Clinical snapshot

アニュイティ200μgエリプタ30吸入用

フルチカゾンフランカルボン酸エステル

添付文書改訂 2025年10月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1有効な抗菌剤の存在しない感染症、深在性真菌症の患者[症状を増悪するおそれがある。]

  2. 2.2本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

気管支喘息

用法・用量

通常、成人にはアニュイティ100μgエリプタ1吸入(フルチカゾンフランカルボン酸エステルとして100μg)を1日1回吸入投与する。 なお、症状に応じてアニュイティ200μgエリプタ1吸入(フルチカゾンフランカルボン酸エステルとして200μg)を1日1回吸入投与する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤は既に起きている気管支喘息の発作を速やかに軽減する薬剤ではないので、毎日規則正しく使用するよう患者を指導すること。

  2. 8.2本剤の投与期間中に発現する急性の発作に対しては、短時間作動型吸入β2刺激剤等の他の適切な薬剤を使用するよう患者に注意を与えること。 また、その薬剤の使用量が増加したり、あるいは効果が十分でなくなってきた場合には、喘息の管理が十分でないことが考えられるので、可及的速やかに医療機関を受診し医師の治療を求めるよう患者に注意を与えること。

  3. 8.3本剤の吸入後に喘鳴の増加を伴う気管支痙攣があらわれることがある。気管支痙攣が認められた場合には、直ちに本剤の投与を中止し、短時間作動型気管支拡張剤による治療を行うこと。また、患者を評価し、必要に応じて他の治療法を考慮すること。

  4. 8.4本剤の投与を突然中止すると喘息の急激な悪化を起こすことがあるので、投与を中止する場合には患者の喘息症状を観察しながら徐々に減量していくこと。

  5. 8.5全身性ステロイド剤と比較し可能性は低いが、吸入ステロイド剤の投与により全身性の作用(クッシング症候群、クッシング様症状、副腎皮質機能抑制、小児の成長遅延、骨密度の低下、白内障、緑内障、中心性漿液性網脈絡膜症を含む)が発現する可能性があるので、吸入ステロイド剤の投与量は患者毎に喘息をコントロールできる最少用量に調節すること。特に長期間、大量投与の場合には定期的に検査を行い、全身性の作用が認められた場合には患者の喘息症状を観察しながら適切な処置を行うこと。

  6. 8.6全身性ステロイド剤の減量は本剤の吸入開始後症状の安定をみて徐々に行うこと。減量にあたっては一般のステロイド剤の減量法に準ずること。

  7. 8.7本剤を含む吸入ステロイド剤投与後に、潜在していた基礎疾患である好酸球性多発血管炎性肉芽腫症にみられる好酸球増多症がまれにあらわれることがある。この症状は通常、全身性ステロイド剤の減量並びに離脱に伴って発現しており、本剤との直接的な因果関係は確立されていないが、本剤の投与期間中は、好酸球数の推移や、他の好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の症状(しびれ、発熱、関節痛、肺の浸潤等の血管炎症状等)に注意すること。

  8. 8.8全身性ステロイド剤の減量並びに離脱に伴って、鼻炎、湿疹、蕁麻疹、眩暈、動悸、倦怠感、うつ、顔のほてり、結膜炎等の症状が発現・増悪することがあるので、このような症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。

  9. 8.9本剤は患者の喘息症状に応じて最適な用量を選択する必要があるため、本剤の投与期間中は患者を定期的に診察すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1結核性疾患又は感染症(有効な抗菌剤の存在しない感染症、深在性真菌症を除く)の患者

症状を増悪するおそれがある。

  1. 9.1.2気管支粘液の分泌が著しい患者

本剤の肺内での作用を確実にするため本剤の吸入に先立って、分泌がある程度減少するまで他剤の使用を検討すること。

  1. 9.1.3長期又は大量の全身性ステロイド療法を受けている患者

本剤投与後の全身性ステロイド剤の減量中並びに離脱後も副腎皮質機能検査を行い、外傷、手術、重症感染症等の侵襲には十分に注意を払うこと。また、必要があれば一時的に全身性ステロイド剤の増量を行うこと。これらの患者では副腎皮質機能不全となっていることが考えられる。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1肝障害のある患者

本剤の血中濃度が増加し、全身性の作用が発現する可能性が高くなるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。フルチカゾンフランカルボン酸エステルの高用量の吸入投与により、母動物毒性に関連した胎児の低体重、胸骨の不完全骨化の発現率増加(ラット)、及び流産(ウサギ)が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。他の副腎皮質ステロイド剤はヒト乳汁中に移行することが知られている。ラットの授乳期にフルチカゾンフランカルボン酸エステルを投与したとき、生後10日の出生児血漿中に薬物が検出された(6/54例)。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

相互作用

  • フルチカゾンフランカルボン酸エステルは、主としてCYP3A4で代謝される。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
CYP3A4阻害作用を有する薬剤
• リトナビル
ケトコナゾール(経口剤:国内未発売)
エリスロマイシン等
副腎皮質ステロイド剤を全身投与した場合と同様の症状があらわれる可能性がある。なお、ビランテロールトリフェニル酢酸塩・フルチカゾンフランカルボン酸エステルとケトコナゾール(経口剤)を併用した臨床薬理試験において、血中のフルチカゾンフランカルボン酸エステルの曝露量の増加が認められたとの報告がある。 CYP3A4による代謝が阻害されることにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
インフルエンザ 1%未満
上気道感染 1%未満
副鼻腔炎 1%未満
口腔咽頭カンジダ症 頻度不明
口腔咽頭痛 1%未満
咳嗽 1%未満
咽頭炎 1%未満
気管支炎 1%未満
発声障害 1%未満
発疹 頻度不明
背部痛 1%未満
蕁麻疹 頻度不明
頭痛 1%未満
鼻咽頭炎 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

