胎盤を通過し、臍帯動脈血から胎児に移行する18),19),20),21),22),23),24),25),26)(外国人データ)。
| 組織/体液 |
投与量 |
採取時間 (投与後時間) |
組織内濃度又は体液中濃度 (μg/g又はμg/mL) |
血液中濃度 (μg/mL) |
| 唾液 |
500mg PO BID/TID |
2時間 |
15.15 |
14.33 |
| 歯肉溝滲出液 |
500mg PO BID/TID |
2時間 |
12.86 |
14.33 |
| 腹腔液 |
500mg IV SD |
58分 |
7.2 |
10.7 |
| 腹壁 |
1000mg IV SD |
38分 |
2.6 |
25.1 |
| 腹膜脂肪 |
1000mg IV SD |
38分 |
2.7 |
25.1 |
| 結腸壁 |
1000mg IV SD |
156分 |
8.9 |
19.1 |
| 胎盤 |
500mg IV SD |
40分 |
3.5b) |
13.5 |
| 胎児a) |
500mg IV SD |
40分 |
9.0b) |
13.5d) |
| 臍帯動脈血 |
500mg IV SD |
20分 |
11.74c) |
13.92 |
| 母乳 |
400mg PO TID |
2時間 |
15.52 |
17.46 |
| 8時間 |
9.07 |
9.87 |
|
|
| 新生児a) |
400mg PO TID |
4-8時間 |
1.62 |
9.87d) |
| 精漿 |
250mg PO BID |
2-3時間 |
7.0 |
8.7 |
| 脳脊髄液 |
500mg PO BID |
2-8時間 |
11.0-13.9 |
8.3-15.4 |
| 脳膿瘍 |
400mg PO TID |
不明 |
34.4-35.0 |
11.5-35.1 |
| 600mg IV TID |
不明 |
45.0 |
12.5 |
|
a:母体に投与したときの値、b:μg/mg、c:帝王切開時の濃度、d:母体の血液中濃度
PO:経口投与、IV:静脈内投与、SD:単回投与、BID:1日2回投与、TID:1日3回投与
- 16.3.2蛋白結合
メトロニダゾールの血漿蛋白結合率は15%以下である27),28)(外国人データ)。
16.4 代謝
主として肝臓で酸化及びグルクロン酸抱合を受け代謝され、代謝物としてヒドロキシメトロニダゾール、酸代謝物(1-acetic acid-2-methyl-5-nitroimidazole)、未変化体とヒドロキシメトロニダゾールのグルクロン酸抱合体及び硫酸抱合体が認められている。主代謝物であるヒドロキシメトロニダゾールへの代謝にはCYP2A6が関与している29),30)(外国人データ)。
16.5 排泄
健康成人に14C-メトロニダゾールを単回静脈内投与したとき、投与量の約60%が尿中に、6%が糞中に排泄された29)(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
-
16.6.1腎機能障害患者
-
(1)腎機能障害患者(血液透析患者を除く)
腎機能障害患者を対象にメトロニダゾールを点滴静注したとき、メトロニダゾールの血漿中濃度推移は健康成人と大きく異ならず、メトロニダゾールのAUCに対する腎機能低下の明らかな影響は認められなかった。血中の酸代謝物は健康成人では認められなかったが、腎機能障害患者では認められた。ヒドロキシメトロニダゾール及び酸代謝物のAUCは腎機能低下に従って増加する傾向が認められた31),32),33)(外国人データ)。
- (2)血液透析患者
血液透析を受けている腎機能障害患者4例を対象に、メトロニダゾール500mgを30分かけて単回点滴静注したとき、投与量の約45%が透析によって除去された31),32),33)(外国人データ)。
- 16.6.2肝機能障害患者
健康成人7例及び肝機能障害患者35例を対象に、メトロニダゾール500mgを20分かけて単回点滴静注したとき、肝機能障害の重症度に従い、メトロニダゾールのCLは減少し、t1/2は延長した。また肝機能障害患者のAUC0-24は健康成人と比較して有意に増加した34)(外国人データ)。
|
健康成人 |
Child- Pugh A |
Child- Pugh B |
Child- Pugh C |
| 例数 |
7 |
14 |
9 |
12 |
t1/2 (h) |
7.4±2.2 |
10.7±2.3 |
13.5±5.1 |
21.5±12.7 |
CL (mL/min/kg) |
1.53±0.37 |
0.85±0.26 |
0.79±0.36 |
0.56±0.28 |
AUC0-24 (μg・h/mL) |
81.4±27.0 |
124.9±42.3 |
124.4±25.8 |
174.1±52.0 |