FFは合成コルチコステロイドの一種であり、炎症性サイトカイン産生の抑制、抗炎症蛋白発現の促進、上皮細胞の保護及び好酸球浸潤の抑制等の作用を介して、ラットの卵白アルブミン誘発肺好酸球増加症モデル等の複数のアレルギー疾患モデルにおける症状を抑制する6) 。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1健康成人

健康成人男性12例にフルチカゾンフランカルボン酸エステル(以下、FF) 200、400注)又は800注)μgを単回及び1日1回7日間吸入投与した時1) 、血漿中FF濃度は投与後2時間(中央値)までにCmaxに達し、t1/2は約24~33時間(幾何平均値)であった。血漿中FFの曝露量(AUC及びCmax)は200~800μg注)の投与量増加の割合にほぼ比例して増加した。また、血漿中FF濃度は反復投与5日目(9日目)までに定常状態に達した。FF 200μgを単回及び反復吸入投与(1日目:初回投与、5~11日目:1日1回7日間投与)した時の血漿中FFの濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりである。FF 800μg注)を単回吸入投与した時の血漿中FFのみかけのt1/2は約32時間であった。

健康成人男性にFF 200μgを単回及び1日1回7日間吸入投与した時の血漿中FF濃度推移(平均値+標準偏差)(1及び11日目、12例)

投与日 Cmax(pg/mL) tmax(h)注1) AUC(pg・h/mL)注2)
投与初日
(1日目)
36.50
(30.72, 43.36)
0.50
(0.25-1.00)
224.6
(161.6, 312.3)
最終投与日
(11日目)
62.31
(54.28, 71.52)
2.00
(0.08-3.00)
743.8
(659.5, 838.9)

幾何平均値(95%信頼区間)、12例 注1)中央値(範囲) 注2)1日目:投与0時間から最終測定時点のAUC(AUC0-t) 11日目:投与0時間から投与間隔のAUC(AUC0-τ)

  1. 16.1.2気管支喘息患者

気管支喘息患者にFFを1日1回反復吸入投与した時の曝露量の推定値(母集団薬物動態解析)は以下のとおりである。

投与量
(μg)
集団 例数 Cmax
(pg/mL)
AUC0-24
(pg・h/mL)
100 日本人 30 45.8(27.5, 84.3) 359.4(195.2, 620.1)
白人注1) 590 30.6(18.2, 56.7) 223.0(111.1, 498.9)
200 白人注1) 568 59.6(36.6, 102.0) 413.3(198.0, 904.6)

幾何平均値(95%信頼区間) 注1)ビランテロールトリフェニル酢酸塩・FF投与群を含む

16.2 吸収

FF 1200μg注)吸入投与時の絶対的生物学的利用率は14%であった(外国人データ)。

16.3 分布

  1. 16.3.1分布容積

健康成人16例にFF 250μgを静脈内投与注)した時の定常状態における分布容積の幾何平均値は661Lであった(外国人データ)。

  1. 16.3.2血漿蛋白結合率

In vitroでのヒト血漿蛋白結合率は99%超であった。

  1. 16.3.3血球移行

In vitroでのFF(0.2~5ng/mL)のヒト血液/血漿比は、0.55~0.67であった。

16.4 代謝

In vitro試験において、ヒトでFFは主にCYP3A4で代謝された。また、FFのS-フルオロメチルカルボチオエート基が加水分解された代謝物が生成される。

16.5 排泄

健康成人男性5例に14C-FF2mg注)を単回経口投与した時に放射能は主に代謝物として糞中に排泄され、放射能の尿中排泄率は1%未満であった(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能低下者

重度の腎機能低下者(CLcr:30mL/分未満)及び健康成人各9例にビランテロールトリフェニル酢酸塩(ビランテロール(以下、VI)として)・FF 25・200μgを1日1回7日間吸入投与した時の血漿中FFのCmax及びAUC0-24は健康成人と比べてそれぞれ4及び9%低下した(外国人データ)。

  1. 16.6.2肝機能低下者

軽度及び中等度の肝機能低下者(Child-Pughスコア:A又はB)及び健康成人各9例にVI・FF 25・200μg、重度の肝機能低下者(Child-Pughスコア:C)8例にVI・FF 12.5・100μgを1日1回7日間吸入投与した時の投与量で補正したFFのAUC0-24は健康成人に比べて最大約3倍に増加した。投与量で補正したFFの曝露量は中等度及び重度の肝機能低下者(Child-Pughスコア:B又はC)で同程度であった(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1ケトコナゾール

健康成人18例に、VI・FF 25・200μgとCYP3A4阻害薬であるケトコナゾール400mgを反復併用投与した時の薬物相互作用を検討した。その結果、併用投与時のFFのAUC0-24及びCmaxはそれぞれ36及び33%増加した(外国人データ)。 注)本剤の承認用法及び用量は100μg、症状に応じて200μgの1日1回吸入投与である。